キャラバンが
砂漠を
進む
駱駝が
息絶えたとき
主の
命運も尽きる
冷たい水を
とうとうとたたえる
泉が見えるが
進んでも
進んでも
近づくことは
かなわない
砂漠の蜃気楼
川や
それに浮かぶ
ヨットまで見える
それもまた
まぼろし
沈む太陽を
待ちわびる
夜は冷え
凍えそうになることもあるが
幻視に悩まされることがない
それなのに
沈んでいく太陽が
いちごのように見える
ああ
あのみずみずしい
いちごを口いっぱい
ほおばってみたい
沈むときでさえ
自身で
まぼろしを
みせるのか
決して
負けはすまい
明日には
荒野にたどり着けるだろう
3日後には
街に着くのだ
着いたら着いたで
街の喧騒や
人々の視線に
すぐ嫌気がさすのだから
今のうちに
この
静寂と
星々が
織りなす
聖なる音楽を
楽しもうではないか
