先週27年ぶりに阪神競馬場で行われました第163回天皇賞は

一昨年の菊花賞馬ワールドプレミアが直線で力強く抜け出し

1番人気のディープボンドをねじ伏せて、優勝を飾りました。

菊花賞以来の復活優勝でこれからのステイヤーとしての活躍が

本当に楽しみです。

人気のアリストテレスは真価を問われる1戦でしたが、4着に

敗れ、コントレイル共々、負け方をみると、この世代の力量が

徐々に見えてきたような気がします。

また一部のマスコミが天皇賞をマラソンレースと表現して

いましたが、その表現には、とても違和感があります。

天皇賞は、オープン馬が3,200mで競い合い、スタミナと

スピードと忍耐力が問われるレースだからこそ真の強い馬が

勝ち、天皇盾と共に古馬最高の栄誉を得られ、格式の高い

伝統あるレースだと思っています。

だからこそ天皇盾には計り知れない価値があります。

距離が長いため、スタミナや騎手同士の駆け引きも重要となり、

今日に至るまで、毎年、多くのドラマを生んできました。

また今回、実況アナウンサーの方がレース直後に、全馬が無事に

完走しましたと言ってくれたことに、とても感動しました。

今週は、東京競馬場で第26回NHKマイルカップが行われます。

NHKマイルカップは、1995年まではNHK杯の名称でダービー

トライアルレースとして行われていました。

1996年からはクラシック競走に出走できなかった外国産馬や

短距離系の馬に対して目標となる大レースを当時の馬齢4歳

(現3歳)春に行うことを目的として、マイル王決定戦として創設

されました。

昭和人の私としては、未だにNHK杯と言ってしまいますが。

 

思い出のレースはハイセイコーが直線で見せた一世一代の

奇跡の末脚で逆転優勝を飾った昭和48年の第21回NHK杯

です。

鳴り物入りで地方競馬から中央競馬へ移籍し、中央の意地か

地方出身馬には絶対に勝たせたくないという風潮が強かった

中央出身馬達からの徹底的なマークと過酷なローテーションの

中で何とか苦しみながらも連勝を続け、ついに無敗のまま、

クラシック一冠目の皐月賞に優勝。

その後、ハイセイコーは東京競馬場をまだ走ったことが無かった

ため、更に無理なローテーションでのNHK杯出走となりました。

後に移籍直後から既にハイセイコーの脚の状態は悪かったとの

事実が判明し、よく故障もせずに一生懸命頑張って走っていた

かと思うと涙してしまいます。

レースは、例によってニューサントの逃げで直線に入って皐月賞

2着馬でライバルのカネイコマが早めに抜け出して先頭にたち、

この日のハイセイコーは動きが鈍くて伸びを欠いて引き離され

通常は絶対に届かない位置にいて苦しむハイセイコーに対し

実況した盛山アナウンサーが思わず、

「ハイセイコー負けるな あと200だ!あと200しかないよ」と

絶叫(私にはそう聞こえました)、もう誰もがハイセイコーがついに

敗れると思った瞬間、今でも伝説として語り継がれている奇跡の

末脚でカネイコマをゴール前でかわし、奇跡の逆転優勝を飾り

ました。

怪物として負けるわけにはいかない宿命を背負ったハイセイコー

が見せた一世一代の奇跡の末脚は、今でも鮮明に目に焼き

付いています。

競走馬は一生に一度、奇跡の脚を使うことができると競馬関係者

から聞いたことがありました。

ファンの期待に応えるため、絶対に負けるわけにはいかない

ハイセイコーは、NHK杯で一生に一度と言われる豪脚を使って

しまったのかも知れません。

できれば日本ダービーで使って欲しかったと今でも思っています。

でもこのようにどんな状況の中でも、いつも全力で一生懸命に

走ったハイセイコーだからこそ、負けてもファンの人気は衰えず、

国民的アイドル馬として、そして昭和48年の顔として今でも

日本の歴史にその名を残しているのだと思っています。

この奇跡の激走による逆転優勝が、この後の日本ダービーに

影響するのではと不安に思った人は私だけでは無かったと

思います。

そして、やはりその不安は見事に的中してしまうことになりました。

今はマイル系のレースとなりましたが、NHKと聞くと、ふと

ダービーを目指した馬達のNHK杯での死闘を思い出して

しまいます。

そして本日5月4日は奇しくもハイセイコーの命日でもあります。

早いもので亡くなってから21年の歳月が経過しました。

私も命ある限り、人生の中で心の支えになってくれたハイセイコー

のことを語り継いでいこうと思っています。

今週の第26回NHKマイルカップは短距離系3歳馬による

レースですが、成長著しい3歳馬であり、距離の適性を含め

非常に難解なレースだと思います。

そんな中で2歳王者グレナディアガーズと連勝中のバスラット

レオンに注目しています。

そして、まだまともに走っていないように見える素質馬ランド

オブリバティが、距離が縮まったことで、どのようにレースぶりが

変わってくるのか注目です。

香港で行われた国際競走を見て、全馬が無事に完走することが

いかに大切かを改めて思い知らされました。

今週も全馬の無事を祈ってレースを見ます。

先週行われました第52回マイラーズカップは2番人気の

ケイデンスコールが直線で見事に抜け出して優勝。

1番人気のエアロロノアは5着に沈み、注目のエアスピネルは

8着という結果になりました。

そして昨日、香港シャティン競馬場で行われましたクイーン

エリザベス2世Cは日本のオークス馬ラヴズオンリーユーが

優勝し、2着にはグローリーヴェイズ、3着には牝馬3冠馬

デアリングタクト、4着には菊花賞馬キセキが入り、日本勢

による差のない見事なワンツースリーフォーという決着に

なりました。

デアリングタクトは差が無かったものの3着に敗れ、期待に

応えることは出来ませんでした。

ドバイや香港では国際レースらしく、各国から多くの実力馬が

集まってレースが行われ、本当に羨ましい限りです。

いつか日本でも各国から名馬達が出走する国際レースの実現を

と思ってきましたが、未だに実現どころか、縮小傾向になりつつ

あることは残念でなりません。

今週は前半戦を飾る古馬最高峰の重賞レース、伝統の

第163回天皇賞が今年は阪神競馬場で行われます。

大阪杯がGⅠレースになってからは、有力馬が分散してしまって

いることは残念ですが、天皇盾をかけた長丁場のレースで、

真の実力が問われる天皇賞は、私は大好きなレースであり、

毎年楽しみにしています。

 

思い出の馬は第37回優勝馬四泊流星の貴公子タイエテムです。

タイテエムは凱旋門賞馬セントクレスピンを父に持つ持込馬で

私が未だに競馬史上最強の世代と思っている花の昭和47年の

クラシック組でランドプリンス、ロングエース、イシノヒカルと共に

4強と言われていました。

当時の馬齢3歳でデビューしたものの、デビュー戦は関西の雄

ヒデハヤテの前に期待を裏切る8着に敗れ、続く2戦目で勝利

したものの、次の特別戦では3着敗れました。

年が明けて4歳になると、良血を開花させ、特別レースを連勝し、

東上切符を手にすることが出来ました。

例年ならクラシックには間に合わない時期でしたが、この年は

馬のインフルエンザが流行し、春のクラシックのスケジュールが

大幅に遅れたため、タイテエムも幸運にも何とかクラシックに

間に合うことが出来ました。

東上初戦の皐月賞前哨戦のスプリングステークスでは最優秀

3歳牡馬ヒデハヤテを破って優勝し、一躍クラシック候補に踊り

でました。

そして迎えた皐月賞では5戦5勝で無敗のまま東上した関西の

エース、ロングエースに続く2番人気に推されたものの、4強の

一角、ランドプリンスの前に7着に敗れてしまいました。

続くダービートライアルNHK杯では1番人気に推されたものの、

今度は遅れてきた関西の刺客ランドジャガーの前に3着となり

そして開催が遅れた影響で7月に行われたことで七夕ダービーと

呼ばれた本番の日本ダービーではロングエース、ランドプリンスの

後塵を拝して3着となり、実力はあったものの、史上最強の

メンバーが揃った花の昭和47組の前に、ついに春は無冠に

終わってしまいました。

夏を順調に超し、秋を迎えたタイテエムは菊花賞トライアル神戸

新聞杯ではランドプリンスを破ってレコード勝ちし、京都新聞杯

ではロングエース、ランドプリンスを破って優勝したことで、

最後の一冠、菊花賞では1番人気に推されました。

レースは最後の直線でタイテエムが先頭に立ち、杉本アナも

タイテエムの勝ちを確信したのか「四泊流星だ 緑に踊る」と

実況し、誰もがタイテエムがついに1冠を制したかと思いましたが、

関東のエースで直線の荒法師の異名を持つイシノヒカルが猛然と

追い込んで、タイテエムを交わして優勝し、結局タイテエムは

クラシックは無冠に終わってしまいました。

年が明けて古馬になったタイテエムは金杯からスタートするも

期待に反して4着に敗れ、その後腰に不安が出たため、休養を

余儀なくされました。

どうしても天皇賞に出走したいタイテエムは、今では考えられない

ローテーションでマイラーズCに出走して優勝し、復活の狼煙を

上げました。

菊花賞と有馬記念に優勝し、年度代表馬に輝いたライバル

イシノヒカルやロングエースが故障のため、戦線離脱する中で

迎えた天皇賞、発走直前から豪雨となり、視界不良の中、

スタートが切られました。

例によってミリオンパラが出遅れ、前半は後に中距離重賞を

席巻するナオキが先行し、後半からは先行馬が入れ替わる中、

シンザンの仔シンザンミサキが各馬を引っ張って逃げる展開に

なりましたが、レース中にもう一頭のシンザンの仔、後に超音速と

呼ばれた快速馬スガノホマレが骨折で競走を中止し、更に向こう

正面で今度はタイテエムが後ろから2番目にまで後退するという

波乱の展開となり、タイテエムが最後方に後退との場内

アナウンスにスタンドがどよめき、騒然となりました

しかし豪雨中、タイテエムは3コーナー過ぎから馬場の外側から

顔を泥だらけにしながらいつの間にか先頭集団を捕らえ、直線で

猛然と追い込んで、一緒に追い込んで来たカツタイコウを押さえて

ついに悲願の優勝を飾りました。

視界不良の中でタイテエムが直線で姿を現した時、杉本アナは

「無冠の貴公子に春が訪れます。タイテエム1着」と名実況し、

タイテエムの悲願の優勝を称えました。

しかし、次に出走した第14回宝塚記念ではハマノパレードの2着

に敗れ、更にレース直後に起こった出来事によりタイテエムは

脚に致命的な大怪我をしてしまい、長期休養に入りました。

その後、有馬記念を目指し懸命の治療を行ったものの、

回復せず、引退が発表されました。

引退後は種牡馬となり、内国産種牡馬不遇の時代だったものの

コーセイやシンチェスト、ウエスタンジョージ等を輩出し、内国産

種牡馬としては優秀な成績をあげたと思います。

私も牧場めぐりで晩年のタイテエムに会うことができ、歳は取って

老いていたものの、凛々しく立っている姿は、やはり四泊流星の

貴公子タイテエムでした。

タイテエムに今生の別れができて本当に良かったと思っています。

1992年に種牡馬を引退し、北海道新冠で余生を送って

いましたが、急速に老化が進み、1994年10月23日

老衰のため、25歳の生涯を終えました。

今週の第163回天皇賞は、やはり今年も牝馬の時代が続くのか

アーモンドアイやコントレイルと激闘を演じたカレンブーケドールと

菊花賞馬ワールドプレミアに注目しています。

そしてアリストテレスにとって真価が問われるレースとなります

ので、巻き返しを期待しています。

また、ダービー馬マカヒキにはダービー馬らしい花道を作って

あげて欲しいと思うばかりです。

今年の古馬路線を牽引していくのは、どの馬になるのか。

数々のドラマを生んできた伝統の天皇賞、今年はどのような

ドラマが展開するのか楽しみです。

今週も全馬の無事を祈りながら、伝統のレースを見ます。

先週行われました第81回皐月賞は2番人気のエフフォーリアが

圧勝して4連勝を飾り、昨年のコントレイル同様、無敗の

皐月賞馬が誕生しました。

初めて走るコースとは思えない力強い走りっぷりでした。

この後、得意の東京競馬場で行われるダービーに向けて、

視界良好となりました。

勝利ジョッキーの横山武史騎手は初GⅠ、初クラシック制覇で

横山家皐月賞親子2代、クラシック親子3代制覇となりました。

どうしても親子3代制覇と聞くとメジロアサマ、メジロティターン、

メジロマックイーンの天皇賞親子3代制覇を思い浮かべてしまい

ますが、本当に素晴らしい記録が達成されました。

横山騎手、本当におめでとうございます。

1番人気のダノンザキッドは発汗が多く見られていて、折り合いも

欠いているように見えました。

馬体に異常が無ければダービーまでにどこまで立て直して

くるのか注目です。

今週は阪神競馬場で第51回マイラーズカップが行われます。

マイル路線の拡充、および短距離適性馬にも活躍の場を設ける

ことを目的として、1970年に創設され、安田記念やヴィクトリア

マイルの前哨戦として位置づけられていて、春の短距離路線を

歩む馬にとって重要なレースなっています。

 

思い出の馬は、昭和51年第7回優勝馬シルバーランドです。

シルバーランドは五冠馬シンザンの仔であり、あのハイセイコー

と同じ昭和48年クラシック組でした。

先日行われました桜花賞では白毛馬ソダシが優勝しましたが、

シルバーランドは白毛では無いものの、芦毛の快速馬と活躍

しました。

当時、シンザンの仔で活躍馬が出ると、レース実況では対象馬の

頭に必ずと言っていいほど、シンザンの仔と付けられていました。

五冠馬シンザンの仔としてデビュー戦、特別戦と連勝を飾り、

クラシック路線に乗ってくると期待されましたが、体の弱さのため、

春のクラシックには出走することが出来ずに秋を迎えました。

しかし菊花賞に向けて出走したオープン戦、神戸新聞杯、京都

新聞杯は不良馬場の影響か5着・6着・5着と敗退し、本番の

菊花賞では当初逃げると見られていましたが、スタートで出遅れて

しまい、第3コーナーから4コーナーにかけて先頭に立っている

怪物ハイセイコーを追いかけて一気に上がって行くなど、

見せ場は作ったものの、距離の壁に阻まれたのか、タケホープの

9着に敗れました。

しかし、次の愛知杯では5馬身差の圧勝劇を演じ、優勝タイムも

1分59秒9のレコードタイムを叩き出し、シルバーランドは日本で

初めて2000mのレースで2分の壁を越えた馬として歴史に名を

残すことになりました。

父シンザン自体は1度もレコードタイムで勝ったことはありません

でしたが、スガノホマレやシルバーランドのようなレコードタイムで

走る快速馬を輩出したことは、大変興味深い事でした。

シンザンの関係者から聞いた話では、シンザンは負かした

相手にも敬意を払うため、決して大差をつけて勝とうとは

しなかったと話されていました。

当時の馬齢で5歳の古馬になったシルバーランドは中距離の

レースでは持ち前のスピードで愛知杯を連覇しました。

古馬になってからは長期休養を取りながら出走しており、そして

7歳で迎えたマイラーズCでしたが稀代の癖馬カブトシロー

の仔で公営の雄として活躍し中央入りしたゴールドイーグルや

ロングファストを抑えて見事優勝を飾りました。

CBC賞では7歳にして圧巻のレコードタイムで優勝を飾り、8歳で

迎えた2400mの京都記念秋では距離の壁に再び挑戦して

ホクトボーイの2着に健闘、そして最後のレースとなった京阪杯

ではトップ斤量の60キロを背負うもマーブルペンダスを抑えて

優勝。

その後シルバーランドは有馬記念を目指していましたが、脚の

故障のため、ついに引退となりましたが、7歳後半から8歳の後半

にかけて重賞2勝を含めて5勝する等、シンザンの仔として立派に

最後の最後まで大活躍しました。

生涯戦績27戦14勝は、本当に立派な記録だと思います。

引退後、種牡馬になったものの、父内国産が不遇の時代であった

ため、種付け数も少なく、産駒には恵まれませんでした。

晩年、シルバーランドは芦毛馬の宿命なのか皮膚癌の兆候が

出てきたものの、牧場の手厚い看護もあって回復して来た矢先、

放牧中のアクシデントによって1996年6月29日静かに26歳の

生涯を閉じました。

今週の第52回マイラーズカップは、連勝中のエアロロノアと

ケイデンスコールに注目しています。

また8歳馬エアスピネルが芝に戻ってどのようなレースをするのか

にも注目しています。

今週も全馬の無事を祈ってレースを見ます。