法律大好きのブログ(弁護士村田英幸) -117ページ目

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

共同相続人の一人が相続の準拠法上の規定を遵守しないで日本にある相続不動産についてした持分の処分と物権変動の準拠法である日本法上の権利移転の効果

 

 

土地持分移転登記抹消登記、土地建物持分移転登記抹消登記等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成2年(オ)第1455号

【判決日付】      平成6年3月8日

【判示事項】      共同相続人の一人が相続の準拠法上の規定を遵守しないで日本にある相続不動産についてした持分の処分と物権変動の準拠法である日本法上の権利移転の効果

【判決要旨】      相続の準拠法上、共同相続に係る財産が合有とされ、遺産分割前における相続財産の処分について共同相続人全員の同意を要するものとされている場合に、共同相続人の一人が右の同意を得ないで日本にある相続不動産の持分を第三者に処分したときでも、右処分の第三者に対する権利移転の効果については物権変動の準拠法である日本法が適用され、処分の相手方は有効に権利を取得する。

【参照条文】      法例10-2

             法例(平1法27号改正前)25

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集48巻3号835頁

 

 

平成十八年法律第七十八号

法の適用に関する通則法

(法律行為の方式)

第十条 法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法(当該法律行為の後に前条の規定による変更がされた場合にあっては、その変更前の法)による。

2 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。

3 法を異にする地に在る者に対してされた意思表示については、前項の規定の適用に当たっては、その通知を発した地を行為地とみなす。

4 法を異にする地に在る者の間で締結された契約の方式については、前二項の規定は、適用しない。この場合においては、第一項の規定にかかわらず、申込みの通知を発した地の法又は承諾の通知を発した地の法のいずれかに適合する契約の方式は、有効とする。

5 前三項の規定は、動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利を設定し又は処分する法律行為の方式については、適用しない。

 

(物権及びその他の登記をすべき権利)

第十三条 動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。

2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人斎藤尚志、同浅野晋の上告理由第四について

 原審の適法に確定したところによれば、上告人両名はA(台湾出身)とBとの間に出生した子であるが、昭和五三年五月三一日Aが死亡したことにより、一審判決別紙物件目録(一)~(八)の土地建物(以下「本件不動産」という。)につき各一六分の一の持分を相続によって取得し、Bは昭和六〇年六月一五日、上告人らの親権者として右相続に係る持分の全部を二〇〇〇万円で被上告人に売り渡し、前記目録(一)~(六)の土地建物につき上告人らから被上告人へ持分移転登記がされたものであるところ、本件は、上告人らが本件売買契約の無効を主張して右持分移転登記の抹消登記手続を請求するものである。

 論旨は、本件はAの相続財産の移転に関する問題であるから、その適用法規は、法例(平成元年法律第二七号による改正前のもの。以下、同じ。)二五条により、同人の出身地に施行されている民法であり、原審が、これを法例一〇条により、本件不動産の所在地法である日本法としたのは誤りである、というのである。すなわち、上告人らは、右民法によれば、分割前の遺産は「公同共有」とされ、公同共有物の処分については公同共有者全員の同意を得ることを要するから、これに違反した本件売買契約は無効である、と主張する。

 しかしながら、本件においては、Aの相続人である上告人らが、その相続に係る持分について、第三者である被上告人に対してした処分に権利移転(物権変動)の効果が生ずるかどうかということが問題となっているのであるから、右の問題に適用されるべき法律は、法例一〇条二項により、その原因である事実の完成した当時における目的物の所在地法、すなわち本件不動産の所在地法である日本法というべきである。もっとも、その前提として、上告人らが共同相続した本件不動産に係る法律関係がどうなるか(それが共有になるかどうか)、上告人らが遺産分割前に相続に係る本件不動産の持分の処分をすることができるかどうかなどは、相続の効果に属するものとして、法例二五条により、A(被相続人)の出身地に施行されている民法によるべきである。

 これを本件についてみるのに、右民法の一一五一条は、相続人が数人あるときは、遺産の分割前にあっては、遺産の全部は各相続人の公同共有とする旨規定しているところ、右規定にいう「公同共有」とは、いわゆる合有に当たるものと解される。そして、同法八二八条一項は、公同共有者の権利義務は、その公同関係を規定する法律又は契約によってこれを定めるものとし、同条二項は、前項の法律又は契約に別段の定めがある場合を除く外、公同共有物の処分その他の権利の行使については、公同共有者全員の同意を経ることを要する旨規定している。したがって、本件の場合、相続の準拠法によれば、本件不動産は共同相続人の合有に属し、上告人らは、遺産の分割前においては、共同相続人全員の同意がなければ、相続に係る本件不動産の持分を処分することができないというべきところ、右持分の処分(本件売買)がAの遺産の分割前にされたものであり、かつ、右処分につき共同相続人全員の同意を得ていないことは、原審の確定した事実からうかがうことができる。

 そうすると、上告人らが相続準拠法上の規定を遵守しないで相続財産の持分の処分をしたとすれば、その処分(本件売買)に権利移転(物権変動)の効果が生ずるかどうかが次に問題となるが、前示のとおり、この点は日本法によって判断されるべきところ、日本法上は、右のような処分も、処分の相手方である第三者との関係では有効であり、処分の相手方は有効に権利を取得するものと解するのが相当である。けだし、相続の準拠法上、相続財産がいわゆる合有とされ、相続人が遺産分割前に個別の財産の相続持分を単独で処分することができないとされているとしても、日本法上、そのような相続財産の合有状態ないし相続人の処分の制限を公示する方法はなく、一方、日本法上、共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法二四九条以下に規定する共有としての性質を有するものとされ(最高裁昭和二八年(オ)第一六三号同三〇年五月三一日第三小法廷判決・民集九巻六号七九三頁参照)、共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得することができるものとされているのであって(最高裁昭和三五年(オ)第一一九七号同三八年二月二二日第二小法廷判決・民集一七巻一号二三五頁参照)、我が国に所在する不動産について、前記のような相続準拠法上の規定を遵守しないでされた処分を無効とするときは、著しく取引の安全を害することとなるからである。

 以上によれば、本件売買契約がAの共同相続人全員の同意を得ることなく締結されたとしても、物権の移転に関する準拠法である日本法によれば、右契約による権利移転の効果が認められるものというべきである。そうすると、原審のした準拠法の選択については誤った点があるが、その結論は是認することができる。論旨は採用することができない。

 その余の上告理由について

 所論は、原判決を正解しないで、又は原審で主張しなかった事由に基づいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第三小法廷

第14章 相殺禁止に関する見直し

相殺禁止に関する見直し

相殺とは、AとBが互いに100万円の債権を有する場合に、一方の意思表示により、互いの債権を消滅させること。

Aが相殺をする場合には、Aの債権を自働債権、相手方Bの債権を受働債権という。

 

受働債権が不法行為債権である場合の規律の見直し

旧法:不法行為債権を受働債権として相殺をすることは一律禁止(現§509)

(理由 a 不法行為の誘発を防止、b 現実の弁償による被害者保護)

問題の所在

例えば、AとBが双方の過失で交通事故(物損)を起こし、相互に不法行為債権を有している場合に、Bが無資力であっても、Aは相殺できず、自己の債務のみ全額弁済。

相殺禁止の理由に照らして合理的な範囲に限定すべきではないか。

改正法の内容

【参照条文】

第509条 (不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)

債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

 

弁護士出身の裁判官について、弁護士当時の一方当事者との関係が忌避事由に該当しないとされた事例

 

 

              裁判官忌避申立事件

【事件番号】      東京地方裁判所決定/平成7年(モ)第11113号

【判決日付】      平成7年11月29日

【判示事項】      弁護士出身の裁判官について、弁護士当時の一方当事者との関係が忌避事由に該当しないとされた事例

【参照条文】      民事訴訟法37

【掲載誌】        判例タイムズ901号254頁

 

 

民事訴訟法

(裁判官の除斥)

第二十三条 裁判官は、次に掲げる場合には、その職務の執行から除斥される。ただし、第六号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。

一 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事件の当事者であるとき、又は事件について当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。

二 裁判官が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。

三 裁判官が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。

四 裁判官が事件について証人又は鑑定人となったとき。

五 裁判官が事件について当事者の代理人又は補佐人であるとき、又はあったとき。

六 裁判官が事件について仲裁判断に関与し、又は不服を申し立てられた前審の裁判に関与したとき。

2 前項に規定する除斥の原因があるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、除斥の裁判をする。

(裁判官の忌避)

第二十四条 裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。

2 当事者は、裁判官の面前において弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかったとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

(除斥又は忌避の裁判)

第二十五条 合議体の構成員である裁判官及び地方裁判所の一人の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判官の所属する裁判所が、簡易裁判所の裁判官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、決定で、裁判をする。

2 地方裁判所における前項の裁判は、合議体でする。

3 裁判官は、その除斥又は忌避についての裁判に関与することができない。

4 除斥又は忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。

5 除斥又は忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。

 

 

 

       主   文

 

 本件申立てを却下する。

 

       理   由

 

一 本件申立ての趣旨及び理由

 別紙忌避申立書のとおり。

二 当裁判所の判断

1 一件記録によれば、次の事実が認められる。

(一)申立人は、丙山太郎(以下「丙山」という。)を仲介人として有限会社Cビルから土地(以下「本件土地」という。)及び土地付建物(以下「本件建物」という。)を買い受け、本件土地をさらに丙山に転売したが、本件建物には雨漏りが生ずるという瑕疵があったにもかかわらず、丙山らが右瑕疵を秘して申立人に本件建物を売り付けたとして、丙山に対し、本件土地の転売による転売差損の賠償を求める前記本案訴訟(以下「本案事件」という。)を提起した。

(二)申立人は、当庁民事第四一部に係属中の別件訴訟(東京地方裁判所平成六年(ワ)第二五四一七号)において、本件土地・建物を売り付けたこと自体を丙山らの共同不法行為とし、同人らに対し損害賠償を求めているが、その被告中には、株式会社A銀行(以下「訴外銀行」という。)も含まれている。

(三)裁判長として本案事件を担当する当庁民事第三八部の甲野一郎裁判官(以下「甲野裁判官」という。)は、もと第一東京弁護士会に所属する弁護士であり、平成元年四月に裁判官に任官して以降現在に至っているものである。

2 そして、裁判官に対する当事者の忌避権を定めた民事訴訟法三七条一項にいう「裁判ノ公正ヲ妨クヘキ事情」とは、裁判官が担当する事件の当事者と特別の関係にあるとか、訴訟手続外において既にその事件につき一定の判断を形成している等の当該事件の手続外の要因により、その裁判官によっては当該事件について公正で客観性のある裁判を期待することができない客観的事情を指すものと解するのが相当であるから、その訴訟内における裁判官の訴訟指揮権ないし審判の方法・態度等は、それが合理的にみて当該事件の手続外の要因によって動かされているものと認めざるを得ないような場合は別として、それ自体では直ちに忌避の理由とすることはできないものというべきである。

3 そうすると、本件において申立人が忌避の理由として主張する事実は、いずれも前記法条の定める忌避事由には該当しないと言わざるを得ない。すなわち、

(一)申立人は、まず、甲野裁判官が裁判官任官前に弁護士として所属していた共同法律事務所が訴外銀行を有力な顧客としていたから、同裁判官も訴外銀行の法律事務を取り扱った可能性がある、仮にそうでないとしても、右事務所の構成員であった以上同裁判官も訴外銀行と利害関係を有していたと考えるべきであり、これらに照らすと、同裁判官によっては公正な裁判が期待できないと主張する。

 確かに、甲野裁判官がもと弁護士であったことは前示のとおりである。

 しかしながら、裁判官が当該事件ないしはこれと訴訟的には同一と評価される事件について訴訟前に一方当事者のために助言を与えたり私的鑑定をした場合は格別、単に一方当事者の顧問弁護士事務所に所属する弁護士であったこと、あるいは弁護士として当該事件と無関係な法律事務を取り扱ったことがあることから直ちに裁判官につき裁判の公正を妨げるべき事情があるものとはいえないから、申立人の右主張の理由のないことは明らかである。

 それだけではなく、そもそも本案事件において訴外銀行は当事者となっていないし、甲野裁判官が本案事件及びこれと同一と見られる事件について、法律事務を取り扱うなど事件に関与した形跡は全く認められない。

(二)次に、申立人は、本案事件における訴訟指揮、証拠の採否及び弁論兼和解の際における言動に照らせば、甲野裁判官の偏頗性は明らかであると主張するが、右主張は、要するに、弁論ないし証拠調べに関する同裁判官の訴訟指揮権の行使の不当をいうに帰し、しかも、同裁判官が何らかの手続外の要因(同裁判官と訴外銀行との特別な関係)によって動かされているものと認めることもできない。

(三)さらに、申立人は、甲野裁判官は裁判官としての適性がない旨るる主張するけれども、そのような裁判官個人としての適格性に関する事情は具体的な事件との関係の問題ではなく、それ自体裁判官につき裁判の公正を妨げるべき事情があるとはいい得ないことが明らかである。

 その他、一件記録を精査しても、甲野裁判官に本案事件について忌避事由に該当する事実があると認めることはできない。

4 以上のとおり、本件忌避の申立ては理由がないから、これを却下し、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官赤塚信雄 裁判官田中 敦 裁判官脇 由紀)

 

 

他人名義で約束手形を振り出した者に手形振出人としての責任が認められた事例

 

 

              約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第854号

【判決日付】      昭和43年12月12日

【判示事項】      他人名義で約束手形を振り出した者に手形振出人としての責任が認められた事例

【判決要旨】      甲を代表取締役とする会社が手形取引停止処分を受けたため、甲が実兄乙名義で銀行の当座取引口座を設け、その後、半年間に多数回にわたり乙名義を使用して約束手形を振り出しており、乙が経済的な信用や実績のない者であるなど判示の事情のもとにおいては、甲は、右約束手形の振出人としての責任を負う。

【参照条文】      手形法75

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集22巻13号2963頁

 

 

手形法

第七十五条 約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ

一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字

二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束

三 満期ノ表示

四 支払ヲ為スベキ地ノ表示

五 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称

六 手形ヲ振出ス日及地ノ表示

七 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名

 

不動産所有権の時効取得と対抗要件

 

 

土地明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和30年(オ)第15号

【判決日付】      昭和33年8月28日

【判示事項】      不動産所有権の時効取得と対抗要件

【判決要旨】      時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対し、その善意であると否とを問わず、所有権の取得を対抗できない。

【参照条文】      民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集12巻12号1936頁

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

 

給付訴訟において不執行の合意が認定された場合の判決主文

 

 

貸金等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成2年(オ)第170号

【判決日付】      平成5年11月11日

【判示事項】      給付訴訟において不執行の合意が認定された場合の判決主文

【判決要旨】      給付訴訟において、給付請求権について不執行の合意がある旨の主張がされ、その事実が認められる場合には、裁判所は、右請求権について強制執行をすることができないことを判決主文において明らかにすべきである。

【参照条文】      民事訴訟法186

             民事訴訟法191-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集47巻9号5255頁

 

 

民事訴訟法

(口頭弁論を経ない訴えの却下)

第百四十条 訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。

 

(判決事項)

第二百四十六条 裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。

 

法学教室 2023年10月号(No.517) ◆特集2 トピックで考える租税法

 

有斐閣

2023年09月28日 発売

定価  1,650円(本体 1,500円)

 

 

特集2は「トピックで考える租税法」。インボイス制度の開始を契機に、代表的な税制度をトピカルに考えます。具体的内容が豊富で、読みやすく、わかりやすい。税法なんて難しそう…という方にこそ読んでほしい特集です。

 

◆特集2 トピックで考える租税法

1 インボイス制度の導入――消費税…酒井貴子……42

 

2 法人の租税優遇措置――法人税…長戸貴之……45

 

3 副業をめぐる税制――所得税…加藤友佳……48

 

4 生前贈与と税制――相続税・贈与税…平川英子……51

 

5 BEPS包摂的枠組み――国際課税…堀 治彦……54

 

 

コメント

このようなトッピクで考えさせる特集は、良い。

租税法以外の司法試験の選択科目、あるいは、金融法なども、取り上げていただきたい。

 

法学教室 2023年10月号(No.517) ◆特集1 現在注目の論議から学ぶ行政法

 

有斐閣

2023年09月28日 発売

定価  1,650円(本体 1,500円)

 

災害級とまで言われた酷暑の夏を越え、ようやく訪れた実りの秋。春に蒔いた学びの種は順調に育っているでしょうか。

 

10月号の特集1は「現在注目の論議から学ぶ行政法」。とかく抽象的で難しいと言われる行政法分野ですが、最先端の議論を扱う本特集は、法が活きる場面の手触りが確かに伝わってくるようです。日々の学習のアクセントに、ぜひご一読を。

 

そして、今号からは、いよいよ民法分野の講座連載が始まります。扱うテーマは不法行為判例。夜空に星座を描くように、判例をつなぎあわせ、有機的に・立体的に不法行為法を学ぶ全18回。ご期待ください。

 

先日閉会した第211回国会の主要成立法律も掲載。実りの秋にふさわしい、大充実の一号です。

 

 

◆特集1 現在注目の論議から学ぶ行政法

Ⅰ デジタル社会における行政手続…巽 智彦……10

 

Ⅱ 縮小社会における「参加の行政法」…中嶋直木……16

 

Ⅲ 情報秩序における公表という手法…天本哲史……23

 

Ⅳ 一元的司法制度のもとでの訴訟選択…髙畑柊子……29

 

Ⅴ 国家賠償制度の特質と個人責任・求償…近藤卓也……35

 

 

コメント

最新の議論である。

判例がある分野ならば、理解しやすい。

 

内部統制

 

内部統制とは、組織の業務の適正を確保するための体制を構築していくシステム(制度)を指す。すなわち、組織がその目的を有効・効率的かつ適正に達成するために、その組織の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備し運用すること、ないしその結果確立されたシステムをいう。コーポレート・ガバナンスの要とも言え、近年その構築と運用が重要視されている。

 

 

根拠条文

 

会社法

(取締役会の権限等)

第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。

2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。

一 取締役会設置会社の業務執行の決定

二 取締役の職務の執行の監督

三 代表取締役の選定及び解職

3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。

一 重要な財産の処分及び譲受け

二 多額の借財

三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任

四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項

六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除

5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。

 

 

会社法施行規則

(業務の適正を確保するための体制)

第百条 法第三百六十二条第四項第六号に規定する法務省令で定める体制は、当該株式会社における次に掲げる体制とする。

一 当該株式会社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

二 当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制

三 当該株式会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

四 当該株式会社の使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

五 次に掲げる体制その他の当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

イ 当該株式会社の子会社の取締役、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者(ハ及びニにおいて「取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当該株式会社への報告に関する体制

ロ 当該株式会社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制

ハ 当該株式会社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

ニ 当該株式会社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

2 監査役設置会社以外の株式会社である場合には、前項に規定する体制には、取締役が株主に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。

3 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合には、第一項に規定する体制には、次に掲げる体制を含むものとする。

一 当該監査役設置会社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項

二 前号の使用人の当該監査役設置会社の取締役からの独立性に関する事項

三 当該監査役設置会社の監査役の第一号の使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項

四 次に掲げる体制その他の当該監査役設置会社の監査役への報告に関する体制

イ 当該監査役設置会社の取締役及び会計参与並びに使用人が当該監査役設置会社の監査役に報告をするための体制

ロ 当該監査役設置会社の子会社の取締役、会計参与、監査役、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が当該監査役設置会社の監査役に報告をするための体制

五 前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制

六 当該監査役設置会社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項

七 その他当該監査役設置会社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

 

 

 

 

 

金融商品取引法

(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価)

第二十四条の四の四 第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。次項において同じ。)のうち、第二十四条第一項第一号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)を有価証券報告書(同条第八項の規定により同項に規定する有価証券報告書等に代えて外国会社報告書を提出する場合にあつては、当該外国会社報告書)と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない。

2 第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社であつて、前項の規定により内部統制報告書を有価証券報告書と併せて提出しなければならない会社以外の会社(政令で定めるものを除く。)は、同項に規定する内部統制報告書を任意に提出することができる。

3 前二項の規定は、第二十四条第五項において準用する同条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。)のうち政令で定めるものについて準用する。この場合において、第一項中「政令で定めるもの」とあるのは「政令で定めるもの(特定有価証券(第五条第一項に規定する特定有価証券をいう。以下この項において同じ。)の発行者に限る。)」と、「事業年度」とあるのは「当該特定有価証券に係る特定期間(第二十四条第五項において準用する同条第一項に規定する特定期間をいう。)」と、「当該会社の属する企業集団及び当該会社」とあるのは「当該会社が行う資産の運用その他これに類似する事業に係る資産」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

4 内部統制報告書には、第一項に規定する内閣府令で定める体制に関する事項を記載した書類その他の書類で公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定めるものを添付しなければならない。

5 第六条の規定は、第一項又は第二項(これらの規定を第三項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)及び前項の規定により内部統制報告書及びその添付書類が提出された場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

6 第二十四条第八項、第九項及び第十一項から第十三項までの規定は、報告書提出外国会社が第一項又は第二項の規定による内部統制報告書を提出する場合(外国会社報告書を提出している場合に限る。)について準用する。この場合において、同条第八項中「外国会社(第二十三条の三第四項の規定により有価証券報告書を提出したものを含む。以下「報告書提出外国会社」という。)」とあるのは「外国会社」と、「第一項の規定による有価証券報告書及び第六項の規定によりこれに添付しなければならない書類(以下この条において「有価証券報告書等」という。)」とあるのは「第二十四条の四の四第一項又は第二項(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による内部統制報告書及び同条第四項の規定によりこれに添付しなければならない書類(以下この条において「内部統制報告書等」という。)」と、「外国において開示が行われている有価証券報告書等に類する」とあるのは「内部統制報告書等に記載すべき事項を記載した」と、同条第九項中「、当該外国会社報告書に記載されていない事項のうち公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定めるものを記載した書類その他」とあるのは「その他」と、同条第十一項中「有価証券報告書等」とあるのは「内部統制報告書等」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

第13章 連帯債務に関する見直し

連帯債務に関する見直し

連帯債務者の1人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる(旧法§434)。

連帯債務者の一人についての免除、消滅時効の完成も、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者にも効力が生ずる(旧法§437、439)。

連帯債務の絶対的効力事由を削減する。

連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。

連帯債務者の一人についての免除、消滅時効の完成も、他の連帯債務者にも効力が生じない。

※ 本来は連帯債務者Aに生じても他の連帯債務者Bに効力が生じない事由(相対的効力事由)に関し、債権者Cと他の連帯債務者Bにおいて、Aにその事由が生ずればBにもその効力が生ずるなどという別段の意思を表示していたときは、

Aに生じた事由のBに対する効力は,その意思に従う(新§441但書)。

※ 連帯保証人についても、同様の改正(保証人に対する履行の請求は、主債務者に対して効力を生じない。新§458参照)。

改正法の内容

(旧法)

(問題の所在)

絶対的効力事由とした結果、次のような問題が生ずる。

連帯債務者の一人に対する履行の請求があったとしても、他の連帯債務者は当然にはそのことを知らず、いつの間にか履行遅滞に陥っていたなどといった不測の損害を受けるおそれがある。

免除をした結果、他の連帯債務者に対して請求することができる額が減少するが、これは免除をした債権者の意思に反するおそれがある。

ある特定の連帯債務者から履行を受けるつもりであっても、全ての連帯債務者との関係で消滅時効の完成を阻止する措置をとらなければならず、債権者の負担は大きい。

相殺禁止の対象となる不法行為債権を次の①②に限定し、それ以外は相殺可能に

① 加害者の悪意による不法行為に基づく損害賠償(← a 誘発防止という観点)

② 生命・身体を侵害する不法行為に基づく損害賠償(← b 現実弁償が必要という観点)

※ ②に関連して、一般の債務不履行に基づく生命・身体の侵害による損害賠償も相殺を禁止している。