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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

相続税の期限内申告書において相続財産に属する特定の財産が納付すべき税額の計算の基礎とされていなかったことについて国税通則法六五条四項にいう「正当な理由」がある場合

 

 

課税処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成8年(行ツ)第54号

【判決日付】      平成11年6月10日

【判示事項】      相続税の期限内申告書において相続財産に属する特定の財産が納付すべき税額の計算の基礎とされていなかったことについて国税通則法六五条四項にいう「正当な理由」がある場合

【判決要旨】      相続財産に属する特定の財産を計算の基礎としない相続税の期限内申告書が提出された場合において、納税者が当該財産が相続財産に属さないか又は属する可能性が小さいことを客観的に裏付けるに足りる事実を認識して期限内申告書を提出したときは、国税通則法六五条四項にいう「正当な理由」がある。

【参照条文】      国税通則法65-1

             国税通則法65-4

             相続税法11

             相続税法27

【掲載誌】        訟務月報47巻5号1188頁

             最高裁判所裁判集民事193号315頁

             裁判所時報1245号183頁

             判例タイムズ1010号233頁

             判例時報1686号50頁

             税務訴訟資料243号250頁

 

 

国税通則法

(過少申告加算税)

第六十五条 期限内申告書(還付請求申告書を含む。第三項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第一項ただし書又は第七項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十の割合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、百分の五の割合)を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。

2 前項の規定に該当する場合(第五項の規定の適用がある場合を除く。)において、前項に規定する納付すべき税額(同項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について修正申告書の提出又は更正があつたときは、その国税に係る累積増差税額を加算した金額)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と五十万円とのいずれか多い金額を超えるときは、同項の過少申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した金額に、その超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは、当該納付すべき税額)に百分の五の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。

3 前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 累積増差税額 第一項の修正申告又は更正前にされたその国税についての修正申告書の提出又は更正に基づき第三十五条第二項の規定により納付すべき税額の合計額(当該国税について、当該納付すべき税額を減少させる更正又は更正に係る不服申立て若しくは訴えについての決定、裁決若しくは判決による原処分の異動があつたときはこれらにより減少した部分の税額に相当する金額を控除した金額とし、次項の規定の適用があつたときは同項の規定により控除すべきであつた金額を控除した金額とする。)

二 期限内申告税額 期限内申告書(次条第一項ただし書又は第七項の規定の適用がある場合には、期限後申告書を含む。次項第二号において同じ。)の提出に基づき第三十五条第一項又は第二項の規定により納付すべき税額(これらの申告書に係る国税について、次に掲げる金額があるときは当該金額を加算した金額とし、所得税、法人税、地方法人税、相続税又は消費税に係るこれらの申告書に記載された還付金の額に相当する税額があるときは当該税額を控除した金額とする。)

イ 所得税法第九十五条(外国税額控除)若しくは第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額、第一項の修正申告若しくは更正に係る同法第百二十条第一項第四号(確定所得申告)(同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する源泉徴収税額に相当する金額、同法第百二十条第二項(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)に規定する予納税額又は災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)第二条(所得税の軽減又は免除)の規定により軽減若しくは免除を受けた所得税の額

ロ 法人税法第二条第三十八号(定義)に規定する中間納付額、同法第六十八条(所得税額の控除)(同法第百四十四条(外国法人に係る所得税額の控除)において準用する場合を含む。)、第六十九条(外国税額の控除)若しくは第百四十四条の二(外国法人に係る外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額又は同法第九十条(退職年金等積立金に係る中間申告による納付)(同法第百四十五条の五(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)

ハ 地方法人税法第二条第十八号(定義)に規定する中間納付額、同法第十二条(外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額又は同法第二十条第二項(中間申告による納付)の規定により納付すべき地方法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の地方法人税の額)

ニ 相続税法第二十条の二(在外財産に対する相続税額の控除)、第二十一条の八(在外財産に対する贈与税額の控除)、第二十一条の十五第三項及び第二十一条の十六第四項(相続時精算課税に係る相続税額)の規定による控除をされるべき金額

ホ 消費税法第二条第一項第二十号(定義)に規定する中間納付額

4 次の各号に掲げる場合には、第一項又は第二項に規定する納付すべき税額から当該各号に定める税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して、これらの項の規定を適用する。

一 第一項又は第二項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となつた事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかつたことについて正当な理由があると認められるものがある場合 その正当な理由があると認められる事実に基づく税額

二 第一項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について期限内申告書の提出により納付すべき税額を減少させる更正その他これに類するものとして政令で定める更正(更正の請求に基づく更正を除く。)があつた場合 当該期限内申告書に係る税額(還付金の額に相当する税額を含む。)に達するまでの税額

5 第一項の規定は、修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査に係る第七十四条の九第一項第四号及び第五号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に掲げる事項その他政令で定める事項の通知(次条第六項において「調査通知」という。)がある前に行われたものであるときは、適用しない。

 

 

相続税法

(相続税の課税)

第十一条 相続税は、この節及び第三節に定めるところにより、相続又は遺贈により財産を取得した者の被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の総額(以下この節及び第三節において「相続税の総額」という。)を計算し、当該相続税の総額を基礎としてそれぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税額として計算した金額により、課する。

 

(相続税の申告書)

第二十七条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(包括受遺者を含む。第五項において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3 相続時精算課税適用者は、第一項の規定により申告書を提出すべき場合のほか、第三十三条の二第一項の規定による還付を受けるため、第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る相続税の課税価格、還付を受ける税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出することができる。

4 前三項の規定により申告書を提出する場合には、当該申告書に被相続人の死亡の時における財産及び債務、当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者がこれらの事由により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他財務省令で定める事項を記載した明細書その他財務省令で定める書類を添付しなければならない。

5 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者又はその者の相続人で第一項、第二項(次条第二項において準用する場合を含む。)又は第三項の規定により申告書を提出すべきもの又は提出することができるものが二人以上ある場合において、当該申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、これらの者は、政令で定めるところにより、当該申告書を共同して提出することができる。

6 第一項から第三項までの規定は、これらの項に規定する申告書の提出期限前に相続税について決定があつた場合には、適用しない。

 

 

所得税の更正処分につき、所得金額算定部分のみを対象として独立に無効確認を求める訴えの適否(消極)

 

 

所得税更正、加算税賦課決定処分無効確認請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷/昭和51年(行ツ)第33号

【判決日付】      昭和54年6月21日

【判示事項】      1 所得税の更正処分につき、所得金額算定部分のみを対象として独立に無効確認を求める訴えの適否(消極)

             2 土地の交換契約の履行が不能になつたとして、裁判上の和解に基づき相手方から損害賠償金等の名目で受領した金員は、その名目のいかんにかかわらず、右交換契約に基づき相手方に譲渡した土地の反対給付であり、これには同土地の値上がりによる増加益が具体化したものも含まれているから、譲渡所得として課税の対象となるとされた事例

【判決要旨】      1 国税通則法及び所得税法は課税標準の計算及び税額の計算について、納税者に対する関係においては両者を不可分一体のものとして処分することを予定しており、申告納税方式においては更正・決定、賦課決定方式においては賦課決定という一体不可分の行政処分をする建前となつているから、これらの行政処分について、所得金額算定部分のみを対象として独立に無効確認を請求することはできない。

             2 <略>

【参照条文】      国税通則法24

             所得税法154

             行政訴訟通則4

             所得税法33

【掲載誌】        訟務月報25巻11号2858頁

             税務訴訟資料105号814頁

 

 

国税通則法

(更正)

第二十四条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。

 

 

所得税法

(更正又は決定をすべき事項に関する特例)

第百五十四条 所得税に係る更正又は決定については、国税通則法第二十四条から第二十六条まで(更正・決定)に規定する事項のほか、第百二十条第一項第六号又は第七号(確定所得申告)に掲げる事項についても行うことができる。この場合において、当該事項につき更正又は決定をするときは、同法第二十八条第二項及び第三項(更正又は決定の手続)中「税額等」とあるのは、「税額等並びに所得税法第百二十条第一項第六号又は第七号(確定所得申告)に掲げる事項」とする。

2 所得税につき更正又は決定をする場合における国税通則法第二十八条第一項に規定する更正通知書又は決定通知書には、同条第二項又は第三項に規定する事項を記載するほか、その更正又は決定に係る第百二十条第一項第一号に掲げる金額又は第百二十三条第二項第一号(確定損失申告)に掲げる純損失の金額についての第二条第一項第二十一号(定義)に規定する所得別の内訳を付記しなければならない。

 

(譲渡所得)

第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。

2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。

一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得

二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得

3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。

一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)

二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの

4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。

5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。

 

 

 

補助参加人の控訴申立期間

 

 

認知請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和36年(オ)第469号

【判決日付】      昭和37年1月19日

【判示事項】      補助参加人の控訴申立期間

【判決要旨】      補助参加人の控訴申立期間は、被参加人の控訴申立期間に限られる。

【参照条文】      民事訴訟法69

             民事訴訟法366

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集16巻1号106頁

 

 

 

民事訴訟法

(口頭弁論を経ない訴えの却下)

第百四十条 訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。

 

(補助参加)

第四十二条 訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

 

(補助参加人の訴訟行為)

第四十五条 補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。

2 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。

3 補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。

4 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。

 

『アジア法ガイドブック』名古屋大学出版会

鮎京正訓 編

 

価格       税込4,180円/本体3,800円

判型       A5判・並製

ページ数              444頁

発行年月日          2009

 

内 容

法整備支援プロジェクトで注目を浴び、社会主義法・イスラーム法・伝統法なども取り込みながら、多様な発展を示すアジア各国の法状況を、各国地域の法専門家が最新の情報にもとづき詳細に解説、アジア地域の法制度の展開をダイナミックに捉えた、わが国初の本格的ガイドブック。

 

 

コメント

アジア諸国の歴史、憲法、司法、ローカルルール、法学教育などについて概観したもの。

 

 

 

目 次

序 章 アジア法への招待 …………………… 鮎京正訓

     はじめに

     1 アジア諸国法研究と法整備支援

     2 本書の構成

     おわりに

 

  Ⅰ 東アジア

 

第1章 中 国 …………………… 宇田川幸則

     はじめに

     1 現代中国法史

     2 国家組織と司法制度

     3 法学教育・法曹養成と司法制度改革

     4 中国法研究に関する情報

     おわりに

 

第2章 韓 国 …………………… 尹 龍澤

     はじめに

     1 韓国法の歴史

     2 国家組織と司法制度

     3 韓国における法源

     4 立法過程

     5 印刷媒体・インターネットによる法情報

     6 文献の検索

     おわりに

 

第3章 台 湾 …………………… 簡 玉聰

     はじめに

     1 台湾法の歴史

     2 台湾法の主な構造

     3 台湾法の実際運用

     4 台湾の法学教育と法学研究

     5 台湾法研究に関する情報

     おわりに

 

第4章 モンゴル …………………… 中村真咲

     はじめに

     1 モンゴル法の歴史

     2 現行の憲法体制

     3 モンゴルの法と社会に関する主要な研究機関

     4 法整備支援の現状

     5 モンゴル法の基本情報

     6 モンゴル法の基本文献

     おわりに

 

  Ⅱ 東南アジア

 

第5章 インドネシア …………………… 島田 弦

     はじめに

     1 インドネシア法の歴史

     2 インドネシアの統治機構

     3 インドネシア法研究へのアクセス

     4 インドネシア法研究に向けて

     おわりに

 

第6章 ベトナム …………………… 鮎京正訓

     はじめに

     1 ベトナムにおける第1の「近代経験」と法 —— 植民地支配

     2 ベトナムにおける第2の「近代経験」と法 —— 法整備支援

     3 「郷約」とドイモイ

     4 ベトナムの憲法体制

     5 ベトナム法研究に関する情報

     おわりに

 

第7章 カンボジア …………………… 四本健二

     はじめに

     1 カンボジアの国家機関と諸制度の概要

     2 カンボジアの法制度の概要

     3 法整備と法整備支援の現状

     4 クメール・ルージュ裁判(KRT)

     5 カンボジア法研究に関する情報

     おわりに

 

第8章 タ イ …………………… 西澤希久男

     はじめに

     1 タイ法の歴史

     2 タイの法制度

     3 タイにおける法学研究・法律情報

     おわりに

 

第9章 マレーシア …………………… 桑原尚子

     はじめに

     1 マレーシア法の歴史

     2 マレーシアの法制度

     3 マレーシア法に関する情報

    おわりに

 

第10章 ラオス …………………… 瀬戸裕之

     はじめに

     1 ラオスの法制史の概略

     2 国家組織・司法関係機関の概要

     3 裁判制度の概要

     4 法学教育と法整備支援

     おわりに

 

第11章 ミャンマー …………………… 牧野絵美

     はじめに

     1 ミャンマーの統治機構と国軍

     2 法学教育と法曹養成

     3 ミャンマー法研究に関する情報

     4 新憲法における統治構造

     おわりに

 

  Ⅲ 南アジア

 

第12章 インド …………………… 浅野宜之

     はじめに

     1 インドの司法制度の展開

     2 インド憲法と司法

     3 立 法

     4 法曹と法曹養成制度

     5 インド法研究に向けて

     6 法整備と司法改革

     おわりに

 

第13章 パキスタン …………………… 浅野宜之

     はじめに

     1 1973年のパキスタン憲法

     2 司法の位置づけ

     3 イスラーム法

     4 パキスタン法研究に向けて

     おわりに

 

第14章 バングラデシュ …………………… 佐藤 創

     はじめに

     1 憲法と法源について

     2 バングラデシュ社会の変容と法

     3 現在の憲法と法令へのアクセスについて

     4 司法制度と法学教育について

     5 経済法改革について

     おわりに

 

附 録 解説1:社会主義法(鮎京正訓)

    解説2:イスラーム法(島田 弦・桑原尚子)

    法情報へのアクセス1 国内編(傘谷祐之)

    法情報へのアクセス2 海外編(砂原美佳)

 

 編者あとがき

 索 引

譲渡担保権者と第三者異議の訴え

 

 

第三者異議事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和57年(オ)第1322号

【判決日付】      昭和58年2月24日

【判示事項】      譲渡担保権者と第三者異議の訴え

【判決要旨】      譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、目的物件に対し民事執行法122条の規定により譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行につき、第三者異議の訴えによつてその排除を求めることができる。

【参照条文】      民法369

             民事執行法38-1

             民事執行法122

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事138号229頁

             判例タイムズ497号105頁

             金融・商事判例672号42頁

             判例時報1078号76頁

             金融法務事情1037号42頁

 

 

民法

(抵当権の内容)

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

 

 

民事執行法

(第三者異議の訴え)

第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。

2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。

3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。

4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。

 

(動産執行の開始等)

第百二十二条 動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第四章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。

2 動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。

 

請負人が欺罔手段を用いて請負代金を本来の支払時期により前に受領した場合と刑法に二四六条一項の詐欺罪の成否

 

 

              詐欺被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成10年(あ)第806号

【判決日付】      平成13年7月19日

【判示事項】      請負人が欺罔手段を用いて請負代金を本来の支払時期により前に受領した場合と刑法に二四六条一項の詐欺罪の成否

【判決要旨】      請負人が受領する権利を有する請負代金を欺罔手段を用いて不当に早く受領したとしてその代金全額について刑法246条1項の詐欺罪が成立するには、欺罔手段を用いなかった場合に得られたであろう請負代金の支払とは社会通念上別個の支払に当たるといい得る程度の期間、支払時期を早めたものであることを要する。

【参照条文】      刑法246-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集55巻5号371頁

 

 

刑法

(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効の起算点


    損害賠償請求事件
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷判決/平成16年(受)第1434号
【判決日付】    平成17年11月21日
【判示事項】    船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効の起算点
【判決要旨】    船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効は,民法724条により,被害者が損害及び加害者を知った時から進行する。
【参照条文】    民法166-1
          民法724
          商法798-1
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集59巻9号2558頁
          裁判所時報1400号465頁


民法
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。


商法
(救助料の割合の案)
第七百九十八条 船舶所有者が前条第四項の規定により救助料の割合を決定するには、航海を終了するまでにその案を作成し、これを船員に示さなければならない。
 

相続財産の評価に当たって被相続人等が負担していた連帯保証債務が相続税法一四条一項にいう確実な債務に当たらないとされた事例

 

 

              相続税更正異議処分取消、相続税更正処分取消請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成11年(行コ)第140号

【判決日付】      平成12年1月26日

【判示事項】      相続財産の評価に当たって被相続人等が負担していた連帯保証債務が相続税法一四条一項にいう確実な債務に当たらないとされた事例

【判決要旨】      (1) 審査請求人がいかなる処分について審査請求をしているかについては、審査請求人の提出に係る審査請求書の記載を基準として定められるというべきであり、必ずしも審査請求書に記載された審査請求に係る処分欄記載の処分に限定されるものではないが、少なくとも、審査請求書の記載を合理的に解釈しても、不服を申し立てていると認められない処分については、審査請求の対象とされていないといわざるを得ない。

             (2) 省略

             (3) 国税通則法一〇四条四項に規定するあわせ審理は、同一の国税について複数の更正決定等がされた場合、審理の重複、判断の矛盾、抵触等を避け、納税者の手数を軽減しつつ簡易迅速な権利救済を図るなどの趣旨から、国税不服審判所長等は、納税者が不服申立てをしていない他の更正決定等についても職権で審理を行うことができることとしたものであるが、あわせ審理された場合であっても、不服申立てのされていない他の更正決定等を取り消す必要がないときには、不服申立てがされた更正決定等についてのみ裁決をすることになるものと解される。

             (4) 省略

             (5) 連帯保証債務及び物上保証債務は、主債務者が主たる債務を履行した場合には、保証人がその責任を免れる性質のものであるから、将来、保証人がその債務を履行することになるかどうかは確実ではなく、仮にこれを履行しても、その履行による損失は、主債務者に対する求償権の行使により補填されるはずのものであるから、保証債務は、原則として、相続税法一四条一項に規定する「確実と認められるもの」には該当しないが、相続開始時において、主債務者が弁済不能の状態にある場合には、保証人において保証債務の履行をしなければならないことが確実である上、履行後に主債務者に対し求償権を行使して損失のてん補を受けることが不可能であるから、このような場合には、例外的に、保証債務も確実な債務に該当するというべきである(相続税基本通達一四-五参照)。

             (6) 保証債務の主債務者が弁済不能の状態にあるかどうかは、当該債務者について破産、和議、会社更生又は強制執行等の手続が開始し、あるいは事業閉鎖等により債務超過の状態が相当期間継続して他から融資を受ける見込みもなく、再起の目途が立たないなど、主債務者に対し求償権を行使しても、事実上回収が不可能な状況にあることが客観的に認められるかどうかにより判断するのが相当である。

             (7) 相続財産に係る保証債務の主債務者が弁済不能の状態にあるか否かの判断は、相続開始後の事情も間接事実として考慮することが許されるが、相続税法一三条一項が、「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」を相続財産の価額から控除すると規定し、同法二二条が「当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規定している趣旨にかんがみれば、遺贈等の場合のように相続の開始があって初めて債務が発生するなどの特段の事情がない限り、右判断の基準時が相続開始時であることも明らかであり、相続開始後の一定時期を基準として、主債務者が弁済不能であったか否かを判断する余地はないというべきである。

             (8) 省略

【参照条文】      相続税法13-1

             相続税法14-1

             相続税法22

             国税通則法87-1

【掲載誌】        訟務月報46巻12号4365頁

             判例タイムズ1055号130頁

             税務訴訟資料246号212頁

 

 

相続税法

(債務控除)

第十三条 相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)

二 被相続人に係る葬式費用

2 相続又は遺贈により財産を取得した者が第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものについては、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

一 その財産に係る公租公課

二 その財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務

三 前二号に掲げる債務を除くほか、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務

四 その財産に関する贈与の義務

五 前各号に掲げる債務を除くほか、被相続人が死亡の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有していた場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務

3 前条第一項第二号又は第三号に掲げる財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、前二項の規定による控除金額に算入しない。ただし、同条第二項の規定により同号に掲げる財産の価額を課税価格に算入した場合においては、この限りでない。

4 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が当該特別寄与者に係る課税価格に算入される場合においては、当該特別寄与料を支払うべき相続人が相続又は遺贈により取得した財産については、当該相続人に係る課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から当該特別寄与料の額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

第十四条 前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。

2 前条の規定によりその金額を控除すべき公租公課の金額は、被相続人の死亡の際債務の確定しているものの金額のほか、被相続人に係る所得税、相続税、贈与税、地価税、再評価税、登録免許税、自動車重量税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税及び印紙税その他の公租公課の額で政令で定めるものを含むものとする。

3 前項の債務の確定している公租公課の金額には、被相続人が、所得税法第百三十七条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)(同条第二項の規定により適用する場合を含む。第三十二条第一項第九号イにおいて同じ。)の規定の適用を受けていた場合における同法第百三十七条の二第一項に規定する納税猶予分の所得税額並びに同法第百三十七条の三第一項及び第二項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)(これらの規定を同条第三項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用を受けていた場合における同条第四項に規定する納税猶予分の所得税額を含まない。ただし、同法第百三十七条の二第十三項の規定により当該被相続人の納付の義務を承継した当該被相続人の相続人(包括受遺者を含む。以下この項及び同号において同じ。)が納付することとなつた同条第一項に規定する納税猶予分の所得税額及び当該納税猶予分の所得税額に係る利子税の額(当該納税猶予分の所得税額に係る所得税の同法第百二十八条(確定申告による納付)又は第百二十九条(死亡の場合の確定申告による納付)の規定による納付の期限の翌日から当該被相続人の死亡の日までの間に係るものに限る。)並びに同法第百三十七条の三第十五項の規定により当該被相続人の納付の義務を承継した当該被相続人の相続人が納付することとなつた同条第四項に規定する納税猶予分の所得税額及び当該納税猶予分の所得税額に係る利子税の額(当該納税猶予分の所得税額に係る所得税の同法第二編第五章第二節第三款(納付)の規定による納付の期限の翌日から当該被相続人の死亡の日までの間に係るものに限る。)については、この限りでない。

 

(評価の原則)

第二十二条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

 

 

国税通則法

(審査請求書の記載事項等)

第八十七条 審査請求は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を提出してしなければならない。

一 審査請求に係る処分の内容

二 審査請求に係る処分があつたことを知つた年月日(当該処分に係る通知を受けた場合にはその通知を受けた年月日とし、再調査の請求についての決定を経た後の処分について審査請求をする場合には再調査決定書の謄本の送達を受けた年月日とする。)

三 審査請求の趣旨及び理由

四 審査請求の年月日

2 前項の書面(以下この款において「審査請求書」という。)には、同項に規定する事項のほか、次の各号に掲げる場合においては、当該各号に定める事項を記載しなければならない。

一 第七十五条第四項第一号(国税に関する処分についての不服申立て)の規定により再調査の請求についての決定を経ないで審査請求をする場合 再調査の請求をした年月日

二 第七十五条第四項第二号の規定により再調査の請求についての決定を経ないで審査請求をする場合 同号に規定する正当な理由

三 第七十七条第一項から第三項まで(不服申立期間)に規定する期間の経過後において審査請求をする場合 これらの各項のただし書に規定する正当な理由

3 第一項第三号に規定する趣旨は、処分の取消し又は変更を求める範囲を明らかにするように記載するものとし、同号に規定する理由においては、処分に係る通知書その他の書面により通知されている処分の理由に対する審査請求人の主張が明らかにされていなければならないものとする。

 

酸化チタン製造会社が製造工程で生じた産業廃棄物を土壌埋戻し材等として販売した行為について,取締役である工場長及び副工場長に善管注意義務違反があったとして,埋設された産業廃棄物の回収費用等の会社が被った損害について,副工場長に全額の,工場長2名に対しその一部の会社に対する商法(平成17年改正前)266条1項5号に基づく損害賠償責任が認められた事例

 

 

損害賠償等請求事件

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/平成19年(ワ)第4255号

【判決日付】      平成24年6月29日

【判示事項】      酸化チタン製造会社が製造工程で生じた産業廃棄物を土壌埋戻し材等として販売した行為について,取締役である工場長及び副工場長に善管注意義務違反があったとして,埋設された産業廃棄物の回収費用等の会社が被った損害について,副工場長に全額の,工場長2名に対しその一部の会社に対する商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づく損害賠償責任が認められた事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      金融・商事判例1475号2頁

             ジュリスト1453号105頁

             法学研究(慶応大)89巻6号117頁

 

 

会社法

(役員等の第三者に対する損害賠償責任)

第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

一 取締役及び執行役 次に掲げる行為

イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録

ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

ハ 虚偽の登記

ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)

二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

 

 

       主   文

 

 1 被告Y1は,原告X1社に対し,

  (1) 甲事件に基づき,10億円

  (2) 乙事件に基づき,475億8400万円

  を支払え。

 2(1) 被告Y2は,原告X1社に対し,被告Y5と連帯して50億9010万円を,亡Y23から相続した財産の存する限度において,支払え。

  (2) 被告Y3は,原告X1社に対し,被告Y5と連帯して25億4505万円を,亡Y23から相続した財産の存する限度において,支払え。

  (3) 被告Y4は,原告X1社に対し,被告Y5と連帯して25億4505万円を,亡Y23から相続した財産の存する限度において,支払え。

  (4) 被告Y5は,原告X1社に対し,254億5050万円(ただし,各25億4505万円の限度で被告Y3,被告Y4と,50億9010万円の限度で被告Y2と連帯して)を支払え。

 3 参加原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

 4 訴訟費用は,次のとおりの負担とする。

  (1) 甲事件及び乙事件の訴訟費用

    すべて被告Y1の負担とする。

  (2) 丙事件の訴訟費用

   ア 被告Y2

     参加原告らに生じた費用の40分の1と被告Y2に生じた費用の8分の1

   イ 被告Y3

     参加原告らに生じた費用の80分の1と被告Y3に生じた費用の16分の1

   ウ 被告Y4

     参加原告らに生じた費用の80分の1と被告Y4に生じた費用の16分の1

   エ 被告Y5

     参加原告らに生じた費用の5分の1と被告Y5に生じた費用の2分の1

   オ 参加原告ら

     参加原告らに生じたその余の費用と被告らに生じたその余の費用

 

       事実及び理由

 

第1 請求

 1 甲事件

   主文第1項(1)と同旨

 2 乙事件

   被告Y1は,原告X1に対し,489億円を支払え。

 3 丙事件

  (1) 被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,原告X1に対し,被告ら(ただし,被告Y3〔以下「被告Y3」という。〕及び被告Y4〔以下「被告Y4」という。〕を除く。)と連帯して244億5000万円を支払え。

  (2) 被告Y3は,原告X1に対し,被告ら(ただし,被告Y2及び被告Y4を除く。)と連帯して122億2500万円を支払え。

  (3) 被告Y4は,原告X1に対し,被告ら(ただし,被告Y2及び被告Y3を除く。)と連帯して122億2500万円を支払え。

  (4) 被告ら(ただし,被告Y2,被告Y3及び被告Y4〔以下,前3者を併せて「被告Y2ら」という。〕を除く。)は,原告X1に対し,被告Y2らと連帯して489億円を支払え。

第2 事案の概要

   本件は,原告X1が,土壌環境基準値以上の有害物質を含む土壌埋戻材(フェロシルト)を販売し,三重県の山林等に埋設された土壌埋戻材の回収を余儀なくされたことに関し,原告X1が,生産・販売を管掌した取締役であった被告Y1に対し,産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)違反及び善管注意義務違反の行為により廃棄物処理法に基づき撤去命令を受けて土壌埋戻材の回収費用相当額の損害を被ったとして,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)266条1項5号に基づき,回収費用の実損害の内金10億円の損害賠償を請求した責任追及訴訟(甲事件),原告X1の株主である参加原告らが,被告Y1に対し,善管注意義務違反により原告X1に回収費用として489億円の損害を与えたとして,会社法849条1項,旧商法266条1項5号に基づき,甲事件に共同訴訟参加し,同額の損害賠償を請求した事件(乙事件),及び,参加原告らが,被告Y1以外の被告らに対し,善管注意義務違反により原告X1に回収費用として489億円の損害を与えたとして,会社法847条1項,旧商法266条1項5号に基づき,同額の損害賠償を請求した株主代表訴訟(丙事件)である。

 1 前提事実(当事者間に争いがない事実か掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認定することのできる事実)

信用金庫の支店長が自己の利益をはかるために先日付の預手を振り出した場合における金庫の責任

 

 

              小切手金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和53年(オ)第166号

【判決日付】      昭和54年5月1日

【判示事項】      信用金庫の支店長が自己の利益をはかるために先日付の預手を振り出した場合における金庫の責任

【判決要旨】      信用金庫の支店長甲が、なんぴとからも資金の受入れがないにもかかわらず、しかも先日付で自己宛小切手を振り出し、最初にその交付を受けた乙において甲がもつぱら自己の利益を図る目的で右小切手を振り出したものであることを知つていても、さらに乙から小切手の交付を受けた丙に対する関係では、小切手法22条但書により、信用金庫は、丙が乙の右知情につき悪意の取得者であることを主張・立証した場合に、はじめて小切手上の責任を免れることとなる筋合いである。

【参照条文】      信用金庫法40-2

             商法42-1

             商法38-1

             小切手法22

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事127号1頁

             金融・商事判例576号19頁

             判例時報931号112頁

             金融法務事情901号34頁

 

 

信用金庫法

 

(支配人)

第四十条 金庫は、理事会の決議により、支配人を置くことができる。

2 支配人については、会社法第十一条第一項及び第三項(支配人の代理権)、第十二条(支配人の競業の禁止)並びに第十三条(表見支配人)の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

 

商法

(支配人)

第二十条 商人は、支配人を選任し、その営業所において、その営業を行わせることができる。

(支配人の代理権)

第二十一条 支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

2 支配人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。

3 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

 

 

 

小切手法

第二十二条 小切手ニ依リ請求ヲ受ケタル者ハ振出人其ノ他所持人ノ前者ニ対スル人的関係ニ基ク抗弁ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ其ノ債務者ヲ害スルコトヲ知リテ小切手ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ