8
もう会うこともない。
こちらから、連絡することもないだろうと思っていた。
でも、連絡をしたのは自分だった。
彼は驚いていた。相手にしていないだろう、そう思っていたそうだ。
自分でも、こんな行動に出たのか分からなかった。
実際会って、話して、彼の笑顔は初めて会った時と変わらなかった。優しい笑顔。
優しくて、優しすぎて、こっちが恥ずかしくなるくらい。
目をそむけたくなるけど、ずっと見ていたい。
彼の顔が優しすぎて、切なくなるのを気づかれないように精一杯、自分も笑った。
7
もう周りの事は、どうでもよくなってしまって
誰に対しても、通り一辺倒の態度で過ごしていた。
誰も傷つけず、自分も傷つけられず・・・
そうしたある日、彼と出会った。
久しぶりに飲んでいた土曜の夜。
普通に話しかけてきた彼は、笑っていた。
自分は作り笑いでかえした。その頃は作り笑いが得意になっていたから。
彼からは自分が楽しそうだと見えていたようだ。本当はそんなことないのに。
だからなのか、何度も話しかけられた。
正直、鬱陶しかった。
今振り返ると、笑っている人が嫌いだったんだろう。
笑顔で話しかけられても、早く離れてくれるように、笑って話をそらし、ウソをついた。
彼は気づかず、連絡先を求め、早くその場を逃げたかった自分は教えて帰った。
連絡があっても、出なければいいだけだから。
そのうち、諦めるだろうし、もう会う事もない。
6
少し体が軽い。
それに心も軽い。
心と体がつながっているって話は本当なんだなと、思う。
なんだ。
ただ感じた事を感じきる事は悪いことではないんだ。
自分は自分の感情が煩わしくて、こんなの無かったら、もっと物事は簡単に見れるし、トラブルや問題は簡単に解決する、自分はそれを望んでいた。そうなりたかった。
もっともっと感情をなくせば、機械のようになれば、前にどんどん進める、個人的な感情は邪魔なだけ・・・そう思っていた。相手にもそれを求めていた。
けれど、彼は違った。そうじゃない。人間は感情があるから、楽しさや喜び、悲しさ、寂しさ、いろんな事が感じられる。
自分は感じすぎて疲れて、もう嫌になった。
相手の感情も自分の感情も考えて、どうしたら解決できるのか、もう考えたくなくなった。と言っても、彼は、だからといって、すべてをなくすことはできない。いつか無理がくるよ、とそう言った。
実際、無理がきていた。
彼と会うまでは
泣きたくもないのに涙が止まらなくなったり、誰とも会いたくなくなる事が度々あったから。
このまま消えてしまいたい。
そう思ってしまった事もあった。