14
約束当日、笑っている自分がいた。
誰とのデートでも、デートというものはテンションは上がるみたいだ。
何を着ていこうか、メイクはどうしようか、一つ一つに時間をかけて、遅刻しそうになるのが分かって、あわてて家を出た。
待ち合わせには間に合った。
時間には間に合ったけれど、彼は先に来ていた。
「じゃあ、行こうか。」
彼はそう言って、自分の手を私の手に重ねてきた。
何か、気が進まなくて、
「あんまり、手を繋ぐの好きではないの。まだ、手は放していてほしい。ダメかな?」
分かったよ、そう言って手は離れた。
2人で一緒に並んで歩いた。
彼は笑っていた。
けれど、いつも笑っていたから、自分にそんな余裕も無かったから、気付けなかったんだ。
今なら、すぐに分かったのに。
13
きっと何かを忘れているのだろう。
あるいは、どこかに置いてきてしまったのだろう。
キスに動揺することも、そんな自分に驚いていることも、なんだか訳が分からない。
彼は、その後も何度か連絡をくれた。
ある日、こんな事を言われた。
「週末、予定が空いていたらデートしませんか?」
拍子抜けした。
なんかストレートだな。
というか、今まで会っていたのは、彼にとってはデートではないのか。
いやしかし、自分もデートとは思っていなかったのだから、彼に言う立場でもないか。
なんて思いながら、日程と待ち合わせを決めてしまった。
デートなんていつぶりだろう。。
12
案の定、彼はその夜の事を忘れていたようだ。
その夜から3日くらい過ぎて、連絡があった。
酔ってしまい迷惑を掛けなかったかと、彼は私に聞いてきた。
電車に乗せるのに本当に苦労したと、私がいじわるで言うと、彼は申し訳なさそうに謝った。
私はホッとした。
キスした事も、キスされて動揺していた事も、私だけしか知らない。