弁護人から被疑者との接見の申出があつた場合に捜査機関のとるべき措置 国家賠償請求事件 最高裁 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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弁護人から被疑者との接見の申出があつた場合に捜査機関のとるべき措置

 

 

国家賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和49年(オ)第1088号

【判決日付】      昭和53年7月10日

【判示事項】      1 弁護人から被疑者との接見の申出があつた場合に捜査機関のとるべき措置

             2 弁護人の被疑者に対する接見の申出を拒んだ警察官の行為が国家賠償法1条1項にいう違法な行為にあたらないとされた事例

【判決要旨】      1 捜査機関は、弁護人から被疑者との接見の申出があったときは、原則として何時でも接見の機会を与えるべきであり、捜査の中断による支障が顕著な場合には、弁護人と協議してできる限り速やかな接見のための日時を指定し、被疑者が防禦のため弁護人と打ち合わせることのできるような措置をとるべきである。

             2 被疑者取調中に弁護人から接見の申出を受けた警察官が、接見の日時等の指定権限を内部的に制限されているため、右弁護人に対し権限を有する捜査本部の捜査主任官の指定を受けるよう求め、かつ、右申出を捜査本部に伝達したなど、判示の事情があるときには、右警察官が捜査主任官の指定のないことを理由に接見を拒んでも、国家賠償法1条1項にいう違法な行為にあたらない。

【参照条文】      憲法3

             国家賠償法1-1

             刑事訴訟法39-1

             刑事訴訟法39-3

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集32巻5号820頁

 

 

憲法

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

 

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

 

刑事訴訟法

第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

② 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。

③ 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。