Ψ(さい)のつづり -30ページ目
砂浜の上は
もう
十分に
あたたかい
さらさらと
裸足を包み込み
ここちよい
そのまま
海へ
すらせら
ひたぴた
歩いていくと
波が迎えに来てくれ
足をひんやりと
包み込む
優しさのなかに
ぴりっとした
厳しさもあるけれど
凍えるような
冷たさではない
春の海が
寄せては
かえし
また寄せる
前よりずっと
きれいになった
海に
ただいまと
あいさつする
シーズンではない海は
落ち着いていて
懐に入ってきた
人たちを
明るく
励ます
もう
ちゃんと
春を呼び込んだから
しっかり
みんなに
エネルギーを補充したから
あとは
あなたたちの番よ
しっかりね

歩け歩け
歩みをとめるな
歩め歩め
前へ前へ
もうじき
星が新しい一年を迎え
太陽系の
天体が
一斉に
順行へ
前を向き
巡行するもよし
巡航するもよし
空を飛ぶもよし
何にせよ
やりたいことを
心躍らせ
始めるときは
星と自分と
自分と世界が
共同創造するとき

逞しく
強くあれ
強くあれ
風に吹き飛ばされぬよう
熱くあれ
篤くあれ
寒さに凍えぬよう
ハクモクレンのように
清く
氣高く
三寒四温を
力に換え
サクラとともに
世界を
あらためる

烏は
なぜか
人に
嫌われている
ゴミを荒らすからかな
ゴミは
厳重に
ネットやカゴで
おおわれることになる
声が大きいからかな
たしかに
ウグイスよりも
大音量
声もしわがれていて
良く響く
でも
よく聞いてみれば
烏の鳴き方は
千差万別
よくあるカーカーや
あほーあほーもあるけれど
きみは一番平和で控えめ
きみは
あわあわあわ
と鳴く
それは
ゆっくり
はっきりの
あわ
あわで
決して
泡食ったあわでもなければ
慌てているあわでもない
きみ以外のだれも
きみのようには
話さない
だから
烏の見分けがつかない
わたしにも
きみが来たことが
すぐにわかるんだ
きみは
はっきり
あわあわと
きちんと鳴いて
今日も
居場所を
教えてくれる
今日も
明日も
あさっても
いついつまでも
きみの世界は
平和で
あるように

断崖絶壁の
上を渡る
縦横斜めが
交錯していて
感覚がおかしくなりそうだ
普通に
迷い込んだら
遭難しそうで
それでいて
家もあり
街も遠くない
不思議な場所だ
わたしたちは
この
崖で
守られている
何百年間も
大切に
管理されてきた森が
わたしたちを守っている
鳥たちも
守られている


