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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

破産宣告手続における申立債権者の権利行使意思の表示による時効中断の効力と破産申立の取下

 

 

              貸金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和45年(オ)第85号

【判決日付】      昭和45年9月10日

【判示事項】      破産宣告手続における申立債権者の権利行使意思の表示による時効中断の効力と破産申立の取下

【判決要旨】      破産の申立債権者の破産宣告手続における権利行使意思は、申立が取り下げられた場合においても、債務者に対する催告として時効中断の効力を有し、右債権者は、取下の時から約6か月内に訴を提起することにより、当該債権の消滅時効を確定的に中断することができる。

【参照条文】      民法147

             民法149

             民法153

             破産法132

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集24巻10号1389頁

 

 

平成29年民法改正がされました。

 

民法

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)

第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。

一 裁判上の請求

二 支払督促

三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停

四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

 

(時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲)

第百五十三条 第百四十七条又は第百四十八条の規定による時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

2 第百四十九条から第百五十一条までの規定による時効の完成猶予は、完成猶予の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

3 前条の規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

 

 

第2次納税義務の納付告知の取消訴訟において本来の納税義務者の納税義務を争うことの可否

 

 

課税処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和48年(行ツ)第112号

【判決日付】      昭和50年8月27日

【判示事項】      第2次納税義務の納付告知の取消訴訟において本来の納税義務者の納税義務を争うことの可否

【判決要旨】      第2次納税義務の納付告知を受けた者は、本来の納税義務者の納税義務を確定した課税処分等が不存在又は無効でないかぎり、右納付告知の取消訴訟において、本来の納税義務者の納税義務の存否又は数額を争うことはできない。

【参照条文】      国税徴収法32

             地方税法11

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集29巻7号1226頁

 

 

 

第32条関係 第二次納税義務の通則

納税義務の成立

1 第二次納税義務は、国税徴収法第33条から第39条まで又は第41条«第二次納税義務»に規定する特定の納税者が国税を滞納し、かつ、それらの条に規定する要件を満たすことによって成立する。

 なお、第二次納税義務が成立し、納付通知書による告知を行うことにより確定した後にその成立要件となった事実に変更があっても、いったん確定した第二次納税義務には影響がない(昭和47.5.25最高判参照)。

 

 

国税徴収法

(第二次納税義務の通則)

第三十二条 税務署長は、納税者の国税を第二次納税義務者から徴収しようとするときは、その者に対し、政令で定めるところにより、徴収しようとする金額、納付の期限その他必要な事項を記載した納付通知書により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対しその旨を通知しなければならない。

2 第二次納税義務者がその国税を前項の納付の期限までに完納しないときは、税務署長は、次項において準用する国税通則法第三十八条第一項及び第二項(繰上請求)の規定による請求をする場合を除き、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この場合においては、その納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その納付の期限から五十日以内に発するものとする。

3 国税通則法第三十八条第一項及び第二項、同法第四章第一節(納税の猶予)並びに同法第五十五条(納付委託)の規定は、第一項の場合について準用する。

4 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、第一項の納税者の財産を換価に付した後でなければ、行うことができない。

5 この章の規定は、第二次納税義務者から第一項の納税者に対してする求償権の行使を妨げない。

 

 

地方税法

(第二次納税義務の通則)

第十一条 地方団体の長は、納税者又は特別徴収義務者の地方団体の徴収金を次条から第十一条の九まで又は第十二条の二第二項若しくは第三項の規定により第二次納税義務を有する者(以下「第二次納税義務者」という。)から徴収しようとするときは、その者に対し、納付又は納入すべき金額、納付又は納入の期限及び納付又は納入の場所その他必要な事項を記載した納付又は納入の通知書により告知しなければならない。

2 第二次納税義務者が地方団体の徴収金を前項の納付又は納入の期限までに完納しないときは、地方団体の長は、第十三条の二の規定により繰上徴収をする場合を除き、その期限後二十日以内に納付又は納入の催告書を発して督促しなければならない。

3 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、第一項の納税者又は特別徴収義務者の財産を換価に付した後でなければ、することができない。

4 第二次納税義務者が第一項の告知、第二項の督促又はこれらに係る地方団体の徴収金に関する滞納処分につき出訴したときは、その訴の係属する間は、その財産の換価をすることができない。

5 次条から第十一条の九まで並びに第十二条の二第二項及び第三項の規定は、第二次納税義務者から第一項の納税者又は特別徴収義務者に対してする求償権の行使を妨げない。

 

安中公害・損害賠償請求事件

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      前橋地方裁判所判決/昭和47年(ワ)第76号

【判決日付】      昭和57年3月30日

【判示事項】      1、亜鉛製錬所排出物を原因とする大気汚染、水質汚濁、土壌汚染による農業損害につき加害企業の故意責任を認めた事例

             2、右農業損害の賠償請求につきいわゆる包括請求方式の可否

             3、農業損害に関する損害額の算定

             4、加害企業の損害賠償債務消滅時効の援用を権利の濫用と認めた事例

【参照条文】      民法709

             民法1-3

             民法724

【掲載誌】        判例タイムズ469号58頁

             判例時報1034号3頁

【評釈論文】      ジュリスト臨時増刊792号85頁

             別冊ジュリスト126号22頁

 

 

安中市(あんなかし)は、群馬県南西部にある人口約6万人の市である

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

 

 

 

 

       主   文

 

 一 被告は、主文別表記載の各原告に対し、それぞれ同表の当該原告分の金額欄に記載する金員及びこれに対する昭和四七年三月三一日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

 二 同表記載の各原告のその余の請求及びその余の原告らの各請求を棄却する。

 三 訴訟費用のうち主文別表に記載がない原告らと被告との間において生じた分は召原告らの負担とし、その余の訴訟費用は、これを二分し、その一を同表記載の原告らの、その余を被告の各負担とする。

 四 第一項に限り仮に執行することができる。

 

       事   実《省略》

 

       理   由

 

第一 安中公害

 最初に、この判決理由において用いる安中公害の意義を説明する。次いで、安中製錬所の歴史及び同製錬所と周辺の状況について述べ、被害の概略を明らかにする。更に、関係住民運動及び汚染農地指定と土壌改良事業について判示する。

 この判決において当裁判所が認定に用い理由中に掲記する書証のうち、別紙「証拠目録」記載第一及び第二の各一の(一)に含まれるものの成立(又は原本の存在及び成立、以下同じ)は当事者間に争いがなく、同(二)及び(三)に含まれるものは、本件口頭弁論の全趣旨(別紙「書証目録-証言により成立を認定するもの」記載の書証については、加えて当該証言)により成立を認めろ。

 一 安中公害

 この判決理由においては、被告経営の安中製錬所の操業に伴つて同製錬所周辺の相当範囲にわたり大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染による生活環境に係わる被害が生じたことを指して「安中公害」という。

 本訴請求の原因として原告らが主張する生活環境に係わる被害は、主として農作物の減収・有毒化被害及び養蚕被害である。

 原告らは、安中公害は安中製錬所の排煙排水に含まれる有害物質、主としてカドミウム、亜鉛及び鉛の重金属並びに硫黄酸化物が原因であると主張し、被告は、安中製錬所の排煙排水にカドミウム、亜鉛等の重金属及び亜硫酸ガスが含まれていたこと、その排出が原因となつて同製錬所周辺に土壌汚染が生じたこと及び同製錬所周辺の鉱害対策委員会の補償要求の対象とされた地域において程度はともかく農作物、養蚕の減収被害が生じていたことを認めるものである。

 二 安中製錬所の歴史

  1 〈証拠〉によれば、以下の事実が認められる。

 安中製錬所の沿革は、昭和一二年被告(昭和一六年二月変更前の商号日本亜鉛製錬株式会社)が水利(柳瀬川)及び傾斜地の立地条件を満たす群馬県碓氷郡安中町中宿一四四三番地に建設した亜鉛電解工場から発し、同製錬所は同年六月から輸入焙焼鉱石を原料として電気亜鉛の製錬を開始した。

 しかし、満州事変が拡大するにつれて輸入鉱石に依存することができなくなつたので、被告は、昭和一四年に子会社として設立した日本亜鉛株式会社により、当時長崎県下県郡佐須村(対馬島)にあつた対州鉱山を買収し、昭和一八年から亜鉛鉱石の採掘を始めたが、まもなく第二次世界大戦の影響により採掘が不可能となつた。

 安中製錬所は、その間、昭和一七年二月から黄銅屑を原料として電気銅及び電気亜鉛の再製作業に転換していたが、終戦後昭和二二年に対州鉱山が再開されるに及び、昭和二三年からその鉱石を訴外三井鉱山株式会社彦島製錬所や同東北亜鉛鉱業株式会社茨島工場に委託して焙焼し、その焙焼鉱石を原料として電気亜鉛等の製錬を開始した。

 被告は、その後、対州鉱山での採掘が本格化すると、採掘-焙焼-製錬の一貫作業によつて亜鉛の生産を能率化するとともに電気亜鉛の製錬に必要な大量の硫酸を自家生産して経費節約を図るため、自社で亜鉛鉱石を焙焼し、その焙焼工程から生ずる亜硫酸ガスを回収して硫酸を製造することとし、昭和二六年八月頃安中製錬所に焙焼炉と硫酸工場を増設して設備を大幅に拡充し操業を開始した。(以下右増設を「大増設」という。)

 右大増設は、安中製錬所の生産内容及び生産量をみるうえで同製錬所の歴史を画するものである。その後、安中製錬所は、昭和二九年に亜鉛華の製造を、昭和三一年にダイカスト用亜鉛基合金の生産をそれぞれ開始し、昭和三二年には後記のとおり北野殿地区農民の反対運動にもかかわらず銅電解工場を増設して電気銅の製錬を再開し、昭和三六年に亜鉛製錬設備を増設するとともに鉄電解設備を新設し、昭和四〇年に亜鉛製錬設備を増設するなどして次々と生産を拡大してきたが、後記のとおり違法増設が問題となつてからは生産は拡大されていない。

被告人が現場所長として統括する橋梁工事で,1300tを超える鋼桁が滑落した事故により,作業員2名が死亡,8名が負傷し,業務上過失致死傷に問われた事案

 

 

業務上過失致死傷被告事件

【事件番号】      神戸地方裁判所判決/平成30年(わ)第750号

【判決日付】      平成31年4月23日

【判示事項】      被告人が,現場所長として統括する橋梁工事で,1300tを超える鋼桁が滑落した事故により,作業員2名が死亡,8名が負傷し,業務上過失致死傷に問われた事案。

裁判所は,本件工事は,門型降下設備の地盤沈下などの場合鋼桁が落下する危険がある上,工事場所の地盤が弱い河川敷だったため,あらかじめ地盤調査をし,その結果に応じた地盤改良工事等の措置を講じた上で門型降下設備等の設置を行うなどすべき業務上の注意義務があったのに被告人はこれを懈怠した上,地盤沈下の報告を受けても工事を中断して作業員を退避させなかった過失は相当大きく,実刑を検討すべきではあるが,過失内容をつぶさに検討すると刑の執行猶予も視野に入る事案と言えるとし,組織を挙げての再発防止策の策定や示談等を考慮し,禁錮3年,執行猶予5年に処した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

 

 

刑法

(業務上過失致死傷等)

第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 

 

北海道旭川市立永山中学校・学力テスト事件

 

 

              建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和43年(あ)第1614号

【判決日付】      昭和51年5月21日

【判示事項】      一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項に基づく文部大臣の昭和36年度全国中学校一せい学力調査の実施要求及び右要求に応じてされた調査実施行為の手続上の適法性

             二、憲法と子どもに対する教育内容の決定権能の帰属

             三、法令に基づく教育行政機関による教育の内容及び方法の規制と教育基本法10条1項「不当な支配」

             四、昭和36年当時の中学校学習指導要領(昭和33年文部省告示第81号)の効力

             五、昭和36年全国中学校一せい学力調査と教育基本法10条

             六、地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項に基づく文部大臣の昭和36年度全国中学校一せい学力調査の実施要求及び右要求に応じてされた調査実施行為と教育の地方自治

【判決要旨】      一、文部大臣は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項の規定に基づいては、教育委員会に対し昭和36年度全国中学校一せい学力調査のような調査の実施を要求することができないが、文部大臣の右要求に応じて教育委員会がした調査実施行為は、そのために手続上違法となるものではない。

             二、憲法上、親は一定の範囲においてその子女の教育の自由をもち、また、私学教育における教育の自由及び教師の授業の自由も限られた範囲において認められるが、それ以外の領域においては、国は、子ども自身の利益の擁護のため、又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、子どもの教育内容を決定する権能を有する。

             三、教育行政機関が法令に基づき教育の内容及び方法に関して許容される目的のために必要かつ合理的と認められる規制を施すことは、教育基本法10条1項にいう教育に対する「不当な支配」とはならない。

             四、昭和36年当時の中学校学習指導要領(昭和33年文部省告示第81号)は、全体としてみた場合、中学校における教育課程に関し、教育の機会均等の確保及び全国的な一定水準の維持の目的のために必要かつ合理的と認められる大網的な遵守基準を設定したものとして、有効である。

             五、昭和36年全国中学校一せい学力調査は、教育基本法10条1項にいう教育に対する「不当な支配」にあたらず、同条に違反しない。

             六、文部大臣が地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項の規定に基づき教育委員会に対してした昭和36年度全国中学校一せい学力調査の実施の要求は、教育の地方自治の原則に違反するが、右要求に応じてした教育委員会の調査実施行為自体は、そのために右原則に違反して違法となるものではない。

【参照条文】      憲法13

             憲法23

             憲法26

             教育基本法10

             地方教育行政の組織及び運営に関する法律23

             地方教育行政の組織及び運営に関する法律54-2

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集30巻5号615頁

 

 

憲法

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第二十三条 学問の自由は、これを保障する。

 

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

 

地方教育行政の組織及び運営に関する法律

(資料及び報告)

第五十四条 教育行政機関は、的確な調査、統計その他の資料に基いて、その所掌する事務の適切かつ合理的な処理に努めなければならない。

2 文部科学大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。

 

 

教育基本法

第二章 教育の実施に関する基本

(義務教育)

第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。

2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。

4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。

 

 

 

代理人が権限を濫用して約束手形の振出人のためにした手形上の保証と手形受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えた国に対する保証人の責任

 

 

約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和42年(オ)第694号

【判決日付】      昭和44年11月14日

【判示事項】      代理人が権限を濫用して約束手形の振出人のためにした手形上の保証と手形受取人に対する国税滞納処分として手形を差し押えた国に対する保証人の責任

【判決要旨】      代理人が、自己の利益をはかるため、代理権限を濫用して、約束手形の振出人のために、本人名義で手形上の保証をした場合において、代理人から手形の交付を受けた手形受取人が権限濫用の事実を知りうべきであつたときは、受取人に対する国税滞納処分として右手形を差し押えて占有するに至つた国において、差押当時受取人の知情の点につき善意であつてことを主張立証しないかぎり、本人である保証人は、国に対し、手形上の保証による責任を負但しない。

【参照条文】      民法93

             民法94

             手形法77-3

             手形法32

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集23巻11号2023頁

 

 

民法

(心裡り留保)

第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

 

(虚偽表示)

第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

 

 

手形法

第七十七条 左ノ事項ニ関スル為替手形ニ付テノ規定ハ約束手形ノ性質ニ反セザル限リ之ヲ約束手形ニ準用ス

一 裏書(第十一条乃至第二十条)

二 満期(第三十三条乃至第三十七条)

三 支払(第三十八条乃至第四十二条)

四 支払拒絶ニ因ル遡求(第四十三条乃至第五十条、第五十二条乃至第五十四条)

五 参加支払(第五十五条、第五十九条乃至第六十三条)

六 謄本(第六十七条及第六十八条)

七 変造(第六十九条)

八 時効(第七十条及第七十一条)

九 休日、期間ノ計算及恩恵日ノ禁止(第七十二条乃至第七十四条)

② 第三者方ニテ又ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払ヲ為スベキ為替手形(第四条及第二十七条)、利息ノ約定(第五条)、支払金額ニ関スル記載ノ差異(第六条)、第七条ニ規定スル条件ノ下ニ為サレタル署名ノ効果、権限ナクシテ又ハ之ヲ超エテ為シタル者ノ署名ノ効果(第八条)及白地為替手形(第十条)ニ関スル規定モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス

③ 保証ニ関スル規定(第三十条乃至第三十二条)モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス第三十一条末項ノ場合ニ於テ何人ノ為ニ保証ヲ為シタルカヲ表示セザルトキハ約束手形ノ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス

 

第三十二条 保証人ハ保証セラレタル者ト同一ノ責任ヲ負フ

② 保証ハ其ノ担保シタル債務ガ方式ノ瑕疵ヲ除キ他ノ如何ナル事由ニ因リテ無効ナルトキト雖モ之ヲ有効トス

③ 保証人ガ為替手形ノ支払ヲ為シタルトキハ保証セラレタル者及其ノ者ノ為替手形上ノ債務者ニ対シ為替手形ヨリ生ズル権利ヲ取得ス

 

四日市公害・ばいじんによる大気汚染と農作物被害との因果関係

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      津地方裁判所四日市支部判決/昭和48年(ワ)第60号

【判決日付】      昭和57年6月25日

【判示事項】      1.ばいじんによる大気汚染と農作物被害との因果関係

             2.農業経営及び生活全般の破壊自体を損害とする包括請求方式による損害賠償請求が否定された事例

             3.大気汚染等による農作物減収,品質低下の損害額の算定事例

             4.継続的不法行為と消滅時効

【参照条文】      民法709

             民法724

【掲載誌】        判例時報1048号25頁

【評釈論文】      環境法研究18号44頁

             判例評論288号168頁

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

 

 

いわゆる方便としてされた協議離婚が有効とされた事例

 

 

離婚無効確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和56年(オ)第1197号

【判決日付】      昭和57年3月26日

【判示事項】      いわゆる方便としてされた協議離婚が有効とされた事例

【判決要旨】      夫婦が事実上の婚姻関係を継続しつつ、生活扶助を受けるための方便として協議離婚の届出をした場合でも、右届出が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてされたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない。

【参照条文】      民法739

             民法763

             民法764

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事135号449頁

             判例タイムズ469号184頁

             金融・商事判例647号49頁

             判例時報1041号66頁

【評釈論文】      別冊ジュリスト99号30頁

             別冊ジュリスト264号26頁

             民商法雑誌87巻4号635頁

 

 

民法

(婚姻の届出)

第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

 

(協議上の離婚)

第七百六十三条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

 

(婚姻の規定の準用)

第七百六十四条 第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。

 

 

留置物の使用が物の保存に必要な範囲を超えた場合の必要費、有益費の支出とその償還請求権に基づく留置権発生の有無

 

 

              家屋明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和30年(オ)第452号

【判決日付】      昭和33年1月17日

【判示事項】      留置物の使用が物の保存に必要な範囲を超えた場合の必要費、有益費の支出とその償還請求権に基く留置権発生の有無

【判決要旨】      留置権者が留置物について必要費、有益費を支出しその償還請求権を有するときは、物の保存に必要な範囲を超えた使用に基く場合であつたとしても、その償還請求権につき留置権の発生を妨げない。

【参照条文】      民法295

             民法298

             民法299

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集12巻1号55頁

 

 

民法

(留置権の内容)

第二百九十五条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

 

(留置権者による留置物の保管等)

第二百九十八条 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。

2 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。

3 留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

 

(留置権者による費用の償還請求)

第二百九十九条 留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。

2 留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

 

 

松尾 剛行『ChatGPTと法律実務』弘文堂2023/08/08

 

AIとリーガルテックがひらく弁護士/法務の未来

 

弘文堂

AIの技術的制約とリスクを踏まえた、適切な利活用のために

 

著者       松尾 剛行

出版年月日          2023/08/08

判型・ページ数   4-6 並製 ・ 370ページ

定価       2,200円(本体2,000円+税)

 

内容紹介

 2022年11月のローンチ以降、急速に台頭する対話型生成AIの雄、ChatGPT。その圧倒的な利便性から、官公庁・民間企業から教育、クリエーションの現場まであらゆる領域において利活用が試行錯誤されているものの、そのリスクや法的な課題はまだまだ不透明なところが多いのが現状です。個人情報や営業秘密といった機微な情報を取り扱う弁護士業務や企業法務の現場であれば、なおいっそうそのような懸念は大きいことでしょう。著作権などの知財リスクも無視できません。

 しかし、2040年代までを見据えれば、多かれ少なかれこのようなAI技術がリーガルテックプロダクトへの組み込みといった形で弁護士業務や企業法務にとって「当たり前」のものになるのは確実であり、今日の段階から適切な「付き合い方」を見極めつつ実践していくことが、法律にかかわるあらゆる職業の生き残りと、さらなる発展の鍵となる――。本書はこのような未来予測をもとに、現段階のChatGPTを、その技術的制約やリスクを踏まえつつ、弁護士や企業法務といった法律業務においてどのように利活用していくべきかを指南。分野の先端をいく実務経験と膨大なAI法研究に裏打ちされた確かな知見がChatGPT時代の羅針盤となる、すべての法律実務者にとって必読の一冊。

 

 

コメント

ChatGPTを用いた弁護士の未来について、大変参考になりました。

 

ただし、以下の疑問点があります。

・ChatGPTを、こなれた使い方ができるまで完成度を高めるべきではないか。

私は、手書き・タイプ時代→ワープロ専用機→ワード・エクセルという技術の進歩を経験しています。

また、使いづらい初歩の判例検索機から、現在の判例データベースという技術の進歩も経験しています。

いずれも、ユーザーにとって、使いやすいかが基準です。

ユーザーは、技術の詳細を知る必要すらありません。

 

・オープンAI社の免責条項でよしとされているが、約款規制(民法548条の2以下)、信義則・権利濫用(民法1条)、公序良俗違反(民法90条)が問題にならないか。

 

・本書p159以下。情報を社内共有する場合、会社自体の民法709条、使用者責任(民法715条)、共同不法行為(民法719条)が問題になるのではないか。

なにより、従業員にだけ個人責任を負わせ、会社が知らん顔というのでは、いかがでしょうか。

 

 

 

目次

第1章 ChatGPTが法律実務にもたらす期待と不安

第2章 ChatGPTの技術的制約を理解する

第3章 ChatGPTにまつわる法律問題

第4章 ChatGPTを最大限に活用するために

第5章 ChatGPT時代のリーガルテック(1)――総論

第6章 ChatGPT時代のリーガルテック(2)――各論

第7章 ChatGPT時代に「生き残る」弁護士・法務担当者とは

第8章 ChatGPT時代の「価値ある」弁護士・法務担当者にむけて

第9章 2040年の弁護士業務

第10章 2040年の企業法務