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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在しその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,その所有権が担保権の性質を有することを理由として撤去義務や不法行為責任を免れるか

 

 

車両撤去土地明渡等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成20年(受)第422号

【判決日付】      平成21年3月10日

【判示事項】      動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在しその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,その所有権が担保権の性質を有することを理由として撤去義務や不法行為責任を免れるか

【判決要旨】      動産の購入代金を立替払した者が、立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、買主との契約上、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有、使用する権原を有せず、その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは、所有権を留保した者は、第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について、上記弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り、撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、上記弁済期が経過した後は、留保された所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない。

【参照条文】      民法206

             民法369(所有権留保)

             民法709

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集63巻3号385頁

 

 

民法

(所有権の内容)

第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

 

(抵当権の内容)

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

人事に関する訴え以外の訴えにおける民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無の判断基準

 

 

執行判決請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成23年(受)第1781号

【判決日付】      平成26年4月24日

【判示事項】      1 人事に関する訴え以外の訴えにおける民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無の判断基準

             2 違法行為により権利利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えと民訴法3条の3第8号の「不法行為に関する訴え」

             3 違法行為により権利利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えにおける民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」の意義

             4 違法行為により権利利益を侵害され又は侵害されるおそれがあるとして差止請求を認めた外国裁判所の判決について民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無を判断する場合において,民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」が当該外国裁判所の属する国にあるというために証明すべき事項

【判決要旨】      1 人事に関する訴え以外の訴えにおける民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無については、基本的に我が国の民訴法の定める国際裁判管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、外国裁判所の判決を我が国が承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判断すべきである。

             2 民訴法3条の3第8号の「不法行為に関する訴え」は、違法行為により権利利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えをも含む。

             3 違法行為により権利利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者が提起する差止請求に関する訴えについては、民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」は、違法行為が行われるおそれのある地や、権利利益を侵害されるおそれのある地をも含む。

             4 違法行為により権利利益を侵害され、または侵害されるおそれがあるとして差止請求を認めた外国裁判所の判決について民訴法118条1号のいわゆる間接管轄の有無を判断する場合において、民訴法3条の3第8号の「不法行為があった地」が当該外国裁判所の属する国にあるというためには、被告が原告の権利利益を侵害する行為を同国内で行うおそれがあるか、原告の権利利益が同国内で侵害されるおそれがあるとの客観的事実関係が証明されれば足りる。

【参照条文】      民事訴訟法118

             民事執行法22

             民事執行法24

             民事訴訟法3の3

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集68巻4号329頁

 

 

民事訴訟法

(外国裁判所の確定判決の効力)

第百十八条 外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。

一 法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。

二 敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。

三 判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。

四 相互の保証があること。

 

(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)

第三条の三 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定めるときは、日本の裁判所に提起することができる。

一 契約上の債務の履行の請求を目的とする訴え又は契約上の債務に関して行われた事務管理若しくは生じた不当利得に係る請求、契約上の債務の不履行による損害賠償の請求その他契約上の債務に関する請求を目的とする訴え

契約において定められた当該債務の履行地が日本国内にあるとき、又は契約において選択された地の法によれば当該債務の履行地が日本国内にあるとき。

二 手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え

手形又は小切手の支払地が日本国内にあるとき。

三 財産権上の訴え

請求の目的が日本国内にあるとき、又は当該訴えが金銭の支払を請求するものである場合には差し押さえることができる被告の財産が日本国内にあるとき(その財産の価額が著しく低いときを除く。)。

四 事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの

当該事務所又は営業所が日本国内にあるとき。

五 日本において事業を行う者(日本において取引を継続してする外国会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社をいう。)を含む。)に対する訴え

当該訴えがその者の日本における業務に関するものであるとき。

六 船舶債権その他船舶を担保とする債権に基づく訴え

船舶が日本国内にあるとき。

七 会社その他の社団又は財団に関する訴えで次に掲げるもの

社団又は財団が法人である場合にはそれが日本の法令により設立されたものであるとき、法人でない場合にはその主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき。

イ 会社その他の社団からの社員若しくは社員であった者に対する訴え、社員からの社員若しくは社員であった者に対する訴え又は社員であった者からの社員に対する訴えで、社員としての資格に基づくもの

ロ 社団又は財団からの役員又は役員であった者に対する訴えで役員としての資格に基づくもの

ハ 会社からの発起人若しくは発起人であった者又は検査役若しくは検査役であった者に対する訴えで発起人又は検査役としての資格に基づくもの

ニ 会社その他の社団の債権者からの社員又は社員であった者に対する訴えで社員としての資格に基づくもの

八 不法行為に関する訴え

不法行為があった地が日本国内にあるとき(外国で行われた加害行為の結果が日本国内で発生した場合において、日本国内におけるその結果の発生が通常予見することのできないものであったときを除く。)。

九 船舶の衝突その他海上の事故に基づく損害賠償の訴え

損害を受けた船舶が最初に到達した地が日本国内にあるとき。

十 海難救助に関する訴え

海難救助があった地又は救助された船舶が最初に到達した地が日本国内にあるとき。

十一 不動産に関する訴え

不動産が日本国内にあるとき。

十二 相続権若しくは遺留分に関する訴え又は遺贈その他死亡によって効力を生ずべき行為に関する訴え

相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)。

十三 相続債権その他相続財産の負担に関する訴えで前号に掲げる訴えに該当しないもの

同号に定めるとき。

 

 

民事執行法

(債務名義)

第二十二条 強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。

一 確定判決

二 仮執行の宣言を付した判決

三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)

三の二 仮執行の宣言を付した損害賠償命令

三の三 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令

四 仮執行の宣言を付した支払督促

四の二 訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(他の法令の規定により非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の規定を準用することとされる事件を含む。)、家事事件若しくは国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平成二十五年法律第四十八号)第二十九条に規定する子の返還に関する事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)

五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)

六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決(家事事件における裁判を含む。第二十四条において同じ。)

六の二 確定した執行決定のある仲裁判断

 

(外国裁判所の判決の執行判決)

第二十四条 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(家事事件における裁判に係るものにあつては、家庭裁判所。以下この項において同じ。)が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

2 前項に規定する地方裁判所は、同項の訴えの全部又は一部が家庭裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

3 第一項に規定する家庭裁判所は、同項の訴えの全部又は一部が地方裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該訴えに係る訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。

4 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。

5 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条各号(家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第七十九条の二において準用する場合を含む。)に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。

6 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。

 

 

青森県十和田市奥入瀬渓流の遊歩道において観光客がブナの枯れ枝の落下により負傷した事故について,国と県の損害賠償責任が認められた事例(控訴審)

 

 

損害賠償請求控訴,附帯控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成18年(ネ)第2721号、平成18年(ネ)第3529号

【判決日付】      平成19年1月17日

【判示事項】      奥入瀬渓流の遊歩道において観光客がブナの枯れ枝の落下により負傷した事故について,国と県の損害賠償責任が認められた事例(控訴審)

【参照条文】      国家賠償法2-1

             民法717-2

【掲載誌】        判例タイムズ1246号122頁

【評釈論文】      環境法研究35号95頁

 

 

国家賠償法

第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

 

 

民法

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

 

 

       主   文

 

 1 附帯控訴に基づき,原判決中被控訴人花子に関する部分を次のとおり変更する。

 (1)控訴人らは,被控訴人花子に対し,連帯して金1億8974万4243円及びこれに対する平成15年8月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2)被控訴人花子のその余の請求を棄却する。

 2 本件各控訴をいずれも棄却する。

 3 控訴人らと被控訴人太郎との間の控訴費用は,控訴人らの負担とし,控訴人らと被控訴人花子との間の訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを4分し,その1を同被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。

 4 この判決主文の1項(1)は,本判決が各控訴人に送達された日から14日を経過したときは,仮に執行することができる。ただし,各控訴人が,9500万円の担保を供したときは,当該控訴人は,それぞれ仮執行を免れることができる。

 

       事実及び理由

 

第1 求める裁判

 1 控訴人国(控訴の趣旨)

 (1)原判決中,控訴人国敗訴部分を取り消す。

 (2)被控訴人らの控訴人国に対する請求を棄却する。

 2 控訴人県(控訴の趣旨)

 (1)原判決中,控訴人県敗訴部分を取り消す。

 (2)被控訴人らの控訴人県に対する請求を棄却する。

 3 被控訴人花子(附帯控訴の趣旨)

 (1)原判決中,被控訴人花子に関する部分を,次のとおり変更する。

 (2)控訴人らは,被控訴人花子に対し,連帯して,2億2226万2449円及びこれに対する平成15年8月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 1 被控訴人花子は,平成15年8月4日,十和田八幡平国立公園の特別保護地区内に属する青森県十和田市(旧上北郡十和田湖町)大字奥瀬字惣辺山国有林51林班内(通称「奥入瀬渓流石ヶ戸」地内。以下「奥入瀬石ヶ戸」という。)の遊歩道付近(付近の概況は,別紙図面〔原判決添付図面と同一〕に図示するとおり)において観光中,突然落下したブナの木の枝の直撃を受け,胸椎脱臼骨折等の傷害を受け,両下肢の機能を全廃する後遺障害を負う事故(以下「本件事故」という。)に遭遇した。被控訴人太郎は,当時,被控訴人花子の内縁の夫であった。本件は,被控訴人らが,控訴人国,控訴人県は,いずれも前記遊歩道の設置管理者であり,前記ブナの木の所有者ないし占有者及び設置管理者であるとの前提で,控訴人らに対し,① 国家賠償法2条(公の営造物の設置,管理の瑕疵),② 同法1条(公務員の管理行為についての注意義務違反),③ 民法717条2項(所有,占有する本件ブナの木の植栽,支持の瑕疵),④ 同法709条(観光客に対する安全確保義務違反),以上①ないし④の責任原因を選択的に主張して,被控訴人花子が被った損害2億2229万8039円,被控訴人太郎が被った損害1100万円とその遅延損害金の賠償を求めた事案である。

 原審は,控訴人県につき国賠法2条の,控訴人国につき民法717条2項の各責任原因を認め,被控訴人らの請求のうち,被控訴人花子について1億4555万5900円とその遅延損害金,被控訴人太郎について330万円とその遅延損害金の各連帯支払を控訴人らに求めた部分を認容し,その余を棄却した。控訴人らは,その敗訴部分の判断を不服として控訴した。被控訴人花子は,その敗訴部分の判断の一部を不服として附帯控訴し,その請求額を2億2226万2449円とその遅延損害金に減縮した。

建物の区分所有等に関する法律1条にいう構造上区分された建物部分の意義

 

 

              建物所有権保存登記抹消登記手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和53年(オ)第1373号

【判決日付】      昭和56年6月18日

【判示事項】      1、建物の区分所有等に関する法律1条にいう構造上区分された建物部分の意義

             2、構造上他の部分と区別されそれ自体として独立の建物としての用途に供することができるような外形を有する建物部分の一部に共用設備が設置されている場合と建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分

             3、共用設備が設置されている車庫が建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたるとされた事例

【判決要旨】      1、建物の区分所有等に関する法律1条にいう構造上区分された建物部分とは、建物の構成部分である隔壁、階層等により独立した物的支配に適する程度に他の部分と遮断されており、その範囲が明確な建物部分をいい、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていることを要しない。

             2、構造上他の部分と区分され、かつ、それ自体として独立の建物としての用途に供することができるような外形を有する建物部分は、そのうちの一部の区分所有者らの共用に供される設備が設置されていても、右の共用設備が当該建物部分の小部分を占めるにとどまり、その余の部分をもつて独立の建物の場合と実質的に異なるところのない態様の排他的使用に供することができ、かつ、他の区分所有者らによる右共用設備の利用、管理によつて右の排他的使用に格別の制限ないし障害を生ずることがなく、反面、かかる使用によつて共用設備の保存及び他の区分所有者らによる利用に影響を及ぼすこともない場合には、なお建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたる。

             3、建物の1階部分にある車庫内に、建物の共用設備として、壁の内側附近2か所に臭気抜きの排気管が取りつけられ、出入口附近の床の3か所に排水用のマンホールが設置されていても、これらが車庫のうちのきわめて僅かな部分を占めるにすぎず、かつ、これらがあるために建物の管理人が日常車庫に出入りする必要が生ずるわけでもないなど、原判示の事実関係のもとにおいては、右車庫は、建物の区分所有等に関する法律にいう専有部分にあたる。

【参照条文】      建物の区分所有等に関する法律

             建物の区分所有等に関する法律2-3

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集35巻4号798頁

             下級裁判所民事裁判例集31巻5~8号860頁

             最高裁判所裁判集民事133号119頁

 

 

建物の区分所有等に関する法律

(建物の区分所有)

第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

(定義)

第二条  この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。

2  この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。

3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

4  この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。

5  この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。

6  この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

 

 

 

名称を「アクシスフォーマー」とする健康器具を販売していた原告が,被告に対し,被告開設のウェブサイト下のウェブページにおける,①掲載記事によって原告製品・原告の信用が毀損されたとして不法行為に基づき,②原告特定商品等表示と類似するドメイン名の使用が不正競争に当たるとして使用料相当額の,③原告著作物の掲載が著作権侵害に当たるとして利用料相当額の,④発信者情報開示請求及び本件訴訟の各弁護士費用を合計した損害額等の支払を求めた事案。

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/平成28年(ワ)第7393号

【判決日付】      平成29年3月21日

【判示事項】      名称を「アクシスフォーマー」とする健康器具を販売していた原告が,被告に対し,被告開設のウェブサイト下のウェブページにおける,①掲載記事によって原告製品・原告の信用が毀損されたとして不法行為に基づき,②原告特定商品等表示と類似するドメイン名の使用が不正競争に当たるとして使用料相当額の,③原告著作物の掲載が著作権侵害に当たるとして利用料相当額の,④発信者情報開示請求及び本件訴訟の各弁護士費用を合計した損害額等の支払を求めた事案。

裁判所は,①につき,本件記事を掲載した被告の行為により名誉毀損の不法行為が成立するとし,②被告は原告に損害を加える目的で,原告の特定商品等表示である原告製品名と類似のドメイン名を使用したもので不正競争に当たるとし,③被告は原告の著作権及び公衆送信権を侵害したものであるなどとして,①ないし④の損害賠償請求につき,それらの一部を認容した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

著作権法

(複製権)

第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

 

(公衆送信権等)

第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

 

 

 

       主   文

 

 1 被告は,原告に対し,65万円及びこれに対する平成28年8月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 原告のその余の請求を棄却する。

 3 訴訟費用はこれを50分し,その3を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

 4 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

酒酔い運転につき刑法第39条第2項の適用がないとされた事例

 

原因において自由な行為

 

 

              恐喝、道路交通法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/昭和42年(あ)第1814号

【判決日付】      昭和43年2月27日

【判示事項】      酒酔い運転につき刑法第39条第2項の適用がないとされた事例

【判決要旨】      酒酔い運転の行為当時に飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあつたとしても、飲酒の際酒酔い運転の意思が認められる場合には、刑法第39条第2項を適用して刑の減軽をすべきではない。

【参照条文】      刑法39-2

             道路交通法117の2

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集22巻2号67頁

 

 

刑法

(心神喪失及び心神耗弱)

第三十九条  心神喪失者の行為は、罰しない。

2  心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

 

 

道路交通法

第百十七条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

二  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)

三  第六十六条(過労運転等の禁止)の規定に違反した者(麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第三条の三の規定に基づく政令で定める物の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転した者に限る。)

四  次条第一項第八号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者

2  次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第三号の規定に違反して、酒に酔つた状態で自動車を運転することを命じ、又は容認したとき。

二  第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第四号の規定に違反して、前項第三号に規定する状態で自動車を運転することを命じ、又は容認したとき。

三  第七十五条の十二(特定自動運行の許可)第一項の許可を受けないで(第七十五条の二十七(許可の取消し等)第一項又は第七十五条の二十八(許可の効力の仮停止)第一項の規定により当該許可の効力が停止されている場合を含む。)特定自動運行を行つたとき。

四  偽りその他不正の手段により第七十五条の十二(特定自動運行の許可)第一項又は第七十五条の十六(許可事項の変更)第一項の許可を受けたとき。

五  第七十五条の十六(許可事項の変更)第一項の規定に違反して特定自動運行計画を変更したとき。

六  第七十五条の二十六(特定自動運行実施者に対する指示)第一項の規定による公安委員会の指示に従わなかつたとき。

 

主たる債務者に対しいわゆる事前求償権を取得した保証人が主たる債務の弁済等により取得する求償権の消滅時効の起算点

 

 

求償債権等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和59年(オ)第885号

【判決日付】      昭和60年2月12日

【判示事項】      主たる債務者に対しいわゆる事前求償権を取得した保証人が主たる債務の弁済等により取得する求償権の消滅時効の起算点

【判決要旨】      主たる債務者から委託を受けて保証をした保証人が、主たる債務者に対し、民法459条1項前段若しくは同法466条の規定または主たる債務者との合意に基づき、いわゆる事前求償権を取得した場合であっても、右保証人が、弁済その他自己の出捐をもって主たる債務を消滅させるべき行為をしたことにより同法459条1項後段の規定に基づいて取得する求償権の消滅時効は、右行為をした時から進行するものと解すべきである。

【参照条文】      民法166-1

             民法459-1

             民法460

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集39巻1号89頁

 

 

民法

(債権等の消滅時効)

第百六十六条  債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一  債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

二  権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

2  債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。

3  前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。 ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

 

(委託を受けた保証人の求償権)

第四百五十九条  保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(以下「債務の消滅行為」という。)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する。

2  第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)

第四百五十九条の二  保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。 この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

2  前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

3  第一項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。

(委託を受けた保証人の事前の求償権)

第四百六十条  保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。

一  主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。

二  債務が弁済期にあるとき。 ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。

三  保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。

 

仙台市職員が、磁気ディスクをもって調製される住民票に不実の記載をしてこれを住民基本台帳事務の用に供した行為につき、公電磁的記録不正作出罪及び同供用罪が成立するとされた事例

 

 

              有印公文書偽造、同行使、有印私文書偽造、同行使、公正証書等原本不実記載、同行使、公電磁的記録不正作出、同供用

【事件番号】      仙台地方裁判所判決/平成2年(わ)第145号

【判決日付】      平成2年9月11日

【判示事項】      市職員が、磁気ディスクをもって調製される住民票に不実の記載をしてこれを住民基本台帳事務の用に供した行為につき、公電磁的記録不正作出罪及び同供用罪が成立するとされた事例

【掲載誌】        刑事裁判資料273号197頁

 

 

刑法

(公文書偽造等)

第百五十五条  行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

2  公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

(虚偽公文書作成等)

第百五十六条  公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。

 

(偽造公文書行使等)

第百五十八条  第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

2  前項の罪の未遂は、罰する。

 

(私文書偽造等)

第百五十九条  行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2  他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 

(偽造私文書等行使)

第百六十一条  前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

 

(罪となるべき事実)

 被告人は、昭和六一年四月から同六三年一二月までの間、仙台市市民局市民部A支所において仙台市職員として戸籍事務に従事していたものであるが、その職務を利用して、架空の人物である有山孝志の戸籍等を造り上げ、同人になりすまして、同人名義で金融業者から金員を借り入れようと思い立ち

第一

  一 昭和六二年一〇月二二日ころ、仙台市太白区A《番地略》所在の右A支所において、行使の目的をもって、ほしいままに、タイプライターを用いて同所備付けの戸籍用紙の本籍欄に「A《番地略》」、筆頭者氏名欄に「有山孝志」、戸籍事項欄に「昭和六拾年弐月弐拾壱日石川県金沢市《番地略》から転籍届出」、筆頭者の名欄に「夫」「孝志」、その出生年月日欄に「昭和参拾七」「弐」「拾壱」、その父欄に「有山B」、その母欄に「C」、その続柄欄に「長男」、その身分事項欄に「昭和参拾七年弐月拾壱日東京都北区で出生同月拾九日父届出入籍」「昭和五拾八年拾月弐日山中Dと婚姻届出東京都北区《番地略》有山B戸籍から入籍」、配偶者の名欄に「妻」「D」、その出生年月日欄に「昭和参拾八」「九」「拾五」、その父欄に「山中E」、その母欄に「F」、その続柄欄に「弐女」、その身分事項欄に「昭和参拾八年九月拾五日長野県上田市で出生同月弐拾参日父届出同月参拾日同市長から送付入籍」「昭和五拾八年拾月弐日有山孝志と婚姻届出群馬県高崎市《番地略》山中E戸籍から入籍」などと不実の内容を各記入し、右戸籍事項欄及び各身分事項欄の記載末尾に同支所備付けの「市長石井」と刻した印鑑を冒捺し、もって仙台市長作成名義の戸籍一通の偽造を遂げたうえ、即時同所において、これを同所の戸籍簿に編綴備え付けて行使し

  二 同六二年一〇月二七日ころ、仙台市太白区《番地略》被告人方において、行使の目的をもって、ほしいままに、黒色ボールペンを用いて、転籍届用紙二通の各本籍欄に「宮城県仙台市A《番地略》」、各筆頭者の氏名欄に「有山孝志」、各新しい本籍欄に「山形市《番地略》」、各届出人欄の筆頭者欄に「有山孝志」、各同欄の配偶者欄に「有山D」などと不実の内容を記載し、更に、同年一一月二日、山形市旅篭町二丁目三番二五号山形市役所において、右転籍届出用紙二通の各届出人欄に「有山」と刻した印鑑を冒捺し、もって有山孝志及び有山D作成名義の転籍届二通の偽造を遂げ、即時同所において同所係員Gに対し、これらを、あたかも真正に作成されたもののように装って右戸籍に基づく戸籍謄本とともに提出して行使し、そのころ同人(G)から回付を受けた同所係員Hをして、公正証書の原本である戸籍にその旨の不実の記載をなさしめたうえ、即時同所において、これを同所の戸籍簿に編綴備付けさせて行使し

第二

  一 同年一〇月二六日、前記A支所において、仙台市の事務処理を誤らせる目的をもって、ほしいままに、同市の電子計算機の端末機を操作して、住民基本台帳法に基づき磁気ディスクをもって調整された電磁的記録である住民票の氏名欄に「有山孝志」、生年月日欄に「昭和37年2月11日」、性別欄に「男」世帯主欄に「有山孝志」、続柄欄に「世帯主」、住民となった年月日欄に「昭和62年10月1日」、住所欄に「《番地等略》」、住定年月日欄に「昭和62年10月1日」、届出日欄に「昭和62年10月26日届出」、本籍欄に「宮城県仙台市A《番地略》」、筆頭者欄に「有山孝志」、前住所地欄に「昭和62年10月1日アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンジェルス市から転入」と同人が転入した旨不実の内容を各記録し、更に、別の住民票の氏名欄に「有山D」、生年月日欄に「昭和38年9月15日」、性別欄に「女」、世帯主欄に「有山孝志」、続柄欄に「妻」、住民となった年月日欄に「昭和62年10月1日」、住所欄に「《番地等略》」、住定年月日欄に「昭和62年10月1日」、届出日欄に「昭和62年10月26日届出」、本籍欄に「宮城県仙台市A《番地略》」、筆頭者欄に「有山孝志」、前住所地欄に「昭和62年10月1日アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンジェルス市から転入」と右有山Dが転入した旨不実の内容を各記録し、もって、仙台市長により作られ同市の住民に関する事務処理の用に供する権利、義務に関する電磁的記録である住民票を不正に作出したうえ、即時、同一の目的をもって、これを同市役所第二庁舎と前記A支所間のオンラインシステムにより同市青葉区上杉一丁目五番一号所在の同市役所第二庁舎の磁気ディスク装置に備え付けて同市の事務処理の用に供し

  二 同年一一月九日、前記A支所において、同市の事務処理を誤らせる目的をもって、ほしいままに、同市の電子計算機の端末機を操作して、右有山孝志の住民票の住所欄に「《番地等略》」、住定年月日欄に「昭和62年11月3日転居」、届出日欄に「昭和62年11月9日届出」と同人が住所変更した旨不実の内容を各記録し、更に、右有山Dの住民票の住所欄に「《番地等略》」、住定年月日欄に「昭和62年11月3日転居」、届出日欄に「昭和62年11月9日届出」と同女が住所変更した旨の不実の内容を各記録し、もって仙台市長により作られ同市の住民に関する事務処理の用に供する権利、義務に関する電磁的記録である住民票を不正に作出したうえ、即時、同一の目的をもって、これらを前記オンラインシステムにより前記仙台市役所第二庁舎の磁気ディスク装置に備え付けて同市の事務処理の用に供し

  三 同六三年二月五日、前記A支所において、同市の事務処理を誤らせる目的をもって、ほしいままに、同市の電子計算機の端末機を操作して、右有山孝志の住民票の氏名欄に「大沼孝志」、世帯主欄に「大沼孝志」、筆頭者欄に「大沼孝志」、備考欄に「昭和63年2月5日戸籍通知により氏名、筆頭者、世帯主修正」と同人が改姓した旨不実の内容を各記録し、更に、有山Dの住民票の氏名欄に「大沼D」、世帯主欄に「大沼孝志」、筆頭者欄に「大沼孝志」、備考欄に「昭和63年2月5日世帯主修正」「昭和63年2月5日戸籍通知により氏名、筆頭者修正」と同女が改姓した旨不実の内容を各記録し、もって、仙台市により作られ同市の住民に関する事務処理の用に供する権利、義務に関する電磁的記録である住民票を不正に作出したうえ、即時、同一の目的をもって、これらを前記オンラインシステムにより前記仙台市役所第二庁舎の磁気ディスク装置に備え付けて同市の事務処理の用に供し

たものである。

(証拠の標目)《略》

(法令の適用)

 被告人の判示第一の一の所為のうち戸籍一通の偽造の点は刑法一五五条一項に、これを行使した点は同法一五八条一項(一五五条一項)に、判示第一の二の所為のうち転籍届二通の偽造の点はそれぞれ同法一五九条一項に、これらを行使した点は包括して同法一六一条一項(一五九条一項)に、公正証書原本不実記載の点は同法一五七条一項、罰金等臨時措置法三条一項一号に、同行使の点は刑法一五八条一項(一五七条一項)、罰金等臨時措置法三条一項一号に、判示第二の一ないし三の事実のうち、公電磁的記録の不正作出の点はいずれも刑法一六一条ノ二第二項、罰金等臨時措置法三条一項一号に、その供用の点はいずれも刑法一六一条ノ二第三項、罰金等臨時措置法三条一項一号に各該当するところ、判示第一の一の戸籍一通の偽造とその行使との間に手段結果の関係があるので刑法五四条一項後段、一〇条により一罪として犯情の重い偽造公文書行使罪の刑で処断することとし、判示第一の二の各有印私文書偽造と同行使、公正証書原本不実記載と同行使との間には、順次手段結果の関係があるので、同法五四条一項後段、一〇条により刑及び犯情の最も重い偽造有印私文書行使罪の刑で処断することとし、判示第二の一ないし三の各不正作出と供用との間には、いずれも手段結果の関係があるので、同法五四条一項後段、一〇条により犯情の重い各供用の罪の刑でそれぞれ処断することとし、判示第二の一ないし三の罪の刑について所定刑中懲役刑を選択し、以上は併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により刑及び犯情の最も重い判示第一の一の偽造有印公文書行使の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

建物の登記が所在地番の表示において実際と相違する場合と「建物保護ニ関スル法律」第1条第1項

 

 

              借地権確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和36年(オ)第1104号

【判決日付】      昭和40年3月17日

【判示事項】      建物の登記が所在地番の表示において実際と相違する場合と「建物保護ニ関スル法律」第1条第1項

【判決要旨】      地上権ないし賃借権の設定された土地の上の建物についてなされた登記が、錯誤または遺漏により建物所在地番の表示において実際と多少相違していても、建物の種類、構造、床面積等の記載とあいまち、その登記の表示全体において、当該建物の同一性を認識できるような軽微な相違であるような場合には、「建物保護ニ関スル法律」第1条第1項にいう「登記シタル建物ヲ有スル」場合にあたるものと解すべきである。

【参照条文】      建物保護に関する法律1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集19巻2号453頁

 

 

平成三年法律第九十号

借地借家法

(借地権の対抗力)

第十条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

 

 

請負契約における約定に反する太さの鉄骨が使用された建物建築工事に瑕疵があるとされた事例

 

 

請負代金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成15年(受)第377号

【判決日付】      平成15年10月10日

【判示事項】      請負契約における約定に反する太さの鉄骨が使用された建物建築工事に瑕疵があるとされた事例

【判決要旨】      建物建築工事の請負契約において、耐震性の面でより安全性の高い建物にするため、主柱について特に太い鉄骨を使用することが約定され、これが契約の重要な内容になっていたにもかかわらず、建物請負業者が、注文主に無断で、上記約定に反し、主柱工事につき約定の太さの鉄骨を使用しなかったという事情の下では、使用された鉄骨が、構造計算上、居住用建物としての安全性に問題のないものであったとしても、当該主柱の工事には、瑕疵がある。

【参照条文】      民法634-1

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事211号13頁

             裁判所時報1349号278頁

             判例タイムズ1138号74頁

             金融・商事判例1204号23頁

             判例時報1840号18頁

 

 

民法

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)

第六百三十四条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。

二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

 

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。