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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

『国際政治学をつかむ 第3版』有斐閣

 

国際政治学の定番テキスト,待望の第3版

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村田 晃嗣 (同志社大学教授),君塚 直隆 (関東学院大学教授),石川 卓 (防衛大学校教授),栗栖 薫子 (神戸大学教授),秋山 信将 (一橋大学教授)/著

 

 

2023年04月発売

A5判並製カバー付 , 364ページ

定価 2,420円(本体 2,200円)

 

 

「歴史」「理論」「アクター」「イシュー」という4つの章からバランスよく国際政治学を学べると好評の入門テキストの第3版。新版刊行後の国際政治の動きをふまえて各unitをアップデートし,新たに「ポスト冷戦」「米中関係」のunitを追加している。

 

 

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高校で世界史・地理を勉強し、新聞を読んでいる人ならば理解できる本です。

 

 

目次      

 unit0 国際政治学を学ぶ

第1章 国際政治のあゆみ

 unit1 主権国家の誕生

 unit2 ナショナリズムと帝国主義の時代

 unit3 第一次世界大戦

 unit4 第二次世界大戦

 unit5 冷戦

 unit6 ポスト冷戦

第2章 国際政治の見方

 unit7 パワーと国益

 unit8 対立と協調

 unit9 支配と従属

 unit10 規範と制度

 unit11 安全保障

 unit12 国際政治経済

 unit13 国際政治における文化

第3章 国際政治のしくみ

 unit14 政治体制

 unit15 対外政策決定過程

 unit16 外交交渉

 unit17 国連・国際機関の役割

 unit18 地域主義

 unit19 脱国家的主体

第4章 国際政治の課題

 unit20 核

 unit21 新しい戦争

 unit22 国連PKO,平和構築,多国籍軍

 unit23 人権と民主主義

 unit24 グローバリゼーション

 unit25 開発援助

 unit26 地球環境問題

 unit27 科学技術とエネルギー

 unit28 米中関係

unit29 さらに国際政治学を学ぶために

禁治産者の後見人がその就職前に無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かを判断するにつき考慮すべき要素

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成4年(オ)第1694号

【判決日付】      平成6年9月13日

【判示事項】      禁治産者の後見人がその就職前に無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かを判断するにつき考慮すべき要素

【判決要旨】      禁治産者の後見人が、その就職前に禁治産者の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かは、(1) 契約の締結に至るまでの無権代理人と相手方との交渉経緯及び無権代理人が契約の締結前に相手方との間でした法律行為の内容と性質、(2) 契約を追認することによって禁治産者が被る経済的不利益と追認を拒絶することによって相手方が被る経済的不利益、(3) 契約の締結から後見人が就職するまでの間に契約の履行等をめぐってされた交渉経緯、(4) 無権代理人と後見人との人的関係及び後見人がその就職前に契約の締結に関与した行為の程度、(5) 本人の意思能力について相手方が認識し又は認識し得た事実など諸般の事情を勘案し、契約の追認を拒絶することが取引関係に立つ当事者間の信頼を裏切り、正義の観念に反するような例外的な場合に当たるか否かを判断して、決しなければならない。

【参照条文】      民法1-2

             民法113

             民法859

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集48巻6号1263頁

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(無権代理)

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

(財産の管理及び代表)

第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。

2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

 

(財産の管理及び代表)

第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

 

 

受送達者と同一人物である可能性が高いFacebookアカウントがインターネット上に存在し,そのアカウントにメッセージを送信して調査を行っていない場合には,送達をすべき場所が知れない場合には当たらないとした事例

 

 

裁判所書記官の処分に対する異議申立事件

【事件番号】      京都地方裁判所決定/平成30年(モ)第1135号

【判決日付】      平成31年2月5日

【判示事項】      受送達者と同一人物である可能性が高いFacebookアカウントがインターネット上に存在し,そのアカウントにメッセージを送信して調査を行っていない場合には,送達をすべき場所が知れない場合には当たらないとした事例

【参照条文】      民事訴訟法110-1

【掲載誌】        判例タイムズ1464号175頁

 

 

民事訴訟法

(公示送達の要件)

第百十条 次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。

一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合

二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合

三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合

四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合

2 前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。

3 同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。

 

 

 

 

 

       主   文

 

 本件申立てをいずれも却下する。

 

       事実及び理由

 

 第1 申立ての趣旨及び理由

 申立人(基本事件原告)は,京都地方裁判所書記官に対し,基本事件につき,相手方(基本事件被告)らに対する訴状副本等の送達につき公示送達の方法で行うよう申し立てたところ,平成30年12月19日,同書記官が同申立てを却下する処分(以下「原処分」という。)をしたことから,これを不服として,異議を申し立てた。申立人が公示送達の要件を満たすと主張する根拠は,別紙意見書(平成30年12月6日)のとおりである。

 第2 当裁判所の判断

 1 事案の概要

 一件記録によれば,以下の事実が認められる。

 (1) 基本事件

 基本事件は,申立人が,相手方らに対し,相手方B(以下「相手方B」という。)が代表取締役を務める相手方株式会社A(以下「相手方会社」という。)の従業員が適合性原則に違反する取引を勧誘する等の違法行為をしたことにより損害を被ったと主張して,相手方会社に対しては民法709条,715条又は民法415条に基づき,相手方Bに対しては会社法429条1項に基づき,連帯して,4196万5073円及び取引終了日である平成25年4月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

 (2) 相手方会社の事務所の調査

 申立人代理人は,平成30年10月15日,相手方会社の登記簿上の本店所在地である東京都〈以下略〉所在のビルを訪ねたが,表札に相手方会社の名前はなく,すべての階のテナントが別の名前の会社で埋まっていた。また,周辺に入居する会社に相手方会社についての聞き取りを行ったが,相手方会社の転居先は明らかにならなかった。また,申立人代理人は,同日頃,同ビルの管理会社に対し相手方会社の転居先等を電話で問い合わせたが,管理会社は,相手方会社は平成27年8月に入居し,平成29年10月末に退去し,転居先は把握していないと回答した。

 (3) 相手方Bの住所の調査

 申立人代理人は,平成30年10月15日頃,同月5日時点の相手方Bの住民票上の住所である東京都〈以下略〉を訪れたところ,同室には別人が居住しており,相手方Bは,同年6月頃に前記***号室から退去していることが判明した。また,申立人代理人が前記***号室の管理会社に対し相手方Bの転居先について電話で問い合わせたところ,管理会社は個人情報保護を理由に回答を拒んだ。

 (4) Facebook上の「B’」名のアカウントの判明

 申立代理人は,平成30年10月18日頃,インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービスであるFacebook上に,「B’」名のアカウントが存在し,その職歴欄には,相手方会社の代表取締役会長である旨の記載があることを見つけ,裁判所に対し,この「B’」が相手方会社の代表取締役である相手方Bと同一である可能性が極めて高い旨を上申した(平成30年10月19日付上申書)。

 しかし,その「B’」の職歴欄には,それ以外に,現在の就業場所を明らかにする記載はなかった。

 (5) Facebook Japanに対する調査嘱託

 申立人は,Facebook Japan株式会社に対し,前記(4)のアカウントに関連付けられた電話番号又はメールアドレスの調査嘱託を申し立て,当裁判所は,申立てを採用し,同社に対し調査を嘱託した。

 これに対し,同社は,自らにはFacebookの利用者記録へのアクセス及びその内容に関する措置を取る権限を有せず,対応する立場にない,その権限はアメリカ合衆国にある別法人のFacebook Inc.にあり,さらなる問い合わせは同社に直接に送付されたいとの回答がされた。

 2 公示送達の要件について

 (1) 公示送達を実施するには,「当事者の住所,居所その他送達をすべき場所が知れない場合」(民事訴訟法110条1項1号)である必要があるが,同号にいう「知れない」とは,単に申立人が主観的にこれを知らないだけではなく,通常の調査方法を講じて十分探索したが判明しないという客観的なものであることを要する。

 この点,申立人は,Facebookに「B’」なる人物のアカウント(以下「本件アカウント」という。)が存在し,この者が相手方会社の代表取締役である相手方Bと同一である可能性が極めて高い旨を上申している。

 Facebookは,Facebookのアカウントを有する者であれば,誰でも他人のFacebookのアカウントに対しメッセージを送信することができる機能があるから,申立人は,自ら又は代理人,調査会社等を用いて,Facebookの上記メッセージ機能を用いて本件アカウントに対してメッセージを送信することができ,これにより相手方Bに接触を試みることが可能である。しかし,申立人は,本件アカウントに対しメッセージを送信することによる調査は行っていない。

 したがって,現時点では,相手方Bについて,通常の調査方法を講じても送達場所が判明しなかったとは認定できず,公示送達の要件は充足しているとはいえない。そして,法人の場合は受送達者である代表者の住所等も送達場所となるから(民事訴訟法37条,102条1項,103条1項),相手方会社の代表者たる相手方Bにつき未だ所在不明とはいえない以上,相手方会社についても公示送達の要件を充足していないことになる。

 (2) この点,申立人は,Facebookにより本件アカウントにメッセージを送信する接触は通常の調査方法に含まれないと主張する。

 しかし,被告の電話番号やファクシミリ番号が判明している場合やその電話番号やファクシミリ番号であることが強く推認される連絡先が判明している場合に,それらを用いて接触を試みることは通常の調査方法であり,電子メールにより様々なやりとりがされている現在では,電子メールにより接触ができる場合もこれと同様に解することができる。本件では,申立人自ら,Facebookという交流サイト上に相手方Bと同一である可能性が極めて高い人物がいる旨の上申をし,その者に対してメッセージを送ることができるのであるから,その場合に,メッセージを送信して接触を試みることが通常の調査方法ではないとはいえず,それをしない場合において,客観的に送達をすべき場所が知れない場合に当たるとは認め難い。

 相手方Bが本件アカウントを使用していない可能性があり,メッセージを送信することで,基本事件を提起したこと等を無関係な他人に知られるおそれがあること,メッセージを送信しても返信がされない可能性があること,調査のために調査者自身も一定の情報を開示する必要があることは,電話やファクシミリにより接触を試みる場合でも同様に問題になりうる事項であり,Facebookのメッセージを送信する場合にのみ特に障害になるとはいえないから,これを理由に通常の調査ではないとはいえない。

 3 結論

 以上より,原処分は相当であり,本件申立てにはいずれも理由がないから,これを却下することとし,主文のとおり決定する。

裁判長裁判官伊藤由紀子,裁判官大野祐輔,裁判官伊藤祐貴)

更正処分の取消しを求める訴訟の係属中に、課税庁が自ら更正の理由付記に不備があつたとしてこれを取り消し(第2次更正)た上、改めてその理由を補完した更正処分(第3次更正)をしたことは、更正権の濫用に当たらないとの原審判断が正当とされた事例

 

 

              課税標準および税額の決定取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和47年(行ツ)第9号

【判決日付】      昭和48年12月14日

【判示事項】      1 更正処分の取消しを求める訴訟の係属中に、課税庁が自ら更正の理由付記に不備があつたとしてこれを取り消し(第2次更正)た上、改めてその理由を補完した更正処分(第3次更正)をしたことは、更正権の濫用に当たらないとの原審判断が正当とされた事例

             2 法人税法132条(同族会社等の行為又は計算の否認)の趣旨

             3 同族会社の行為計算否認規定を適用してなされた法人税の更正処分と源泉所得税徴収処分との関係

【判決要旨】      1 省略

             2 法人税法132条に基づく同族会社等の行為計算の否認は、当該法人税の関係においてのみ、否認された行為計算に代えて課税庁の適正と認めるところに従い課税を行うものであつて、現実になされた行為計算そのものの実体的変動を生ぜしめるものではない。

             3 法人税の更正処分において行為計算が否認され役員賞与として益金に計上されたとしても、当該役員の所得税に関して行われた徴収処分は、法人税の更正処分とはかかわりなく、所得税法によつて法律上当然に確定した源泉徴収義務についてその履行を求めるものであると解すべきである。それゆえ、右更正処分の取消しによつて、所得税法上の源泉徴収義務の範囲が左右されるいわれはなく、右取消しは本件徴収処分の効力に影響しない。

【参照条文】      国税通則法26

             所得税法132

             所得税法35

             所得税法28-1

             所得税法6

             所得税法183

             国税通則法36-1

             国税通則法15-2

【掲載誌】        訟務月報20巻6号146頁

             税務訴訟資料71号1160頁

 

 

国税通則法

(再更正)

第二十六条 税務署長は、前二条又はこの条の規定による更正又は決定をした後、その更正又は決定をした課税標準等又は税額等が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該更正又は決定に係る課税標準等又は税額等を更正する。

 

(納税の告知)

第三十六条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。

一 賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)

二 源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

三 自動車重量税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

四 登録免許税でその法定納期限までに納付されなかつたもの

2 前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う。ただし、担保として提供された金銭をもつて消費税等を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。

 

(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)

第十五条 国税を納付する義務(源泉徴収等による国税については、これを徴収して国に納付する義務。以下「納税義務」という。)が成立する場合には、その成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税を除き、国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定されるものとする。

2 納税義務は、次の各号に掲げる国税(第一号から第十三号までにおいて、附帯税を除く。)については、当該各号に定める時(当該国税のうち政令で定めるものについては、政令で定める時)に成立する。

一 所得税(次号に掲げるものを除く。) 暦年の終了の時

二 源泉徴収による所得税 利子、配当、給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時

三 法人税及び地方法人税 事業年度の終了の時

四 相続税 相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)による財産の取得の時

五 贈与税 贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。)による財産の取得の時

六 地価税 課税時期(地価税法(平成三年法律第六十九号)第二条第四号(定義)に規定する課税時期をいう。)

七 消費税等 課税資産の譲渡等若しくは特定課税仕入れをした時又は課税物件の製造場(石油ガス税については石油ガスの充塡場とし、石油石炭税については原油、ガス状炭化水素又は石炭の採取場とする。)からの移出若しくは保税地域からの引取りの時

八 航空機燃料税 航空機燃料の航空機への積込みの時

九 電源開発促進税 販売電気の料金の支払を受ける権利の確定の時

十 自動車重量税 自動車検査証の交付若しくは返付の時又は届出軽自動車についての車両番号の指定の時

十一 国際観光旅客税 本邦からの出国の時

十二 印紙税 課税文書の作成の時

十三 登録免許税 登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定又は技能証明の時

十四 過少申告加算税、無申告加算税又は第六十八条第一項、第二項若しくは第四項(同条第一項又は第二項の重加算税に係る部分に限る。)(重加算税)の重加算税 法定申告期限の経過の時

十五 不納付加算税又は第六十八条第三項若しくは第四項(同条第三項の重加算税に係る部分に限る。)の重加算税 法定納期限の経過の時

3 納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税は、次に掲げる国税とする。

一 所得税法第二編第五章第一節(予定納税)(同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税(以下「予定納税に係る所得税」という。)

二 源泉徴収等による国税

三 自動車重量税

四 国際観光旅客税法第十八条第一項(国際観光旅客等による納付)の規定により納付すべき国際観光旅客税

五 印紙税(印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)第十一条(書式表示による申告及び納付の特例)及び第十二条(預貯金通帳等に係る申告及び納付等の特例)の規定の適用を受ける印紙税及び過怠税を除く。)

六 登録免許税

七 延滞税及び利子税

 

 

所得税法

(同族会社等の行為又は計算の否認等)

第百五十七条 税務署長は、次に掲げる法人の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主等である居住者又はこれと政令で定める特殊の関係のある居住者(その法人の株主等である非居住者と当該特殊の関係のある居住者を含む。第四項において同じ。)の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号(確定損失申告)に掲げる金額を計算することができる。

一 法人税法第二条第十号(定義)に規定する同族会社

二 イからハまでのいずれにも該当する法人

イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。

ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。

ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその法人の発行済株式又は出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。

2 前項の場合において、法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。

3 第一項の規定は、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、法人税法第百三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつた場合における第一項の居住者の所得税に係る更正又は決定について準用する。

4 税務署長は、合併(法人課税信託に係る信託の併合を含む。)、分割(法人課税信託に係る信託の分割を含む。)、現物出資若しくは法人税法第二条第十二号の五の二に規定する現物分配又は同条第十二号の十六に規定する株式交換等若しくは株式移転(以下この項において「合併等」という。)をした法人又は合併等により資産及び負債の移転を受けた法人(当該合併等により交付された株式又は出資を発行した法人を含む。以下この項において同じ。)の行為又は計算で、これを容認した場合には当該合併等をした法人若しくは当該合併等により資産及び負債の移転を受けた法人の株主等である居住者又はこれと第一項に規定する特殊の関係のある居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に関する更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで、第百二十二条第一項第一号から第三号まで又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号に掲げる金額を計算することができる。

 

強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否

 

 

児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/平成28年(あ)第1731号

【判決日付】      平成29年11月29日

【判示事項】      強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否

【判決要旨】      刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合はあり得るが,行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではない。

【参照条文】      刑法(平29法72号改正前)176

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集71巻9号467頁

 

 

最高裁昭和43年(あ)第95号同45年1月29日第一小法廷判決・刑集24巻1号1頁(以下「昭和45年判例」という。)を判例変更した。

 

 

 

刑法

(強制わいせつ)

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 当審における未決勾留日数中280日を本刑に算入する。

 

       理   由

 

 1 弁護人松木俊明,同園田寿の各上告趣意,同奥村徹の上告趣意のうち最高裁昭和43年(あ)第95号同45年1月29日第一小法廷判決・刑集24巻1号1頁(以下「昭和45年判例」という。)を引用して判例違反,法令違反をいう点について

 (1) 第1審判決判示第1の1の犯罪事実の要旨は,「被告人は,被害者が13歳未満の女子であることを知りながら,被害者に対し,被告人の陰茎を触らせ,口にくわえさせ,被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をした。」というものである。

 原判決は,自己の性欲を刺激興奮させ,満足させる意図はなく,金銭目的であったという被告人の弁解が排斥できず,被告人に性的意図があったと認定するには合理的な疑いが残るとした第1審判決の事実認定を是認した上で,客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者がその旨認識していれば,強制わいせつ罪が成立し,行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないとして,昭和45年判例を現時点において維持するのは相当でないと説示し,上記第1の1の犯罪事実を認定した第1審判決を是認した。

 (2) 所論は,原判決が,平成29年法律第72号による改正前の刑法176条(以下単に「刑法176条」という。)の解釈適用を誤り,強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを要するとした昭和45年判例と相反する判断をしたと主張するので,この点について,検討する。

 (3) 昭和45年判例は,被害者の裸体写真を撮って仕返しをしようとの考えで,脅迫により畏怖している被害者を裸体にさせて写真撮影をしたとの事実につき,平成7年法律第91号による改正前の刑法176条前段の強制わいせつ罪に当たるとした第1審判決を是認した原判決に対する上告事件において,「刑法176条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し,婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であっても,これが専らその婦女に報復し,または,これを侮辱し,虐待する目的に出たときは,強要罪その他の罪を構成するのは格別,強制わいせつの罪は成立しないものというべきである」と判示し,「性欲を刺戟興奮させ,または満足させる等の性的意図がなくても強制わいせつ罪が成立するとした第1審判決および原判決は,ともに刑法176条の解釈適用を誤ったものである」として,原判決を破棄したものである。

 (4) しかしながら,昭和45年判例の示した上記解釈は維持し難いというべきである。

 ア 現行刑法が制定されてから現在に至るまで,法文上強制わいせつ罪の成立要件として性的意図といった故意以外の行為者の主観的事情を求める趣旨の文言が規定されたことはなく,強制わいせつ罪について,行為者自身の性欲を刺激興奮させたか否かは何ら同罪の成立に影響を及ぼすものではないとの有力な見解も従前から主張されていた。これに対し,昭和45年判例は,強制わいせつ罪の成立に性的意図を要するとし,性的意図がない場合には,強要罪等の成立があり得る旨判示しているところ,性的意図の有無によって,強制わいせつ罪(当時の法定刑は6月以上7年以下の懲役)が成立するか,法定刑の軽い強要罪(法定刑は3年以下の懲役)等が成立するにとどまるかの結論を異にすべき理由を明らかにしていない。また,同判例は,強制わいせつ罪の加重類型と解される強姦罪の成立には故意以外の行為者の主観的事情を要しないと一貫して解されてきたこととの整合性に関する説明も特段付していない。

 元来,性的な被害に係る犯罪規定あるいはその解釈には,社会の受け止め方を踏まえなければ,処罰対象を適切に決することができないという特質があると考えられる。諸外国においても,昭和45年(1970年)以降,性的な被害に係る犯罪規定の改正が各国の実情に応じて行われており,我が国の昭和45年当時の学説に影響を与えていたと指摘されることがあるドイツにおいても,累次の法改正により,既に構成要件の基本部分が改められるなどしている。こうした立法の動きは,性的な被害に係る犯罪規定がその時代の各国における性的な被害の実態とそれに対する社会の意識の変化に対応していることを示すものといえる。

 これらのことからすると,昭和45年判例は,その当時の社会の受け止め方などを考慮しつつ,強制わいせつ罪の処罰範囲を画するものとして,同罪の成立要件として,行為の性質及び内容にかかわらず,犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを一律に求めたものと理解できるが,その解釈を確として揺るぎないものとみることはできない。

 イ そして,「刑法等の一部を改正する法律」(平成16年法律第156号)は,性的な被害に係る犯罪に対する国民の規範意識に合致させるため,強制わいせつ罪の法定刑を6月以上7年以下の懲役から6月以上10年以下の懲役に引き上げ,強姦罪の法定刑を2年以上の有期懲役から3年以上の有期懲役に引き上げるなどし,「刑法の一部を改正する法律」(平成29年法律第72号)は,性的な被害に係る犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処を可能とするため,それまで強制わいせつ罪による処罰対象とされてきた行為の一部を強姦罪とされてきた行為と併せ,男女いずれもが,その行為の客体あるいは主体となり得るとされる強制性交等罪を新設するとともに,その法定刑を5年以上の有期懲役に引き上げたほか,監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設するなどしている。これらの法改正が,性的な被害に係る犯罪やその被害の実態に対する社会の一般的な受け止め方の変化を反映したものであることは明らかである。

 ウ 以上を踏まえると,今日では,強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべきであって,行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は,その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず,もはや維持し難い。

 (5) もっとも,刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。そして,いかなる行為に性的な意味があり,同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる。

 そうすると,刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。

 (6) そこで,本件についてみると,第1審判決判示第1の1の行為は,当該行為そのものが持つ性的性質が明確な行為であるから,その他の事情を考慮するまでもなく,性的な意味の強い行為として,客観的にわいせつな行為であることが明らかであり,強制わいせつ罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の結論は相当である。

 以上によれば,刑訴法410条2項により,昭和45年判例を当裁判所の上記見解に反する限度で変更し,原判決を維持するのを相当と認めるから,同判例違反をいう所論は,原判決破棄の理由にならない。なお,このように原判決を維持することは憲法31条等に違反するものではない。

 2 弁護人奥村徹の上告趣意のうち,その余の判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか,引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を欠くものであり,その余は,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 よって,刑訴法414条,396条,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 検察官平光信隆,同中原亮一 公判出席

(裁判長裁判官 寺田逸郎 裁判官 岡部喜代子 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 木内道祥 裁判官 山本庸幸 裁判官 山崎敏充 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之 裁判官 菅野博之 裁判官 山口 厚 裁判官 戸倉三郎 裁判官 林 景一)

 

 

シンガポール・デベロップメント事件・整理解雇

 

 

              地位確認等請求事件

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/平成11年(ワ)第12411号

【判決日付】      平成12年6月23日

【判示事項】       外資系銀行の国内における二つの支店のうち、一方の支店の閉鎖に伴う従業員の整理解雇につき、他方支店において希望退職者を募集しなければ解雇回避努力義務を尽くしたことにはならない等とする原告らの主張が退けられ、整理解雇の四要件を満たした有効なものとして、地位確認等を求めた原告らの請求が棄却された例

【掲載誌】        労働判例786号16頁

             労働経済判例速報1752号17頁

【評釈論文】      民商法雑誌124巻2号97頁

 

 

労働契約法

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 

整理解雇の4要件

経営不振や事業縮小など、使用者側の事情による人員削減のための解雇を「整理解雇」という。これを行うためには原則として、過去の労働判例から確立された4つの要件(1.人員整理の必要性 2.解雇回避努力義務の履行 3.被解雇者選定の合理性 4.解雇手続の妥当性)が充たされていなければなりません。これらを、「整理解雇の4要件」と呼びます。

 

共有者全員が提起した共有権確認訴訟と固有必要的共同訴訟

 

 

土地所有権確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和42年(オ)第535号

【判決日付】      昭和46年10月7日

【判示事項】      1、共有者全員が提起した共有権確認訴訟と固有必要的共同訴訟

             2、共有者全員が提起した共有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟と固有必要的共同訴訟

【判決要旨】      1、1個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する1個の所有権)に基づき共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態は、固有必要的共同訴訟と解すべきである。

             2、1個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となり、共有権(その数名が共同して有する1個の所有権)に基づき所有権移転登記手続を求めているときは、その登記の形態は、固有必要的共同登記と解すべきである。

【参照条文】      民事訴訟法62

             民法249

             民法251

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集25巻7号885頁

 

 

民法

(共有物の使用)

第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

 

(共有物の変更)

第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

 

 

民事訴訟法

(必要的共同訴訟)

第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。

2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。

3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

 

和解が要素の錯誤によつて無効とされた事例

 

 

商品代金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和32年(オ)第1171号

【判決日付】      昭和33年6月14日

【判示事項】      1、和解が要素の錯誤によつて無効とされた事例

             2、契約の要素に錯誤があつた場合と民法第570条の適用の有無

【判決要旨】      1、仮差押の目的となつているジヤムが一定の品質を有することを前提として和解契約をなしたところ、右ジヤムが原判示の如き(原判決理由参照)粗悪品であつたときは、右和解は要素に錯誤があるものとして無効であると解すべきである。

             2、契約の要素に錯誤があつて無効であるときは、民法第570条の瑕疵担保の規定の適用は排除される。

【参照条文】      民法696

             民法95

             民法570

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集12巻9号1492頁

 

 

民法

(錯誤)

第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。

一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。

二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

 

(抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求)

第五百七十条 買い受けた不動産について契約の内容に適合しない先取特権、質権又は抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。

 

(和解の効力)

第六百九十六条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

 

集合債権譲渡担保権に対して民事再生法31条1項所定の担保権実行中止命令を発することの可否(積極)

 

 

担保権実行手続中止命令に対する抗告事件

【事件番号】      大阪高等裁判所決定/平成21年(ラ)第408号

【判決日付】      平成21年6月3日

【判示事項】      1 集合債権譲渡担保権に対して民事再生法31条1項所定の担保権実行中止命令を発することの可否(積極)

             2 集合債権譲渡担保権に対して民事再生法31条1項所定の担保権実行中止命令を発する場合の当該担保権者に与える不当な損害の判断基準

【判決要旨】      1 集合債権譲渡担保権に対しても、当該担保権の実行により再生債務者の事業に不可欠な財産が失われて事業再生が困難となり、再生債務者一般の利益に反する事態が起こり得ると想定できる場合には、民事再生法31条1項を類推適用して、同項所定の担保権実行中止命令を発することができる。

             2 集合債権譲渡担保権に対する民事再生法31条1項所定の担保権実行中止命令を発する場合においては、担保権実行中止命令により再生債務者が債権を取り立てれば、その範囲で当該債権は消滅するが、新たに発生して譲渡担保権の対象に組み込まれる債権も存在するので、このような全体の状況を勘案して、当該担保権者に不当な損害が生じるか否かを判断すべきである。

【参照条文】      民事再生法31

【掲載誌】        金融・商事判例1321号30頁

             金融法務事情1886号59頁

 

 

民事再生法

(担保権の実行手続の中止命令)

第三十一条 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、競売申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、第五十三条第一項に規定する再生債務者の財産につき存する担保権の実行手続の中止を命ずることができる。ただし、その担保権によって担保される債権が共益債権又は一般優先債権であるときは、この限りでない。

 裁判所は、前項の規定による中止の命令を発する場合には、競売申立人の意見を聴かなければならない。

 裁判所は、第一項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。

 第一項の規定による中止の命令及び前項の規定による変更の決定に対しては、競売申立人に限り、即時抗告をすることができる。

 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

 

 

公職選挙法第二二一条第一項第一号の金銭供与の幇助の訴因に対し共同正犯の事実を認定するには訴因変更手続を要するか

 

 

公職選挙法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和37年(あ)第3011号

【判決日付】      昭和40年4月28日

【判示事項】      一、公職選挙法第二二一条第一項第一号の金銭供与の幇助の訴因に対し共同正犯の事実を認定するには訴因変更手続を要するか

             二、訴因変更命令には、いわゆる形成的効力が認められるか

【判決要旨】      一、被告人は甲が立候補予定者に当選を得しめる目的で選挙人等に金銭を供与する際、その案内や、選挙人を紹介する等の行為をしてこれを幇助したという公職選挙法第二二一条第一項第一号違反の幇助の訴因に対し、右甲との同条項違反の共同正犯の事実を認するには訴因変更手続を経ることを要する。

             二、刑事訴訟法第三一二条第二項により裁判所が訴因変更命令を発しても、検察官がこれに応じて訴因変更手続をとらない限り、訴因は変更されないと解すべきである。

             (反対意見がある。)

【参照条文】      刑事訴訟法312

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集19巻3号270頁

 

 

公職選挙法

(買収及び利害誘導罪)

第二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮こ又は五十万円以下の罰金に処する。

一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。

二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。

三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。

四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。

五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。

六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。

2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員若しくは職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し同項の罪を犯したときも、また同様とする。

3 次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。

一 公職の候補者

二 選挙運動を総括主宰した者

三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)

四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者

 

 

刑事訴訟法

第三百十二条 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。

② 裁判所は、審理の経過に鑑み適当と認めるときは、訴因又は罰条を追加又は変更すべきことを命ずることができる。

③ 裁判所は、訴因又は罰条の追加、撤回又は変更があつたときは、速やかに追加、撤回又は変更された部分を被告人に通知しなければならない。

④ 裁判所は、訴因又は罰条の追加又は変更により被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞があると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、被告人に充分な防禦の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。