先週、京都競馬場で行われました歴史と

伝統の第171回天皇賞は1番人気の

ヘデントールが、最後の直線で抜け出すと

追い込んで来たビザンチンドリームを

アタマ差おさえて優勝を飾り、重賞2連勝で

G1初制覇を果たしました。

2着には最後まで競り合った6番人気の

ビザンチンドリーム、3着には4番人気の

ショウナンラプンタが入りました。

また昨日、実況アナが天皇賞出走馬

15頭を紹介後、天皇賞春に4年連続で

出走し、昨年引退して誘導馬として

第二の馬生を送ることになったディープ

ボンドを一緒に紹介してくれた関西テレビの

粋な計らいに感動しました。

そして、天皇賞の発送直前に実況アナが

「心を痛める悲報から1週間、忘れえぬ

名馬の雄姿を心に刻んで、改めてまず

何よりも人馬の無事完走を切に願います」

と言った言葉に涙が溢れました。

 

今週は東京競馬場で第30回NHKマイル

カップが行われます。

NHKマイルカップは、1953年から

1995年まで東京優駿(日本ダービー)の

トライアル競走として施行されていた

NHK杯を前身としていて、当時クラシック

競走に出走できなかった外国産馬や

短距離系の馬に対し目標となる大レースを

4歳(現3歳)の春季に創設しようという

ことから、1996年に春の4歳(現3歳)馬

によるマイル王決定戦として新設され

ました。

 

思い出の馬は、社台ファームの期待の星で

幻のダービー馬とも言われたノーザン

テーストの仔 アスワンです。

アスワンの父は、日本競馬の血統を大きく

塗り替えたと言われた名種牡馬ノーザン

テーストで、代表産駒にはダービー馬

ダイナガリバー、有馬記念を制した

アンバーシャダイ、天皇賞馬ギャロップ

ダイナ、オークス馬ダイナカール、シャダイ

アイバー、アドラーブル、桜花賞馬シャダイ

ソフィアやダイナアクトレス、ダイナレター、

マチカネタンホイザ等、挙げれば切りが

ない程の重賞勝ち馬を世に送り出しました。

アスワンは昭和57年のクラシック組で

同期にはダービー馬バンブーアトラス

皐月賞馬アズマハンター、菊花賞馬

ホリスキー、黄金の馬ハギノカムイオー

幻の三冠馬サルノキングやワカテンザン

ホスピタリティ等の重賞勝ち馬がいます。

 

アスワンは旧馬齢3歳秋の中山ダートの

新馬戦でデビューし、ダートでスピードが

殺されたのか、評判馬として1番人気に

推されましたが、2着に敗れてしまいました。

しかし、続く芝の新馬戦では評判通りの

強さを見せて快勝し、初勝利を挙げました。

 

年が明けて4歳になったアスワンはまだ

1勝馬に過ぎませんでしたが、格上の

京成杯に挑戦。

このレースでは条件特別戦で後の

皐月賞馬アズマハンターをやぶった

コンゴウサバンナが1番人気に推され

実績が無かったアスワンは6番人気という

低評価での出走となりました。

レースはサクラサワヤカがハイペースで

逃げ、アスワンは最後方からの競馬と

なりました。

サクラサワヤカが先頭で第4コーナーを

回る時点でアスワンは、まだ後方のままで

最後の直線の勝負へ。

直線に入ってキョウエイダッシュが先頭に

立ち、ダッシングハグロも内から鋭く

伸びてくる中、後方にいたアスワンが

内をついて、豪脚を繰り出して追い込み、

キョウエイダッシュを一気に交わして

先頭に立つと、内から鋭く伸びて来た

ダッシングハグロをアタマ差おさえて

優勝を飾り、わずか3戦目で初重賞制覇を

成し遂げると共に一躍関東のクラシック

候補に名乗りを挙げました。

しかし、レース後、豪脚を繰り出しての

勝利の代償なのか、脚部不安を発症して

しまいましたが、懸命の治療により、

クラシックの登竜門、弥生賞には何とか

参戦することが出来ました。

このレースには関西の怪物サルノキングを

はじめ、関東の期待の星イーストボーイ

もっか3連勝中のアサカシルバー等が

出走し、1番人気はサルノキングで

アスワンは3番人気に支持されました。

レースは向こう正面で仕掛けたサルノ

キングが直線で抜け出し、必死に追い

込んできたアサカシルバーを抑えて優勝。

直線でアスワンも鋭く伸びて来たものの、

離れた3着に敗れました。

そして迎えた本番のクラシック初戦の

皐月賞は、大本命のサルノキングが脚の

故障で戦線離脱するなかで行われ、

アスワンは3番人気に支持されたものの

アズマハンターの前に8着に終わりました。

 

次にアスワンはダービーへの出走権を

かけて、当時はダービートライアルだった

NHK杯に参戦。

このレースには皐月賞を制したアズマ

ハンター、皐月賞で1番人気に推された

華麗なる一族の黄金の馬ハギノカムイオー

後のダービー馬バンブーアトラス、快速馬

ロングヒエン、後の重賞勝ち馬トウショウ

ペガサスやタカラテンリュウ等の豪華

メンバーが出走し、1番人気はアズマ

ハンターでアスワンは7番人気での出走と

なりました。

レースは快速馬ゲイルスポートがハナを

奪って大逃げをうち、2番手にハギノ

カムイオー、3番手にロングヒエンの快速馬

3頭が等間隔で進み、その後ろから

バンブーアトラス、そしてアズマハンターと

アサカシルバーは中団から、アスワン、

ワカテンザンは後方からという展開に

なりました。

第4コーナーで後続馬も仕掛けて差を詰め

直線の攻防へ。

最後の直線に入ってハギノカムイオーが

一旦先頭に立つと、今度はロングヒエンが

ハギノカムイオーを交わして先頭に立ち

ましたが、内からアスワン、真ん中から

アサカシルバー、外からアズマハンターが

追い込んで3頭による叩き合いとなり、

最後はアスワンがアズマハンターをクビ差

抑えて優勝を飾り、ダービーへの出走権を

獲得すると共に2つ目の重賞を

獲得しました。

ダービーでの活躍も期待されたアスワン

でしたが、その後のレントゲン検査で

種子骨の骨折が判明し、ダービーへの

出走が出来なくなっただけでなく、再び

競馬場に戻って来ることも出来ません

でした。

NHK杯でアスワンは皐月賞馬アズマ

ハンターに勝っただけでなく、この後

ダービーに優勝するバンブーアトラスを

6着にやぶっていたため、アスワンは

その後、幻のダービー馬とも言われる

ようになりました。

 

引退後、北海道に帰って種牡馬となった

アスワンは内国産種牡馬不遇の時代に

あっても、当時リーディングサイアーと

なっていた父ノーザンテーストの仔として

日高地方の中小牧場を中心に人気を集め

初年度産駒からは高松宮杯に優勝し、

ダービーや天皇賞でも僅差の2着などの

活躍をしたメジロアルダンを送り出し、

その後もリリーズブーケ、ツルマイアスワン

グリーンサンダー、パーソナリティワン等の

重賞勝ち馬を輩出する等、内国産馬として

優秀な成績を残しました。

 

記録によりますと

アスワンは2004年に用途変更となり

その後は行方不明となってしまって

いるのが、本当に残念です。

重賞に勝ち、種牡馬としても活躍した

アスワンが天寿を全うした最期を

迎えたことを、今は祈るばかりです。

 

今週は、東京競馬場で節目となる

第30回NHKマイルカップが行われます。

アドマイヤズーム、アルテヴェローチェ、

イミグラントソング、マピュースに注目して

います。

今週も全人馬の無事を祈りながら

レースを観ます。

昨日、京都競馬場で行われました

第56回マイラーズカップは5番人気の

ロングランが直線で馬場の真ん中から鋭く

抜け出して勝ち、小倉大賞典に続く重賞

連勝を飾りました。

2着には1番人気のジュンブロッサム、

3着には2番人気のセオが入りました。

そして昨日は辛く悲しい日曜日になって

しまいました。

香港に遠征していた偉大な3冠牝馬

リバティアイランドが香港クイーン

エリザベス2世Cで最後の直線で競走を

中止し、その後、予後不良の診断で

安楽死の処置が取られたとのこと。

何とか無事に日本に帰って来て欲しかった

という願いも届きませんでした。

日本の宝を失ってしまいました。

今はただ早くて強くて美しかったお嬢さん

リバティアイランドのご冥福を祈る

ばかりです。

今まで本当によく頑張ってくれました。

私もリバティアイランドがお嬢さんから

お母さんになる姿を見たかったです。

あなたのことは決して忘れることは

ありません。

どうか安らかにリバティアイランド

今週は、京都競馬場で伝統の第171回

天皇賞(春)が行われます。

天皇賞は、日本中央競馬会が春・秋に

年2回施行する中央競馬の重賞競走

(GⅠ)で、第1回とされる「帝室御賞典」は

1937年(昭和12年)に行われていますが

日本中央競馬会が前身としている

「エンペラーズカップ」まで遡ると

1905年(明治38年)に起源を持ち、日本

で施行される競馬の競走では最高の

格付けとなるGⅠの中でも長い歴史と

伝統を持つ競走となっています。

帝室御賞典は戦局悪化のため1944年

(昭和19年)秋に中止され、終戦後の

1947年(昭和22年)春に「平和賞」の

名称で再開され、同年秋から天皇賞と

改称され現在に至っています。

現在は賞金のほか、優勝賞品として

皇室から楯が下賜されており、天皇賞を

「盾」と通称することもあります。

 

思い出の馬は、最強の世代に生まれた

四白流星の貴公子タイテエムです。

タイテエムの父は凱旋門賞を勝った

セントクレスピンで代表産駒には天皇賞馬

エリモジョージをはじめ、アイノクレスピン

ヤマニンゴロー等の重賞勝ち馬がいます。

タイテエムは、私が史上最強の世代と

思っている花の昭和47年のクラシック組で

同期にはダービー馬ロングエース、

皐月賞馬ランドプリンス、菊花賞・有馬

記念馬イシノヒカル、天皇賞・有馬記念馬

タニノチカラ、有馬記念馬ストロングエイト

幻のダービー馬ヒデハヤテ、悲運の宝塚

記念馬ハマノパレード、逃げる精密機械

トーヨーアサヒ、超音速スガノホマレや

安田記念の覇者ハクホオショウ等、

挙げれば切りがないほど、多くの名

馬達がいます。

タイテエムはイギリスからの持込馬で、

良血と四白流星の華やかな好馬体で

あったものの、当時は顔面に大流星のある

四白は名馬になれないという言い伝えも

あって、なかなか買い手が

つきませんでした。

今では考えらえませんが。

タイテエムは旧馬齢3歳秋の京都の

新馬戦でデビューし、1番人気に支持され

ましたが、この新馬戦には後に関西の

怪物と言われたヒデハヤテも出走していて

タイテエムはヒデハヤテの前に8着に

大敗してしまいました。

続く新馬戦では快勝したものの、次の

条件特別戦では3着に敗れ、3歳時は

3戦1勝に止まりました。

年が明けて4歳になったタイテエムは

馬体の立て直しを図ると、条件特別戦を

連勝して3勝目を挙げました。

例年ですと、この時期に勝利を積み

重ねても春のクラシックへの出走は難しく

なりますが、この年は前年末から同年

春まで、関東で馬インフルエンザが流行し

2ヶ月の開催中止となり、春の競走番組が

大幅に遅れてしまったため、タイテエムも

何とか春のクラシックへの出走に間に合い

ました。

タイテエムは東上すると、皐月賞トライアル

スプリングステークスに出走しました。

このレースには圧倒的な強さで5連勝中の

ヒデハヤテも参戦。

しかし、ヒデハヤテはこの時、重度の

脚部不安を抱えていて、この無理な出走が

ヒデハヤテの競走生命を短くしてしまう

ことになってしまいました。

レースは、ヒデハヤテが軽快に逃げ

このまま逃げ切って6連勝を飾るかと

思いましたが、ゴール前でタイテエムが

ヒデハヤテを半馬身差し切って優勝を飾り

重賞初制覇を果たすと共に、一躍、西の

クラシックの有力候補に名乗りを挙げ

ました。

そして迎えたクラシック初戦の皐月賞

西の大将格のヒデハヤテが脚部不安で

戦線離脱する中、このレースには弥生賞を

勝ったロングエース、2着だったランド

プリンスや東の期待イシノヒカル等が出走。

ロングエースが1番人気に推され、

タイテエムは2番人気での出走となりました。

レースは直線で3番人気のランドプリンスが

鋭く伸びて馬群を抜け出し、猛然と追い

込んで来たイシノヒカルをおさえて優勝を

飾り、タイテエムは見せ場なく7着に敗れて

しまいました。

 

続いて出走した当時のダービートライアル

NHK杯でタイテエムは、1番人気に

推されたものの、3着に敗れました。

そして開催が遅れ7月に行われたことで

七夕ダービーとも呼ばれた日本ダービー

では、西の3強ロングエース、ランド

プリンス、タイテエムと東のイシノヒカル、

ハクホオショウとの対決になりました。

レースは最後の直線で横一線となる中

ロングエース、ランドプリンス、タイテエムの

3頭が競馬史上に残る壮絶な叩き合いを

演じ、わずかにロングエースが競り勝って

優勝を飾り、タイテエムは3着に終わり

ました。

夏も無事に越したタイテエムは菊花賞を

目指して、神戸新聞杯に参戦。

直線で皐月賞馬ランドプリンスとの一騎

打ちになるも、最後はランドプリンスを

突き放してレコードタイムで優勝。

続く当時は菊花賞トライアルだった京都

新聞杯にも出走し、ロングエースやランド

プリンスをやぶって優勝し、春の雪辱を

果しました。

そして迎えたクラシック最終戦の菊花賞

このレースにはダービー馬ロングエース

皐月賞馬ランドプリンスやイシノヒカル

ランドジャガー等、春のクラシック組が

顔を揃えました。

1番人気は今度こその期待を込めて

タイテエムが推されました。

レースは、第4コーナーで全馬が一団と

なって、直線の勝負へ。

馬場の真ん中を通ってタイテエムが先頭に

立つと、杉本アナの「タイテエムが先頭か

四白流星だ 緑におどる」という名実況が

ありましたが、外からもの凄い脚を使って

イシノヒカルが追い込んでタイテエムを

差し切って優勝を飾り、タイテエムは

2着に敗れ、クラシック制覇の夢は

叶いませんでした。

これにより、いつしか人はタイテエムを

無冠の貴公子と呼ぶようになりました。

年が明けて古馬になったタイテエムは

不良馬場の中で行われた金杯から

スタートし、当然のごとく1番人気に

支持されましたが、差をつけられた

まさかの4着に敗れてしまいました。

続いてタイテエムはハンデ戦を嫌ったのか

天皇賞を目指す馬としては珍しい

マイラーズカップに参戦。

このレースには、やはり天皇賞を目指す

ランドプリンスやスガノホマレも参戦。

当日は雨の不良馬場の中、タイテエムが

1番人気に推されました。

レースはエリモシルバーが逃げ、

タイテエムは3番手を追走、スガノホマレは

中団から進み、ランドプリンスは

どうしたのか、離れた最後方からの競馬と

なりました。

第4コーナーで仕掛けたタイテエムは

最後の直線で外を回って先頭に立つと

一気に突き放して5馬身差をつけて圧勝。

4つ目の重賞を獲得しました。

そして迎えた第69回春の天皇賞、

ロングエースが引退し、イシノヒカルも

脚部不安を発症して戦線離脱する中

このレースにはランドプリンス、ナオキ

ハマノパレード、スガノホマレ等の

同期の他、オンワードガイ、カツタイコウ

エリモカップ等の先輩古馬達が出走。

今度こその期待を集め、タイテエムが

1番人気に支持されました。

この日も発走直前から豪雨となり視界が

悪い中、レースはナオキがハナを奪って

逃げ、その後ろからシンザンミサキ、

ユーモンド、エリモカップが先行し、

タイテエムは5番手を進み、タイテエムを

マークするように6番手にランドプリンス、

ハマノパレード、スガノホマレ、オンワード

ガイ、カツタイコウは中団からの競馬と

なりました。

向こう正面でシンザンミサキが先頭を

奪うとタイテエムとランドプリンスが後方に

下がりはじめ、タイテエムはどうしたのか、

後ろから2頭目まで下がってしまい、

場内は騒然となりました。

しかし、タイテエムは第3コーナー過ぎから

外を通って一気に捲くり気味に仕掛けて

先頭集団に入り、15頭が一団となって

直線の勝負へ。

最後の直線でシンザンミサキとナオキは

内をつく中、タイテエムが大外から一気に

伸びて先頭に立ち、杉本アナの

「四白流星タイテエム 無冠の貴公子に

春が訪れます」の名実況の中、夢にまで

見たゴールを駆け抜け、第69代天皇賞馬

に輝きました。

天皇賞馬に輝いたタイテエムは、当時の

王道路線を歩んで、夏のグランプリ競走

宝塚記念に駒を進めました。

このレースにはハマノパレード、ナオキ

カツタイコウ、シンザンミサキ、エリモカップ

ミリオンパラ等が出走し、1番人気は

タイテエムが推され、まさに春の天皇賞の

再戦となりました。

レースは大方の予想ではナオキが逃げると

思われていましたが、ハマノパレードが

差を広げながら大逃げを打つ展開となり

場内が騒然となりました。

タイテエムは2番手を追走し、その後ろから

ナオキが続きました。

第3コーナーで徐々に差を詰めていった

タイテエムは快調に飛ばすハマノパレード

と直線の勝負へ。

最後の直線で逃げ込みを図るハマノ

パレードをタイテエムも必死に捕えようと

しましたが、クビ差捕えきれず、ハマノ

パレードのレコードタイムでの優勝の前に

惜しくも2着に敗れてしまいました。

そして、この宝塚記念がタイテエムに

とっての最後のレースとなってしまいました。

ゴール板を通過後、アブミが切れ、向こう

正面で騎手を振り落として放馬し、

転倒するというアクシデントに見舞われ

その際に左後ろ脚飛節のアキレス腱を

痛めてしまい、懸命の治療を施したものの

回復せず、この年の10月14日に引退が

発表されました。

 

引退後、北海道新冠スタリオンセンターで

種牡馬になったタイテエムは、当時の

内国産種牡馬不遇の時代の中で

シンチェスト、コーセイ、ウエスタンジョージ

エンペラーエース他、多くの重賞勝ち馬を

世に送り出す等、種牡馬としても優秀な

成績を残しました。

私も牧場めぐりでタイテエムに会えた日の

ことを今でも鮮明に覚えています。

順風満帆な種牡馬生活を送っていた

タイテエムでしたが、20歳を過ぎた頃から

体力の衰えが目立ち始め、古傷の悪化も

あったことから、1992年に種牡馬を引退。

その後、馬主さんの優しい意向もあって

北海道門別の牧場で余生を送ることに

なりました。

記録によりますと

1993年 25歳になったタイテエムは

急激に老化が進んで満足に歩けないほど

弱っていってしまい、秋には厩務員の

助けがないと寝起きも出来ないほど

衰弱してしまいました。

そして1993年10月23日 老衰のため

タイテエムは多くの関係者に見守られ

ながら、静かに天国に旅立って行きました。

 

今週は、京都競馬場で伝統の第171回

天皇賞(春)が行われます。

ヘデントール、サンライズアース

ショウナンラプンタ、ブローザホーンに

注目しています。

昨日は起こってはならないことが起こり

日本の至宝リバティアイランドを失うことに

なってしまいました。

今週は悲劇が起きることがないように

全人馬の無事を祈りながらレースを観ます。

昨日、中山競馬場で行われました

クラシック初戦、第85回皐月賞は

3番人気のミュージアムマイルが、最後の

直線で先に抜け出したクロワデュノールを

差し切って優勝を飾り、重賞初制覇で

クラシック1冠目を手にしました。

2着は圧倒的1番人気に推されたクロワ

デュノール、3着には4番人気の

マスカレードボールが入りました。

今週は、京都競馬場で春のマイル

戦線を占う上で重要な第56回マイラーズ

カップが行われます。

マイラーズカップはマイル路線の拡充

および短距離系の馬にも活躍の場を

設けることを目的として、1970年に創設

され、現在はGⅠ競走である安田記念や

ヴィクトリアマイルの前哨戦として位置

づけられていて、春の短距離路線を歩む

馬にとって重要なレースとなっています。

昭和期においては、まだレース体系が

現在ほど整っておらず、出走できるレース

も限られていたためか、歴代の優勝馬や

出走した馬にはクラシック優勝馬をはじめ

現在のGⅠ優勝馬等、名立たる名馬達の

名前が連なっています。

 

思い出の馬は、秋風の中で散った悲運の

快速馬ロングヒエンです。

ロングヒエンの父は中距離系種牡馬

ホープフリーオンで代表産駒には安田

記念を制したキヨヒダカ、毎日杯の勝ち馬

タケノヒエンの他、地方での多くの重賞

勝ち馬を輩出しています。

ロングヒエンは昭和57年のクラシック組で

同期にはダービー馬バンブーアトラス

皐月賞馬アズマハンター、菊花賞馬

ホリスキー、黄金の脚ハギノカムイオーや

アスワン、ホスピタリテイ、イーストボーイ

タカラテンリュウ等の重賞勝ち馬がいます。

ロングヒエンは旧馬齢3歳秋の阪神の

新馬戦でデビューしました。

この新馬戦には後に関西3歳チャンピオン

になるリードエーティも出走し、デビュー

前から評判になっていたリードエーティが

圧倒的1番人気に推され、特に評判に

なっていなかったロングヒエンは3番人気

での出走となりました。

レースはリードエーティが自慢の快速で

他馬を引き離して逃げを展開しましたが、

第4コーナーでロングヒエンが並びかけ

この2頭によるマッチレースの様相を呈して

直線の勝負へ。

直線に入るとロングヒエンがあっさりと

リードエーティを交わして先頭に立つと

最後はリードエーティに6馬身差をつけ

阪神の3歳タイレコードタイムでの圧勝劇を

演じ、金色に輝くたてがみを持った美しい

馬は、ファンの度肝を抜く鮮烈なデビューを

果たしました。

しかし、鮮烈なデビューを果たしたロング

ヒエンでしたが、この後に骨膜炎を発症して

休養を余儀なくされてしまいました。

6ヶ月半後に条件特別で復帰したロング

ヒエンは大雨で不良馬場という最悪の

コンディションの中、格の違いを見せつけ

2着に5馬身差をつけて圧勝し、堂々と

春のクラシックに向け東上しました。

 

そして迎えたクラシック第一冠目皐月賞、

関西の怪物サルノキングが骨折で戦線を

離脱して混戦模様となる中、華麗なる

一族のハギノカムイオーが一番人気に

推され、ロングヒエンは2番人気での

出走となりました。

レースは逃げ宣言をしたゲイルスポートが

宣言どおり強引に先手を取って暴走的な

逃げを展開し、ハギノカムイオーは

2、3番手を追走、その後ろからロング

ヒエンが続きました。

しかし、この超ハイペースの影響でゲイル

スポートが早々と失速、ハギノカムイオーも

直線で沈んで16着に大敗する等、

先行馬が総崩れとなる中、ロングヒエンも

ハイペースの影響か、それとも距離が

合わなかったのか、7着に終わりました。

 

この後、ロングヒエンはダービーへの

出走をかけて、当時ダービートライアル

として行われていたNHK杯に参戦。

このレースには皐月賞馬アズマハンターも

出走し、ロングヒエンは4番人気に

支持されました。

好スタートを切ったロングヒエンは先手を

取ろうとしましたが、皐月賞と同様にゲイル

スポートが強引に先手を奪って逃げ、

皐月賞ではおさえる作戦で大敗した

ハギノカムイオーも今回は果敢に先行して

ゲイルスポートを追う展開となり、

第3コーナーでゲイルスポートを交わした

ハギノカムイオーが先頭に立って

直線の勝負へ。

直線に入ってロングヒエンは逃げ粘る

ハギノカムイオーを交わして一旦先頭に

立ちましたが、追い込んで来たアスワン、

アズマハンター、アサカシルバーに

交わされて4着に敗れました。

 

しかし、NHK杯で見どころがあった

ロングヒエンは、本番のダービーでは

距離への不安が危惧されていましたが、

根強いファンからの期待を集め、3番

人気に支持されました。

しかし、レース発送直前にダービー史上に

残る大アクシデントが起きてしまいました。

何とロングヒエンがゲートを突き破って出て

しまったため、5番枠からという好枠からの

出走だったロングヒエンは、大外30番枠

からの出走となってしまいました。

場内は騒然となり、ロングヒエンを支持して

いたファンからは悲鳴が起こりました。

それでもスタートすると大歓声を受けながら

大外から果敢に先頭に立って逃げたロング

ヒエン、27頭を引き連れて先頭で直線に

入りましたが、大外枠のせいか、距離の

疑問か、すぐに馬群に沈んでしまい

15着に終わってしまいました。

しかし、次に出走した短距離の中京4歳

特別では、やはり実力の違いを見せつけ、

2着に4馬身差をつけ、レコードタイムで

圧勝し、3勝目を挙げました。

夏を無事に越したロングヒエンは菊花賞を

目指して1番人気に支持された神戸

新聞杯に出走し、ハギノカムイオーの

2着とした後、京都新聞杯に参戦しましたが

14着と大敗したため、菊花賞を断念し

休養に入りました。

 

年が明けて古馬となったロングヒエンは

翌1984年から短距離路線が整備され、

古馬の安田記念、マイルチャンピオン

シップがGⅠになるという朗報が

発表される中、6ヶ月の休養後、路線を

短距離路線に切り替えて、マイラーズ

カップに参戦しました。

このレースにはダービー馬オペックホース

桜花賞馬ブロケード、古豪カツアール

良血シルクテンザンオー等が出走し、

ロングヒエンが1番人気に推されました。

当日は雨で不良馬場という悪コンディション

の中、レースは、大方の予想どおり

スタートしてロングヒエンが一気に先頭に

立って逃げ、その後ろからシルク

テンザンオーとブロケードが続き、立ち

遅れたオペックホースは後方からという

展開になりました。

第4コーナーで各馬が一斉に仕掛ける中

ロングヒエンが先頭のまま直線の勝負へ。

馬場の真ん中から更に脚を伸ばすロング

ヒエン、内からはシルクテンザンオーと

ブロケード、外からオペックホースが猛然と

追い込みましたが、ロングヒエンは

失速することなく、ブロケードに1馬身差を

つけて優勝を飾り、重賞初制覇を果たし

ました。

1984年から短距離路線が整備され、

ロングヒエンにとっては、これから明るい

未来が見える中、競走馬にとっては

不治の病と言われる屈腱炎を発症し、

長期休養を余儀なくされてしまいました。

その後、長く苦しい脚部不安との戦いが

続いたロングヒエンは不屈の精神力で

既に5歳となっていた秋競馬で

1年7ヶ月ぶりに復帰を果たしました。

しかし、この復帰がロングヒエンの運命を

変えることになるとは、この時、誰が

想像できたでしょうか。

条件特別で復帰し、3着となったロング

ヒエンは続いて運命のスワンステークスに

出走しました。

このレースには後にマイル王と呼ばれた

ニホンピロウイナー、桜花賞馬シャダイ

ソフィア、安田記念を制したハッピー

プログレスやシンボリルドルフと死闘を

演じたビゼンニシキ、ダイゼンシルバー等

蒼々たるメンバーが出走しました。

レースはスタートしてロングヒエンが一旦

先頭に立つも、いつもの勢いがないのか

ニホンピロウイナーが交わして先頭に立ち

ロングヒエンは2番手に控える形で追走

しました。

第3コーナーでニホンピロウイナーが更に

差を広げ、ゴールまで残り700mの地点で

ロングヒエンが突然バランスを崩して

一気に後退し、そのまま競走を中止して

しまいました。

馬運車で運ばれたロングヒエンの診断は

右前肢の粉砕骨折で、すぐに安楽死の

処置が施されました。

ダービーでは大外枠に回され大敗した

ものの、その後マイラーズカップを制し、

これから整備された短距離路線で活躍が

できるという時に脚部不安に襲われ、

最後は骨折で命まで失うことになろうとは。

金髪のたてがみをなびかせた美しい

馬体とスピードで多くのファンを魅了した

ロングヒエン。

最期も持ち前のスピードであっという間に

天国に駆けあがってしまいました。

 

今週は、京都競馬場で第56回マイラーズ

カップが行われます。

ジュンブロッサム、ニホンピロキーフ

セオ、ホウオウリアリティに注目しています。

先週は中山グランドジャンプでバーン

パッションがファンの願いも通じず、最後の

障害で落馬競走中止となり、本当に

残念ですが予後不良となってしまいました。

こうした光景は起こって欲しくありません。

今週も全人馬の無事を祈りながら

レースを観ます。