冬至に向かう

 

いまの時季は

 

お昼を過ぎると

 

もう日が傾きかけている

 

八つ時にもなれば

 

家路を急ぐ

 

家に着けば

 

もうどこへも

 

出かけなくてよい

 

幸せを

 

噛みしめ

 

お八つを

 

いただく

 

そんなこんなで

 

日中は

 

なんとはなしに

 

気が急くけれど

 

暮れてしまえば

 

まるで

 

深夜のよう

 

それでも

 

時間がまだ早いことに

 

ほっこりしながら

 

あたたかくして

 

本を読む

 

たっぷり

 

たっぷりの

 

充電時間

 

 

マチュピチュに

 

恋焦がれる

 

虹のかかる

 

あの断崖絶壁の

 

街には

 

どうやったら

 

辿り着けるのだろう

 

コンドルになって

 

空から行くのが

 

一番

 

良さそうだ

 

ペルー文明の

 

神々は

 

崇高で

 

パワフルなのに

 

お高くとまったりはしない

 

その明るさは

 

これからの

 

世界に

 

必要な

 

軽やかさ

 

生贄の

 

儀式も

 

その前の

 

決闘からして

 

エンターテインメント

 

命がけで

 

戦った

 

敗者は

 

喜んで

 

聖なる

 

命を捧げる

 

そうやって

 

神様の

 

近くに行けるのなら

 

負けるが勝ちなのだろう

 

地球のほぼ裏側なのに

 

この親近感

 

まるで

 

もともと

 

知っているかのよう

 

 

 

 

 

 

夜中に

 

星々が奏でる音は

 

日中は

 

太陽の光に隠れて

 

きこえにくい

 

天動説

 

いまでは

 

誤りで

 

偏狭で驕り昂った

 

過去の人間のものの見方だと

 

されているけれど

 

北極星を起点にして

 

天界が

 

巡っていくのを

 

わたしたちは

 

一晩のうちにも目にすることができ

 

そのさまは

 

まさに天動説そのもの

 

目に見えるものや形が

 

すべてを

 

あらわしているわけではないと

 

知ることは

 

視野を広げてくれるけれど

 

見えたままは

 

見えたままの

 

在り方で

 

十分に

 

意味があることを

 

わたしたちに

 

伝えてくれる

 

わたしたちが全宇宙の中心では

 

もちろんないけれど

 

わたしたちが

 

ここにいて

 

ここから

 

宇宙を眺めるさまは

 

やはり

 

どんなに未熟でも

 

それはそれは

 

愛おしく

 

美しいんだろう

 

 

 

 

 

 

緑の稲

 

黄金の麦の

 

季節は遠く

 

今年の

 

豊穣に

 

感謝をささげる

 

刈取り後の稲の茎が

 

己をさくさくとさせることで

 

土が乾きすぎるのを防ぎ

 

雀の食べ物を用意しながら

 

茶色の田は

 

来年のために

 

しばし休息する

 

すでに

 

麦畑は耕され

 

ひそかに

 

種まきも済んでいる

 

芽が出ては踏まれ

 

芽を出しては踏まれながら

 

一番寒い時期を

 

たくましく

 

過ごすのだろう

 

空の青さが

 

大地一面に広がる

 

寂寞を

 

なだめ

 

雲の鳥が

 

見守る

 

低い軌道を描く

 

太陽は

 

遠慮がちに

 

暖かさを

 

分け与え

 

主役の

 

月に

 

そそくさと

 

舞台を明渡し

 

役割を

 

全うする

 

 

冷え込んだ朝

 

ホーム横の信号で

 

トラックが

 

停まった

 

ぶきゃーと小さな悲鳴が上がる

 

小さな駅のホームは道より少し高いから

 

思わず振り向いた

 

その荷台には

 

ぶたさんが

 

ぎっしり

 

よろけても

 

転ばないくらい

 

ぎっしり

 

裸んぼうで

 

トラックの揺れに合わせて

 

押し合いへし合いしていた

 

寒そうだけど

 

ぎっしりだから

 

寒くないかな

 

丸々と太ったぶたさん

 

満載のトラックの

 

行き先は

 

誰に

 

聞かなくてもわかる

 

わたしは

 

どのぶたさんでもいい

 

目を合わせて

 

感謝を伝えようとしたが

 

みんな

 

みんな

 

目を閉じていた

 

もう

 

わかっているんだね

 

今日あなたたちの

 

身に起こることを

 

わたしたちは

 

みんなみんな

 

あなたたちの

 

いのちを

 

いただいているんだね

 

わたしは

 

ぶたさんたち全員に

 

愛と

 

平和と

 

感謝を

 

できるかぎり

 

念じた

 

通じたかどうかは

 

わからないけれど

 

信号が変わり

 

ぶたさんたちは

 

みんな行ってしまった

 

今日も

 

わたしはちゃんと

 

生きます

 

いのちを

 

いただいて

 

生贄は遠い過去の話じゃない

 

こうやって

 

毎日毎日

 

どこかで起こっていること

 

生きていくことは

 

いのちをいただいて

 

繋いでいくこと

 

ありがとう

 

ありがとう

 

ありがとう