11
たかがキスなのに、どうしても頭から離れない。
なんだか高校生みたいだな、
こんな年齢で何をやっているんだろうと、自分で自分を笑ってみたものの
頭から離れない。
もっと経験値があれば、動揺する事も無いのだろうけれど、今の自分には難しすぎて混乱してしまう。
何もなかった時は、何とも思わない相手でも、一度でも触れると、余計な感情が湧く。
女の子って、そういう生き物らしい。
それを逆手に取って、女の子を傷付けている人たちも沢山いる。
彼がそういうタイプで、自分もそうかと言われるとよく分からないが、あの夜は、変な裏切られた感じがして、自分勝手だなと思う。
本当の事なんて分からない。
彼が何を考えているのかも、分からない。
答えは出ないけど、きっと彼はこの夜のことは忘れているだろうと思うことにした。
10
どうやって帰ってきたのか、あまり覚えていない。
キスされた時、動揺している自分がいた。
なんとか腕をほどいて、彼を駅まで連れていき、電車に乗せて見送った。
顔を見れなかった事以外は、冷静に出来ていたと思う。
なんか、ずるいな
家に帰ってからは、こればかり考えてしまっていた。
こんな風に思うのは、自分だけだろうかと、自問自答してみても、答えが出るはずもなく、
時計は日をまたいでいた。
9
何日経ったのか、しばらく連絡を取り合うようになった。
一緒にごはんを食べたり、出かけたり、
相変わらずの優しい笑顔は、自分を切なくさせたけれど、一緒にいるととても気分が楽で安心できた。
付き合っているとか、そういう間柄ではなかった。
優しい笑顔を自分は信用していなかったから。
ある日、仕事帰りに一緒に飲もうと誘われた。
珍しく酔いのまわった彼は、一人で歩けなそうなほどだったのに、自分の手を振り払って一人で歩こうとした。
仕方なく後ろから付いていくと、
ふと立ち止まって、こちらを向き、
自分を抱き寄せた。
抱き寄せられて初めて気づいた。彼の体は大きく、自分はすっぽり入ってしまう。
なんとなく、このままの状況が嫌で、彼に離れようと言った時、
彼は口でそれを塞いできた。