生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
生活保護変更決定取消請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/平成22年(行ヒ)第367号
【判決日付】 平成24年4月2日
【判示事項】 生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】 生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定に係る厚生労働大臣の判断の適否に関し,① 老齢加算に見合う高齢者の特別な需要の有無に係る評価については統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等につき,② 3年間の段階的な減額を経て廃止するという激変緩和措置等の内容については被保護者の生活への影響の程度やそれが上記措置等によって緩和される程度等につき,何ら審理を尽くすことなく,厚生労働省の審議会に設置された委員会の意見を踏まえた検討がされていないとした上で直ちに上記改定が裁量権の範囲の逸脱又はその濫用によるものとして違法であるとした原審の判断には,違法がある。
【参照条文】 生活保護法3
生活保護法8
生活保護法による保護の基準(昭38厚生省告示158号、平16厚生労働省告示130号改正前)別表第1第2章2
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集66巻6号2367頁
生活保護法
(最低生活)
第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。
(基準及び程度の原則)
第八条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
2 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。