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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

映画Shall we dance?のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けを創作したとする原告が,被告による同映画のビデオグラムの販売・貸与,テレビでの放映等の二次利用により,原告の有する前記ダンスの振り付けに係る著作権が侵害されたとして,被告に対し,主位的に民法709条に基づく損害賠償を求め,予備的に民法703条に基づく不当利得返還の請求をした事案。

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成20年(ワ)第9300号

【判決日付】      平成24年2月28日

【判示事項】      映画のダンスシーンで用いられたダンスの振り付けを創作したとする原告が,被告による同映画のビデオグラムの販売・貸与,テレビでの放映等の二次利用により,原告の有する前記ダンスの振り付けに係る著作権が侵害されたとして,被告に対し,主位的に民法709条に基づく損害賠償を求め,予備的に民法703条に基づく不当利得返還の請求をした事案。

裁判所は,社交ダンスの振り付けを構成する要素である個々のステップや身体の動き自体には,著作物性は認められず,既存ステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するためには,独創性を備えることが必要である等とした上で,原告の振り付けには著作物性は認められないことなどから,いずれの請求も棄却した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

民法

(不当利得の返還義務)

第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

著作権法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

二 著作者 著作物を創作する者をいう。

三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。

六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。

七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。

九 放送事業者 放送を業として行う者をいう。

九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。

九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。

九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。

九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。

イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。

ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。

九の六 特定入力型自動公衆送信 放送を受信して同時に、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することにより行う自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。)をいう。

九の七 放送同時配信等 放送番組又は有線放送番組の自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。以下この号において同じ。)のうち、次のイからハまでに掲げる要件を備えるもの(著作権者、出版権者若しくは著作隣接権者(以下「著作権者等」という。)の利益を不当に害するおそれがあるもの又は広く国民が容易に視聴することが困難なものとして文化庁長官が総務大臣と協議して定めるもの及び特定入力型自動公衆送信を除く。)をいう。

イ 放送番組の放送又は有線放送番組の有線放送が行われた日から一週間以内(当該放送番組又は有線放送番組が同一の名称の下に一定の間隔で連続して放送され、又は有線放送されるものであつてその間隔が一週間を超えるものである場合には、一月以内でその間隔に応じて文化庁長官が定める期間内)に行われるもの(当該放送又は有線放送が行われるより前に行われるものを除く。)であること。

ロ 放送番組又は有線放送番組の内容を変更しないで行われるもの(著作権者等から当該自動公衆送信に係る許諾が得られていない部分を表示しないことその他のやむを得ない事情により変更されたものを除く。)であること。

ハ 当該自動公衆送信を受信して行う放送番組又は有線放送番組のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定めるものが講じられているものであること。

九の八 放送同時配信等事業者 人的関係又は資本関係において文化庁長官が定める密接な関係(以下単に「密接な関係」という。)を有する放送事業者又は有線放送事業者から放送番組又は有線放送番組の供給を受けて放送同時配信等を業として行う事業者をいう。

十 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。

十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。

十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。

十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。

十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。

十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。

ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

十六 上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。

十七 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。

十八 口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう。

十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。

二十 技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号及び第二十二号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号、第三十条第一項第二号、第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第四号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(以下「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

二十一 技術的利用制限手段 電磁的方法により、著作物等の視聴(プログラムの著作物にあつては、当該著作物を電子計算機において実行する行為を含む。以下この号及び第百十三条第六項において同じ。)を制限する手段(著作権者等の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物等の視聴に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

二十二 権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作権等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。

イ 著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報

ロ 著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報

ハ 他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報

二十三 著作権等管理事業者 著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第三項に規定する著作権等管理事業者をいう。

二十四 国内 この法律の施行地をいう。

二十五 国外 この法律の施行地外の地域をいう。

2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。

3 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

4 この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むものとする。

5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

6 この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。

7 この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。

8 この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。

9 この法律において、第一項第七号の二、第八号、第九号の二、第九号の四、第九号の五、第九号の七若しくは第十三号から第十九号まで又は前二項に掲げる用語については、それぞれこれらを動詞の語幹として用いる場合を含むものとする。

 

 

生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例


    生活保護変更決定取消請求事件
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷判決/平成22年(行ヒ)第367号
【判決日付】    平成24年4月2日
【判示事項】    生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】    生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定に係る厚生労働大臣の判断の適否に関し,① 老齢加算に見合う高齢者の特別な需要の有無に係る評価については統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等につき,② 3年間の段階的な減額を経て廃止するという激変緩和措置等の内容については被保護者の生活への影響の程度やそれが上記措置等によって緩和される程度等につき,何ら審理を尽くすことなく,厚生労働省の審議会に設置された委員会の意見を踏まえた検討がされていないとした上で直ちに上記改定が裁量権の範囲の逸脱又はその濫用によるものとして違法であるとした原審の判断には,違法がある。
【参照条文】    生活保護法3
          生活保護法8
          生活保護法による保護の基準(昭38厚生省告示158号、平16厚生労働省告示130号改正前)別表第1第2章2
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集66巻6号2367頁


生活保護法
(最低生活)
第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

(基準及び程度の原則)
第八条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
2 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。


 

原告が,夫が勤務先の会社主催の納会で飲酒し,急性アルコール中毒を発症するなどして死亡したことについて行った労災保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の各支給請求に対し,処分行政庁がした各不支給処分の取消しを被告国に求めた事案。

 

東京地方裁判所判決/平成25年(行ウ)第814号

平成27年1月21日

不支給決定処分取消請求事件

【判示事項】    原告が,夫が勤務先の会社主催の納会で飲酒し,急性アルコール中毒を発症するなどして死亡したことについて行った労災保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の各支給請求に対し,処分行政庁がした各不支給処分の取消しを被告国に求めた事案。

裁判所は,会社の費用全額負担等の納会の趣旨・性格等から,亡夫の納会への参加については,会社の本来の業務やこれに付随する一定の行為に従事したものといえないが,労働関係上,事業主の支配下にあったもので業務遂行性は認められるが,亡夫の飲酒行為は納会の目的から逸脱した過度の態様によるもので,急性アルコール中毒の発症は業務に内在する危険性が現実化したものといえず,業務起因性は認められないとし,業務上の事由による死亡とは認められないとして請求を棄却した事例

【掲載誌】     労働経済判例速報2241号3頁

 

 

第2章. 改正の趣旨

会社法は,平成17年に成立し,平成18年から施行されていますが,近時,経済のグローバル化が進展する中,取締役に対する監督の在り方を中心に,コーポレート・ガバナンスの強化を図るべきであるとの指摘がされるようになりました。また,親子会社に関する規律の整備の必要性も,会社法制定以前から指摘されていた課題でした。

 

これらの指摘等を踏まえて,コーポレート・ガバナンスの強化及び親子会社に関する規律等の整備等を図るために,会社法の改正がされました。この改正により,日本企業に対する内外の投資家からの信頼が高まることとなり,日本企業に対する投資が促進され,ひいては,日本経済の成長に大きく寄与するものと期待されています。

 

コーポレート・ガバナンスの強化を図るために、監査等委員会設置会社の新設、社外取締役等の要件の見直し、社外取締役を置くことが相当でない理由の開示及び会計監査人の独立性の強化等が行われています。

また、親子会社に関する規律等の整備を図るために、多重代表訴訟制度の新設、親会社による一定の子会社の株式等の譲渡承認及び特別支配株主による株式売渡請求(キャッシュ・アウト)の新設等が行われています。

設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき場合

 

 

通行地役権設定登記手続等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成9年(オ)第966号

【判決日付】      平成10年2月13日

【判示事項】      設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき場合

【判決要旨】      通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。

【参照条文】      民法177

             民法280

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集52巻1号65頁

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

(地役権の内容)

第二百八十条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

 

 

 

 最3小判昭40・12・21と最2小判昭43・8・2はいずれも、背信的悪意者排除論を説示するに当たって、最3小判昭31・4・24を引用している。

この31年判例は、登記欠缺の主張を制限する根拠を一般的に信義則に求めるものである。

そして、43年判例が背信的悪意者排除論の根拠を信義則に求めるものであることは、その判文からも明らかである。

わち、背信的悪意者に関する判例理論は、31年判例の示した一般論の適用によって民法177条の第三者から排除される者の類型の一つを明らかにしたものであって、背信的悪意者とはいえない者であっても、信義則に照らして登記の欠缺を主張することを許すべきでない者は、民法177条の第三者から排除されると解することが可能であろう。

 そして、二重譲渡の対抗問題については、登記なくして対抗しようとする者の権利と第三者の権利とが両立しない関係にあるから、登記がなければ対抗できないという原則の例外を認めるにはよほどの事情のあることが要求されるのは当然であるということができる。

これに対し、不動産に対する制限物権を有する者が当該不動産の所有権を承継した第三者に対して制限物権を対抗しようとするような場合には、両者の権利は両立するのであるから、この場合にはむしろ、信義則ないし条理に照らしてその第三者に制限物権の負担を甘受させるべきかどうかを判断し、これによって対抗力の有無を決するのが至当であろう。

 本判決は、このような見地がら、承役地の譲受人に対する通行地役権の対抗関係について、背信的悪意者の外に、信義則に照らし、設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき者のあることを、その要件と共に明らかにした。

その要件とは、譲渡の時に、(1)承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、(2)譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったことである。

この要件が満たされる場合には、譲受人は、要役地の所有者が何らかの通行権を有していることを容易に推認することができ、その有無、内容を容易に調査することができるから、右譲受人が地役権設定登記の欠缺を主張することは、特段の事情がない限り、信義に反するというのである。

 そして、本判決は、本件の事実関係の下においては、右(1)(2)の要件が満たされており、右特段の事情があることはうかがわれないとして、本件係争地を承役地として設定されたXの通行地役権について、Yは地役権設定登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと判示し、原審の判断の結論を是認してYの上告を棄却した。

 

 

政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することと税理士会の目的の範囲

 

 

選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成4年(オ)第1796号

【判決日付】      平成8年3月19日

【判示事項】      一 政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することと税理士会の目的の範囲

             二 政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付するために特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議の効力

【判決要旨】      一 税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することは税理士会の目的の範囲外の行為である。

             二 政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は無効である。

【参照条文】      民法43

             税理士法(昭55法26号改正前)49-2

             政治資金規正法

             憲法19

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集50巻3号615頁

 

 

税理士法

(税理士会)

第四十九条 税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一の税理士会を設立しなければならない。

2 税理士会は、会員である税理士の数が財務省令で定める数を超える場合には、財務省令で定めるところにより、国税庁長官に対し、当該税理士会が設立されている区域内において新たに税理士会を設立することができる区域(以下「指定区域」という。)を定めることを請求することができる。

3 国税庁長官は、前項の規定による請求があつたときは、財務省令で定めるところにより、当該請求をした税理士会が設立されている区域内において指定区域を定めることができる。

4 前項の規定により指定区域が定められたときは、当該指定区域内に税理士事務所又は税理士法人の事務所の登録を受けた税理士は、当該指定区域に一の税理士会を設立することができる。

5 前項の規定により新たに税理士会が設立されたときは、その設立の時において、当該税理士会が設立された指定区域は第二項の規定による請求をした税理士会(以下この項において「前の税理士会」という。)が設立されていた区域から除かれるものとし、当該前の税理士会が設立されていた区域のうち当該指定区域以外の区域は第三項の規定により国税庁長官が定めたものとし、当該前の税理士会は前項の規定により設立されたものとする。

6 税理士会は、税理士及び税理士法人の使命及び職責にかんがみ、税理士及び税理士法人の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、支部(第四十九条の三第一項に規定する支部をいう。)及び会員に対する指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。

7 税理士会は、法人とする。

8 税理士会は、その名称中に税理士会という文字を用いなければならない。

 

 

政治資金規正法

(定義等)

第三条 この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。

一 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体

二 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体

三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体

イ 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。

ロ 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。

2 この法律において「政党」とは、政治団体のうち次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 当該政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を五人以上有するもの

二 直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙若しくは当該参議院議員の通常選挙の直近において行われた参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの

3 前項各号の規定は、他の政党(第六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により政党である旨の届出をしたものに限る。)に所属している衆議院議員又は参議院議員が所属している政治団体については、適用しない。

4 この法律において「公職の候補者」とは、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条の規定により候補者として届出があつた者、同法第八十六条の二若しくは第八十六条の三の規定による届出により候補者となつた者又は同法第八十六条の四の規定により候補者として届出があつた者(当該候補者となろうとする者及び同法第三条に規定する公職にある者を含む。)をいう。

5 第二項第一号に規定する衆議院議員又は参議院議員の数の算定、同項第二号に規定する政治団体の得票総数の算定その他同項の規定の適用について必要な事項は、政令で定める。

 

 

憲法

第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 

 

ホテルを経営する株式会社が手形の不渡りを出したことがないのに支払不能の状態にあるとして破産宣告に対する即時抗告が棄却された事例


    破産宣告決定に対する即時抗告申立事件
【事件番号】    名古屋高等裁判所決定/平成7年(ラ)第148号
【判決日付】    平成7年9月6日
【判示事項】    ホテルを経営する株式会社が手形の不渡りを出したことがないのに支払不能の状態にあるとして破産宣告に対する即時抗告が棄却された事例
【参照条文】    破産法112
          破産法126
【掲載誌】     判例タイムズ905号242頁
【評釈論文】    判例タイムズ臨時増刊945号306頁


 支払不能とは、債務者の弁済能力が欠乏して金銭調達の見込みがなく、即時に弁済すべき債務を一般的かつ継続的に弁済することができない客観的状態をいうものと解されている(斎藤秀夫ほか・注解破産法改訂2版677頁〔谷合克行執筆〕)。


事案の概要
 Yは、ホテル業等を営む資本金4000万円の株式会社A(元代表者X)に対する債権を譲り受けた後、裁判所にAが支払不能又は債務超過の状態にあることを理由に破産申立てを行い、その決定を得た。
Xは利害関係人として即時抗告を申し立て、Aは資産評価の高い優良なホテルを有していて、正常に営業を続けていること、Aが保証人となっている主債務者のB社は、土地や立木を有し、借入債務を完済することができること、Yの破産申し立ては、権利濫用であることを主張した。
 本抗告審決定は、Aの資産内容に関する税理士と公認会計士による2通の書面を比較検討し、Aの継続企業価値を基準とした資産内容は、総資産額が51億1424万円、総負債額が50億4968万円で、6000万円の資産超過であると認定したが、資産超過は帳簿上のもので、超過額も6000万円に過ぎず、固定資産は営業継続を前提とする以上、他に売却などして債務の弁済に当てることはできず、流動資産により貸金債務及び租税債務等を一時に支払う余裕がないことなどを総合勘案すると、Aが破産宣告まで1回も手形等の不渡りを出したことがなかったとしても、現時点において、支払不能の状態にあると推認せざるを得ないとし、Xの即時抗告を棄却した。
したがって、債務者が財産を有していても、換価が困難な場合には支払不能ということもありうる。


平成十六年法律第七十五号
破産法
(定義)
第二条 
11 この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。


 

商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けた取締役会が定めた新株予約権の行使条件をその発行後に変更する取締役会決議の効力

 

最高裁判所第3小法廷判決/平成22年(受)第1212号

平成24年4月24日

新株発行無効請求事件

【判示事項】    1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けた取締役会が定めた新株予約権の行使条件をその発行後に変更する取締役会決議の効力

2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法によってされた募集株式発行の効力

3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権の行使条件に反した当該新株予約権の行使による株式発行に無効原因がある場合

【判決要旨】    1 取締役会が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合において,新株予約権の発行後に上記行使条件を変更することができる旨の明示の委任がないときは,当該新株予約権の発行後に上記行使条件を変更する取締役会決議は,上記行使条件の細目的な変更をするにとどまるものであるときを除き,無効である。

2 非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,当該特別決議を欠く瑕疵は上記株式発行の無効原因になる。

3 非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権に株主総会によって行使条件が付された場合に,この行使条件が当該新株予約権を発行した趣旨に照らして当該新株予約権の重要な内容を構成しているときは,上記行使条件に反した新株予約権の行使による株式の発行には,無効原因がある。

(1~3につき補足意見がある。)

【参照条文】    商法(平17法87号改正前)280の20-2

          商法(平17法87号改正前)280の21-1

          会社法828-1

          会社法199

          会社法201-1

          会社法238

          会社法240-1

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集66巻6号2908頁

 

 

会社法

(募集事項の決定)

第百九十九条 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。

一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)

二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法

三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間

五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

3 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

4 種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

5 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

 

(公開会社における募集事項の決定の特則)

第二百一条 第百九十九条第三項に規定する場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。

2 前項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第一項第二号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。

3 公開会社は、第一項の規定により読み替えて適用する第百九十九条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下この節において同じ。)を通知しなければならない。

4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

5 第三項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

 

(募集事項の決定)

第二百三十八条 株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権(当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権をいう。以下この章において同じ。)について次に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)を定めなければならない。

一 募集新株予約権の内容及び数

二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨

三 前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額(募集新株予約権一個と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)又はその算定方法

四 募集新株予約権を割り当てる日(以下この節において「割当日」という。)

五 募集新株予約権と引換えにする金銭の払込みの期日を定めるときは、その期日

六 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、第六百七十六条各号に掲げる事項

七 前号に規定する場合において、同号の新株予約権付社債に付された募集新株予約権についての第百十八条第一項、第百七十九条第二項、第七百七十七条第一項、第七百八十七条第一項又は第八百八条第一項の規定による請求の方法につき別段の定めをするときは、その定め

2 募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

3 次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

一 第一項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。

二 第一項第三号に規定する場合において、同号の払込金額が当該者に特に有利な金額であるとき。

4 種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を目的とする募集新株予約権を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

5 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

 

(公開会社における募集事項の決定の特則)

第二百四十条 第二百三十八条第三項各号に掲げる場合を除き、公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。

2 公開会社は、前項の規定により読み替えて適用する第二百三十八条第二項の取締役会の決議によって募集事項を定めた場合には、割当日の二週間前までに、株主に対し、当該募集事項を通知しなければならない。

3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

4 第二項の規定は、株式会社が募集事項について割当日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

 

(会社の組織に関する行為の無効の訴え)

第八百二十八条 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。

一 会社の設立 会社の成立の日から二年以内

二 株式会社の成立後における株式の発行 株式の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、株式の発行の効力が生じた日から一年以内)

三 自己株式の処分 自己株式の処分の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、自己株式の処分の効力が生じた日から一年以内)

四 新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下この章において同じ。)の発行 新株予約権の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、新株予約権の発行の効力が生じた日から一年以内)

五 株式会社における資本金の額の減少 資本金の額の減少の効力が生じた日から六箇月以内

六 会社の組織変更 組織変更の効力が生じた日から六箇月以内

七 会社の吸収合併 吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内

八 会社の新設合併 新設合併の効力が生じた日から六箇月以内

九 会社の吸収分割 吸収分割の効力が生じた日から六箇月以内

十 会社の新設分割 新設分割の効力が生じた日から六箇月以内

十一 株式会社の株式交換 株式交換の効力が生じた日から六箇月以内

十二 株式会社の株式移転 株式移転の効力が生じた日から六箇月以内

十三 株式会社の株式交付 株式交付の効力が生じた日から六箇月以内

2 次の各号に掲げる行為の無効の訴えは、当該各号に定める者に限り、提起することができる。

一 前項第一号に掲げる行為 設立する株式会社の株主等(株主、取締役又は清算人(監査役設置会社にあっては株主、取締役、監査役又は清算人、指名委員会等設置会社にあっては株主、取締役、執行役又は清算人)をいう。以下この節において同じ。)又は設立する持分会社の社員等(社員又は清算人をいう。以下この項において同じ。)

二 前項第二号に掲げる行為 当該株式会社の株主等

三 前項第三号に掲げる行為 当該株式会社の株主等

四 前項第四号に掲げる行為 当該株式会社の株主等又は新株予約権者

五 前項第五号に掲げる行為 当該株式会社の株主等、破産管財人又は資本金の額の減少について承認をしなかった債権者

六 前項第六号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において組織変更をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は組織変更後の会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは組織変更について承認をしなかった債権者

七 前項第七号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者

八 前項第八号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において新設合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は新設合併により設立する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは新設合併について承認をしなかった債権者

九 前項第九号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において吸収分割契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収分割契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収分割について承認をしなかった債権者

十 前項第十号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において新設分割をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は新設分割をする会社若しくは新設分割により設立する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは新設分割について承認をしなかった債権者

十一 前項第十一号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式交換契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は株式交換契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは株式交換について承認をしなかった債権者

十二 前項第十二号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式移転をする株式会社の株主等であった者又は株式移転により設立する株式会社の株主等、破産管財人若しくは株式移転について承認をしなかった債権者

十三 前項第十三号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式交付親会社の株主等であった者、株式交付に際して株式交付親会社に株式交付子会社の株式若しくは新株予約権等を譲り渡した者又は株式交付親会社の株主等、破産管財人若しくは株式交付について承認をしなかった債権者

 

 

第1部 総論

第1章 平成26年改正会社法のポイント

 

会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号)

平成27年5月1日施行

 

平成26年の会社法改正は、会社法が単体の法律として施行された平成18年以来の大きな改正で、これに伴い「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が平成26年6月20日に可決成立し、会社法施行規則、会社計算規則も改正されました。

 

平成26年の改正の主な目的は、コーポレートガバナンスの強化、親子会社に関する規律の整備などですが、改正内容は多岐にわたり、上場会社に限るものでなく中小企業の経営に重要な影響を与えるものも多く含まれます。

 

(1)コーポレートガバナンスに関するものとしては、

 

①社外取締役、社外監査役の資格要件の厳格化

②監査役会設置会社が社外取締役を置かない場、社外取締役を置かない理由の株主総会での説明義務

③監査等委員会設置会社の新設

④監査等委員会設置会社の新設により「委員会設置会社」の「指名委員会等設置会社」への名称変更

⑤会計監査人の独立性強化(会計監査人の選解任等の議案を取締役又は取締役会から監査役又は監査役会が提出へ変更)

⑥株式の過半数を有する株主の異動を伴う第三者割当増資に対する規制

 

などがあり、

 

(2)親子会社に関する規律の整備に関するものとしては、

 

①多重代表訴訟(完全親会社の1%以上の議決権を持つ株主は完全子会社の取締役等に株主代表訴訟が提起できる)

②一定の子会社株式の譲渡に親会社の株主総会特別決議を要求

③90%以上の議決権を持つ株主が少数株主の株式を全て売り渡し請求できる制度の新設

④組織再編行為の事前差止請求

⑤債権者を害する会社分割、事業譲渡に対する規制

⑥グループ内の内部統制システムに関する規定が会社法施行規則から会社法で規定へ

 

などがあります。

 

(3)その他の改正内容としては、

 

①責任限定契約を締結できる取締役・監査役の範囲の拡大

②株式買取請求時の株式対価の公正価格での会社の事前支払い

③監査役の監査を会計監査に限定している場合の登記義務

④web開示のみなし提供対象を株主資本等変動計算書にも適用

 

などがあります。

 

 

請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期

 

 

              請負工事代金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(オ)第2187号、平成9年(オ)第749号

【判決日付】      平成9年7月15日

【判示事項】      請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期

【判決要旨】      請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負う。

【参照条文】      民法412

             民法506-2

             民法533

             民法634-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集51巻6号2581頁

 

 

事案の概要

 一 本件は、請負人の報酬請求に対して注文者が瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合に、注文者は、相殺後の報酬残債務について、何時から履行遅滞による責任を負うかが問題とされた事案である。

 二 Xは、Yからホテル新築工事を請け負い、工事を完成させてこれを引き渡したが、Yが請負報酬を一部しか支払わないので、Xが報酬残債権及びこれに対する遅延損害金の支払を求めて本訴を提起したところ、Yが、引渡しの遅延による約定の損害賠償債権及び瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権として、Xの報酬残債権と相殺する旨の意思表示をした。

 

 

民法

(履行期と履行遅滞)

第四百十二条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。

2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。

3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

 

(相殺の方法及び効力)

第五百六条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。

2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。

 

(同時履行の抗弁)

第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

 

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)

第六百三十四条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。

二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。