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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

法学セミナー  2023年9月号[特集1]いまこそ知りたい「税法」入門

 

 

日本評論社

 

毎月12日発売

[特集1]

いまこそ知りたい「税法」入門

定価:税込 1,540円(本体価格 1,400円)

 

発刊年月              2023.08

 

判型       B5判

ページ数              120ページ

 

内容紹介

税にはどのような種類や仕組みがあり、どう使われているか。個人の生活や企業活動、歴史的な視点から多角的に紹介する税法入門。

__________________________

 

特集=いまこそ知りたい「税法」入門

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企画趣旨……髙橋祐介 

 

戦争と租税――租税の役割、性質、限界事例……佐藤英明 

 

どうすれば税負担を減らせる?――就職後を見据えて……倉見智亮 

 

働く若者と租税……田中晶国 

 

租税からみた家族・性・子ども……加藤友佳 

 

富裕層はつらいよ!?――資産と租税……辻 美枝 

 

デジタル社会と租税――「税」網伭々疎にして漏らさず……安井栄二 

 

 

コメント

租税法の教科書に書いていないことも記載してある。

参考になります。

 

時効による不動産の所有権取得とその対抗要件

 

 

              所有権移転登記手続履行請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和34年(オ)第779号

【判決日付】      昭和36年7月20日

【判示事項】      時効による不動産の所有権取得とその対抗要件

【判決要旨】      不動産の取得時効が完成しても、その登記がなければ、その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないが、第三者の右登記後に、占有者がなお引き続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し、登記を経由しなくとも時効取得をもつて対抗しうるものと解すべきである。

【参照条文】      民法162

             民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集15巻7号1903頁

 

 

民法

(所有権の取得時効)

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

 

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

保護の可能性と刑法第二一八条一項後段の罪の成立。

 

 

              保護者幼者遺棄致死

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和26年(あ)第2746号

【判決日付】      昭和27年12月9日

【判示事項】      保護の可能性と刑法第二一八条一項後段の罪の成立。

【判決要旨】      刑法二一八条一項後段の罪の成立するためには、常に必ず事実上保護することが可能であるにかかわらず保護しなかつたことを必要とする趣旨と解することはできない。

【参照条文】      刑法218

【掲載誌】        最高裁判所裁判集刑事70号285頁

 

 

刑法

(保護責任者遺棄等)

第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

 

 

 

 

       主   文

 

     本件上告を棄却する。

     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

 

       理   由

 

  被告本人の上告趣意及び弁護人岡村玄治の上告趣意は後記書面のとおりである。

  被告本人の上告組意は原判決の事実認定を争うのであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

  弁護人岡村玄治の上告趣意(一)の論旨は、原判決の判例違反を主張するのであるが、その引用にかかる各判例によつても、所論のように、刑法二一八条一項後段の罪の成立するためには、常に必ず事実上保護することが可能であるにかかわらず保護しなかつたことを必要とする趣旨と解することはできない。従つて右各判例は本件の場合に適切とはいえない。のみならず所論は、原判決の事実認定と異なる独自の推認に基くものであつて、結局事実誤認を主張するに帰し、いずれにしても理由がない。同(ニ)において所論の引用する大審院判例は、緊急避難行為者が刑事責任を免れても損害を蒙つた他人に対する民事上の賠償責任を負担するという趣旨であつて、所論についても適切でないばかりでなく、結局本件を目して緊急避難であるという独自の見解に立つて原判決の事実誤認を主張し、延いて量刑不当に及んでいるのであるから、論旨はとることはできない。

 その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

 よつて同四〇八条、一八一条により主文のとおり判決する。

 この判決は、裁判官全員一致の意見である。

   昭和二七年一二月九日

               最高裁判所第三小法廷

台風の影響による降雨によって床上浸水等の被害に遭った原告らが,土地の売主である被告自治体に対し,損害賠償を求めた事案

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      京都地方裁判所判決/平成27年(ワ)第3452号、平成28年(ワ)第2679号、平成28年(ワ)第2834号

【判決日付】      令和2年6月17日

【判示事項】      台風の影響による降雨によって床上浸水等の被害に遭った原告らが,土地の売主である被告自治体に対し,損害賠償を求めた事案。

裁判所は,ハザードマップに記載された情報を提供することで宅地の購入に当たっての意思決定に必要かつ十分な情報を提供したということはできないとして,被告は,原告の一部に対して,売主としての説明義務を尽くさなかったとする一方,被告の担当職員から売買契約締結に先立ってハザードマップを示され,浸水被害が生じる恐れがあるとされる区域にあることを認識したにもかかわらず,売買契約を締結した原告について,3割の過失相殺を認めるなどして,請求を一部認容した事例

【参照条文】      民法709

             国家賠償法1-1

【掲載誌】        判例時報2481号17頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)

第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

 

発信者情報開示請求事件で権利侵害の明白性が否定された例

 

 

発信者情報開示請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/令和元年(ワ)第21776号

【判決日付】      令和2年1月29日

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

判旨

 2 もっとも,インターネット上の掲示板には出所不明の虚言や流言飛語,単なる推測や噂話の類いが多数出回っていることは顕著な事実であり,その類いの投稿がされたとしても,直ちに社会的評価が低下するとはいえないところ,本件各投稿は,「E」がDであること,パワハラが日常であること,上司は日本語が理解できないことについて,何ら具体的な事実を摘示することなく,抽象的に指摘するにすぎないのであって,一般人の普通の注意と読み方を基準としても,単なる噂話や推測の域を出るものとはいえず,これによって原告の社会的評価が低下するとはいえない。

   以上によれば,本件各投稿によって原告の名誉権が侵害されたことが明らかであるとは認められない。

 

 

       主   文

 

 1 原告の請求を棄却する。

 2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

   被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。

第2 事案の概要

   本件は,原告が,電気通信事業を営む被告に対し,その電気通信設備を経由して送信され,不特定多数人の閲覧に供されるインターネットの電子掲示板に掲載された別紙投稿記事目録記載1及び2の各投稿(以下,それぞれ「本件投稿1」,「本件投稿2」といい,併せて「本件各投稿」という。)によって原告の名誉権が侵害されたとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,発信者情報の開示を求めた事案である。

 1 前提事実

  (1)原告は,車の精密部品加工等の金属加工関係及び精密検査指導等の事業を行う有限会社である(甲5)。

    被告は,電気通信事業等を営む株式会社である(争いなし)。

  (2)本件各投稿は,「A」と称するインターネット上のウェブサイトの電子掲示板のうち,「B」の「C」の「D」というスレッドに投稿されたものである(甲1)。

  (3)被告は,法4条1項の開示関係役務提供者に当たり,別紙発信者情報目録記載の発信者情報を保有している(争いなし)。

 2 争点及びこれに関する当事者の主張

   本件の主たる争点は,本件各投稿によって原告の名誉権が侵害されたことが明らかであるといえるか(権利侵害の明白性)であり,これに関する当事者双方の主張は,次のとおりである。

 (原告の主張)

  (1)本件各投稿は,IPアドレスの同一性や時間的近接性から一体のものとして理解されるところ,本件投稿1は,群馬県内の雑談掲示板の「D」という表題のスレッドに「E」と投稿するものであって,群馬県内には原告以外に上記に該当する会社はないから,一般の読者の普通の注意と読み方によれば,本件投稿1が原告を対象としていることが特定される。

  (2)そして,本件投稿1は「D」というスレッドに原告の名称を投稿するものであり,さらに,これに続く本件投稿2は「パワハラは,日常。上司日本語理解出来ない。」と投稿するものであって,これらの各投稿により,原告が従業員に対して長時間労働,高いノルマ等を強要し,威圧的な嫌がらせといったパワハラも毎日のようにあり,しかも,低賃金な会社であって,原告の管理職の立場にいる者は,日本語も理解できないほど部下の言うことを理解しないという事実が摘示されている。

    したがって,本件各投稿は,原告の社会的評価を低下させるものといえる。

  (3)原告は,従業員に対して長時間労働や高いノルマを強要することはなく,パワハラ等のハラスメントもなく,従業員の給与も適正に支給している。原告の管理職も部下の言うことを理解し,共に勤務しやすい環境を作っている。したがって,本件各投稿は,虚偽の事実を摘示しており,かつ,公益目的もないことは明らかであって,本件各投稿に違法性阻却事由はない。

  (4)以上によれば,本件各投稿が原告の名誉権を侵害することは明らかであるといえる。

 (被告の主張)

  (1)IPアドレスは有限であって,近接した日時の異なる者の投稿に対して同じIPアドレスが付与されることもあるから,本件各投稿についても別々に評価すべきである。

    そして,本件投稿1は,「E」と記述するだけの投稿であって,原告の名称である「有限会社X1」と一致する文字は「□」だけであり,原告を投稿対象としていることが特定されるとはいえない。また,本件投稿2は,投稿対象が記載されていないし,どの投稿を受けて投稿されたのかが分かるような「〈〈○○」といった記述はないから,原告に対する投稿か否かは判然としない。

  (2)本件投稿1は,「D」というスレッドに投稿されたものではあるが,会社名の一部が記述されているにすぎず,同社をDであると明確に評価したものではないし,Dであることを示す具体的な事実や根拠は一切記述されていない。

    そして,本件投稿2には,「パワハラは,日常。上司日本語理解出来ない。」と記述されているところ,その内容は極めて抽象的なものにすぎないし,他にこれを裏付ける具体的な事実や根拠は示されていない。

    また,インターネット上の掲示板における投稿は匿名でされることもあって,その信用性は著しく低いと言わざるをえず,一般の閲覧者が当該投稿に書き込まれているとおりの印象を抱くとは考え難い。

    そうすると,本件各投稿は,原告の社会的評価を低下させるものとはいえない。

  (3)仮に,本件各投稿が原告の社会的評価を低下させるとしても,パワハラが社会問題化している昨今の風潮からして,これに関する事実の摘示は公共の利害に関するものであり,専ら公益目的を図るためのものといえる。

    そして,本件各投稿の内容からすれば,原告に詳しい人物が投稿していると考えられるから,投稿の内容が真実であるか,又は,真実と信じるについて相当な理由があるというべきである。

    したがって,本件各投稿には,違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情がないとはいえない。

  (4)以上によれば,本件各投稿によって原告の名誉権が侵害されたことが明らかであるとはいえない。

第3 当裁判所の判断

 1 前記前提事実のとおり,本件投稿1は,群馬県富岡市の雑談掲示板の「D」というスレッドに「E」と投稿するものであるところ,原告の主張によれば,群馬県内には原告以外に上記に当てはまる会社はないというのであり,その主張を前提とすると,一般人の普通の注意と読み方によれば,上記投稿が原告を指すものであると理解できなくもない。

   そして,本件投稿2は,「パワハラは,日常。上司日本語理解出来ない。」と投稿するものであるところ,これが本件投稿1に続いて投稿されていることからすれば,「E」に関する投稿と解するのが自然である。

 2 もっとも,インターネット上の掲示板には出所不明の虚言や流言飛語,単なる推測や噂話の類いが多数出回っていることは顕著な事実であり,その類いの投稿がされたとしても,直ちに社会的評価が低下するとはいえないところ,本件各投稿は,「E」がDであること,パワハラが日常であること,上司は日本語が理解できないことについて,何ら具体的な事実を摘示することなく,抽象的に指摘するにすぎないのであって,一般人の普通の注意と読み方を基準としても,単なる噂話や推測の域を出るものとはいえず,これによって原告の社会的評価が低下するとはいえない。

   以上によれば,本件各投稿によって原告の名誉権が侵害されたことが明らかであるとは認められない。

 3 よって,その余について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

    東京地方裁判所民事第35部

           裁判官  能登謙太郎

税務署長がした処分に対する異議申立棄却決定が判決によって取り消された場合と昭和45年改正前の国税通則法80条1項1号の適用

 

 

異議申立棄却決定取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和42年(行ツ)第7号

【判決日付】      昭和49年7月19日

【判示事項】      一、税務署長がした処分に対する異議申立棄却決定が判決によって取り消された場合と昭和45年法律第8号による改正前の国税通則法80条1項1号の適用

             ニ、税務署長がした処分につき適法な理由附記のある審査請求棄却の裁決があった場合と右処分に対する異議申立棄却決定につき理由附記の不備を主張してその取消を求める訴の利益

【判決要旨】      一、税務署長がした処分に対する異議申立を棄却する決定が判決によって取り消された場合において、右判決確定の時当初の異議申立から既に3月を経過していても、右異議申立は、昭和45年法律第8号による改正前の国税通則法80条1項1号の規定により当然に審査請求に移行するものではない。

             ニ、税務署長がした処分につき適法な理由附記のある審査請求棄却の裁決があっても、右処分に対する異議申立棄却決定につき理由附記の不備を主張してその取消を求める訴の利益は失われない。

【参照条文】      国税通則法(昭和45年法律第8号による改正前のもの)80-1

             行政事件訴訟法33-2

             行政事件訴訟法9

             国税通則法84-4

             国税通則法(昭和45年法律第8号による改正前のもの)75

             行政不服審査法41-1

             行政不服審査法48

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻5号759頁

 

 

 本判決は、法が不服申立人の異議手続によつて救済を求める利益を権利として尊重する趣旨であることは明らかである、審査請求棄却裁決の理由附記によつて異議決定庁の慎重公平な判断を受ける利益がみたされるわけではない。

とし、審査請求棄却の裁決があつても異議決定庁は独自の審理判断に基づいて自ら原処分の取消変更をすることを妨げられないから、その可能性が残されているかぎり、異議申立棄却決定につきその理由附記の不備の瑕疵を主張してその取消しを求める訴えの利益は失われるものではない。

と判示した。

 

 

 

国税通則法

(国税に関する処分についての不服申立て)

第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に定める不服申立てをすることができる。

一 税務署長、国税局長又は税関長がした処分(次項に規定する処分を除く。) 次に掲げる不服申立てのうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立て

イ その処分をした税務署長、国税局長又は税関長に対する再調査の請求

ロ 国税不服審判所長に対する審査請求

二 国税庁長官がした処分 国税庁長官に対する審査請求

三 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の長又はその職員がした処分 国税不服審判所長に対する審査請求

2 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が次の各号に掲げる職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたものに不服がある者は、当該各号に定める国税局長又は国税庁長官がその処分をしたものとそれぞれみなして、国税局長がしたものとみなされた処分については当該国税局長に対する再調査の請求又は国税不服審判所長に対する審査請求のうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立てをし、国税庁長官がしたものとみなされた処分については国税庁長官に対する審査請求をすることができる。

一 国税局の当該職員 その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長

二 国税庁の当該職員 国税庁長官

3 第一項第一号イ又は前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求(法定の再調査の請求期間経過後にされたものその他その請求が適法にされていないものを除く。次項において同じ。)についての決定があつた場合において、当該再調査の請求をした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

4 第一項第一号イ又は第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求をしている者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該再調査の請求に係る処分について、決定を経ないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。

一 再調査の請求をした日(第八十一条第三項(再調査の請求書の記載事項等)の規定により不備を補正すべきことを求められた場合にあつては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても当該再調査の請求についての決定がない場合

二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

5 国税に関する法律に基づく処分で国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がしたものに不服がある場合には、それぞれその職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がその処分をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。

 

第八十四条 再調査審理庁は、再調査の請求人又は参加人(第百九条第三項(参加人)に規定する参加人をいう。以下この款及び次款において同じ。)から申立てがあつた場合には、当該申立てをした者(以下この条において「申立人」という。)に口頭で再調査の請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

2 前項本文の規定による意見の陳述(以下この条において「口頭意見陳述」という。)は、再調査審理庁が期日及び場所を指定し、再調査の請求人及び参加人を招集してさせるものとする。

3 口頭意見陳述において、申立人は、再調査審理庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

4 再調査審理庁は、必要があると認める場合には、その行政機関の職員に口頭意見陳述を聴かせることができる。

5 口頭意見陳述において、再調査審理庁又は前項の職員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。

6 再調査の請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。この場合において、再調査審理庁が、証拠書類又は証拠物を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

7 再調査の請求についての決定は、主文及び理由を記載し、再調査審理庁が記名押印した再調査決定書によりしなければならない。

8 再調査の請求についての決定で当該再調査の請求に係る処分の全部又は一部を維持する場合における前項に規定する理由においては、その維持される処分を正当とする理由が明らかにされていなければならない。

9 再調査審理庁は、第七項の再調査決定書(再調査の請求に係る処分の全部を取り消す決定に係るものを除く。)に、再調査の請求に係る処分につき国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる旨(却下の決定である場合にあつては、当該却下の決定が違法な場合に限り審査請求をすることができる旨)及び審査請求期間を記載して、これらを教示しなければならない。

10 再調査の請求についての決定は、再調査の請求人(当該再調査の請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における前条第三項の規定による決定にあつては、再調査の請求人及び処分の相手方)に再調査決定書の謄本が送達された時に、その効力を生ずる。

11 再調査審理庁は、再調査決定書の謄本を参加人に送付しなければならない。

12 再調査審理庁は、再調査の請求についての決定をしたときは、速やかに、第六項の規定により提出された証拠書類又は証拠物をその提出人に返還しなければならない。

 

(不服申立期間)

第七十七条 不服申立て(第七十五条第三項及び第四項(再調査の請求後にする審査請求)の規定による審査請求を除く。第三項において同じ。)は、処分があつたことを知つた日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

2 第七十五条第三項の規定による審査請求は、第八十四条第十項(決定の手続等)の規定による再調査決定書の謄本の送達があつた日の翌日から起算して一月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

3 不服申立ては、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

4 第二十二条(郵送等に係る納税申告書等の提出時期)の規定は、不服申立てに係る再調査の請求書又は審査請求書について準用する。

 

(不服申立ての前置等)

第百十五条 国税に関する法律に基づく処分(第八十条第三項(行政不服審査法との関係)に規定する処分を除く。以下この節において同じ。)で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは、審査請求についての裁決を経た後でなければ、提起することができない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

 国税不服審判所長又は国税庁長官に対して審査請求がされた日の翌日から起算して三月を経過しても裁決がないとき。

 更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が、その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするとき。

 審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

 国税に関する法律に基づく処分についてされた再調査の請求又は審査請求について決定又は裁決をした者は、その決定又は裁決をした時にその処分についての訴訟が係属している場合には、その再調査決定書又は裁決書の謄本をその訴訟が係属している裁判所に送付するものとする。

 

 

 

 

行政事件訴訟法

(原告適格)

第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

第三十三条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

2 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。

3 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。

4 第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。

 

 

行政不服審査法

(審理手続の終結)

第四十一条 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。

2 前項に定めるもののほか、審理員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。

一 次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。

イ 第二十九条第二項 弁明書

ロ 第三十条第一項後段 反論書

ハ 第三十条第二項後段 意見書

ニ 第三十二条第三項 証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件

ホ 第三十三条前段 書類その他の物件

二 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。

3 審理員が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条第一項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。同条第二項及び第四十三条第二項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

 

(不利益変更の禁止)

第四十八条 第四十六条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。

 

 

 

 

       主   文

 

 原判決中、上告人が被上告人に対してした昭和三七年五月一日から昭和三八年四月三〇日までの事業年度分法人税額の更正処分及び加算税の賦課決定処分のうち昭和四〇年九月一七日付裁決によつて取り消された部分についての異議申立棄却決定の取消しを求める請求に関する部分を破棄する。

 前項記載の破棄部分につき被上告人の控訴を棄却する。

 その余の部分に関する上告人の上告を棄却する。

 第一項記載の部分に関する控訴費用、上告費用は被上告人の負担とし、第三項記載の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告指定代理人上田明信、同横山茂晴、同山田保明の上告理由第一点について。

 所論は、要するに、原判決が、本件各異議申立棄却決定(以下、本件各決定という。)が判決によつて取り消されたとしても、昭和四五年法律第八号による改正前の国税通則法(以下、単に「旧法」という。なお、同改正後の国税通則法を、以下、単に「新法」という。)八〇条一項一号の適用の余地はないとしたのは、法律の解釈を誤つたものである、というのである。

 案ずるに、旧法七六条一項、七九条三項、八七条一項(新法七五条一、三項、七七条一、二項、一一五条一項)は、国税に関する法律に基づく税務署長の処分(以下、原処分という。)に対する不服申立方法として異議申立て及び審査請求の手続を設け、原則としてこの二段階の不服手続を経たのちでなければ原処分の取消訴訟を提起することができない旨を定めているが、その趣旨は、国税の賦課に関する処分が大量かつ回帰的なものであり、当初の処分が必ずしも十分な資料と調査に基づいてされえない場合があることにかんがみ、まず、事案を熟知し、事実関係の究明に便利な地位にある原処分庁に対する不服手続によつてこれに再審理の機会を与え、処分を受ける者に簡易かつ迅速な救済を受ける道を開き、その結果なお原処分に不服がある場合に審査裁決庁の裁決を受けさせることとし、一面において審査裁決庁の負担の軽減をはかるとともに、他面において納税者の権利救済につき特別の考慮を払う目的に出たものであり、租税行政の特殊性を考慮し、その合理的対策としてとられた制度であることは明らかである。ところで、異議申立てをした場合に、申立後三月を経過してもこれについての決定がされないときは、異議申立人が別段の申出をした場合を除き、審査請求がされたものとみなす旨を規定している旧法八〇条一項一号も、このような法の趣旨、目的を反映しているのであつて、不服申立人を行政救済手続の遅延による不利益からまもるとともに、他面において行政手続経済の合理化をはかることにその主たる目的があることはいうまでもないが、この場合に異議手続による救済を全く無意味かつ不要とするものではなく、不服申立人がこの手続による救済を求める利益をも重視し、これを権利として尊重する趣旨であることは、前記規定が審査請求とみなす効果の発生を異議申立人の意思にかからしめ、異議決定が遅延したときは、その選択により、異議決定を省略して審査裁決を受けることもでき、また、あくまでまず異議手続による救済を求めることもできることとしていることからも明らかである。そして、国税通則法は、旧法、新法いずれも審査請求によつては異議決定固有の瑕疵を争うことを認めていない(旧法七九条三、五項、七六条五項一号、新法七五条三項、七六条一号)のであるから、右瑕疵を是正するためには、右決定自体の取消訴訟を提起するほかなく、またこのような訴えは、それ自体固有の利益をもつ訴えとして許されるのである。

 このようにみてくると、異議申立人が異議決定取消しの判決をえ、その判決により異議決定が遡つて効力を失う結果として、異議申立ての時から三月以内に決定がされていない状態に復帰することがあつても、その場合に、旧法八〇条一項一号により審査手続に移行するものと解するとすれば、異議決定庁がその拘束を受ける取消判決の趣旨を没却させ、異議手続による救済を求める申立人の権利を認めないのと同一の結果に帰着することとなるのであるから、このような解釈は、法の趣旨、目的に反し、採ることができない。すなわち、取消判決の確定が異議申立ての時から既に三月を経過していても直ちに当然に審査手続に移行するものではなく、異議手続は依然として係属し、異議決定庁は、これに対して改めて適法な審理、決定をすべき拘束を受けるものと解すべきである。

 したがつて、被上告人のした各異議申立ては、本件各決定が判決によつて取り消されても、旧法八〇条一項一号の規定により審査請求に移行するものでないとした原審の判断は、結局正当であり、右と異なる見解に立つ論旨は、採用することができない。

 同第二点について。

 所論は、要するに、十分な理由が附記された裁決により原処分が適法妥当と認められた場合には、法が異議決定に理由の附記を求める趣旨は実質的に充足されたものといいうるとともに、異議決定庁が原処分の取消決定をすることは事実上殆んど期待しえないから、異議決定の取消しを求める訴えの利益は失われるものと解すべきであるのに、本件各決定の取消しを求める訴えの利益肯認した原判決は、法律の解釈を誤つたものである、というのである。

 旧法七五条、行政不服審査法四八条、四一条一項(新法八四条四項、一〇一条一項)が異議決定、審査裁決に理由を附記すべきものとしているのは、異議決定庁、審査裁決庁の判断の慎重、公正を期し、その恣意を抑制するとともに、決定、裁決の理由を明示することによつて不服申立人に原処分に対する不服申立てないしは取消訴訟の提起に関して判断資料を与える趣旨に出たものと解される。したがつて、異議決定、審査裁決の理由附記に不備がある場合には、当該決定、裁決はそれぞれ固有の瑕疵あるものとして違法となり、不服申立人はその決定、裁決の取消しを求めることができるのであるが、異議決定にこのような瑕疵がある場合、のちにされた審査裁決に適法な理由附記があつたからといつて、それは審査裁決庁の原処分に対する判断の理由を明らかにしたのにとどまり、異議決定の右瑕疵がこれによつて当然に治癒されるわけではなく、また、異議決定庁の原処分に対する判断の理由附記によつてその慎重、公正な判断を受ける利益は、このような審査裁決の理由附記によつてみたされるものということはできないのであるから、単なる形式の追完を求める利益を有するにすぎないとして異議決定取消訴訟の利益を否定することは当をえたものということができない。また、原処分を取消し又は変更する裁決は、異議決定庁を拘束するが(旧法七五条、行政不服審査法四三条、新法一〇二条)、原処分を適法と認めて審査請求を棄却する裁決があつても、異議決定庁は独自の審理判断に基づいて自ら原処分を取消し又は変更することを妨げないものと解すべきであつて、その可能性が残されているかぎり、異議申立人は異議決定庁に対し、更に原処分の取消し又は変更を求める利益を依然として保有しているものといわなければならない。それゆえ、原処分を維持して審査請求を棄却する裁決があり、これに適法な理由附記があつたとしても、これによつて、異議申立人が異議決定における理由附記の不備の瑕疵を主張してその取消しを求める訴えの利益は失われるものではないというべきである。ところで、異議決定を経たのちの原処分に対してされた審査請求につき、原処分の全部又は一部を取り消す旨の裁決がされたときは、遡つてその効力が失われる結果、右原処分を維持した異議申立棄却決定の取消しを求める訴えは、その限度においてその利益が失われるものと解するのが相当である。

 これを本件についてみるに、原審の確定するところによれば、被上告人は、本件各決定後の各原処分(法人税額の更正処分及び加算税の決定処分)につき東京国税局長に対して審査請求をし、同国税局長は、(イ)昭和三五年五月一日から昭和三六年四月三〇日まで及び(ロ)昭和三六年五月一日から昭和三七年四月三〇日までの各事業年度分に関する各原処分に対する審査請求については、それぞれ棄却の裁決を、(ハ)昭和三七年五月一日から昭和三八年四月三〇日までの事業年度分に関する原処分に対する審査請求については、原処分のうち所得金額一七二万五二四六円をこえる部分を取り消し、その余の部分についての審査請求を棄却する裁決をしたというのである。そうすると、右(イ)(ロ)両事業年度分に関する各異議決定及び(ハ)事業年度分に関する異議決定中、右裁決によつて審査請求が棄却された部分の原処分に関する部分については、被上告人がその取消しを求める訴えの利益を有するとした原判決の判断は正当である。しかし、右(ハ)事業年度分に関する異議決定中、前記裁決により取り消された部分の原処分に関する部分については、既にその取消しを求める訴えの利益は失われているのであるから、なおその利益があるとした原判決は法律の解釈を誤つたものといわなければならない。したがつて、原判決中、右部分については原判決を破棄すべく、当該部分につき訴えを却下した第一審判決は結局正当であるので、右部分に関する控訴を棄却し、その余の部分に関する上告人の上告を棄却すべきものである。

 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、八九条、九六条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第二小法廷

 

 

ジュリスト 2023年8月号(No.1587) 【特集】景品表示法改正

 

 

有斐閣

2023年07月25日 発売

定価 1,760円(本体 1,600円)

 

 

第211回国会において,不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の改正法が成立しました。本改正は,確約手続の導入や課徴金制度の見直し,刑事罰の新設などを含み,実務に大きな影響を及ぼすものです。本特集では,改正の内容や課題について議論・解説するとともに,諸外国の制度との比較を行い,理論的検討を加えます。連載「『人権尊重ガイドライン』を読み解く」は今号が最終回です。併せて是非ご注目ください。

 

 

【特集】景品表示法改正

◇[座談会]景品表示法の改正および運用改善について…中川丈久(司会)/片岡克俊/佐藤吾郎/白石忠志/染谷隆明……14

 

◇景品表示法における確約手続の導入…長澤哲也……37

 

◇景品表示法上の不実証広告規制に係る行政法上の諸問題…西上 治……43

 

◇景品表示法の課徴金制度における理論と課題…伊永大輔……49

 

◇景品表示法によるデジタル広告規制の現状と課題…板倉陽一郎……55

 

◇米国法からみた日本景品表示法の特色と課題…早川雄一郎……62

 

◇EU法からみた日本景品表示法の特色と課題…カライスコス アントニオス……68

 

 

コメント

改正法の詳しい解説で、参考になります。

景表法は行政法規ですので、特定商取引法のような民事法的規制がないと、消費者保護をまっとうできないいと思います。

 

ママ友事件・保護責任者でない者による保護責任者遺棄致死罪の共犯

 

 

保護責任者遺棄致死,詐欺,窃盗被告事件

【事件番号】      福岡地方裁判所判決/令和2年(わ)第1494号、令和3年(わ)第48号、令和3年(わ)第138号、令和3年(わ)第299号

【判決日付】      令和4年9月21日

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

       主   文

 

 被告人を懲役15年に処する。

 未決勾留日数中420日をその刑に算入する。

 

       理   由

 

(罪となるべき事実)

第1 (令和3年3月23日付け公訴事実)

 被告人は、分離前の相被告人X(昭和▲年▲月▲日生)と平成28年4月頃「ママ友」として知り合い、親交を深めていた。Xは、平成31年1月30日から令和2年3月25日までの間は福岡県糟屋郡a町大字bc番地deにおいて、同日以降は同県糟屋郡a町大字bf番地ghにおいて、三男であるA(平成▲年▲月▲日生。以下「被害者」という。)ら3人の子供を一人で養育していた。被告人は、かねてXに対し、後記のとおり、「ボス」と呼称していたBがXの元夫の浮気調査をしたことによる高額の調査費用を立替払している旨及び同人と不倫関係にあった女性に対する慰謝料を支払う必要がある旨の虚言を重ねて、その精算や支払いのためと称してXの収入のほぼすべてを被告人に交付させるとともに、「ボス」に依頼してXの元夫に対する慰謝料請求裁判を追行してもらうが、勝訴するためには、子供らを厳しくしつけ、「ボス」や被告人から提供される食事のみで質素な生活をしている様子を裁判所に見せなければならず、裁判所に提出するため「ボス」がX方内に監視カメラを設置している旨の虚言を重ねるなどして、食事を含めたX及びその子供らの生活全般を実質的に支配していった。更に被告人は、Xと共謀の上、令和元年8月頃から、Xの子供らの食事の量及び回数を減らすなどし、同年10月頃以降、日中一人で留守番をするよう言い付けた被害者が家の外に出たり勝手に食べ物を食べたりした「罰」と称して、多数回にわたり、連続して数日間被害者に食事を一切与えなかったことなどにより、被害者を痩せ細らせ、遅くとも令和2年3月下旬頃には、被害者が重度の低栄養状態になっていたのであるから、Xにおいて被害者に十分な食事を与えその生存に必要な保護をすべき責任があったのに、その頃から同年4月18日午前中までの間、引き続き被害者に十分な食事を与えず、よって、同日午後10時頃、前記hのX方において、被害者(当時5歳)を飢餓死させた。

第2 (令和3年1月26日付け公訴事実第1)

 被告人は、かねてXに対し、「ボス」と呼称していた前記BがXの元夫の浮気調査をしたことによる調査費用を立替払している旨うそを言い、Xがその旨誤信していたことに乗じて、Xから同調査費用の精算名目で預金通帳及び現金をだまし取ろうと考え、真実は、Xの元夫の浮気調査をした事実も、その調査費用の精算が必要な事実もないのに、これらがあるように装い、別表1の欺もう日時欄記載のとおり(別表1省略)、令和元年6月5日頃から同年10月9日頃までの間、数回にわたり、福岡県糟屋郡内において、Xに対し、同表の欺もう文言等欄記載のうそ等を言い、Xに、児童手当及び児童扶養手当として支給された現金を前記Bへの同調査費用の精算として支払う必要がある旨誤信させ、よって、同表の交付日時、交付場所及び交付財物の各欄記載のとおり、同年6月10日午前7時50分頃から同年10月10日午前9時17分頃までの間、3回にわたり、同県糟屋郡a町大字bi番地jのk前路上ほか2か所において、Xから株式会社C銀行D支店に開設されたX管理の預金通帳及び現金14万円の交付を受け、もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。

第3 (令和3年1月26日付け公訴事実第2)

 被告人は、前記第2別表1番号1の犯行によりだまし取った預金通帳を使用して現金を窃取しようと考え、令和元年6月10日午前9時8分頃、同県糟屋郡a町(以下省略)の株式会社C銀行D支店において、同所に設置された現金自動預払機に前記通帳を挿入して同機を作動させ、同機から同支店支店長E管理の現金13万円を引き出して窃取した。

第4 (令和3年1月26日付け公訴事実第3)

 被告人は、前記第2別表1番号2の犯行によりだまし取った預金通帳を使用して現金を窃取しようと考え、令和元年8月9日午前8時16分頃、同支店において、同所に設置された現金自動預払機に前記通帳を挿入して同機を作動させ、同機から前記E管理の現金11万8000円を引き出して窃取した。

第5 (令和3年1月26日付け公訴事実第4)

 被告人は、かねてXに対し、「ボス」と呼称していた前記BがXの元夫の浮気調査をしたことによる調査費用を立替払している旨及び同人と不倫関係にあった女性に対する慰謝料を支払う必要がある旨それぞれうそを言い、Xがその旨誤信していたことに乗じて、Xから同調査費用の精算名目及び慰謝料支払名目で現金をだまし取ろうと考え、真実は、Xの元夫の浮気調査をした事実も、その調査費用の精算が必要な事実もなく、同人が女性と不倫をした事実も、その慰謝料の支払が必要な事実もないのに、これらがあるように装い、別表2の欺もう日時欄記載のとおり(別表2省略)、令和元年10月31日頃から同年12月26日午前10時頃までの間、4回にわたり、同県糟屋郡内において、Xに対し、同表の名目欄記載の名目で、同表の欺もう文言等欄記載のうそ等を言い、Xに、生活保護費として支給された現金のうち10万円を前記女性への慰謝料として、その残金及び児童扶養手当として支給された現金を前記Bへの同調査費用の精算としてそれぞれ支払う必要がある旨誤信させ、よって、同表の交付日時、交付場所及び金額の各欄記載のとおり、同年11月1日午後5時頃から同年12月26日午前11時20分頃までの間、4回にわたり、同県糟屋郡a町大字bi番地jのkの当時の被告人方ほか3か所において、Xから現金合計59万4596円の交付を受け、もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。

第6 (令和3年2月17日付け公訴事実)

 被告人は、かねてXに対し、「ボス」と呼称していた前記BがXの元夫の浮気調査をしたことによる調査費用を立替払している旨及び同人と不倫関係にあった女性に対する慰謝料を支払う必要がある旨それぞれうそを言い、さらに、生活保護費として支給される現金のうち10万円を前記女性への慰謝料として、その残金並びに児童手当及び児童扶養手当として支給される現金を前記Bへの同調査費用の精算として支払う必要がある旨うそを言って、Xがそれらの旨誤信していたことに乗じて、Xから同調査費用の精算名目及び慰謝料支払名目で現金をだまし取ろうと考え、真実は、Xの元夫の浮気調査をした事実も、その調査費用の精算が必要な事実もなく、同人が女性と不倫をした事実も、その慰謝料の支払が必要な事実もないのに、これらがあるように装い、別表3の欺もう日時及び欺もう場所の各欄記載のとおり(別表3省略)、令和2年1月9日頃から同年4月1日午前9時30分頃までの間、6回にわたり、福岡県糟屋郡内又は同県宗像市内において、Xに対し、同表の欺もう文言等欄記載の文言を使って、同表の名目欄記載の名目で、生活保護費として支給される現金のうち10万円を前記女性への慰謝料として、その残金並びに児童手当及び児童扶養手当として支給される現金を前記Bへの同調査費用の精算としてそれぞれ支払う必要がある旨更にうそを言い、Xにその旨誤信させ、よって、同表の交付日時、交付場所及び金額の各欄記載のとおり、同年1月10日午前10時5分頃から同年4月1日午前10時14分頃までの間、6回にわたり、同県糟屋郡a町(以下省略)のFG店ほか5か所において、Xから現金合計88万7000円の交付を受け、もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させた。

第7 (令和2年12月28日付け公訴事実)

 被告人は、Xの元夫に対する慰謝料請求裁判等の手続費用名目でXから現金をだまし取ろうと考え、令和2年5月26日午後零時27分頃から同日午後4時13分頃までの間及び同年6月2日午後零時23分頃から同日午後3時50分頃までの間、前記hのX方にいたXに対し、真実は、Xの元夫に対する慰謝料請求裁判や児童相談所に保護されたXの子供らを取り戻すための裁判を提起するつもりも、その手続費用の支払が必要な事実もないのに、これらがあるように装い、電話で、「ボス」と呼称していた前記Bが、Xのために「フウガ」と呼称していた弁護士に依頼して、Xの元夫に対する慰謝料請求裁判や児童相談所に保護されたXの子供らを取り戻すための裁判を提起してくれるが、その書面代や手続費用として4万円が必要である旨うそを言い、さらに、Xの元夫への請求額を増やしたいが、そのためには前記書面代等が12万円になる旨うそを言い、Xにその旨誤信させ、よって、同日午後4時40分頃、同県糟屋郡a町(以下省略)のH株式会社I店駐車場から同県糟屋郡l町(以下省略)のJ株式会社K駅までの間を走行中の自動車内において、Xから現金12万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。

(証拠の標目)

 省略

(事実認定の補足説明)

1 争点

 弁護人は、①保護責任者遺棄致死事件について、被告人は、Xに対し、判示のようなうそは言っておらず、Xとその子供らの食事やしつけに関して指示したこともなく、Xらの生活全般を支配したことはないとして、Xとの間に共謀はないと主張し、②詐欺・窃盗事件について、被告人は、Xから自分の代わりに現金を引き出してほしいと依頼されて預金通帳を預かったことはあるが、Xに対して判示のようなうそは言っておらず、同通帳をだまし取ったものではないし、引き出した現金もXに渡しており、他にXから現金をだまし取ったことも一切ないと主張し、被告人もこれらの主張に沿う供述をしている。

 そこで、以下、当裁判所が判示の各事実を認定した理由について説明する。

2 当裁判所の判断

(1) Xの公判供述について

ア まず、前提となる事実関係として、被告人とXが「ママ友」の関係にあったこと、Xが自宅において被害者ら3人の子供を一人で養育していたこと、令和元年8月頃から被害者が徐々に痩せ細り、遅くとも令和2年3月下旬頃には重度の低栄養状態になっていたのに、保護責任者であるXが、その頃から同年4月18日までの間、被害者に十分な食事を与えなかったため、同日、自宅で、被害者を飢餓死させたことについては、当事者間に争いがなく、関係各証拠によっても明らかに認められる。

  そして、Xは、当公判廷において、要旨、以下のとおり供述している。

  すなわち、Xは、平成28年4月頃、被告人と「ママ友」として知り合い、親交を深めていたところ、平成30年5月頃、被告人から、Xや被告人が他のママ友の悪口を言ったなどとしてそのママ友から裁判を起こされそうになったが、暴力団組織を背景に持つボスと呼ばれるママ友が介入してくれたため、Xや被告人が50万円ずつ支払う旨の示談が成立したなどと言われ、これを信じて示談金として50万円を被告人に渡した。その後も、Xは、被告人から、ボスが金を取り戻すためママ友に対する裁判を提起してくれるが、裁判で勝つためには贅沢な生活をしてはならない、裁判の内容について家族も含め誰にも話してはいけないなどの条件を守らなければならず、これに違反すると罰金を科されるとか、条件に違反していないかを監視するためXの周辺には多数のスパイが配置され、X方の隣家に監視カメラが設置されているとか、多数のママ友が参加するグループラインが作られ、そこでもXが監視されたり、悪口を言われたりしていると聞かされ、罰金等として多額の現金を被告人に渡した。

  また、Xは、被告人から、ボスの調査によりXの夫が浮気をしていることが分かったなどと言われ、これを信じて夫と離婚したいと考えるようになったが、被告人から裁判で明確な証拠を突きつけるまでは家族に夫の浮気のことは明らかにしてはならないなどと言われたため、夫や親族には夫がマザコンだから離婚したいなどと伝えた上、平成31年1月末頃、夫に転居先を告げずに子供3人を連れてアパートに引っ越し、令和元年5月に離婚した。加えて、被告人からXの母や姉の悪口を吹き込まれ、これを信じて母や姉との関係を絶ったりするなど、徐々に家族や友人らとの人間関係が遮断されていった。

  以後、Xは、3人の子供を一人で養育するようになったが、被告人から、ボスが調査費用を立て替えてくれており、家が一軒建つほどの高額になっているとか、Xの元夫が不倫相手を妊娠・中絶させたが、その慰謝料をXにおいて支払わなくてはならないなどと告げられて、Xの給与や生活保護費、各種手当など収入のほぼ全てをボスへの返済等の名目で被告人に渡すようになった。その一部が、判示第2ないし第6の詐欺・窃盗事件である。その結果、Xら家族は生活費に困るようになり、被告人から、ボスや被告人がX家の食事の面倒をみるなどと言われ、被告人から食料の提供を受けるようになった。

  Xは、徐々に生活が困窮していく中、被告人から、ボスが弁護士に依頼してXの元夫に対する慰謝料請求の裁判を起こそうと言ってくれている、勝訴すればまとまった額の金銭を手に入れられる、裁判で勝訴するためには、Xやその子供らが被告人から提供される食事のみで生活するなど清貧な生活を送っていることや、母子家庭であっても子供を厳しくしつけられるところを裁判所に見せなければならない、その様子を裁判所に報告するためX方にはボスによって多数箇所に監視カメラが付けられているなどといった嘘を告げられて、これを信じ、被告人が提供する食料のみでXや子供らの食事を賄い、家族間での食事量の分配も被告人の指示に従い、第三者から差し入れを受けるなどした食料は全て被告人に報告した上、処分するなどした。

  令和元年8月、X方のガス供給が料金不払いによって停止され、被告人がX方に提供する食料が被告人の手料理となったが、提供される1日当たりの食事量がこれまでより大幅に減ることとなり、子供らの体重が減少し始めた。

  さらに、被告人は、令和元年10月頃から、Xの不在中、被害者が言いつけを守らずに家の外に出ていたのが監視カメラに映っていたなどとして、被害者に罵声を浴びせるようになり、被害者をクローゼットに閉じ込めて生活させたり、罰として食事抜きを指示したりするようになった。Xは、被告人の行為をひどいと思ったものの、被告人やその背後にいるボス以外には周りに頼れる人はおらず、被告人やボスの機嫌を損ねると、被告人らの目が子供らに向いてしまうとか、被告人から食料をもらえなくなったり、元夫に対する裁判でボスの協力を得られなくなったりして、ますます一家が困窮してしまうなどと考え、その指示に従っていた。

  また、Xは、令和元年10月以降、被害者の体重減少を懸念した幼稚園の教諭や教育委員会の職員等から家庭訪問や面談を受けたが、被告人から、公的機関の職員と接触するなとか、Xは対人恐怖症やうつ病ということになっているなどと言われ、家庭訪問や面談を拒絶したり、被告人に対応を任せたりしていた。

  このような生活が令和2年3月まで続き、被害者は、自宅にある食料を盗み食いした罰などとして、同月には、被告人の指示により、その大半の日で食事抜きとされ、食事を与えられた日も必要な量を大幅に下回るものしか与えられなかった。被告人は、同月28日、被害者が食料を盗み食いした罰として、被害者を怒鳴りつけた上、ビニールバッグに入れて転居前のアパートに連れて行き、そのトイレに閉じ込めたりもしていた。被害者は、同月下旬以降、極度に痩せて、元気なくじっとしていることの多い状態にあったことに加え、繰り返し激しい頭痛を訴えるなどしていた。

  被告人は、令和2年4月、突然、Xら家族への食料の提供をやめるなどと言い出し、被害者に対する食事抜きを指示されることはなくなったものの、被告人からの定期的な食料の差し入れがなくなり、Xら家族はますます困窮し、被害者も、1日に少量の食事を1食だけしか与えられないなど、必要な量には程遠い食事しか与えられなかった。被害者は、同月17日、円を描くように頭をふらふらさせていたところ、それを見た被告人が、被害者に菓子を与えるなどしていた。

  さらに、被害者は、同月18日の午後5時30分頃以降、「きつい」、「頭痛い」と言って倒れ込んだり、床に前のめりに倒れて目の焦点が合わない状態になったりした。Xが、その状態を動画撮影した上、被告人にSNSで報告したところ、被告人は、同日午後7時30分頃、X方を訪れ、被害者に声をかけて顔や足の裏を触るなどした上、被害者がか細い声を出すと、このまま様子を見るようにXに申し向けて帰宅した。Xは、同日午後10時頃、被害者の息が弱くなっていることに気づき、被告人に連絡するなどし、X方に駆けつけた被告人の夫が119番通報してくれたが、被害者はそのまま亡くなった。Xは、同年3月下旬以降、被害者の体調不良を認識していたが、被告人から、ボスの存在が公的機関に明るみに出たらボスに迷惑がかかるなどと言われていたことから、救急車を呼んだり、被害者を病院に連れて行ったりすることはできなかった。

  被害者が亡くなった後も、Xは、被告人の言葉を信じ切っており、被告人から、ボスがXの元夫に対する慰謝料請求裁判や児童相談所に保護された子供らを取り戻すための裁判をしてやると言っていると言われ、これを信じて、令和2年6月2日、被告人に手続費用等として12万円を渡した。これが判示第7の詐欺事件である。

  しかし、保護責任者遺棄致死についてXの取調べを担当していた警察官から、被告人がうそをついているのではないかという示唆を受け、他のママ友に確認を取ったところ、被告人から聞いた話とは食い違うことが多く、徐々に被告人の話がうそであることが分かった。そこで、令和2年7月、数回にわたり、電話口等で被告人と会話した内容をICレコーダーに録音し、それらを警察へ提出した。

イ 以上のXの供述は、ボスと呼ばれるママ友が、Xのために各種裁判や浮気調査をしてくれているとか、X方内に監視カメラを設置しているといった被告人から告げられたうその内容や、Xの収入のほぼすべてがボスへの支払いという名目で費やされ、Xら家族の生活には充てられていなかったこと、被告人がXとボスとの間の連絡やボスへの返済の仲介をしているものとされていたこと、Xら家族の生活が困窮し、被告人の提供する食事に依存していたこと、被告人がXの子供のしつけについて指示を繰り返し、被害者に暴言や暴力を加えたり、食事抜きを指示したりしていたことなど、その核心部分が、被告人とXとの間のSNSのやり取りや、Xが事件当時スマートフォン上に入力したメモ、事件後の被告人とXとの会話の録音のほか、Xの多額の収入とそれに反する生活困窮状態といった客観的な証拠・事情によって強く裏付けられている。

  また、Xがそれまで円満な関係を築いていた夫や母、姉に対して突然拒否的な態度を取り始め、夫がマザコンであるなどという不可解な理由で離婚を持ち出した点については、Xの元夫や母の公判供述と合致しているし、公的機関がXら家族への接触を試みた際、被告人が介入した上、Xが対人恐怖症であるとかうつ病であるなどとして大声で苦情を言うなどしていた点については、幼稚園の教諭や教育委員会の職員等の公判供述と合致している。

  何より、被害者ら3人の子供を愛情深く養育するとともに、夫や母、姉とも円満な関係を築いて、幸せな家庭生活を送っていたXが、独断専行で、突然夫や母らとの関係を断とうとしたり、まして子供に食事を与えずに飢餓死させたりするような理由は証拠上全く見当たらず、Xの供述は、本件各犯行の経緯を合理的に説明するものといえる。

  以上によれば、Xには責任の軽減を図って嘘をつく強い動機があることなどの弁護人が指摘する事情を踏まえて慎重に検討しても、その供述の信用性は相当に高い。

(2) 被告人の公判供述について

ア これに対し、被告人は、要旨、以下のとおり供述している。

  すなわち、被告人は、Xに対して判示のようなうそを言ったり、Xの子供らへのしつけやXら家族の食事について指示をしたりしたことはない。Xは、元々、被告人に対して夫や家族に対する不満を漏らしたり、夫の浮気を疑う言動をしており、ボスと呼ばれる男性に色々と相談して夫の浮気調査や裁判をしてもらっているとか、ボスと一緒になりたいと思っているなどとも言っていた。Xが離婚したいと言い出したのは、夫に対して嫌気が差し、ボスと一緒になりたいからだろうと思っていた。被告人は、Xのいう裁判には全く関与していなかったが、Xから、夫にスマートフォンを見られた際に、ボスの存在やボスに頼んで裁判をしてもらっていることなどを知られないよう、演技をしてほしいと頼まれた。具体的には、被告人とXがSNS上でやり取りする際に、ボスはママ友の1人であり、被告人がボスに相談しながら裁判を主導しているように見せかけてほしいと言われ、それに応じて、言われたようなメッセージを送った。また、第三者がいる前で被告人とXが直接話す場面等でも同様に演技をするよう言われて応じていたものであり、事件後に録音された被告人とXとの会話もこうした演技によるものである。

  夫との別居後、Xら家族の生活が困窮していたことは知っていたが、Xがボスにお金を返さなければならないなどと言っていたので、その収入をボスへの調査費用等の返済に充てているのだろうと思っていた。被告人は、Xら家族に食料等を差し入れていたが、それはXらの困窮ぶりを見かねてのことである。被害者が痩せていっていることや頭痛等を訴えていることは認識していたが、被告人が病院での受診を勧めても、Xは一向に被害者を病院に連れて行かなかったため、それ以上Xら家族に介入することはできなかった。また、Xから、自分は対人恐怖症やうつ病ということにしてほしい、公的機関には被告人が対応してほしいなどと頼まれたため、公的機関にはそのように説明した。被告人とXとの間のSNSのメッセージには、被告人がXに子供らを厳しくしつけるよう叱責したり、食事について指示したりしているかのようなやり取りがあるが、それはXから、子供らが被告人のことを怖がっているから、子供らを厳しくしつけるために、そのような演技をしてほしいと頼まれたためであり、実際にXを叱責したり、Xら家族の食事について指示したりしたことはない。

  令和2年4月以降、被告人はXら家族に対する定期的な食事の提供をやめたが、それは新型コロナウイルスの流行により被告人家族の家計も苦しくなり、Xら家族に食事を提供する余裕がなくなった上、食事をもらって当たり前というXの態度に腹が立ち、自身の家計を切りつめてまでXらのために何かしてあげようとは思わなかったためである。

イ 以上の被告人の供述によれば、XとのSNS上のやり取りには、Xに頼まれて演技をしたものが含まれていたということになるが、そのメッセージの内容や長時間にわたって大量のメッセージが即時にやり取りされていることからすると、被告人のいうような演技によるものとはおよそ考え難いし、そもそも、Xの夫の目をごまかすためとか、Xの子供らのしつけのためといった理由で、数年間にわたって演技のやり取りを続けるということ自体不自然というほかない。

  結局、被告人は、XとのSNS上のやり取り等客観的な証拠に何とかつじつまを合わせようと取り繕っているとしか考えられず、その供述は、到底信用することができないから、Xの供述の信用性を揺るがすものではない。

(3) 以上のとおり信用できるXの供述によれば、被告人が判示の各詐欺・窃盗に及んだことは明らかである。そして、保護責任者遺棄致死についても、Xの供述によれば、被告人は、虚言を重ねてXの収入をほぼすべてだまし取るとともに、Xの夫や母ら、公的機関との関係を遮断し、被告人の提供する食事のみで生活しなければならず、第三者に助けを求めるのも困難な状況に陥らせるなどして、Xとその子供らの生活全般を実質的に支配した上、令和元年8月頃以降、提供する食事の量を減らしたり、Xに被害者の食事を多数回にわたり数日間抜くよう指示したりして、被害者に十分な食事を与えない状況を作り出し、令和2年3月下旬頃、被害者を重度の低栄養状態に陥らせ、更にそれ以降も、被害者のそのような状態を認識しながら、Xの収入をほぼすべてだまし取るとともに、Xに対する心理的な支配や指示を解消することなく、食料の定期的な提供をやめるなどして、Xによる被害者の不保護を継続させたものであるから、保護責任者であるXとの共謀が優に認められる。

3 結論

 以上によれば、被告人には判示の各罪が成立する。

(法令の適用)

 省略

(量刑の理由)

 まず、量刑の中心となる保護責任者遺棄致死事件についてみると、被害者は、令和元年8月頃から食事の量と回数が減らされ、同年10月頃からは「罰」などとしてたびたび食事を抜かれるようになり、令和2年3月には大半の日で食事を抜かれ、同月下旬頃には体重が大幅に減り重度の低栄養状態に陥っていたところ、更に約3週間余り、必要な量には程遠い食事しか与えられなかった。被害者に長期間飢えの苦しみを与えた本件犯行の態様は、余りにも残酷なものといえる。

 被害者は当時5歳で、本来であれば両親や兄弟、祖母らに囲まれながら幸せな生活を送り、様々なことを経験していく未来が待っていたにもかかわらず、そのかけがえのない命や未来が奪われたという結果は誠に痛ましく、取り返しのつかない重大なものである。被害者の体には脂肪がほとんど残っておらず、内臓も大きく委縮するなどしており、その肉体的苦痛は想像を絶し、この飽食の時代にあってごく少量の食事しか与えられず、本来頼るべき母親から十分な保護を受けられなかった被害者の辛く悲しい気持ちは計り知れない。

 被告人は、Xに対し、様々な虚言を重ねて、その人間関係を断ち、周囲から孤立させ、被告人の強い心理的影響下に置いてその生活全般を実質的に支配し、被告人の意向に逆らって周囲に助けを求めることが困難な状態に陥らせた上で、被害者の不保護を継続させた。確かに、被告人自身は保護責任者ではなく、被害者に十分な食事を与えその生存に必要な保護をすることは保護責任者であるXにおいて絶対に果たさなければならない責任であったが、前記のような巧妙かつ悪質性の高い手口で被害者の不保護を主導したのはほかならぬ被告人である。そして、被告人は、被害者がごくわずかな食事しか与えられず、異常に痩せ細り、繰り返し激しい頭痛を訴えるなど、要保護状態に陥っていたことを明確に認識していながら、更にその後もXの収入を根こそぎだまし取った上、第三者から食料をもらってはならない、公的機関や病院に助けを求めてはならないといった指示や支配を解消することなく、Xら家族への定期的な食事の提供を止め、それまで以上にXら家族が食料を確保することを困難にさせているのであり、被害者の生命、身体に対する危険性を軽視した意思決定は非常に強い非難に値する。被告人が本件犯行を否認しているため、動機は必ずしも判然としないが、Xから長期間かつ多数回にわたって現金をだまし取っていることからすると、少なくとも強い金銭欲があったことは明らかである。のみならず、単にXらに対する支配を強めて金銭をだまし取るためというだけでは説明がつかないほど、被害者の食事を過酷に制限し、執拗にXら家族を貶める言動を繰り返していたことからすると、Xら家族に対する悪意が事件の背景にあったこともうかがわれる。いずれにせよ、被告人はその欲望のままに本件犯行に及んだものといえ、酌量の余地は全くない。被害者の遺族らが被告人の厳重処罰を求めるのも当然である。

 次に、詐欺・窃盗事件については、被害総額が198万円余りと相当額に及んでいる上、Xの収入のほぼすべてを取り上げ、Xら家族の生活を困窮させて、被害者の不保護に至らせた犯行でもあり、しかも、被告人は、被害者の死亡後も思いとどまることなく、更に金銭をだまし取っているのであって、総じて犯情は重い。

 以上によれば、子に対する保護責任者遺棄致死事件の中で、本件のそれは極めて重い部類に属するものといえ、この犯行と密接に関連する詐欺・窃盗事件の犯情の重さも併せ考慮すると、被告人の刑事責任は懲役15年を下回るものではない。

 その上で、被告人が、これだけの罪を犯しながら、客観的な証拠や事実関係が明らかにされても、なお不合理な弁解やXに責任を転嫁する供述を繰り返し、自らの責任に全く向き合っていない以上、主文記載の刑に処するほかない。

(求刑 懲役15年)

    福岡地方裁判所第2刑事部

        裁判長裁判官  冨田敦史

           裁判官  辛島靖崇

           裁判官  加々美希

代物弁済としてなされた債権譲渡が詐害行為に当たるとされた事例

 

 

詐害行為取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成元年(オ)第57号

【判決日付】      平成元年4月13日

【判示事項】      1 代物弁済としてなされた債権譲渡が詐害行為に当たるとされた事例

             2 詐害行為後に成立した延滞税と詐害行為取消権によって保全されるべき債権

【判決要旨】      1 株式会社甲は取引先の倒産等により経営状態が悪化し、商品の仕入先である乙株式会社から資金援助を受け、同時に乙は、その従業員を甲に派遣して債権管理をし、甲に対し債権を有する者が多数存することおよび甲には後記在庫商品と売掛代金債権のほかにみるべき資産がないことを知りながら、甲をして甲の乙に対する債務の弁済に代えて、在庫商品を仕入価格で乙に譲渡させ、かつ201口の売掛代金債権を乙に譲渡させ、預かっていた代表者印を使用して債権譲渡通知をする等、判示の事情のあるときは、右債権譲渡は、甲・乙が通謀してした詐害行為に当たる。

             2 本税が詐害行為時より前に成立している場合には、詐害行為より後に成立した延滞税も詐害行為取消権によって保全されるべき債権にあたる。

【参照条文】      民法424-1

             国税通則法60

【掲載誌】        金融法務事情1228号34頁

 

 

民法

(詐害行為取消請求)

第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。

3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。

4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。

 

 

国税通則法

(延滞税)

第六十条 納税者は、次の各号のいずれかに該当するときは、延滞税を納付しなければならない。

一 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。

二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定を受けた場合において、第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税があるとき。

三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第五号に規定する国税、不納付加算税、重加算税及び過怠税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。

四 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。

五 源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しないとき。

2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税、輸入の許可を受けて保税地域から引き取られる物品に対する消費税等(石油石炭税法第十七条第三項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付等)の規定により納付すべき石油石炭税を除く。)その他政令で定める国税については、政令で定める日。次条第二項第一号において同じ。)の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額とする。ただし、納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第六十三条第一項、第四項及び第五項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限の翌日から二月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した額とする。

3 第一項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。

4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。

 

 

日興サービス事件・労働者派遣法40条の6第1項5号による労働契約申し込みみなしの適用と労働者の承諾

 

 

              地位確認請求控訴事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所判決/令和2年(ネ)第551号

【判決日付】      令和3年10月12日

【判示事項】      1 労働者派遣法40条の6第1項5号のいわゆる適用潜脱目的をめぐり,同号に該当する行為を行ったこと(労働者派遣以外の名目で契約を締結していることおよび当該契約に基づき労働者派遣の役務の提供を受けていること)という客観的事実の認識(悪意)から直ちにその存在が推認されるものではないが,他方で,その存在を直接的に示す証拠(行為主体の指示や発言)がなければ認められないものでもなく,その存在を推認させる事情が存在する場合はもとより,上記客観的事実の認識があり,かつ,それにもかかわらず適用潜脱目的ではないことをうかがわせる事情が一切存在しないような場合にも,その存在を推認することができるとされた例

             2 みなし申込みに対する承諾の意思表示は,それが派遣先との間の新たな労働契約の締結を内容とするものであり,かつ,その内容やそれがされた際の状況等からみて,それがみなし申込みに対する承諾の意思表示と実質的に評価し得るものであれば足りると解するのが相当であるとされた例

             3 みなし申込みに対する承諾の意思表示といい得るためには,少なくとも,使用者が変わることに伴って必然的に変更となる労働条件等があったとしても,なお派遣元との従前の労働契約の維持ではなく派遣先との新たな労働契約の成立を希望する(選択する)意思を派遣労働者が表示したと評価し得るものでなければならず,そうでなければ派遣労働者の希望を的確に反映することにはならないとされた例

             4 現行の申込みみなし制度においては,派遣労働者がみなし申込みの発生または承諾期間の進行開始を認識し得る措置は何ら講じられておらず,労働者派遣法40条の6第2項は,承諾期間について,派遣労働者が「〇〇を知った時」から進行するものとはせず,派遣労働者の認識の有無にかかわらず「同項に規定する行為が終了した日」から進行するとして,みなし申込みの効力喪失を主張することが信義則に反するとまではいえないとした一審判断が維持された例

【掲載誌】        労働判例1258号46頁

 

 

 本件の主な争点は,(1)Y法人は労働者派遣の役務の提供を受けていたか,(2)Y法人は労働者派遣法40条の6第1項5号に該当する行為を行ったか,(3)みなし申込みに対するXらの承諾の有無およびその時点,(4)派遣労働者がみなし申込みを認識したことを承諾期間の進行の要件と解すべきか,である。

 

 判決が派遣労働者らによる承諾の意思表示がなかったとしたのは,労働者がみなし申込みの存在を明確に認識せずに直接の雇用の要望を出しても,それは,労働者の自由な意思による選択権の行使と評価することはできず,むしろ,このような場合にまで労働契約の成立を認めることは,労働者の希望を的確に反映したことになるとは限らないというものであった。

 

 

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

第四十条の六 労働者派遣の役務の提供を受ける者(国(行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。)を含む。次条において同じ。)及び地方公共団体(特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)を含む。次条において同じ。)の機関を除く。以下この条において同じ。)が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行つた行為が次の各号のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかつたことにつき過失がなかつたときは、この限りでない。

一 第四条第三項の規定に違反して派遣労働者を同条第一項各号のいずれかに該当する業務に従事させること。

二 第二十四条の二の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

三 第四十条の二第一項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること(同条第四項に規定する意見の聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるものが行われないことにより同条第一項の規定に違反することとなつたときを除く。)。

四 第四十条の三の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

五 この法律又は次節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第二十六条第一項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。

2 前項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から一年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができない。

3 第一項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が、当該申込みに対して前項に規定する期間内に承諾する旨又は承諾しない旨の意思表示を受けなかつたときは、当該申込みは、その効力を失う。

4 第一項の規定により申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働者に係る労働者派遣をする事業主は、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から求めがあつた場合においては、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、速やかに、同項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた時点における当該派遣労働者に係る労働条件の内容を通知しなければならない。