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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

商法626条3項にいう「倉庫業者ニ悪意アリタル場合」の「悪意」の意義

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      宮崎地方裁判所延岡支部判決/昭和46年(ワ)第114号

【判決日付】      昭和50年3月11日

【判示事項】      商法626条3項にいう「悪意アリタル場合」の意義

【参照条文】      商法626

             商法566

【掲載誌】        判例時報782号89頁

 

 

民法

(寄託者による損害賠償)

第六百六十一条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。

 

(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)

第六百六十四条の二 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

 

 

 

 

 

(1) 再抗弁一について、

 商法六二六条三項に規定する「倉庫業者ニ悪意アリタル場合」の「悪意」の意義については、同条が倉庫業者の責任について短期消滅時効を定めた趣旨を大量の寄託物を取扱う倉庫営業の性質に基づく証拠保全の困難の救済をはかり、もって倉庫業者の責任関係全体を速やかに解決せしめ、倉庫営業を保護することにあると理解されるべきことからすれば、この保護を奪う事由たる同条三項の「悪意」についてはなるべく制限的に解するのが相当というべく、倉庫業者又はその履行補助者が寄託物に故意に損害を生ぜしめ、あるいは損害を故意に隠蔽した場合をいうものと解するのが相当というべきである。もし損害を単に知っていたことをもって右悪意の意義を理解するならば、寄託物が全部滅失した場合においては倉庫業者は当然に損害発生を知っているのであるから常に悪意であることにならざるをえず、同条二項の規定はその意味を失うこととなるといわざるをえない。因みに、同法六二五条が運送人の責任の特別消滅事由に関する同法五八八条を倉庫営業者に準用し、同法五八九条が運送取扱人の責任の短期消滅時効に関する同法五六六条を運送人に準用していること、及び同法五六六条と同法六二六条とはその規定の仕方からもその目的とする趣旨からもほぼ同一の意義を有するものと理解されることから考えて同法五六六条三項に規定する「悪意」と同法六二六条三項に規定する「悪意」とは別異の意義に解釈すべき理由は見出せないというべきところ、同法五八八条二項及び同法五六六条三項にそれぞれ規定する「悪意」について運送人が運送品の毀損又は一部滅失のあることを知って引渡した場合をいうものと解する最判昭和四一年一二月二〇日民集二〇巻一〇号二一〇六頁が存する。従って同法六二六条三項に規定する「悪意」についても右判例と同様に解すべき余地がないとはいえないものの、当裁判所は前述した理由をもって右判例の立場に賛成しえない。

 そして本件全証拠によるも本件八朔みかんの毀損につき第一倉庫又はその履行補助者と認められるべき者が故意にそれを生ぜしめあるいは故意にそれを隠蔽した事実は認められない。

 よって被告の再抗弁一は理由がなく採用しない。

法学セミナー  2023年7月号

日本評論社

2023年7月号 通巻 822号

 

 

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[特集1]

 

責任はどこから

――責任原則とその展開

定価:税込 1,540円(本体価格 1,400円)

 

発刊年月              2023.06

雑誌コード          08069

判型       B5判

ページ数              116ページ

内容紹介

私法上の責任は何を根拠に生じるのか、生じた責任は誰が・どこまで負うべきなのかを、様々なケースに基づいて検討する。

本号の詳細 次号予告

__________________________

 

特集= 責任はどこから――責任原則とその展開

__________________________

 

 

民法上の責任に関する原則……野澤正充 

 

責任無能力者の行為に基づく監督者の責任はどこから?

  ……白石友行 

 

専門家の責任──医師の責任を中心に……山口斉昭 

 

国家賠償法1条1項に基づく責任の根拠と公務員の個人責任の位置づけ

  ……津田智成 

 

製造物責任における無過失責任――製造物責任法の課題と展望

  ……永下泰之 

 

デジタルプラットフォームの販売責任……カライスコス アントニオス 

 

災害と免責事由――責任契約における帰責事由?免責事由?

  ……廣峰正子

 

 

コメント

参考になります。

 

建物の登記簿上の所有名義人にすぎない者と建物収去義務

 

 

              建物収去土地明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和44年(オ)第1215号

【判決日付】      昭和47年12月7日

【判示事項】      建物の登記簿上の所有名義人にすぎない者と建物収去義務

【判決要旨】      建物の登記簿上の所有名義人にすぎない者は、たとえ、所有者との合意により名義人になつた場合でも建物の敷地所有者に対して建物収去義務を負わないと解すべきである(意見がある)。

【参照条文】      民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集26巻10号1829頁

             最高裁判所裁判集民事107号307頁

             判例タイムズ294号332頁

             判例時報702号59頁

【評釈論文】      法曹時報25巻7号132頁

             民商法雑誌69巻4号143頁

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

名神高速道路における大型バスの転覆事故につき、部分的ハイドロプレーニング現象発生下の事故であることを認め、当時かかる事態の発生は、自動車運転者一般に予見可能性はなかつたとして、過失が否定された事例

 

 

業務上過失致死傷被告事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/昭和46年(う)第679号

【判決日付】      昭和51年5月25日

【判示事項】      名神高速道路における大型バスの転覆事故につき、部分的ハイドロプレーニング現象発生下の事故であることを認め、当時かかる事態の発生は、自動車運転者一般に予見可能性はなかつたとして、過失が否定された事例

【判決要旨】      過失犯は、行為者に予見し得る事態に対応した回避措置をとらせることに意義があるから、予見の可能性の対象となる事態も漠然としたものでは足りず、行為者のおかれた立場において、結果発生の回避手段をとり得る程度の具体的内容をもつたものでなければならないところ、本件当時、被告人のような高速バス等自動車運転者一般に、自動車を運転し湿潤路面を高速走行中、通常のスリップ現象とは異なり、格別のハンドル・ブレーキ操作等もしないのに、わずかな横風等の外力によって横滑りを起すという極端に滑り易い異常事態(ハイドロプレーニング現象)が発生することがあり得ることまでの予見可能性がない場合には、右のような異常事態を予測した減速運転をすべき業務上の注意義務があるとはいえない。

【参照条文】      刑法211

【掲載誌】        刑事裁判月報8巻4~5号253頁

             判例タイムズ341号147頁

             判例時報827号123頁

             刑事裁判資料239号452頁

 

 

刑法

(業務上過失致死傷等)

第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 

 

相続税につき減額更正がされた後に増額更正がされた場合において,上記増額更正により新たに納付すべきこととなった税額に係る部分について上記相続税の法定納期限の翌日からその新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る延滞税が発生しないとされた事例

 

 

延滞税納付債務不存在確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成25年(行ヒ)第449号

【判決日付】      平成26年12月12日

【判示事項】      相続税につき減額更正がされた後に増額更正がされた場合において,上記増額更正により新たに納付すべきこととなった税額に係る部分について上記相続税の法定納期限の翌日からその新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る延滞税が発生しないとされた事例

【判決要旨】      相続税につき減額更正がされた後に増額更正がされた場合において,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記増額更正により新たに納付すべきこととなった税額に係る部分について,上記相続税の法定納期限の翌日からその新たに納付すべきこととなった税額の納期限までの期間に係る延滞税は発生しない。

             (1) 上記相続税については,法定の期限までに申告及び納付をした納税義務者による更正の請求に基づいて上記減額更正がされ,これにより減額された税額に係る部分につき過納金が還付された後,上記納付をした税額を超えない額に上記増額更正がされた。

             (2) 上記減額更正は,相続財産である土地の評価の誤りを理由としてされ,上記増額更正は,上記減額更正における土地の評価の誤りを理由としてされた。

             (補足意見及び意見がある。)

【参照条文】      国税通則法24

             国税通則法26

             国税通則法60-1

             国税通則法60-2

             国税通則法61-1

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事248号165頁

             裁判所時報1618号5頁

             判例タイムズ1412号121頁

             判例時報2254号18頁

             税務訴訟資料(徴収関係判決)平成26年順号26-

 

 

国税通則法

(更正)

第二十四条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。

 

(再更正)

第二十六条 税務署長は、前二条又はこの条の規定による更正又は決定をした後、その更正又は決定をした課税標準等又は税額等が過大又は過少であることを知つたときは、その調査により、当該更正又は決定に係る課税標準等又は税額等を更正する。

 

(延滞税)

第六十条 納税者は、次の各号のいずれかに該当するときは、延滞税を納付しなければならない。

一 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。

二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定を受けた場合において、第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税があるとき。

三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第五号に規定する国税、不納付加算税、重加算税及び過怠税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。

四 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。

五 源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しないとき。

2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税、輸入の許可を受けて保税地域から引き取られる物品に対する消費税等(石油石炭税法第十七条第三項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付等)の規定により納付すべき石油石炭税を除く。)その他政令で定める国税については、政令で定める日。次条第二項第一号において同じ。)の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額とする。ただし、納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第六十三条第一項、第四項及び第五項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限の翌日から二月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した額とする。

3 第一項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。

4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。

 

(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)

第六十一条 修正申告書(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者が当該国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知して提出した当該申告書(次項において「特定修正申告書」という。)を除く。)の提出又は更正(偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた納税者についてされた当該国税に係る更正(同項において「特定更正」という。)を除く。)があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該申告書の提出又は更正により納付すべき国税については、前条第二項に規定する期間から当該各号に定める期間を控除して、同項の規定を適用する。

一 その申告又は更正に係る国税について期限内申告書が提出されている場合において、その法定申告期限から一年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき その法定申告期限から一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間

二 その申告又は更正に係る国税について期限後申告書(還付金の還付を受けるための納税申告書で政令で定めるもの(以下「還付請求申告書」という。)を含む。以下この号及び次項において同じ。)が提出されている場合において、その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して一年を経過する日後に当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられたとき その期限後申告書の提出があつた日の翌日から起算して一年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間

2 修正申告書の提出又は納付すべき税額を増加させる更正(これに類するものとして政令で定める更正を含む。以下この項において「増額更正」という。)があつた場合において、その申告又は増額更正に係る国税について期限内申告書又は期限後申告書が提出されており、かつ、当該期限内申告書又は期限後申告書の提出により納付すべき税額を減少させる更正(これに類するものとして政令で定める更正を含む。以下この項において「減額更正」という。)があつた後に当該修正申告書の提出又は増額更正があつたときは、当該修正申告書の提出又は増額更正により納付すべき国税(当該期限内申告書又は期限後申告書に係る税額(還付金の額に相当する税額を含む。)に達するまでの部分として政令で定める国税に限る。以下この項において同じ。)については、前項の規定にかかわらず、前条第二項に規定する期間から次に掲げる期間(特定修正申告書の提出又は特定更正により納付すべき国税その他の政令で定める国税にあつては、第一号に掲げる期間に限る。)を控除して、同項の規定を適用する。

一 当該期限内申告書又は期限後申告書の提出により納付すべき税額の納付があつた日(その日が当該国税の法定納期限前である場合には、当該法定納期限)の翌日から当該減額更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間

二 当該減額更正に係る更正通知書が発せられた日(当該減額更正が更正の請求に基づく更正である場合には、同日の翌日から起算して一年を経過する日)の翌日から当該修正申告書が提出され、又は当該増額更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間

3 源泉徴収等による国税で次の各号に掲げる国税のいずれかに該当するものについては、前条第二項に規定する期間から当該各号に定める期間を控除して、同項の規定を適用する。ただし、その国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて偽りその他不正の行為がある場合(第二号に掲げる国税については、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知があるべきことを予知して納付されたときに限る。)は、この限りでない。

一 法定納期限から一年を経過する日後に納税告知書が発せられた国税 その法定納期限から一年を経過する日の翌日から当該告知書が発せられた日までの期間

二 前号に掲げるものを除き、法定納期限から一年を経過する日後に納付された国税 その法定納期限から一年を経過する日の翌日から当該納付の日までの期間

(一部納付が行なわれた場合の延滞税の額の計算等)

第六十二条 延滞税の額の計算の基礎となる国税の一部が納付されたときは、その納付の日の翌日以後の期間に係る延滞税の額の計算の基礎となる税額は、その納付された税額を控除した金額とする。

2 第六十条第三項(延滞税の納付)の規定により延滞税をあわせて納付すべき場合において、納税者の納付した金額がその延滞税の額の計算の基礎となる国税の額に達するまでは、その納付した金額は、まずその計算の基礎となる国税に充てられたものとする。

 

 

住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の損害賠償請求権を放棄する旨の議会の議決の適法性及び当該放棄の有効性に関する判断基準


公金違法支出損害賠償請求事件
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷判決/平成22年(行ヒ)第136号
【判決日付】    平成24年4月23日
【判示事項】    1 住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の損害賠償請求権を放棄する旨の議会の議決の適法性及び当該放棄の有効性に関する判断基準
          2 住民訴訟の係属中にされたその請求に係る市の損害賠償請求権を放棄する旨の市議会の議決が違法であるとした原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】    1 住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の損害賠償請求権を放棄する旨の議会の議決がされた場合において,当該請求権の発生原因である公金の支出等の財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響(その違法事由の性格や当該職員の帰責性等を含む。),当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,住民訴訟の係属の有無及び経緯,事後の状況その他の諸般の事情を総合考慮して,これを放棄することが普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする地方自治法の趣旨等に照らして不合理であってその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められるときは,その議決は違法となり,当該放棄は無効となる。
          2 市の合併前の町による土地の購入の代金が過大でありその売買が違法であるとして提起された住民訴訟の係属中に,その請求に係る当時の町長に対する市の損害賠償請求権を放棄する旨の市議会の議決がされた場合において,次の(1)~(6)など判示の事情の下で,放棄に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無を判断するに当たって考慮されるべき諸般の事情のうち,上記代金額の適正価格のほか上記住民訴訟の経緯や当該議案の提案理由書の記載の一部等について考慮しただけで,上記町長の帰責性の程度を判断するに足りる事情を十分に認定,考慮していないなど,上記売買契約締結行為の性質,内容,原因,経緯及び影響,当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響など考慮されるべき事情について十分に審理を尽くすことなく,直ちに当該議決が違法であるとした原審の判断には,違法がある。
          (1) 町においては,上記土地を浄水場用地として取得する必要性があったものであり,用地取得の予定時期を数年過ぎても他に適当な候補地が見当たらない中で,水道事業の管理者としての町長は,用地取得の早急な実現に向けて努力すべき立場にあり,売買の交渉の期間や内容等について相応の裁量も有していた。
          (2) 上記土地の売主が高額な代金額を要求した根拠は町の依頼した不動産鑑定士による鑑定評価額であり,町において中立的な専門家の関与なしに限られた期間内の当事者同士の交渉によって上記売主から代金額の大幅な引下げという譲歩を確実に引き出すことができたか否かは必ずしも明らかではなく,町長と上記売主との交渉の具体的な内容や状況等の事情も原審では明らかにされていない。
          (3) 町長において上記代金額と適正価格との差額から不法な利益を得て私利を図る目的があったなどの事情は証拠上うかがわれず,主張もされていない。
          (4) 上記代金額は町議会の議決を得た用地購入費の予算の枠内のもので,上記売買により浄水場用地が確保され浄水施設の設置等の早期実現が図られることによって,町ないし市及びその住民全体に相応の利益が及んでおり,町長が上記売買により不法な利益を得たなどの事情は証拠上うかがわれず,主張もされていない。
          (5) 市議会における当該議案の提案理由書やこれに賛成した議員らの発言の中で,浄水場の建設は緊急を要しており浄水場用地として上記土地を取得する必要性は高く地元住民の要望も強かった等の指摘もされており,町長の賠償責任を不当な目的で免れさせたことをうかがわせる事情は原審では明らかにされていない。
          (6) 浄水場用地の取得という公益的な政策目的に沿って町の執行機関が本来の責務として行う職務の遂行の過程における行為に関し,上記請求権の行使により執行機関の個人責任として直ちに1億数千万円の賠償責任の徴求がされた場合,長期的な観点からはこのような職務の遂行に萎縮的な影響を及ぼすなどのおそれもある。
          (1につき補足意見,2につき補足意見及び意見がある。)
【参照条文】    地方自治法96-1
          地方自治法242の2-1
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集66巻6号2789頁
          裁判所時報1554号217頁
          判例タイムズ1383号137頁
          判例時報2168号49頁


地方自治法
第九十六条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一 条例を設け又は改廃すること。
二 予算を定めること。
三 決算を認定すること。
四 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
七 不動産を信託すること。
八 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
九 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
十 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
十一 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
十二 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第二項に規定する処分又は同条第三項に規定する裁決をいう。以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において同じ。)に係る同法第十一条第一項(同法第三十八条第一項(同法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)又は同法第四十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
十三 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
十四 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
十五 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
② 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。

(住民訴訟)
第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求
2 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。
一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内
二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内
三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該六十日を経過した日から三十日以内
四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内
3 前項の期間は、不変期間とする。
4 第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。
5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
6 第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。
7 第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。
8 前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。
9 民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。
10 第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
11 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。
12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
(訴訟の提起)


 

児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」の意義

 

 

児童福祉法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成26年(あ)第1546号

【判決日付】      平成28年6月21日

【判示事項】      1 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」の意義

             2 児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」に当たるか否かの判断方法

【判決要旨】      1 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいい,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,これに含まれる。

             2 児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断すべきである。

【参照条文】      児童福祉法34-1

             児童福祉法60-1

             児童福祉法1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集70巻5号369頁

 

刑法

(監護者わいせつ及び監護者性交等)

第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

2 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

 

 

児童福祉法

第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

 

第三十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為

二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為

三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為

四 満十五歳に満たない児童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為

四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為

四の三 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業、同条第六項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第九項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為

五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

六 児童に淫いん行をさせる行為

七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為

八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為

九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為

② 児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター又は児童自立支援施設においては、それぞれ第四十一条から第四十三条まで及び第四十四条に規定する目的に反して、入所した児童を酷使してはならない。

 

第六十条 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

② 第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

③ 第三十四条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

④ 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

⑤ 第一項及び第二項(第三十四条第一項第七号又は第九号の規定に違反した者に係る部分に限る。)の罪は、刑法第四条の二の例に従う。

 

 

暴行によらない傷害罪の一場合

 

 

              傷害等被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和25年(あ)第1441号

【判決日付】      昭和27年6月6日

【判示事項】      暴行によらない傷害罪の一場合

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集6巻6号795頁

             最高裁判所裁判集刑事65号127頁

             判例タイムズ22号46頁

 

 

刑法

(傷害)

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

(暴行)

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人堂野達也の上告趣意第一点について

 しかし、傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上、その手段が何であるかを問はないのであり、本件のごとく暴行によらずに病毒を他人に感染させる場合にも成立するのである。従つて、これと見解を異にする論旨は採用できない(所論引用の判例は暴行を手段とした傷害の案件に関するものであつて、本件には適切でない。)

 同第二点について

 性病を感染させる懸念あることを認識して本件所為に及び他人に病毒を感染させた以上、当然傷害罪は成立するのであるから論旨は理由なき見解というべく、憲法違反の問題も成立する余地がない。

 よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

  昭和二七年六月六日

     最高裁判所第二小法廷

相続税法55条に基づく申告の後にされた増額更正処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において,課税庁は,国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額等を用いて税額等を計算すべき義務を負うか

 

 

相続税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/令和2年(行ヒ)第103号

【判決日付】      令和3年6月24日

【判示事項】      相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)55条に基づく申告の後にされた増額更正処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において,課税庁は,国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し,当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額等を用いて税額等を計算すべき義務を負うか

【判決要旨】      相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ)55条に基づく申告の後にされた増額更正処分の取消訴訟において、個々の財産につき上記申告とは異なる価額を認定した上で、その結果算出される税額が上記申告に係る税額を下回るとの理由により当該処分のうち上記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において、課税庁は、国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に同法32条1号の規定による更正の請求に対する処分および同法35条3項1号の規定による更正をするに際し、当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額や評価方法を用いて税額等を計算すべき義務を負うことはない。

【参照条文】      相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)32

             相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)35-3

             相続税法(平成23年法律第114号による改正前のもの)55

             行政事件訴訟法33-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集75巻7号3214頁

 

 

相続税法

(納付)

第三十三条 期限内申告書又は第三十一条第二項の規定による修正申告書を提出した者は、これらの申告書の提出期限までに、これらの申告書に記載した相続税額又は贈与税額に相当する相続税又は贈与税を国に納付しなければならない。

 

(更正及び決定の特則)

第三十五条 税務署長は、第三十一条第二項の規定に該当する者が同項の規定による修正申告書を提出しなかつた場合においては、その課税価格又は相続税額を更正する。

2 税務署長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、申告書の提出期限前においても、その課税価格又は相続税額若しくは贈与税額の更正又は決定をすることができる。

一 第二十七条第一項又は第二項に規定する事由に該当する場合において、同条第一項に規定する者の被相続人が死亡した日の翌日から十月を経過したとき。

二 第二十八条第二項第一号に掲げる場合において、同号に規定する者が死亡した日の翌日から十月を経過したとき。

三 第二十八条第二項第二号に掲げる場合において、同号に規定する者が死亡した日の翌日から十月を経過したとき。

四 第二十八条第二項第三号に掲げる場合において、同号に規定する申告書の提出期限を経過したとき。

五 第二十九条第一項若しくは同条第二項において準用する第二十七条第二項又は第三十一条第二項に規定する事由に該当する場合において、第四条第一項又は第二項に規定する事由が生じた日の翌日から十月を経過したとき。

3 税務署長は、第三十二条第一項第一号から第六号までの規定による更正の請求に基づき更正をした場合において、当該請求をした者の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。以下この項において同じ。)につき次に掲げる事由があるときは、当該事由に基づき、その者に係る課税価格又は相続税額の更正又は決定をする。ただし、当該請求があつた日から一年を経過した日と国税通則法第七十条(国税の更正、決定等の期間制限)の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。

一 当該他の者が第二十七条若しくは第二十九条の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及び修正申告書を含む。)を提出し、又は相続税について決定を受けた者である場合において、当該申告又は決定に係る課税価格又は相続税額(当該申告又は決定があつた後修正申告書の提出又は更正があつた場合には、当該修正申告又は更正に係る課税価格又は相続税額)が当該請求に基づく更正の基因となつた事実を基礎として計算した場合におけるその者に係る課税価格又は相続税額と異なることとなること。

二 当該他の者が前号に規定する者以外の者である場合において、その者につき同号に規定する事実を基礎としてその課税価格及び相続税額を計算することにより、その者が新たに相続税を納付すべきこととなること。

4 税務署長は、次に掲げる事由により第一号若しくは第三号の申告書を提出した者若しくは第二号の決定若しくは第四号若しくは第五号の更正を受けた者又はこれらの者の被相続人から相続若しくは遺贈により財産を取得した他の者(当該被相続人から第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得した者を含む。)の相続税の課税価格又は相続税額が過大又は過少となつた場合(前項の規定の適用がある場合を除く。)には、これらの者に係る相続税の課税価格又は相続税額の更正又は決定をする。ただし、次に掲げる事由が生じた日から一年を経過した日と国税通則法第七十条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。

一 所得税法第百五十一条の五第一項から第三項まで(遺産分割等があつた場合の期限後申告等の特例)(これらの規定を同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出があつたこと。

二 所得税法第百五十一条の五第四項の規定による決定があつたこと。

三 所得税法第百五十一条の六第一項(遺産分割等があつた場合の修正申告の特例)(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による修正申告書の提出があつたこと。

四 所得税法第百五十一条の六第二項の規定による更正があつたこと。

五 所得税法第百五十三条の五(遺産分割等があつた場合の更正の請求の特例)(同法第百六十七条(更正の請求の特例)において準用する場合を含む。)の規定による更正の請求に基づく更正があつたこと。

5 税務署長は、第二十一条の二第四項の規定の適用を受けていた者が、第三十二条第一項第一号から第六号までに規定する事由が生じたことにより相続又は遺贈による財産の取得をしないこととなつたため新たに第二十八条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた場合又は既に確定した贈与税額に不足を生じた場合には、その者に係る贈与税の課税価格又は贈与税額の更正又は決定をする。ただし、これらの事由が生じた日から一年を経過した日と第三十七条の規定により更正又は決定をすることができないこととなる日とのいずれか遅い日以後においては、この限りでない。

 

(未分割遺産に対する課税)

第五十五条 相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法(第九百四条の二(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。ただし、その後において当該財産の分割があり、当該共同相続人又は包括受遺者が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分又は包括遺贈の割合に従つて計算された課税価格と異なることとなつた場合においては、当該分割により取得した財産に係る課税価格を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは第三十二条第一項に規定する更正の請求をし、又は税務署長において更正若しくは決定をすることを妨げない。

 

 

行政事件訴訟法

第三十三条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

2 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。

3 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。

4 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。

 

他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合と刑法207条

 

 

              傷害,強盗,窃盗被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/令和元年(あ)第1751号

【判決日付】      令和2年9月30日

【判示事項】      1 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合と刑法207条

             2 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合において,後行者の加えた暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有しないときに,刑法207条を適用することの可否

【判決要旨】      1 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合,その傷害を生じさせた者を知ることができないときは,刑法207条の適用により後行者は当該傷害についての責任を免れない。

             2 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合に,刑法207条の適用により後行者に対して当該傷害についての責任を問い得るのは,後行者の加えた暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであるときに限られる。

【参照条文】      刑法207

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集74巻6号669頁

 

 

刑法

(同時傷害の特例)

第二百七条 二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。