賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件 所有権移転登記手続等請求事件 最高裁 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件

 

 

所有権移転登記手続等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和47年(オ)第1121号

【判決日付】      昭和49年3月19日

【判示事項】      賃貸中の宅地を譲り受けた者の賃貸人たる地位の対抗要件

【判決要旨】      賃貸中の宅地を譲り受けた者は、その所有権の移転につき登記を経由しないかぎり、賃貸人たる地位の取得を賃借人に対抗することができない。

【参照条文】      民法177

             民法605

             建物保護に関する法律1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻2号325頁

             最高裁判所裁判集民事111号417頁

             判例タイムズ309号251頁

             金融・商事判例527号38頁

             判例時報741号74頁

             金融法務事情718号33頁

 

平成29年改正により、民法605条の2第3項が新設された。

 

民法

(不動産の賃貸人たる地位の移転)

第六百五条の二 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。

2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。

3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。

4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。