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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合における先の決議の存否確認の利益

 

 

株主総会決議不存在確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成10年(オ)第1183号

【判決日付】      平成11年3月25日

【判示事項】      取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合における先の決議の存否確認の利益

【判決要旨】      取締役等を選任する甲株主総会決議の不存在確認請求に、同決議が存在しないことを理由とする後任取締役等の選任に係る乙株主総会決議の不存在確認請求が併合されている場合には、後の決議がいわゆる全員出席総会において行われたなどの特段の事情のない限り、先の決議についても存否の確認の利益が認められる。

【参照条文】      商法252

             民事訴訟法134

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集53巻3号580頁

 

 

会社法

(選任)

第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。

2 監査等委員会設置会社においては、前項の規定による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。

3 第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。

 

 

民事訴訟法

(訴え提起の方式)

第百三十四条 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。

2 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 当事者及び法定代理人

二 請求の趣旨及び原因

 

 

 

令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙は合憲である。

令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙当時、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない

 

 

 

選挙無効請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/令和4年(行ツ)第103号、令和4年(行ツ)第98号、令和4年(行ツ)第104号、令和4年(行ツ)第116号、令和4年(行ツ)第122号、令和4年(行ツ)第128号、令和4年(行ツ)第132号

【判決日付】      令和5年1月25日

【判示事項】      令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙当時、公職選挙法(令和4年法律第89号による改正前のもの)13条1項、別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

       主   文

 

 本件各上告を棄却する。

 各上告費用は各上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人升永英俊ほかの各上告理由について

 1 本件は、令和3年10月31日施行の衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)について、別紙2記載の各選挙区の選挙人である上告人らが、衆議院小選挙区選出議員の選挙(以下「小選挙区選挙」という。)の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき行われた本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であるなどと主張して提起した選挙無効訴訟である。

 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。

 (1) 公職選挙法は、衆議院議員の選挙制度につき、小選挙区比例代表並立制を採用しており、衆議院議員の定数は465人とされ、そのうち289人が小選挙区選出議員、176人が比例代表選出議員とされている(4条1項)。小選挙区選挙については、全国に289の選挙区を設け、各選挙区において1人の議員を選出するものとされ(同法13条1項、別表第1。以下、後記の改正の前後を通じてこれらの規定を併せて「区割規定」という。)、比例代表選出議員の選挙(以下「比例代表選挙」という。)については、全国に11の選挙区を設け、各選挙区において所定数の議員を選出するものとされている(同法13条2項、別表第2)。総選挙においては、小選挙区選挙と比例代表選挙とを同時に行い、投票は小選挙区選挙及び比例代表選挙ごとに1人1票とされている(同法31条、36条)。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下、後記の改正の前後を通じて「区画審設置法」という。)2条は、衆議院議員選挙区画定審議会(以下「区画審」という。)は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案(以下単に「改定案」という。)を作成して内閣総理大臣に勧告するものと規定している。

 (2) 平成24年法律第95号(以下「平成24年改正法」という。)による改正前の区画審設置法(以下「旧区画審設置法」という。)4条は、区画審による改定案の勧告について、①1項において、統計法5条2項本文の規定により10年ごとに行われる国勢調査(以下「大規模国勢調査」という。)の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に行うものと規定し、②2項において、1項の規定にかかわらず、各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは、これを行うことができると規定していた。そして、旧区画審設置法3条は、改定案の作成の基準(以下、後記の改正の前後を通じて「区割基準」という。)について、①1項において、改定案の作成は、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと規定するとともに、②2項において、改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の選挙区の数は、各都道府県にあらかじめ1を配当することとし(以下、このことを「1人別枠方式」という。)、この1に、小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とすると規定していた(以下、この区割基準を「旧区割基準」という。)。

 平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成21年選挙」という。)は、平成24年改正法による改正前の区割規定(以下「旧区割規定」という。)の定める選挙区割りの下で行われたものであるところ、同日における選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.304(以下、較差に関する数値は、全て概数である。)であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は45選挙区であった。

 平成21年選挙につき、最高裁平成22年(行ツ)第207号同23年3月23日大法廷判決・民集65巻2号755頁(以下「平成23年大法廷判決」という。)は、旧区画審設置法3条1項は投票価値の平等の要請に配慮した合理的な基準を定めたものであると評価する一方、同選挙時において、選挙区間の投票価値の較差が拡大していたのは、1人別枠方式がその主要な要因となっていたことは明らかであり、かつ、人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮等の視点から導入された1人別枠方式は、既に立法時の合理性が失われていたものというべきであるから、旧区割基準のうち1人別枠方式に係る部分及び同基準に従って改定された旧区割規定の定める選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたと判示した。そして、平成23年大法廷判決は、この状態につき憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、旧区割基準を定めた規定及び旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で、事柄の性質上必要とされる是正のための合理的期間内に、できるだけ速やかに旧区割基準中の1人別枠方式を廃止し、旧区画審設置法3条1項の趣旨に沿って旧区割規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要があると判示した。

 (3) 平成23年大法廷判決を受けて、平成24年11月16日、旧区画審設置法3条2項の削除及びいわゆる0増5減の措置(各都道府県の選挙区数を増やすことなく議員1人当たりの人口の少ない5県の選挙区数を1ずつ減ずる措置をいう。)を内容とする平成24年改正法が成立したが、同日に衆議院が解散されたため、同年12月16日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成24年選挙」という。)は平成21年選挙と同じく旧区割規定の定める選挙区割りの下で行われた。

 平成24年選挙につき、最高裁平成25年(行ツ)第209号、第210号、第211号同年11月20日大法廷判決・民集67巻8号1503頁(以下「平成25年大法廷判決」という。)は、同選挙時において旧区割規定の定める選挙区割りは平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが、憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で、国会においては今後も平成24年改正法による改正後の区画審設置法3条(旧区画審設置法3条1項と同内容の規定)の趣旨に沿った選挙制度の整備に向けた取組が着実に続けられていく必要があると判示した。

 (4) 平成24年改正法の附則の規定に基づく区画審の勧告を受けて、平成25年6月24日、0増5減の措置を前提に、選挙区間の人口の較差が2倍未満となるように17都県の42選挙区において区割りを改定することを内容とする同年法律第68号(以下「平成25年改正法」という。)が成立した。平成25年改正法による改正後の平成24年改正法によって区割規定が改正され、平成22年に行われた大規模国勢調査の結果によれば選挙区間の人口の最大較差は1対1.998となるものとされたが、同26年12月14日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成26年選挙」という。)の当日においては、選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.129であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は13選挙区であった。

 平成26年選挙につき、最高裁平成27年(行ツ)第253号同年11月25日大法廷判決・民集69巻7号2035頁(以下「平成27年大法廷判決」という。)は、0増5減の措置における定数削減の対象とされた県以外の都道府県について旧区割基準に基づいて配分された定数の見直しを経ておらず、上記のような投票価値の較差が生じた主な要因は、いまだ多くの都道府県において1人別枠方式を定めた旧区画審設置法3条2項が削除された後の区割基準に基づいて定数の再配分が行われた場合とは異なる定数が配分されていることにあり、このような投票価値の較差が生じたことは、全体として平成24年改正法による改正後の区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備が実現されていたとはいえないことの表れというべきであるとして、平成25年改正法による改正後の平成24年改正法により改定された選挙区割りはなお憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものといわざるを得ないと判示した。そして、平成27年大法廷判決は、同条の趣旨に沿った選挙制度の整備については、漸次的な見直しを重ねることによってこれを実現していくことも国会の裁量に係る現実的な選択として許容されていると解されるとし、上記の選挙区割りの改定後も国会において引き続き選挙制度の見直しが行われていること等を併せ考慮すると、平成23年大法廷判決の言渡しから平成26年選挙までの国会における是正の実現に向けた取組は、立法裁量権の行使として相当なものでなかったということはできず、憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえないと判示した。

 (5) 平成25年改正法の成立の前後を通じて、国会においては、今後の人口異動によっても憲法の投票価値の平等の要求に反する状態とならないようにするための制度の見直し等について検討が続けられ、平成26年9月以降、有識者により構成される衆議院議長の諮問機関として設置された「衆議院選挙制度に関する調査会」において調査、検討等が行われた。

 上記調査会は、平成28年1月14日、衆議院議長に対し、答申を提出した。同答申は、衆議院議員の定数を10削減して465人(小選挙区選出議員の定数につき6削減して289人、比例代表選出議員の定数につき4削減して176人)とする案が考えられるとした上、投票価値の較差の是正については、小選挙区選挙における各都道府県への議席配分方式が満たすべき条件として、比例性のある配分方式に基づいて配分すること、選挙区間の投票価値の較差を小さくするために各都道府県間の投票価値の較差をできるだけ小さくすること、各都道府県の配分議席の増減変動が小さいこと、一定程度将来にわたっても有効に機能し得る方式であることを挙げ、これらの条件に照らして検討した結果として、各都道府県への議席配分をいわゆるアダムズ方式(各都道府県の人口を一定の数値で除し、それぞれの商の整数に小数点以下を切り上げて得られた数の合計数が小選挙区選挙の定数と一致するようにする方式)により行うものとした。そして、同答申は、各都道府県への議席配分の見直しについて、制度の安定性を勘案し、10年ごとに行われる大規模国勢調査の結果による人口に基づき行うものとし、その中間年に行われる国勢調査の結果、選挙区間の人口の較差が2倍以上の選挙区が生じたときは、区画審において、各都道府県への議席配分の変更は行うことなく、上記較差が2倍未満となるように関係選挙区の区画の見直しを行うものとした。

 (6) 前記(5)の答申を受けて、平成28年5月20日、衆議院議員の定数を10削減して465人(小選挙区選出議員の定数につき6削減して289人、比例代表選出議員の定数につき4削減して176人)とするとともに、各都道府県への定数配分の方式としてアダムズ方式を採用すること等を内容とする同年法律第49号(以下「平成28年改正法」という。)が成立した。

 平成28年改正法による改正後の区画審設置法(以下「新区画審設置法」という。)4条は、区画審による改定案の勧告について、①1項において、平成32年(令和2年)以降10年ごとに行われる大規模国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に行うものと規定し、②2項において、1項の規定にかかわらず、統計法5条2項ただし書の規定により大規模国勢調査が行われた年から5年目に当たる年に行われる国勢調査(以下「簡易国勢調査」という。)の結果による各選挙区の日本国民の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上となったときは、当該国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に、これを行うものと規定する。そして、新区画審設置法3条は、区割基準について、①1項において、改定案の作成は、各選挙区の人口(最近の国勢調査の結果による日本国民の人口をいう。以下同じ。)の均衡を図り、各選挙区の人口のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることとし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと規定するとともに、②2項において、同法4条1項の規定による勧告に係る改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の選挙区の数は、各都道府県の人口を小選挙区基準除数(その除数で各都道府県の人口を除して得た数(1未満の端数が生じたときは、これを1に切り上げるものとする。)の合計数が小選挙区選出議員の定数に相当する数と合致することとなる除数をいう。)で除して得た数(1未満の端数が生じたときは、これを1に切り上げるものとする。)とすると規定し(アダムズ方式)、③3項において、同法4条2項の規定による勧告に係る改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の小選挙区選出議員の選挙区の数は変更しないものと規定する(以下、この区割基準を含む上記各規定による選挙区の改定の仕組みを「新区割制度」という。)。

 さらに、平成28年改正法は、アダムズ方式による各都道府県の選挙区数の変更が行われるまでの投票価値の較差是正のための措置として、附則2条1項において、小選挙区選出議員の定数を6削減することを前提に、新区画審設置法4条の規定にかかわらず、区画審において平成27年に行われた簡易国勢調査(以下「平成27年国勢調査」という。)の結果に基づく改定案の作成及び勧告を行うこととした。そして、同附則2条2項及び3項は、上記改定案の作成について、新区画審設置法3条の規定にかかわらず、各都道府県の選挙区数につき、選挙区数の変更の影響を受ける都道府県を極力減らすことによって選挙制度の安定性を確保する観点から、いわゆる0増6減の措置(平成27年国勢調査の結果に基づき、アダムズ方式により得られる選挙区数が改正前の選挙区数より少ない都道府県のうち、当該都道府県の人口を同方式により得られる選挙区数で除して得た数が少ない順から6都道府県の選挙区数を1ずつ減じ、それ以外の都道府県は改正前の選挙区数を維持する措置をいう。)を講じた上で、平成27年国勢調査の結果に基づく選挙区間の人口の較差が2倍未満となるようにし、かつ、次回の大規模国勢調査が実施される平成32年(令和2年)の見込人口に基づく選挙区間の人口の較差が2倍未満であることを基本とするとともに、各選挙区の平成27年国勢調査の結果による人口及び平成32年(令和2年)の見込人口の均衡を図り、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行うこととした。

 区画審は、平成29年4月19日、内閣総理大臣に対し、0増6減の措置を講ずることを前提に、19都道府県の97選挙区において区割りを改めることを内容とする改定案の勧告を行った。これを受けて、平成29年6月9日、同年法律第58号(以下「平成29年改正法」という。)が成立し、同法による改正後の平成28年改正法によって区割規定が改正された(以下、同改正後(令和4年法律第89号による改正前)の区割規定を「本件区割規定」といい、本件区割規定の定める選挙区割りを「本件選挙区割り」という。)。

 (7) 平成29年9月28日に衆議院が解散され、同年10月22日、本件選挙区割りの下で衆議院議員総選挙(以下「平成29年選挙」という。)が行われた。平成29年選挙当日における選挙区間の選挙人数の較差は、選挙人数の最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と最も多い選挙区(東京都第13区)との間で1対1.979であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は存在しなかった。

 最高裁平成30年(行ツ)第153号同年12月19日大法廷判決・民集72巻6号1240頁(以下「平成30年大法廷判決」という。)は、平成29年選挙当時の本件選挙区割りについて、各都道府県への定数配分を人口に比例した方式の一つであるアダムズ方式により行うことによって選挙区間の投票価値の較差を相当程度縮小させその状態が安定的に持続するよう立法措置を講じた上で、同方式による定数配分がされるまでの較差是正の措置として0増6減の措置や選挙区割りの改定を行うことにより、選挙区間の選挙人数等の最大較差を縮小させたものであり、投票価値の平等を確保するという要請に応えつつ、選挙制度の安定性を確保する観点から漸進的な是正を図ったものと評価することができるとした。そして、平成30年大法廷判決は、平成29年改正法までの立法措置の内容やその結果縮小した較差の状況を考慮すると、平成29年選挙において、1人別枠方式を含む旧区割基準に基づいて配分された定数に変更がなくこれとアダムズ方式により各都道府県の定数配分をした場合に配分されることとなる定数を異にする都道府県が存在していることをもって本件選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反するということはできず、平成29年選挙当時には新区画審設置法3条1項の趣旨に沿った選挙制度の整備が実現されていたということができるから、平成28年改正法及び平成29年改正法による選挙区割りの改定等は、国会の裁量権の行使として合理性を有するというべきであり、平成27年大法廷判決が平成26年選挙当時の選挙区割りについて判示した憲法の投票価値の平等の要求に反する状態は、平成29年改正法による改正後の平成28年改正法によって解消されたものと評価することができるとし、平成29年選挙当時において本件選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできないと判示した。

 (8) 令和3年10月14日に衆議院が解散され、同月31日、本件選挙区割りの下で本件選挙が行われた。本件選挙区割りの下では、令和2年に行われた大規模国勢調査の結果によれば選挙区間の人口の最大較差は1対2.096となり、本件選挙当日における選挙区間の選挙人数の較差は、選挙人数の最も少ない選挙区(鳥取県第1区)と最も多い選挙区(東京都第13区)との間で1対2.079であり、選挙人数が最も少ない選挙区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は29選挙区であった。

 3(1) 憲法は、選挙権の内容の平等、換言すれば投票価値の平等を要求しているものと解される。他方、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであるところ、国会の両議院の議員の選挙については、憲法上、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとされ(43条2項、47条)、選挙制度の仕組みの決定について国会に広範な裁量が認められている。

 衆議院議員の選挙につき全国を多数の選挙区に分けて実施する制度が採用される場合には、選挙制度の仕組みのうち定数配分及び選挙区割りを決定するに際して、憲法上、議員1人当たりの選挙人数ないし人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすることが求められているというべきであるが、それ以外の要素も合理性を有する限り国会において考慮することが許容されているものと解されるのであって、具体的な選挙区を定めるに当たっては、都道府県を細分化した市町村その他の行政区画などを基本的な単位として、地域の面積、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況などの諸要素を考慮しつつ、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが求められているところである。したがって、このような選挙制度の合憲性は、これらの諸事情を総合的に考慮した上でなお、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するといえるか否かによって判断されることになり、国会がこのような選挙制度の仕組みについて具体的に定めたところが、上記のような憲法上の要請に反するため、上記の裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべきである。

 以上は、衆議院議員の選挙に関する最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日大法廷判決・民集30巻3号223頁以降の累次の大法廷判決の趣旨とするところであって(上掲最高裁昭和51年4月14日大法廷判決、最高裁昭和56年(行ツ)第57号同58年11月7日大法廷判決・民集37巻9号1243頁、最高裁昭和59年(行ツ)第339号同60年7月17日大法廷判決・民集39巻5号1100頁、最高裁平成3年(行ツ)第111号同5年1月20日大法廷判決・民集47巻1号67頁、最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁、最高裁平成11年(行ツ)第35号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1704頁、最高裁平成18年(行ツ)第176号同19年6月13日大法廷判決・民集61巻4号1617頁、平成23年大法廷判決、平成25年大法廷判決、平成27年大法廷判決及び平成30年大法廷判決参照)、これを変更する必要は認められない。

 (2) 平成30年大法廷判決は、上記の基本的な判断枠組みに立った上で、平成29年選挙当時の本件選挙区割りについて、前記2(7)のとおり、選挙区間の投票価値の較差を相当程度縮小させその状態が安定的に持続するよう新区割制度が設けられた上、平成28年改正法の附則の規定により、0増6減の措置を前提に次回の大規模国勢調査が行われる平成32年(令和2年)までの5年間を通じて選挙区間の人口の較差が2倍未満となるよう本件選挙区割りが定められ、これにより同選挙当日における選挙区間の選挙人数の最大較差が縮小したことをもって、投票価値の平等を確保するという要請に応えつつ選挙制度の安定性を確保する観点から漸進的な是正を図ったものと評価し、このように、新区割制度及び本件選挙区割りから成る合理的な選挙制度の整備が既に実現されていたことから、いまだアダムズ方式による各都道府県への定数配分が行われておらず、1人別枠方式を含む旧区割基準に基づいて配分された定数に変更がなくこれとアダムズ方式により各都道府県の定数配分をした場合に配分されることとなる定数を異にする都道府県が存在しているとしても、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態は解消されたものと評価することができると判示したものである。

 本件選挙は、平成29年選挙と同じく本件選挙区割りの下で行われたものであるところ、その後、更なる較差是正の措置は講じられず、本件選挙当時には、前記2(8)のとおり、選挙区間の較差は平成29年選挙当時よりも拡大し、選挙人数の最大較差が1対2.079になるなどしていた。しかしながら、新区割制度は、選挙区の改定をしてもその後の人口異動により選挙区間の投票価値の較差が拡大し得ることを当然の前提としつつ、選挙制度の安定性も考慮して、10年ごとに各都道府県への定数配分をアダムズ方式により行うこと等によってこれを是正することとしているのであり、新区割制度と一体的な関係にある本件選挙区割りの下で拡大した較差も、新区割制度の枠組みの中で是正されることが予定されているということができる。このような制度に合理性が認められることは平成30年大法廷判決が判示するとおりであり、上記のような本件選挙区割りの下で較差が拡大したとしても、当該較差が憲法の投票価値の平等の要求と相いれない新たな要因によるものというべき事情や、較差の拡大の程度が当該制度の合理性を失わせるほど著しいものであるといった事情がない限り、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至ったものということはできない。

 そして、本件選挙当時における選挙区間の投票価値の較差は、自然的な人口異動以外の要因によって拡大したものというべき事情はうかがわれないし、その程度も著しいものとはいえないから、上記の較差の拡大をもって、本件選挙区割りが本件選挙当時において憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたものということはできない。

 (3) したがって、本件選挙当時において、本件区割規定の定める本件選挙区割りは、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず、本件区割規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。

 各論旨は、憲法56条2項、1条、前文第1文前段等を根拠として、本件選挙は憲法の保障する1人1票の原則による人口比例選挙に反して無効であるなどというが、所論に理由のないことは以上に述べたところから明らかである。

 4 以上の次第であるから、本件区割規定が本件選挙当時憲法に違反していたということはできないとした原審の各判断は、結論において是認することができる。各論旨はいずれも採用することができない。

 よって、裁判官宇賀克也の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 裁判官宇賀克也の反対意見は、次のとおりである。

 1 私は、多数意見と考え方を異にする点があるので、以下、その点について意見を述べておきたい。

 現行憲法上、衆議院議員の選挙において、有権者には、単に形式的に同じ票数の投票権が付与されているにとどまらず、等価値の投票権が付与されていると考える。したがって、立法者は、1票の価値の較差がない状態をデフォルトとして制度設計しなければならないことになる。もっとも、憲法47条は、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定めるとしており、投票価値の平等が絶対の基準になるわけではないことについては、私見も多数意見と異なるわけではない。すなわち、私見においても、投票権といえども公共の福祉による制約に服するので、完全に1対1の状態が実現できるわけではない。しかし、立法者は、1票の価値の不平等が、公共の福祉による制約としてやむを得ないことについて説明責任を負うことになり、投票価値の不均衡が、合理性を欠く制約によりもたらされていれば、違憲といわざるを得ない。私見によっても、選挙区を設けること自体は、それが合理的な理由に基づくものである限り、それによって1票の価値が完全に等しくならなくても、公共の福祉による制約として許容される。選挙区選挙は、全国区選挙と比較して、有権者が立候補者をよりよく知る機会を与えるものであり、また、当該選挙区に固有の問題が選挙の争点になり、それが有権者の投票に影響を与えることには合理性が認められるからである。そして、選挙区制度を採用する場合には、選挙区の範囲を設定するに当たり、地方公共団体の区画を考慮することも、それによって許容できないような投票価値の不均衡をもたらさない範囲では可能と考えられる。選挙区を設ける場合、必然的に選挙区間における人口の移動が生じ、区割規定の改正には、一定の時間を要するし、また、選挙制度の安定の要請から、区割規定の見直しを合理的な期間ごとに行う制度とすることも許容されると考える。

 しかしながら、本件選挙区割りについては、公共の福祉の観点からの合理的な制約とは認め難い部分があったといわざるを得ないと思われる。すなわち、平成23年大法廷判決は、1人別枠方式とこれによる選挙区割りを違憲状態としているところ、本件選挙区割りでは、1人別枠方式を含む旧区割基準に基づいて配分された定数が変更されていない都道府県が相当数あり、その中には、平成27年国勢調査の結果によりアダムズ方式による定数配分が行われた場合に異なる定数が配分されることとなるものも含まれていたのである。私の立場からすれば、1人別枠方式を含む旧区割基準に基づいて配分された定数が変更されていない都道府県が相当数ある本件選挙区割りについては、1票の価値に不均衡が生ずるやむを得ない事情があるとはいえず、したがって、平成30年大法廷判決の多数意見と異なり、平成29年選挙時の本件選挙区割りは違憲状態を解消するものとはいえなかったと考える。そして、平成29年の公職選挙法改正後、国会において更なる較差是正措置が講じられないまま行われた本件選挙時の本件選挙区割りも、違憲状態を脱したとはいえないことになる。

 2 当審は、(Ⅰ)定数配分又は選挙区割りが投票価値の較差において憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っているか否か、(Ⅱ)上記の状態に至っている場合に、憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとして定数配分規定又は区割規定が憲法の規定に違反するに至っているか否か、(Ⅲ)当該規定が憲法の規定に違反するに至っている場合に、選挙を無効とすることなく選挙の違法を宣言するにとどめるか否かという判断枠組みに従って審査を行ってきた。そして、こうした段階を経て判断を行う手法が採られてきたのは、憲法の予定している司法権と立法権の関係に由来するものと考えられると説明してきた。すなわち、裁判所において選挙制度について投票価値の平等の観点から憲法上問題があると判断したとしても、自らこれに代わる具体的な制度を定め得るものではなく、その是正は国会の立法によって行われることになるものであり、是正の方法についても国会は広い裁量権を有しており、上記の判断枠組みのいずれの段階においても、国会において自ら制度の見直しを行うことが想定されていること、換言すれば、裁判所が選挙制度の憲法適合性についての上記の判断枠組みの各段階において一定の判断を示すことにより、国会がこれを踏まえて所要の適切な是正の措置を講ずることが、憲法の趣旨に沿うというのである(平成25年大法廷判決、平成27年大法廷判決)。

 確かに、裁判所において選挙制度について投票価値の平等の観点から憲法上問題があると判断したとしても、自らこれに代わる具体的な制度を定め得るものではなく、その是正は国会の立法によって行われることになるのはそのとおりであるが、違憲状態にあれば違憲であると判示したとしても、裁判所が具体的な制度を定めることになるわけではなく、その是正方法については、国会の立法に委ねられることに何ら変わりはないから、そのことが憲法の予定する司法権の限界を超えるとか、立法権の侵害になるということにはならないと考えられる。合理的期間が経過していないのに違憲であれば無効としてよいかという問題はあるが、それは上記(Ⅲ)の違憲判決の効力の問題として検討すればよいのであり、上記(Ⅱ)の段階が必要な理由にはならないと思われる。

 したがって、当審が合理的期間論において考慮している事項は、国家賠償請求事件であれば、過失の有無の判断に際して検討が必要になるが、選挙無効請求事件であれば、選挙時点で定数配分又は選挙区割りが客観的に違憲状態にあった以上、それはすなわち公職選挙法の区割規定が違憲であるといってよいと考える。

 憲法81条により違憲立法審査権を有する最高裁が違憲判決を出した場合、憲法99条により国会はそれを尊重する義務を負うが、違憲状態であるものの合憲という判決であれば、国会に対して、違憲状態を解消するように促す事実上の警告機能はあるとしても、違憲状態を解消する義務が国会に生ずるとまでいえるかは疑問である。

 3 以上の私の考えによれば、本件区割規定が違憲である以上、憲法98条1項により本件選挙を無効とするのが原則ということになる。しかし、私は、公職選挙法204条の規定に基づく1票の価値の不均衡を争う訴訟は、本来、同条が予定していた訴訟でないにもかかわらず、投票権という国民主権の基本を成す権利について司法救済の道がないことは不合理であるから、同条の規定を形式的に利用して、実質的に、判例法としての基本権訴訟を創出したものと考えている。したがって、判決の在り方についても、一般の場合と異なり、司法府と立法府との役割分担を踏まえて、柔軟に判断することが例外的に許容されると考える。

 平成23年大法廷判決後、平成24年改正法により、1人別枠方式を定める旧区画審設置法3条2項の規定を削除し、平成25年改正法で、選挙区間の人口の較差が2倍未満となるよう選挙区割りを改め、平成28年1月に「衆議院選挙制度に関する調査会」答申を受けて、平成28年改正法において、アダムズ方式による各都道府県の選挙区数の変更に伴う改定案の勧告を平成32(令和2)年以降10年ごとに実施される大規模国勢調査の結果に基づいて行い、大規模国勢調査が行われた年から5年目に当たる年に行われる簡易国勢調査の結果、人口の最大較差が2倍以上の選挙区が生じたときも較差が2倍未満となるよう選挙区割りの改定を行うこととされた。このように、次回の衆議院議員総選挙は、1人別枠方式の影響を排除した選挙区割りの下で行われることが見込まれる。さらに、平成28年改正法附則5条において、全国民を代表する国会議員を選出するための望ましい選挙の在り方については、公正かつ効果的な代表という目的が実現されるよう、不断の見直しが行われる必要があることを国会が宣明している。このように、国会が、漸進的ではあれ、投票価値の不均衡を縮小するための努力を重ねてきたこと、今後も不断の見直しを行うことを宣明していることは評価されるべきであり、このことに照らし、本件選挙については、無効とすることはせず、違法であることを宣言するにとどめるのが適当であると考える。

(裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 山口 厚 裁判官 深山卓也 裁判官 三浦 守 裁判官 草野耕一 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官 岡村和美 裁判官 長嶺安政 裁判官 安浪亮介 裁判官 渡邉惠理子 裁判官 岡 正晶 裁判官 堺 徹 裁判官 今崎幸彦 裁判官 尾島 明)

 

(別紙1)

 1 大阪高等裁判所令和3年(行ケ)第2号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月3日に言い渡した判決

 2 高松高等裁判所令和3年(行ケ)第1号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月1日に言い渡した判決

 3 札幌高等裁判所令和3年(行ケ)第1号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月7日に言い渡した判決

 4 名古屋高等裁判所令和3年(行ケ)第3号、第5号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月16日に言い渡した判決

 5 仙台高等裁判所秋田支部令和3年(行ケ)第1号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月15日に言い渡した判決

 6 福岡高等裁判所那覇支部令和3年(行ケ)第1号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月24日に言い渡した判決

 7 福岡高等裁判所令和3年(行ケ)第2号選挙無効請求事件について同裁判所が令和4年2月21日に言い渡した判決

 

 (別紙2)

 滋賀県第1区から同第4区まで、京都府第1区から同第6区まで、大阪府第1区から同第19区まで、兵庫県第1区から同第12区まで、奈良県第1区から同第3区まで、和歌山県第1区から同第3区まで、徳島県第1区及び同第2区、香川県第1区から同第3区まで、愛媛県第1区から同第4区まで、高知県第1区及び同第2区、北海道第1区から同第12区まで、愛知県第1区から同第15区まで、岐阜県第1区から同第5区まで、三重県第1区から同第4区まで、秋田県第1区から同第3区まで、沖縄県第1区から同第4区まで、福岡県第1区から同第11区まで、佐賀県第1区及び同第2区、長崎県第1区から同第4区まで、熊本県第1区から同第4区まで、大分県第1区から同第3区まで

借地権付き土地の不動産取得税の課税標準は更地価格である

 

 

課税処分取消請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成元年(行ウ)第155号

【判決日付】      平成2年12月20日

【判示事項】      借地権付き土地の不動産取得税の課税標準は更地価格である

【参照条文】      地方税法73

             地方税法73の2-1

             地方税法73の13-1

             地方税法73の21-1

             地方税法73-2

             地方税法388-1

             固定資産税評価基準第1章第1節3

【掲載誌】        判例タイムズ765号201頁

             判例時報1375号59頁

 

 

憲法

第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

 

 

 

地方税法

(不動産取得税に関する用語の意義)

第七十三条 不動産取得税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 不動産 土地及び家屋を総称する。

二 土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいう。

三 家屋 住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物をいう。

四 住宅 人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分で、政令で定めるものをいう。

五 価格 適正な時価をいう。

六 建築 家屋を新築し、増築し、又は改築することをいう。

七 増築 家屋の床面積又は体積を増加することをいう。

八 改築 家屋の壁、柱、床、はり、屋根、天井、基礎、昇降の設備その他家屋と一体となつて効用を果たす設備で政令で定めるものについて行われた取替え又は取付けで、その取替え又は取付けのための支出が資本的支出と認められるものをいう。

 

(不動産取得税の納税義務者等)

第七十三条の二第1項 不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の道府県において、当該不動産の取得者に課する。

 

(不動産取得税の課税標準)

第七十三条の十三 不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とする。

2 家屋の改築をもつて家屋の取得とみなした場合に課する不動産取得税の課税標準は、当該改築に因り増加した価格とする。

 

(不動産の価格の決定等)

第七十三条の二十一 道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。但し、当該不動産について増築、改築、損かヽいヽ、地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いときは、この限りでない。

2 道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は前項但書の規定に該当する不動産については、第三百八十八条第一項の固定資産評価基準によつて、当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。

3 道府県知事は、前項の規定によつて不動産の価格を決定した場合においては、直ちに、当該価格その他必要な事項を当該不動産の所在地の市町村長に通知しなければならない。

4 道府県知事は、不動産取得税の課税標準となるべき価格の決定を行つた結果、固定資産課税台帳に登録されている不動産の価格について、市町村間に不均衡を認めた場合においては、理由を附けて、関係市町村の長に対し、固定資産税の課税標準となるべき価格の決定について助言をするものとする。

 

(固定資産税に係る総務大臣の任務)

第三百八十八条1項 総務大臣は、固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(以下「固定資産評価基準」という。)を定め、これを告示しなければならない。この場合において、固定資産評価基準には、その細目に関する事項について道府県知事が定めなければならない旨を定めることができる。

 

 

 

現住建造物等放火被告事件につき,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる放火方法を認定したことが違法とされた事例

 

 

              現住建造物等放火被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成23年(あ)第775号

【判決日付】      平成24年2月29日

【判示事項】      現住建造物等放火被告事件につき,訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる放火方法を認定したことが違法とされた事例

【判決要旨】      現住建造物等放火被告事件につき,ガスコンロの点火スイッチを作動させて点火し,台所に充満したガスに引火,爆発させたとの訴因に対し,訴因変更手続を経ることなく,何らかの方法により上記ガスに引火,爆発させたと認定したことは,引火,爆発の原因が上記スイッチの作動以外の行為であるとした場合の被告人の刑事責任について検察官の予備的な主張がなく,そのような行為に関し求釈明や証拠調べにおける発問等もされていなかったなどの審理経過の下では,被告人に不意打ちを与えるものとして違法である。

【参照条文】      刑事訴訟法312-1

             刑事訴訟法312-2

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集66巻4号589頁

 

 

刑法

(現住建造物等放火)

第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

 

刑事訴訟法

第三百十二条 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。

② 裁判所は、審理の経過に鑑み適当と認めるときは、訴因又は罰条を追加又は変更すべきことを命ずることができる。

③ 裁判所は、訴因又は罰条の追加、撤回又は変更があつたときは、速やかに追加、撤回又は変更された部分を被告人に通知しなければならない。

④ 裁判所は、訴因又は罰条の追加又は変更により被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞があると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、被告人に充分な防禦の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。

 

 

ドイツ証券事件

 

 

              地位確認等請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成25年(ワ)第27229号

【判決日付】      平成28年6月1日

【判示事項】      被告との間で労働契約を締結していた原告が,被告からの解雇の意思表示を受けたものの,同解雇は無効であるとして,被告に対し,解雇通告月の翌月から判決確定まで月額給与の支払等を求めた事案。

裁判所は,本件労働契約において職種制限の合意が成立していると認められることから,原告を他職種に配転する等の解雇回避措置を検討しないことが解雇無効になるものではないとし,被告主張の解雇事由が存在することから,本件解雇には客観的合理性及び社会通念上の相当性があると認められるとし,被告の解雇の意思表示により原告は被告社員の身分を喪失したとして,原告の請求をいずれも棄却した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

労働契約法

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 

 

       主   文

 

 1 原告の請求をいずれも棄却する。

 2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

 1 原告は,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

 2 被告は,原告に対し,平成24年4月以降本判決確定の日に至るまで毎月22日限り1か月あたり金305万8926円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みに至るまで年6分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等

 1 事案の概要

   本件は,被告との間で労働契約を締結していた原告が,被告から解雇の意思表示を受けたものの,当該解雇は無効であるとして,被告に対し,原告が労働契約上の権利を有することの確認を求める(請求の趣旨1)とともに,平成24年4月から本判決確定の日まで,毎月22日限り月額給与305万8926円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金(請求の趣旨2)の支払を求める事案である。

 2 前提事実(以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実である。)

  (1) 当事者

    被告はA銀行(以下「A」ともいう。)グループの在日証券業務を行う日本法人の証券会社である。(争いがない)

    原告(昭和35(1960)年○月○○日生)は,昭和63(1988)年から平成6(1994)年までB証券会社のマネージャーとして,先物及びオプション部門を担当し,同年から平成8(1996)年までC及びDでアソシエート・ディレクターとして,金融派生商品トレーディング及びセールスを担当し,同年から平成13(2001)年までEでは,リスクマネージャーとして,マーケットリスクを,バイスプレジデントとして裁定取引部門を各担当し,同年から平成16(2004)年7月まで,Fで,バイスプレジデントとして,ヘッジファンドクライアントに対するリスクマネジメントソリューションの提供に関与するなど,被告に入社するまでの間,多種多様な金融商品を取り扱った経験があり,セールスの仕事以外にトレーダー,モデリングなどのヘッジファンドのコンサルティングの仕事も経験し,日本以外に米国,ロンドン,シンガポール及び香港の市場で勤務した経験があった。(甲8の3,乙12,原告本人1頁及び23頁から25頁まで)

  (2) 労働契約の締結

   ア 原告は,被告の前身であるY1証券会社東京支店(甲1)との間で,平成16(2004)年7月13日,下記の労働条件で期間の定めのない労働契約を締結した(以下「本件労働契約」という。)。(甲2,証人G4頁,5頁及び9頁,証人H1頁)

         記

    職種:Y1証券会社東京支店のグローバル・マーケッツ部門におけるヘッジファンド・セールスパーソン(営業として担当する客が主に海外のヘッジファンドである職種。金融に関する知識及び運用手法など高度な手法を用いるヘッジファンドの顧客を受け持つ。)

    タイトル:ディレクター(6つあるタイトルの中で上から2番目。マネージングディレクターに次ぐ位置。),等級2(8つあるグレードの中で上から2番目)

    一般条項:会社は,原告を会社の東京の事務所の所属に留める限り,原告の同意を得て,原告を他の部門,事務所またはA銀行グループ内の他の会社またはグループ関連会社への転勤・出向させる権利を留保する。

    勤務場所:□□内の会社のオフィスまたはその他東京都内の会社のオフィス

    賃金:①月例賃金:基本給 年俸2000万0400円

             住宅手当115万円(月額)

             毎月年俸の1/12を末日締め当月22日払い

             その他手当の支給あり

       ②裁量賞与:業績により支給される。

   イ 本件労働契約は,平成18(2006)年1月,Y1証券会社東京支店から被告に引き継がれた。その後,基本給額及び手当額の変更があり,解雇される直前の平成24(2012)年3月の月例賃金合計額は,305万8926円(基本給月額183万3400円,福利厚生補助金合計26万8166円,通勤費1万3860円,住宅手当89万2500円,退職金前払金5万1000円)であった。

     上記住宅手当は,賃貸住宅の家賃にかかわらず全額支給されるものとして定められており,原告が住宅手当よりも低額の家賃の住宅を選択したとしても,被告は,住宅手当を全額支払うものとされていた。(甲3の1から甲5まで)

   ウ 被告は,原告に対し,裁量賞与として,平成17(2005)年度分については,翌年2月に約7200万円を,平成18(2006)年度分については,翌年2月に約1億6000万円を,平成19(2007)年度分については,翌年2月に約1億0800万円を,平成20(2008)年度分については,翌年2月に約1000万円を,平成21(2009)年度分については,翌年2月に約500万円を各支払った。(弁論の全趣旨)

  (3) リーマンショック

    平成20(2008)年9月,アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻し,世界的な金融危機が発生した。(証人G6頁)

  (4) 退職勧奨及び本件解雇に至る経過

   ア 被告は,平成22(2010)年12月2日,原告に対し,退職勧奨を行ったが,原告は退職勧奨に応じなかった。被告は,同日以降,原告の就労を免除しながらも,賃金を支払続けた。(争いがない)

   イ 原告は,平成23(2011)年9月に米国に帰国して以降,現在に至るまで米国に居住しており,仕事には就いていないが,自らトレーディングをするなどして生計を立てている。(原告本人43頁及び44頁)

   ウ 被告は,平成24(2012)年3月7日,原告に対し,就業規則48条2項及び同条4項に該当するとして,同年4月6日をもって解雇する旨の意思表示をした(以下「本件解雇」という。)。(争いがない)

   エ 被告と原告は,上記退職勧奨から本件解雇までの間,合意退職案について協議を続けていたが,退職金の額について折り合わず(退職勧奨中,被告は,原告に対し,4500万円(プラスアルファ)の退職金を提案していたが,原告は,9000万円以下では退職合意はできないと伝えていた。),本件労働契約を合意解約するには至らなかった。(乙1の1から5まで,証人H9頁,甲12,甲40)

  (5) 被告の就業規則(甲7)

   第9条 配属

     社員の所属部署および職務は,会社が決定する。会社は,必要に応じて社員の所属および職務を変更することができる。

   第48条 解雇

     次の各号の一に該当する場合,会社は社員を解雇する。

    ① 疾病などにより就業が不可能もしくは困難になったとき

    ② 社員の労働能力が著しく低下したとき,または勤務成績が不良で改善の見込みがなく,就業に適さないと会社が認めたとき(以下「本件規定」という。)

    ③ 事業の継続が困難になったとき

    ④ その他,前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき

  (6) 訴訟提起

    原告は,本件解雇からおよそ1年半が経過した平成25年10月16日,本件訴訟を提起した。(当裁判所に顕著)

 3 争点

   本件の争点は,本件解雇の有効性である。

 

 

 

 

共用設備が設置されている車庫が建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたらないとはいえないとされた事例

 

 

              所有権保存登記抹消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和55年(オ)第554号

【判決日付】      昭和56年7月17日

【判示事項】      共用設備が設置されている車庫が建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたらないとはいえないとされた事例

【判決要旨】      構造上他の建物部分と区分され、それ自体として独立の建物としての用途に供することができる外形を有する車庫内に、天井には排水管が取り付けられ、床下にはし尿浄化槽と受水槽があり、床面には地下に通ずるマンホール及び排水ポンプの故障に備えるための手動ポンプが設置されていて、右浄化槽等の点検、清掃、故障修理のため専門業者がその車庫に立ち入つて作業することが予定されている場合でも、右共用設備の利用管理によつて右車庫の排他的使用に格別の制限ないし障害を生じない限り、右車庫は、建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたらないとはいえない。

【参照条文】      建物の区分所有等に関する法律

             建物の区分所有等に関する法律2-3

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集35巻5号977頁

 

 

建物の区分所有等に関する法律

(建物の区分所有)

第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

(定義)

第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。

2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。

3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。

5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。

6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

 

労基法24条1項但書に基づき書面の労使協定により賃金からの控除が許される「事理明白なもの」とは,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものであり,控除の対象となることが労働者にとって識別可能な程度に特定されているものでなければならない一方で,労働者が自由な意思に基づき控除に同意した費用は,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものに該当するので,その控除は労基法24条1項に違反しないとされた例

 

 

賃金等請求事件

【事件番号】      京都地方裁判所判決/令和元年(ワ)第3008号

【判決日付】      令和5年1月26日

【判示事項】      1 労基法24条1項但書に基づき書面の労使協定により賃金からの控除が許される「事理明白なもの」とは,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものであり,控除の対象となることが労働者にとって識別可能な程度に特定されているものでなければならない一方で,労働者が自由な意思に基づき控除に同意した費用は,労働者が当然に支払うべきことが明らかなものに該当するので,その控除は労基法24条1項に違反しないとされた例

             2 労基法89条5号の規定等に照らし,使用者と労働者の個別合意により事業遂行上の費用の一部を労働者の負担とすることが許容されているとされた例

             3 使用者が,業務遂行費用を営業職員に負担させることは,労働者を身分的に拘束したり,労働者に過度な負担を負わせるとは必ずしもいえないとして,労基法16条の趣旨に反しないとされた例

             4 賃金全額払いの趣旨に照らし,使用者から義務づけられ,労働者にとって選択の余地がない営業活動費を労働者が負担することは,自由な意思に基づく合意とはいえず,賃金からの控除は許されないとされた例

             5 業務上の利用が推奨されているが,義務づけられてはいなかった業務用の本件携帯端末の利用料につき,書面による合意があるとして賃金からの控除が適法とされた例

             6 営業活動において利用することが推奨されているが,義務づけられてはいなかった物品費につき,原告Xが明示的に異議を述べた時点までは,異議なく賃金支払いを受けていたこと等から同意が認められるとして,賃金からの控除が適法とされた例

             7 全営業職員が一律に定額負担するコピー用紙トナー代につき,個別合意が認められず,賃金全額払い原則の趣旨からも有効性を認めることは困難であるとして,賃金からの控除が違法とされた例

             8 雇用契約上の費用償還請求権,立替払契約に基づく立替金請求権,不当利得返還請求権,または事務管理による有益費償還請求権を根拠とする,業務に利用した携帯電話料金相当額の支払請求がいずれも棄却された例

【掲載誌】        労働判例1282号19頁

 

 

労働基準法

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

 

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

商法842条各号の費用を立替え支払った船舶代理店は、船舶先取特権を有する。

 

 

              船舶先取特権不存在確認請求事件

【事件番号】      横浜地方裁判所判決/昭和43年(ワ)第1058号

【判決日付】      昭和49年5月10日

【判示事項】      1、商法842条各号の費用を立替え支払った船舶代理店は、船舶先取特権を有する。

           2、定期傭船契約を船舶賃貸借と労務供給契約の混合契約であるとして、商法704条2項の準用を認めた事例

             3、商法842条6号の「航海継続ノ必要ニ因リテ生シタル債権」の範囲

【参照条文】      商法842

             商法704

【掲載誌】        下級裁判所民事裁判例集25巻5~8号393頁

             判例時報752号87頁

 

 

商法

(船舶先取特権)

第八百四十二条 次に掲げる債権を有する者は、船舶及びその属具について先取特権を有する。

一 船舶の運航に直接関連して生じた人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権

二 救助料に係る債権又は船舶の負担に属する共同海損の分担に基づく債権

三 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)若しくは国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって船舶の入港、港湾の利用その他船舶の航海に関して生じたもの又は水先料若しくは引き船料に係る債権

四 航海を継続するために必要な費用に係る債権

五 雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権

 

(定期傭よう船契約)

第七百四条 定期傭よう船契約は、当事者の一方が艤ぎ装した船舶に船員を乗り組ませて当該船舶を一定の期間相手方の利用に供することを約し、相手方がこれに対してその傭船料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

 

 

 

三人共同して防衛行為を行った際に、一名の反撃行使が防衛行為の相当性の範囲を逸脱していたが、それを認識していなかった被告人両名には誤想防衛が成立するとして無罪が言い渡された事例

 

 

各傷害致死被告事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成14年(合わ)第246号

【判決日付】      平成14年11月21日

【判示事項】      三人共同して防衛行為を行った際に、一名の反撃行使が防衛行為の相当性の範囲を逸脱していたが、それを認識していなかった被告人両名には誤想防衛が成立するとして無罪が言い渡された事例

【参照条文】      刑法36

             刑法205

【掲載誌】        判例時報1823号156頁

【評釈論文】      刑事法ジャーナル5号121頁

 

 

刑法

(正当防衛)

第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 

(傷害致死)

第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

 

 

 

 

       主   文

 

 被告人両名はいずれも無罪。

ツイッター事件・インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいてある者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージが投稿された場合にその者が上記情報ネットワークの運営者に対して上記メッセージの削除を求めることができるとされた事例

 

 

              投稿記事削除請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/令和2年(受)第1442号

【判決日付】      令和4年6月24日

【判示事項】      インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいてある者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージが投稿された場合にその者が上記情報ネットワークの運営者に対して上記メッセージの削除を求めることができるとされた事例

【判決要旨】      インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいて、ある者が建造物侵入の被疑事実により逮捕されたというその者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージの投稿がされた場合に、上記の逮捕の事実が、不特定多数の者が利用する場所において行われた軽微とはいえない犯罪事実に関するものであったとしても、次の(1)~(4)など判示の事情の下においては、上記の者の上記逮捕の事実を公表されない法的利益が上記メッセージを一般の閲覧に供し続ける理由に優越すると認められ、上記の者は、上記情報ネットワークの運営者に対し、上記メッセージの削除を求めることができる。

             (1)上記逮捕から約8年が経過し、上記の者が受けた罰金刑の言渡しはその効力を失っており、上記メッセージに転載された上記逮捕の事実の報道記事も報道機関のウェブサイトにおいて既に削除されている。

             (2)上記メッセージは、上記情報ネットワークの利用者に対して上記逮捕の事実を速報することを目的として投稿されたものとうかがわれ、長期間にわたって閲覧され続けることを想定して投稿されたものであるとは認め難い。

             (3)上記の者の氏名を条件として上記情報ネットワーク上を検索すると検索結果として上記メッセージが表示される。

             (4)上記の者は、公的立場にある者ではない。

             (補足意見がある。)

【参照条文】      民法2

             民法198

             民法199

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集76巻5号1170頁