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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

借地人が借地上に表示の登記のある建物を所有する場合と建物保護に関する法律1条

 

 

              建物収去土地明渡事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和47年(オ)第1008号

【判決日付】      昭和50年2月13日

【判示事項】      借地人が借地上に表示の登記のある建物を所有する場合と建物保護に関する法律1条

【判決要旨】      借地人が借地上に自己を所有者と記載した表示の登記のある建物を所有する場合は、建物保護に関する法律1条にいう登記したる建物を有するときにあたる。

【参照条文】      建物保護に関する法律1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集29巻2号83頁

 

 

借地借家法

(借地権の対抗力)

第十条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

 

 

民法

(不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

 

 

 

片倉工業事件・親会社が違法に取得した自己株式を同社から譲り受けた子会社がこれを第三者に処分して損失を被った場合と親会社の取締役が賠償すべき親会社の損害の額

 

 

損害賠償請求控訴・同参加事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成3年(ネ)第1562号、平成3年(ネ)第1584号、平成5年(ネ)第5311号

【判決日付】      平成6年8月29日

【判示事項】      親会社が違法に取得した自己株式を同社から譲り受けた子会社がこれを第三者に処分して損失を被った場合と親会社の取締役が賠償すべき親会社の損害の額

【判決要旨】      親会社が違法に取得した自己株式を同社から譲り受けた子会社がこれを第三者に処分して損失を被った場合において、子会社の株式の全部を所有する親会社の当該子会社の株式に評価損を生じたときは、親会社の取締役は、親会社の被った損害として、右評価損に相当する額を賠償すべきである。

【参照条文】      商法210

             商法266-1

【掲載誌】        金融・商事判例954号14頁

             商事法務資料版126号150頁

 

 

会社法

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)

第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。

一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役

二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役

三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)

4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。

 

 

第三者が市長振出の約束手形を取得するさいの調査について過失があるとして過失相殺を認めた事例

 

 

約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和39年(オ)第437号

【判決日付】      昭和41年6月21日

【判示事項】      第三者が市長振出の約束手形を取得するさいの調査について過失があるとして過失相殺を認めた事例

【判決要旨】      第三者が、市長振出の約束手形に関して当該市に対し損害賠償を求める場合に、その手形を取得するさい、単に右市長に対し手形振出の有無を確かめたのみで、市議会の議決の有無などに関し、当該市の吏員、市議会などについて調査をしなかつたなど原判決の確定した事実関係(原判決理由参照)のもとでは、右第三者について過失のあることを理由として、過失相殺をしたのは相当である。

【参照条文】      民法44-1

             民法722

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集20巻5号1078頁

 

 

民法

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)

第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 

 

地方自治法

第四節 支出

(経費の支弁等)

第二百三十二条 普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費その他法律又はこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁するものとする。

2 法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体に対し事務の処理を義務付ける場合においては、国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない。

(寄附又は補助)

第二百三十二条の二 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。

(支出負担行為)

第二百三十二条の三 普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

(支出の方法)

第二百三十二条の四 会計管理者は、普通地方公共団体の長の政令で定めるところによる命令がなければ、支出をすることができない。

2 会計管理者は、前項の命令を受けた場合においても、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができない。

第二百三十二条の五 普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。

2 普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払又は口座振替の方法によつてこれをすることができる。

(小切手の振出し及び公金振替書の交付)

第二百三十二条の六 第二百三十五条の規定により金融機関を指定している普通地方公共団体における支出は、政令の定めるところにより、現金の交付に代え、当該金融機関を支払人とする小切手を振り出し、又は公金振替書を当該金融機関に交付してこれをするものとする。ただし、小切手を振り出すべき場合において、債権者から申出があるときは、会計管理者は、自ら現金で小口の支払をし、又は当該金融機関をして現金で支払をさせることができる。

2 前項の金融機関は、会計管理者の振り出した小切手の提示を受けた場合において、その小切手が振出日付から十日以上を経過しているものであつても一年を経過しないものであるときは、その支払をしなければならない。

 

 

クロロホルム事件・被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合につき被害者を失神させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があるとされた事例

 

 

殺人、詐欺被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成15年(あ)第1625号

【判決日付】      平成16年3月22日

【判示事項】      1 被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合につき被害者を失神させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があるとされた事例

             2 いわゆる早過ぎた結果の発生と殺人既遂の成否

【判決要旨】      1 クロロホルムを吸引させて失神させた被害者を自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合において,クロロホルムを吸引させて失神させる行為が自動車ごと海中に転落させる行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であり,失神させることに成功すれば,それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情が存しなかったなど判示の事実関係の下では,クロロホルムを吸引させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があったと認められる。

             2 クロロホルムを吸引させて被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させるという一連の殺人行為に着手して,その目的を遂げた場合には,犯人の認識と異なり,海中に転落させる前の時点でクロロホルムを吸引させる行為により被害者が死亡していたとしても,殺人の故意に欠けるところはなく,殺人の既遂となる。

【参照条文】      刑法43

             刑法199

             刑法203

             刑法38-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集58巻3号187頁

 

 

 1 事案の概要

本件は,被告人両名が,被害者を事故死に見せ掛けて殺害し生命保険金を詐取しようと企て,外3名の実行犯と共謀して被害者を殺害したという,殺人の事案である。実行犯の殺害計画は,被害者を自動車内に誘い込み,クロロホルムを吸引させて被害者を失神させた上,被害者を港まで運び自動車ごと海中に転落させてでき死させるというものであった。実行犯は,クロロホルムを吸引させる行為自体によって被害者が死亡する可能性があるとの認識を有していなかったが,被害者は,海中に転落する前の時点で,クロロホルムの吸引によって死亡していた可能性があった。このため,本件では,①クロロホルムを吸引させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手を認めることができるかという点と,②実行犯の認識と異なり,海中に転落させる前の時点でクロロホルムを吸引させる行為により被害者が死亡していた場合であっても,殺人の故意を肯定して殺人(既遂)罪の成立を認めることができるかという点(「早過ぎた結果の発生」の問題)が争われた。

 

 

刑法

(故意)

第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。

2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。

3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

 

(未遂減免)

第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

 

(殺人)

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

(未遂罪)

第二百三条 第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

 

 

税務署長に対する訴は適法な審査請求の前置を欠くから不適当であると判断した原審を支持し,外国会社である上告人には,国税通則法に規定する「止むを得ない理由」に該当する事情があり,充分宥恕さるべきものであるのに,「独自の見解に立つ意見」であると簡単に斥けた原審には審理不尽の違法があるとする主張を認めなかった事例


裁決並に更正処分取消請求
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷判決/昭和44年(行ツ)第12号
【判決日付】    昭和44年5月2日
【判示事項】    税務署長に対する訴は適法な審査請求の前置を欠くから不適当であると判断した原審を支持し,外国会社である上告人には,国税通則法に規定する「止むを得ない理由」に該当する事情があり,充分宥恕さるべきものであるのに,「独自の見解に立つ意見」であると簡単に斥けた原審には審理不尽の違法があるとする主張を認めなかった事例
【判決要旨】    外国会社に対する法人税の更正処分がなされた場合において、その通知書が年末休暇に入つた一二月二七日に到達したため、会社責任者が翌年一月六日までこれを知らず、また、和文と欧文との間の二重の翻訳のため時間を要した等、原判示のような事情(原判決引用の第一審判決理由参照)があつたため、右処分に対する審査請求の期間を数日徒過したものであるとしても、右の事情は、国税通則法七九条五項により準用される七六条三項所定の「やむを得ない理由」にあたるとはいえない。
【参照条文】    国税通則法79-5
          国税通則法76-3
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事95号305頁


国税通則法
(国税審判官等)
(国税に関する処分についての不服申立て)
第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に定める不服申立てをすることができる。
一 税務署長、国税局長又は税関長がした処分(次項に規定する処分を除く。) 次に掲げる不服申立てのうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立て
イ その処分をした税務署長、国税局長又は税関長に対する再調査の請求
ロ 国税不服審判所長に対する審査請求
二 国税庁長官がした処分 国税庁長官に対する審査請求
三 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の長又はその職員がした処分 国税不服審判所長に対する審査請求
2 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が次の各号に掲げる職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたものに不服がある者は、当該各号に定める国税局長又は国税庁長官がその処分をしたものとそれぞれみなして、国税局長がしたものとみなされた処分については当該国税局長に対する再調査の請求又は国税不服審判所長に対する審査請求のうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立てをし、国税庁長官がしたものとみなされた処分については国税庁長官に対する審査請求をすることができる。
一 国税局の当該職員 その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長
二 国税庁の当該職員 国税庁長官
3 第一項第一号イ又は前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求(法定の再調査の請求期間経過後にされたものその他その請求が適法にされていないものを除く。次項において同じ。)についての決定があつた場合において、当該再調査の請求をした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。
4 第一項第一号イ又は第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求をしている者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該再調査の請求に係る処分について、決定を経ないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。
一 再調査の請求をした日(第八十一条第三項(再調査の請求書の記載事項等)の規定により不備を補正すべきことを求められた場合にあつては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても当該再調査の請求についての決定がない場合
二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合
5 国税に関する法律に基づく処分で国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がしたものに不服がある場合には、それぞれその職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がその処分をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。


(国税に関する処分についての不服申立て)
第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に定める不服申立てをすることができる。
一 税務署長、国税局長又は税関長がした処分(次項に規定する処分を除く。) 次に掲げる不服申立てのうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立て
イ その処分をした税務署長、国税局長又は税関長に対する再調査の請求
ロ 国税不服審判所長に対する審査請求
二 国税庁長官がした処分 国税庁長官に対する審査請求
三 国税庁、国税局、税務署及び税関以外の行政機関の長又はその職員がした処分 国税不服審判所長に対する審査請求
2 国税に関する法律に基づき税務署長がした処分で、その処分に係る事項に関する調査が次の各号に掲げる職員によつてされた旨の記載がある書面により通知されたものに不服がある者は、当該各号に定める国税局長又は国税庁長官がその処分をしたものとそれぞれみなして、国税局長がしたものとみなされた処分については当該国税局長に対する再調査の請求又は国税不服審判所長に対する審査請求のうちその処分に不服がある者の選択するいずれかの不服申立てをし、国税庁長官がしたものとみなされた処分については国税庁長官に対する審査請求をすることができる。
一 国税局の当該職員 その処分をした税務署長の管轄区域を所轄する国税局長
二 国税庁の当該職員 国税庁長官
3 第一項第一号イ又は前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求(法定の再調査の請求期間経過後にされたものその他その請求が適法にされていないものを除く。次項において同じ。)についての決定があつた場合において、当該再調査の請求をした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。
4 第一項第一号イ又は第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定による再調査の請求をしている者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該再調査の請求に係る処分について、決定を経ないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。
一 再調査の請求をした日(第八十一条第三項(再調査の請求書の記載事項等)の規定により不備を補正すべきことを求められた場合にあつては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても当該再調査の請求についての決定がない場合
二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合
5 国税に関する法律に基づく処分で国税庁、国税局、税務署又は税関の職員がしたものに不服がある場合には、それぞれその職員の所属する国税庁、国税局、税務署又は税関の長がその処分をしたものとみなして、第一項の規定を適用する。

 

実印の交付と民法第110条の代理権ありと信ずべき正当事由の存否

 

 

貸金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和33年(オ)第117号

【判決日付】      昭和35年10月18日

【判示事項】      実印の交付と民法第110条の代理権ありと信ずべき正当事由の存否

【判決要旨】      本人より実印の交付を受けて権限踰越の代理行為がなされた場合は、特別事情のない限り、民法第110条の代理権ありと信ずべき正当事由がある。

【参照条文】      民法110

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集14巻12号2764頁

 

 

民法

(代理権授与の表示による表見代理等)

第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

 

(権限外の行為の表見代理)

第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

 

弁護人から被疑者との接見の申出があつた場合に捜査機関のとるべき措置

 

 

国家賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和49年(オ)第1088号

【判決日付】      昭和53年7月10日

【判示事項】      1 弁護人から被疑者との接見の申出があつた場合に捜査機関のとるべき措置

             2 弁護人の被疑者に対する接見の申出を拒んだ警察官の行為が国家賠償法1条1項にいう違法な行為にあたらないとされた事例

【判決要旨】      1 捜査機関は、弁護人から被疑者との接見の申出があったときは、原則として何時でも接見の機会を与えるべきであり、捜査の中断による支障が顕著な場合には、弁護人と協議してできる限り速やかな接見のための日時を指定し、被疑者が防禦のため弁護人と打ち合わせることのできるような措置をとるべきである。

             2 被疑者取調中に弁護人から接見の申出を受けた警察官が、接見の日時等の指定権限を内部的に制限されているため、右弁護人に対し権限を有する捜査本部の捜査主任官の指定を受けるよう求め、かつ、右申出を捜査本部に伝達したなど、判示の事情があるときには、右警察官が捜査主任官の指定のないことを理由に接見を拒んでも、国家賠償法1条1項にいう違法な行為にあたらない。

【参照条文】      憲法3

             国家賠償法1-1

             刑事訴訟法39-1

             刑事訴訟法39-3

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集32巻5号820頁

 

 

憲法

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

 

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

 

刑事訴訟法

第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

② 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。

③ 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

 

 

 

賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件

 

 

所有権移転登記手続等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和47年(オ)第1121号

【判決日付】      昭和49年3月19日

【判示事項】      賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件

【判決要旨】      賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。

【参照条文】      民法177

             民法605

             建物保護に関する法律1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻2号325頁

             最高裁判所裁判集民事111号417頁

             判例タイムズ309号251頁

             金融・商事判例527号38頁

             判例時報741号74頁

             金融法務事情718号33頁

 

平成29年改正により、民法605条の2第3項が新設された。

 

民法

(不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

 

否決の株主総会決議と無効確認の訴えの利益

 

 

株主総会決議無効確認請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和2年(ネ)第1462号

【判決日付】      令和3年5月13日

【判示事項】      1 否決の株主総会決議と無効確認の訴えの利益

             2 株主総会決議に係る一般私法上の無効確認の訴えの適法性

【判決要旨】      1 否決の株主総会決議の無効確認に係る訴えについて、訴えの利益があるということはできないとされた事例。

             2 その内容が可決であれ、否決であれ、会社法の定める規制や効力のない一般私法上の訴えにより株主総会決議の瑕疵について争うことはできない。

【参照条文】      会社法830

             会社法831

【掲載誌】        金融・商事判例1623号12頁

 

 

1 事案の概要

 被控訴人(被告)の株主である控訴人(原告)が、被控訴人の令和元年11月4日開催の臨時株主総会(本件株主総会)における取締役の報酬総額の上限額(年額)を引き下げる旨の議案を否決した決議(本件決議)について、決議の方法が法令に違反し、または著しく不公正であると主張して、無効確認を求めた(主位的請求)ところ、原審(東京地判令和2・2・26[令和2年(ワ)第2625号])は、この請求に係る訴えは不適法でその不備を補正することができないとして、これを、口頭弁論を経ないで却下した。そこで、控訴人が、控訴をし、かつ、控訴審において、予備的に、本件決議の方法に瑕疵が存在することの確認を求める請求を追加した。

 

 

会社法

(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え)

第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。

2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。

 

(株主総会等の決議の取消しの訴え)

第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主(当該決議が創立総会の決議である場合にあっては、設立時株主)又は取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この項において同じ。)、監査役若しくは清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。

一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。

二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。

三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。

2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。

 

 

仙台市議会の議員が所属会派に交付された政務調査費によって費用を支弁して行った調査研究の内容及び経費の内訳を記載して当該会派に提出した調査研究報告書及びその添付書類が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例

 

 

              文書提出命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成17年(行フ)第2号

【判決日付】      平成17年11月10日

【判示事項】      仙台市議会の議員が所属会派に交付された政務調査費によって費用を支弁して行った調査研究の内容及び経費の内訳を記載して当該会派に提出した調査研究報告書及びその添付書類が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例

【判決要旨】      仙台市議会の会派に対する政務調査費の交付を定める仙台市政務調査費の交付に関する条例(平成13年仙台市条例第33号)の委任に基づいて議長が定めた要綱に,議員が所属会派に交付された政務調査費によって費用を支弁して調査研究を行った場合には当該会派の代表者に対し調査研究報告書により調査研究の内容及び経費の内訳を報告すべき旨の定めがあるが,同条例,同要綱等に市長及び議長が同報告書の提出を求めることができる旨の定めはなく,同報告書は専ら会派の内部にとどめて利用すべき文書とされていること,これが開示されると会派及び議員の調査研究が執行機関,他の会派等の干渉によって阻害されるおそれがあることなど判示の事情の下では,議員が同要綱の定めに従って所属会派に提出した調査研究報告書及びその添付書類は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たる。

             (反対意見がある。)

【参照条文】      民事訴訟法220

             地方自治法100-13

             仙台市政務調査費の交付に関する条例(平13仙台市条例33号)1

             仙台市政務調査費の交付に関する条例(平13仙台市条例33号)2

             仙台市政務調査費の交付に関する条例(平13仙台市条例33号)3

             仙台市政務調査費の交付に関する条例(平13仙台市条例33号)12

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集59巻9号2503頁

             裁判所時報1399号455頁

             判例タイムズ1210号72頁

             判例時報1931号22頁

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

 

地方自治法

第百条 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。

② 民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。ただし、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。

③ 第一項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

④ 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立を受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。

⑤ 議会が前項の規定による疏明を理由がないと認めるときは、当該官公署に対し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。

⑥ 当該官公署が前項の規定による要求を受けた日から二十日以内に声明をしないときは、選挙人その他の関係人は、証言又は記録の提出をしなければならない。

⑦ 第二項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを三箇月以上五年以下の禁錮に処する。

⑧ 前項の罪を犯した者が議会において調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、その刑を減軽し又は免除することができる。

⑨ 議会は、選挙人その他の関係人が、第三項又は第七項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない。但し、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。

⑩ 議会が第一項の規定による調査を行うため当該普通地方公共団体の区域内の団体等に対し照会をし又は記録の送付を求めたときは、当該団体等は、その求めに応じなければならない。

⑪ 議会は、第一項の規定による調査を行う場合においては、予め、予算の定額の範囲内において、当該調査のため要する経費の額を定めて置かなければならない。その額を超えて経費の支出を必要とするときは、更に議決を経なければならない。

⑫ 議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができる。

⑬ 議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。

⑭ 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。

⑮ 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。

⑯ 議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。

⑰ 政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。

⑱ 都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。

⑲ 議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。

⑳ 前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる。