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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

筑豊じん肺訴訟・雇用者の安全配慮義務違反によりり患したじん肺によって死亡したことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効の起算点

 

 

損害賠償,民訴法260条2項による仮執行の原状回復請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成13年(受)第1759号

【判決日付】      平成16年4月27日

【判示事項】      1 雇用者の安全配慮義務違反によりり患したじん肺によって死亡したことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効の起算点

             2 じん肺による死亡に基づく損害額の算定においてじん肺法所定の管理区分に相当する病状に基づく損害賠償請求権の消滅時効が完成しているとしても当該消滅時効に係る損害額の控除を要しない場合

【判決要旨】      1 雇用者の安全配慮義務違反によりり患したじん肺によって死亡したことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は,死亡の時から進行する。

             2 じん肺による死亡に基づく損害額の算定において,じん肺法所定の管理区分に相当する病状に基づく損害賠償請求権の消滅時効が完成しているとしても,上記死亡に基づく損害を,上記病状に基づく損害とは別個のものであるとし,じん肺による死亡それ自体に係る損害として評価してその額を定める場合には,その額から上記消滅時効に係る損害額を控除しなければならないものではない。

【参照条文】      民法415

             じん肺法

             民法166

             民法416

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事214号119頁

             裁判所時報1362号249頁

             判例タイムズ1152号128頁

             判例時報1860号152頁

             労働判例872号13頁

 

 

民法

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

(損害賠償の範囲)

第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。

2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

 

(債権等の消滅時効)

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。

3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

 

 

じん肺法

(エックス線写真の像及びじん肺管理区分)

第四条 じん肺のエックス線写真の像は、次の表の下欄に掲げるところにより、第一型から第四型までに区分するものとする。

エックス線写真の像

第一型

両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が少数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの

第二型

両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの

第三型

両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が極めて多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの

第四型

大陰影があると認められるもの

 粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働者であつた者は、じん肺健康診断の結果に基づき、次の表の下欄に掲げるところにより、管理一から管理四までに区分して、この法律の規定により、健康管理を行うものとする。

じん肺管理区分

じん肺健康診断の結果

管理一

じん肺の所見がないと認められるもの

管理二

エックス線写真の像が第一型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

管理三

エックス線写真の像が第二型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

エックス線写真の像が第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

管理四

(1) エックス線写真の像が第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一を超えるものに限る。)と認められるもの
(2) エックス線写真の像が第一型、第二型、第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの

 

 

 

貨物船による曳船が商法656条にいう「危険ガ著シク増加シタルトキ」にあたるとされた事例

 

 

保険金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和44年(オ)第718号

【判決日付】      昭和50年1月31日

【判示事項】      一、貨物船による曳船が商法656条にいう「危険ガ著シク増加シタルトキ」にあたるとされた事例

             二、貨物船による曳船と商法713条1項

             三、船長が危険の著しい増加を知つたときと商法657条2項にいう「保険契約者又ハ被保険者ガ危険ノ著シク増加シタルコトヲ知リタルトキ」

【判決要旨】      一、総トン数405トン余の貨物船が500トンの貨物を積載したうえ無人の総トン数444トンの貨物船を曳船して太平洋沿岸航路を航海することは、商法656条にいう「危険ガ著シク増加シタルトキ」にあたる。

             二、貨物を積載した貨物船により他の船舶を曳船して航海することは、特別な事情のないかぎり、船籍港外における船長の権限に属しない。

             三、商法657条2項にいう「保険契約者又ハ被保険者ガ危険ノ著シク増加シタルコトヲ知リタルトキ」には、保険の目的たる船舶の船長のみが右危険著増の事実を知つた場合は含まれない。

【参照条文】      商法656

             商法713-1

             商法657-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集29巻1号16頁

 

 

商法

(著しい危険の増加)

第八百二十三条 次に掲げる場合には、保険者は、その事実が生じた時以後に発生した事故によって生じた損害を塡補する責任を負わない。ただし、当該事実が当該事故の発生に影響を及ぼさなかったとき、又は保険契約者若しくは被保険者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

一 被保険者が発航又は航海の継続を怠ったとき。

二 被保険者が航路を変更したとき。

三 前二号に掲げるもののほか、保険契約者又は被保険者が危険を著しく増加させたとき。

 

(航海継続のための積荷の使用)

第七百十二条 船長は、航海を継続するため必要があるときは、積荷を航海の用に供することができる。

2 第五百七十六条第一項及び第二項の規定は、前項の場合において船舶所有者が支払うべき償金の額について準用する。この場合において、同条第一項中「引渡し」とあるのは、「陸揚げ」と読み替えるものとする。

 

 

 

第1部 消費者契約法

消費者が事業者と契約をするとき、両者の間には持っている情報の質・量や交渉力に格差があります。このような状況を踏まえて消費者の利益を守るため、平成13年4月1日に消費者契約法が施行されました。同法は、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定しています。

また、平成18年の法改正により消費者団体訴訟制度が導入され、平成19年6月より運用されており、平成20年の法改正では、消費者団体訴訟制度の対象が景品表示法と特定商取引法に、平成25年の法改正では、食品表示法に拡大されました。

その後、平成28年、30年には、取り消しうる不当な勧誘行為の追加、無効となる不当な契約条項の追加等の民事ルールの改正が行われました。

約束手形の振出は商法第265条にいう取引にあたるか

 

 

約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和35年(オ)第1139号

【判決日付】      昭和38年3月14日

【判示事項】      約束手形の振出は商法第265条にいう取引にあたるか

【判決要旨】      株式会社がその取締役に対して約束手形を振り出す行為は、商法第265条のいう取引にあたる。

【参照条文】      商法265

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集17巻2号335頁

 

 

会社法

(競業及び利益相反取引の制限)

第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。

三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。

2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号又は第三号の取引については、適用しない。

 

(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)

第三百六十五条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

2 取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人川添清吉、同風間誌一郎の上告理由第一点について。

 論旨は、原判決が所論明確な証拠を無視し、これに対し何らの判断をも示さない点に理由不備の違法があるというが、原判決は、上告人の取締役退任の日が昭和二九年一二月二五日ある旨を認定しており、右認定は挙示の証拠(甲第一号証)により是認できる。所論はひつきよう原審の裁量に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採ることを得ない。

 同第二点について。

 所論は、被上告会社代表取締役Dが、登記懈怠の責任を免れるため上告人の取締役退任の日をことさら遅らせて昭和二九年一二月二五日として登記手続に及んだため、甲第一号証の登記の記載が同日付となつた旨を主張するが、右は原審において主張判断のない事実であり、これを前提とする所論は採ることを得ない。また、所論の点に関する原審の事実認定は、挙示の証拠により是認できる。所論は、原審が適法にした裁量を非難するものであり、原判決に所論の違法は認められない。

 同第三点について。

 株式会社がその取締役に対して約束手形を振出し、これによつて手形債務を負担する行為は、商法二六五条にいう取引に該当するものと解するを相当とする。従つて、本件第二の各手形の振出について被上告会社の取締役会の承認がないという原判示の下においては、右各手形の振出は無効と解すべきであり、これと同趣旨に出でた原判決は正当である(大審院大正一二年(オ)第一八六号同年七月一一日判決、同大正一三年(オ)第三三〇号同年九月二四日判決、同昭和四年(オ)第四二一号同年九月二一日判決参照)。なお、商法二六五条は効力的規定ではなく命令的規定であるから、取締役会の承認がないからといつて本件第二各手形の振出行為の無効を来さないとの所論は、独自の見解であつて、当裁判所の採用し得ないところである。所論はすべて採ることを得ない。

 同第四点、第七点について。

 所論は、原審において主張判断のない事実に基づく主張であつて、適法な上告理由とは認められない。

 同第五点について。

 所論は、登記簿上取締役の登記が抹消されない以前にすでに事実上退任していたとの、原審の認定に副わない事実関係を前提として原判決を非難するものであり、採ることを得ない。

 同第六点について。

 所論は、本件第二手形の振出行為は、被上告会社の債務履行行為に帰着し、商法二六五条にいう取引に該当しない旨をいうが、所論は原審の認定に副わない事実関係を前提とするものであるばかりでなく、手形振出行為が同条にいう取引に該当すると解すべきことは論旨第三点に対する説示において判示したとおりであり、所論は採ることを得ない。

 同第八点について。

 原判決は、所論第一次請求たる手形上の請求の原因関係が上告人とD個人との間の債券関係自体であるとは判示していないのであるから、所論手形の振出が被上告会社としてなされたことを判断した点に何らの矛盾はない。また、上告人の予備的請求は被上告会社に対する判示消費貸借に基づくものであるところ、該請求原因事実の肯認できないことを原判決は判示しているのであるから、その認定判断には所論のごとき矛盾は存しない。それ故、所論は採ることを得ない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第一小法廷

刑法(平成19年改正前)208条の2第2項後段にいう赤色信号を「殊更に無視し」の意義

 

 

道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反,危険運転致死被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成20年(あ)第1号

【判決日付】      平成20年10月16日

【判示事項】      刑法(平成19年法律第54号による改正前のもの)208条の2第2項後段にいう赤色信号を「殊更に無視し」の意義

【判決要旨】      刑法(平成19年法律第54号による改正前のもの)208条の2第2項後段にいう赤色信号を「殊更に無視し」とは,およそ赤色信号に従う意思のないものをいい,赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても,信号の規制自体に従うつもりがないため,その表示を意に介することなく,たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為も,これに含まれる。

【参照条文】      刑法(平19法54号改正前)208の2-2

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集62巻9号2797頁

 

 

刑法

(過失傷害)

第二百九条 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。

2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

 

 

平成二十五年法律第八十六号

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

(危険運転致死傷)

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為

六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 

遺族補償年金年齢差別事件・地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち死亡した職員の夫について一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分と憲法14条1項

 

 

              遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成27年(行ツ)第375号

【判決日付】      平成29年3月21日

【判示事項】      地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち死亡した職員の夫について一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分と憲法14条1項

【判決要旨】      地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分は,憲法14条1項に違反しない。

【参照条文】      憲法14-1

             地方公務員災害補償法32-1

             地方公務員災害補償法附則7の2-2

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事255号55頁

             裁判所時報1672号89頁

             判例タイムズ1439号70頁

             判例時報2341号65頁

             金融法務事情2072号97頁

             労働判例1162号5頁

 

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

 

地方公務員災害補償法

(遺族補償年金)

第三十二条 遺族補償年金を受けることができる遺族は、職員の配偶者(婚姻の届出をしていないが、職員の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であつて、職員の死亡の当時その収入によつて生計を維持していたものとする。ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。次条において同じ。)以外の者にあつては、職員の死亡の当時次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

一 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、父母又は祖父母については、六十歳以上であること。

二 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。

三 兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は六十歳以上であること。

四 前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、総務省令で定める障害の状態にあること。

2 職員の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、職員の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子とみなす。

3 遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。

 

 

地方公務員災害補償法附則

(遺族補償年金の受給資格年齢の特例等)

第七条の二 次の表の上欄に掲げる期間に死亡した職員の遺族に対する第三十二条及び第三十四条の規定の適用については、同表の上欄に掲げる期間の区分に応じ、第三十二条第一項第一号及び第三号並びに第三十四条第一項第六号中「六十歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

昭和六十年十月一日から昭和六十一年九月三十日まで

五十五歳

昭和六十一年十月一日から昭和六十二年九月三十日まで

五十六歳

昭和六十二年十月一日から昭和六十三年九月三十日まで

五十七歳

昭和六十三年十月一日から平成元年九月三十日まで

五十八歳

平成元年十月一日から平成二年九月三十日まで

五十九歳

 次の表の上欄に掲げる期間に公務上死亡し、又は通勤により死亡した職員の夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹であつて、当該職員の死亡の当時、その収入によつて生計を維持し、かつ、同表の中欄に掲げる年齢であつたもの(第三十二条第一項第四号に規定する者であつて第三十四条第一項第六号に該当するに至らないものを除く。)は、第三十二条第一項(前項において読み替えられる場合を含む。)の規定にかかわらず、遺族補償年金を受けることができる遺族とする。この場合において、第三十三条第一項中「遺族補償年金を受けることができる遺族」とあるのは「遺族補償年金を受けることができる遺族(附則第七条の二第二項の規定に基づき遺族補償年金を受けることができることとされた遺族であつて、当該遺族補償年金に係る職員の死亡の時期に応じ、同項の表の下欄に掲げる年齢に達しないものを除く。)」と、第三十四条第二項中「各号の一」とあるのは「第一号から第四号までのいずれか」とする。

昭和六十一年十月一日から昭和六十二年九月三十日まで

五十五歳

五十六歳

昭和六十二年十月一日から昭和六十三年九月三十日まで

五十五歳以上五十七歳未満

五十七歳

昭和六十三年十月一日から平成元年九月三十日まで

五十五歳以上五十八歳未満

五十八歳

平成元年十月一日から平成二年九月三十日まで

五十五歳以上五十九歳未満

五十九歳

平成二年十月一日から当分の間

五十五歳以上六十歳未満

六十歳

 前項に規定する遺族の遺族補償年金を受けるべき順位は、第三十二条第一項(第一項において読み替えられる場合を含む。)に規定する遺族の次の順位とし、前項に規定する遺族のうちにあつては、夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹の順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。

 第二項に規定する遺族に支給すべき遺族補償年金は、その者が同項の表の下欄に掲げる年齢に達する月までの間は、その支給を停止する。ただし、附則第六条第一項から第四項までの規定の適用を妨げるものではない。

 第二項に規定する遺族に対する第四十四条の規定の適用については、同条第二項中「第三十二条第三項」とあるのは、「附則第七条の二第三項」とする。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人松丸正,同下川和男,同成見暁子の上告理由について

 所論は,地方公務員災害補償法の遺族補償年金につき,死亡した職員の妻については,当該妻が一定の年齢に達していることは受給の要件とされていないにもかかわらず,死亡した職員の夫については,当該職員の死亡の当時,当該夫が一定の年齢に達していることを受給の要件とする旨を定めている同法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項の各規定が,憲法14条1項に違反する旨をいう。

 しかしながら,地方公務員災害補償法の定める遺族補償年金制度は,憲法25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障の性格を有する制度というべきところ,その受給の要件を定める地方公務員災害補償法32条1項ただし書の規定は,妻以外の遺族について一定の年齢に達していることを受給の要件としているが,男女間における生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い,平均的な賃金額の格差及び一般的な雇用形態の違い等からうかがえる妻の置かれている社会的状況に鑑み,妻について一定の年齢に達していることを受給の要件としないことは,上告人に対する不支給処分が行われた当時においても合理的な理由を欠くものということはできない。したがって,地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを受給の要件としている部分が憲法14条1項に違反するということはできない。

 以上は,最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁の趣旨に徴して明らかである。所論の点に関する原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に下請の仕事の準備作業を開始した場合において施主が下請業者の支出費用を補てんするなどの代償的措置を講ずることなく施工計画を中止することが下請業者の信頼を不当に損なうものとして不法行為に当たるとされた事例

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成17年(受)第1016号

【判決日付】      平成18年9月4日

【判示事項】      下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に下請の仕事の準備作業を開始した場合において施主が下請業者の支出費用を補てんするなどの代償的措置を講ずることなく施工計画を中止することが下請業者の信頼を不当に損なうものとして不法行為に当たるとされた事例

【判決要旨】      下請業者が施工業者との間で下請契約を締結する前に下請の仕事の準備作業を開始した場合において,施主が下請業者の支出費用の補てん等の措置を講ずることなく施工計画を中止することが不法行為に当たるとされた事例

【参照条文】      民法1-2

             民法709

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事221号63頁

             裁判所時報1419号388頁

             判例タイムズ1223号131頁

             金融・商事判例1256号28頁

             判例時報1949号30頁

 

 

事案の概要

 本件は,建具業者である原告が,研究用建物の建築を計画していた被告大学から,将来原告が上記建物の建築工事のうちの建具工事について下請業者となることを当然の前提として,外壁用建具の納入・取付けの準備作業を開始するよう依頼を受け,その準備作業を開始したにもかかわらず,被告大学が,突然,建築計画を中止したことから,被告大学の一方的な建築計画の中止が原告との関係で不法行為を構成すると主張して,被告大学に対し,不法行為に基づき,準備作業のために出捐した費用等についての損害賠償を求める事案である。

 

 

契約締結上の過失とは、契約の締結に至るまでの段階で当事者の一方に帰責すべき原因があったために相手方が不測の損害を被った場合に、責めを負うべき当事者は相手方に対して損害を賠償すべきとする理論をいう。

 

日本では信義誠実の原則(以下「信義則」という。)を法律上の根拠とする学説が多い。すなわち、契約が成立する前の準備段階であっても当事者間には信義則が適用される一定の信頼関係が形成されており、そのような信義則上の注意義務に反して相手方に損害を与えた場合、損害賠償責任を負うべきであるとする。

 

契約締結上の過失が認められる場合、一般に損害賠償の範囲は信頼利益に限られる。

 

信頼利益とは

無効な契約を有効と信じたことによって受けた損害。契約締結のための調査費用、履行の準備費用などがこれにあたり、一定の限度で損害の賠償を求めることができるとされる。

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人竹田章治,同小嶋正己の上告受理申立て理由について

 1 本件は,被上告人が建築の計画をしていた建物の建具の納入等に関して,上告人が被上告人の了承に基づいて準備作業を開始した後に被上告人が上記計画を中止することは不法行為を構成すると主張して,上告人が,被上告人に対し,上記準備作業に要した費用等の損害賠償を請求する事案である。

 2 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

 (1)上告人は,建築資材の輸入,販売等を業とする株式会社である。

 (2)被上告人は,被上告人の大学構内に研究教育施設用建物(以下「本件建物」という。)を建築することを計画して,文部科学省に補助金の交付を申請し,平成14年初春,丙川二郎を代表者とする有限会社丙川二郎建築研究所(以下「丙川研究所」という。)に,本件建物の企画設計を依頼するとともに,補助金の交付の決定があったときには本件建物の設計監理を委託したい旨の申入れをして,上記決定があり次第直ちに本件建物の建築を始められるように準備を進めていた。

 (3)上告人は,平成14年3月中旬ころ,丙川研究所から,本件建物の壁面にドイツのフーノルド社のガラス製品を用いたガラスカーテンウォール(以下「本件建具」という。)を使用する計画であるので設計に協力してほしいとの依頼を受けて,技術的な検討と見積作業を開始した。

 (4)被上告人は,前記申請に係る補助金の交付の内定があったことから,平成14年4月15日ころ,丙川研究所に本件建物の設計監理を委託し,同研究所は,本件建物の基本設計を開始した。

 (5)本件建物の竣工は平成15年3月と予定されていたところ,これに間に合うように本件建具の納入等をするためには,遅くとも平成14年6月初めころには,本件建具の形状,寸法等の打合せや製作図の作成等の準備作業を開始し,同年9月初めころには,ドイツの工場で本件建具の製作を開始する必要があった。

 (6)丙川は,平成14年5月下旬ころ,上告人の担当者から,上記(5)の事情の説明を受け,直ちに本件建具の納入等の準備作業を開始することについて了承を求められたことから,被上告人における本件建物の建築に関する担当者である助教授に,上記事情を説明した上で,サッシ業者に上記準備作業の開始を依頼すること及び依頼後は別の業者を選ぶことができなくなることについて了承を求めたところ,同助教授はこれらを了承した。なお,建物建築工事における建具の納入等は,建具の納入業者が建物の施工業者との間で下請契約を締結して行うのが通常の形態であるが,本件建物の施工業者は,この当時,いまだ決定しておらず,同年8月末に決定する予定であった。

 (7)上告人は,丙川から,上記のとおり被上告人の了承があった旨の説明を受けるとともに,直ちに上記準備作業を開始するよう依頼を受けたことから,本件建具の製作図の本格的な作成,打合せ,製造ラインの確保等の準備作業を開始した。

 (8)丙川研究所は,平成14年6月中旬ころまでに基本設計を,同年7月20日ころまでに実施設計を行い,これらについて被上告人の了承を得た。被上告人は,同月初旬ころ,本件建物の建築確認申請をする一方,大学施設増築及び高度制限解除等の許可を受けた。

 (9)ところが,被上告人は,平成14年8月27日に至って,将来の収支に不安定な要因があることを理由として,本件建物の建築計画の中止を決定し,補助金の交付の申請を取り下げた。

 3 原審は,上記の事実関係の下において,次のとおり判断して,被上告人の損害賠償責任を否定した。

 上告人と被上告人との間で本件建具の納入等についての直接の請負契約が締結されたものではなく,また,そのような契約の締結を目指して交渉が重ねられたものでもないから,上告人は,いずれ被上告人から本件建物の建築を請け負う施工業者との間で,本件建具の納入等の下請契約が締結されることを期待する立場にあったにすぎず,上告人と被上告人との関係は,契約締結のための準備交渉段階において信義則が妥当する場合とは異なる。

 また,前記2(6)のとおり,丙川が,上告人からの説明と要請を受けて,被上告人に本件建具の納入等の準備作業の開始について了承を求めたものであること,上告人が,それ以前から,丙川研究所の要請により,本件建具の納入等の検討や見積作業を行っていたものであることなどに照らすと,上告人による本件建具の納入等の準備作業は,本件建物の施工業者が選定されるまでは,上告人と同研究所との間の契約関係に基づいて行われたものと推認するのが相当である。そうすると,その後の被上告人の対応いかんによって,直ちに上告人の丙川研究所に対する契約上の権利が害されるという関係にはないというべきであり,本件における上告人の損害は,同研究所との間で解決が図られるべきものである。

 さらに,本件において,被上告人に上告人との関係で本件建物の施工業者を選定して請負契約の締結を図るべき法的義務があったとまでは認め難い。

 被上告人に本件建物の施工業者を選定して請負契約の締結を図るべき法的義務があったとまでは認め難い以上,被上告人が本件建物の建築計画を中止したことが,上告人の権利,利益を害する不法行為に該当するものとまではいえず,被上告人は損害賠償責任を負わない。

 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 前記事実関係によれば,建物建築工事における建具の納入等は,建具の納入業者が建物の施工業者との間で下請契約を締結して行うのが通常の形態であるが,本件建物の竣工予定時期に間に合うよう本件建具の納入等をするためには,被上告人が本件建物の施工業者を決定する前に,本件建具の納入等の準備作業を開始する必要があったことから,被上告人は,本件建物の設計監理を委託していた丙川研究所の代表者である丙川の説明を受け,同人の求めに応じて,平成14年5月下旬ころ,サッシ業者に上記準備作業の開始を依頼すること及び依頼後は別の業者を選ぶことができなくなることを了承し,また,上告人は,丙川から,上記のとおり被上告人の了承があった旨の説明を受けるとともに,直ちに上記準備作業を開始するよう依頼を受けたことから,本件建具の製作図の本格的な作成,打合せ,製造ラインの確保等の準備作業を開始したというのである。このような事情の下においては,上告人が丙川から上記準備作業に要した費用等については丙川研究所で負担するとの説明を受けていたなどの特段の事情のない限り,上告人は,被上告人の上記了承があったことから,被上告人が誰を本件建物の施工業者に選定したとしても,その施工業者との間で本件建具の納入等の下請契約を確実に締結できるものと信頼して,上記準備作業を開始したものというべきであり,また,被上告人は,上告人が上記準備作業のために費用等を費やすことになることを予見し得たものというべきである。原審は,上記特段の事情に関して,上告人による本件建具の納入等の準備作業は,本件建物の施工業者が選定されるまでは,上告人と丙川研究所との間の契約関係に基づいて行われたものと推認されるから,本件における上告人の損害は,同研究所との間で解決が図られるべきものであると判示しているが,前記事実関係だけからは,上告人による上記準備作業が本件建物の設計監理を受託したにすぎない同研究所と上告人との間の契約関係に基づいて行われたものと推認することはできない。

 そして,上記特段の事情が認められず,上告人が本件建物の施工業者との間で本件建具の納入等の下請契約を確実に締結できるものと信頼して上記準備作業を開始したものであり,被上告人が上記のとおりの予見をし得たものとすれば,信義衡平の原則に照らし,上告人の上記信頼には法的保護が与えられなければならず,被上告人に上告人との関係で本件建物の施工業者を選定して請負契約の締結を図るべき法的義務があったとまでは認め難いとしても,上記信頼に基づく行為によって上告人が支出した費用を補てんするなどの代償的措置を講ずることなく被上告人が将来の収支に不安定な要因があることを理由として本件建物の建築計画を中止することは,上告人の上記信頼を不当に損なうものというべきであり,被上告人は,これにより生じた上告人の損害について不法行為による賠償責任を免れない。

 以上と異なる見解に立って,被上告人の損害賠償責任を否定した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,前記特段の事情の有無,賠償すべき損害の範囲等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

『オーストラリア倒産法』 弘文堂2022/1/25

金 春 (著), ステイシー・スティール (著)

 

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最新のオーストラリア倒産法がわかる!

 

新進気鋭の女性倒産法研究者2名による果敢な共同研究の成果。

オーストラリア独自の企業再生制度、日本法の解釈論・立法論上の重要問題でもある倒産解除特約の効力、会社取締役の倒産申立義務、グループ企業倒産における実体的併合についての近時の立法上の手当ては、理論面のみならず実務面でも大いに参考になります。

全体像を概観するとともに、個々の倒産手続において問題とされている具体的な争点について、近年の法改正もふまえて、丁寧に分析・検討。

わが国の倒産法学に斬新な発想を持ち込み、理論にも実務にも刺激を与える注目の一冊。

 

【目次】

第1章 オーストラリア倒産法制の成立・制度の枠組み・近年の改正

第2章 再建型会社倒産手続の代表格―任意管理手続

第3章 新たな再建型会社倒産手続―小規模会社再建手続

第4章 個人倒産手続―全体の枠組みと近年の改正の議論

第5章 倒産実務家の規制

第6章 倒産実務家の報酬

第7章 再建型会社倒産手続における倒産解除条項の効力制限―2017年改正を中心に

第8章 倒産会社の取締役の債権者に対する責任―倒産取引阻止義務

第9章 結合企業の倒産処理における実体的併合―清算手続におけるプーリング制度

【事項索引】

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著者について

▼金 春(キン シュン)

同志社大学法学部教授

▼ステイシー・スティール

メルボルン大学ロースクール准教授

 

(2021年12月現在)

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 弘文堂 (2022/1/25)

発売日 ‏ : ‎ 2022/1/25

言語 ‏ : ‎ 日本語

単行本 ‏ : ‎ 340ページ

 

 

コメント

私は、日本語の外国法の本が好きである。外国を旅した気分になれるからである。

本書p137で、誤りを見つけた・

日本の個人民事再生手続きで、最低弁済額の基準が採用されていないという記述である。

 

以下の論点は、日本法にとっても、問題である。

第8章 倒産会社の取締役の債権者に対する責任―倒産取引阻止義務

第9章 結合企業の倒産処理における実体的併合―清算手続におけるプーリング制度

 

第6章 その他の改正内容の概要

 以上に述べてきたもののほか,改正法は以下のような各種改正を含んでいます。

 紙幅の都合上,以下では詳細な説明は割愛し,各改正内容の概要を示すにとどめたいと思います。

 

1,弁護人選任権の教示

 刑事訴訟法第76条,第77条において規定されている弁護人選任権の告知ないし教示について,旧法では単に「弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない」とされていましたが,改正法により,「弁護士,弁護士法人または弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない」とされました。

 

2,裁量保釈の考慮事情の明文化

 刑事訴訟法第90条の定める裁量保釈について,「保釈された場合に被告人が逃亡しまたは罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上または防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し」との考慮事情が明文化されました。

 

3,公判前整理手続等に関する改正

 公判前整理手続請求権(刑事訴訟法第316条の2第1項)及び期日間整理手続請求権(同316条の28第1項)の法定,類型証拠開示の対象拡大(同316条の15第1項第9号,同条第2項),証拠一覧表の交付義務(同316条の14第2項)の法定等を内容とする改正です。

 

4,証人を勾引するための要件の緩和

 刑事訴訟法第152条において規定されている証人の勾引を,召喚に応じないおそれがある場合にも可能とする改正であり,当該証人が召喚に応じず不出頭となった事実を必要としていた旧法と比べて,その要件が緩和されました。

 

5,ビデオリンク方式による証人尋問の拡充

 被害者・証人保護などのため、一定の要件のもとで,裁判所と同一構内以外の場所におけるビデオリンク方式による証人尋問を行えるようになりました(刑事訴訟法第157条の6第2項)。

 

6,証人等の特定事項の秘匿等に関する改正

 検察官による証人等の氏名等の開示制限(刑事訴訟法第299条の4),公開の法廷における証人等の氏名等の秘匿措置(同第299条の5,同299条の6)の法定等を内容とする改正です。

 

第二次大戦中、日本国により捕虜収容所等に収容されたイギリス人捕虜らの、強制労働・虐待等を理由とする日本国に対する損害賠償請求が、理由がないとして棄却された事例

 

 

              損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成11年(ネ)第456号

【判決日付】      平成14年3月27日

【判示事項】     第二次大戦中、日本国により捕虜収容所等に収容されたイギリス人捕虜らの、強制労働・虐待等を理由とする日本国に対する損害賠償請求が、理由がないとして棄却された事例

【参照条文】      陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約

             国家賠償法

【掲載誌】        判例時報1802号76頁

 

 

陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約(ハーグ陸戦条約)

第3条:前記規則の条項に違反した交戦当事者は、損害ある時は賠償の責を負うべきものとする。交戦当事者はその軍隊を構成する人員の全ての行為に対して責任を負う。

 

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。