危機管理広報の成功例
トヨタのリコール騒動に加えて、小糸工業の検査数値改ざん、ダイキンのリコール虚偽報告など、企業の不祥事が相次いでいる。
恐らく”良く見せたい”と言う気持ちが、悪い事は出したくないという気持ちに変わり、隠ぺいや改ざんにつながったのだろう。「売上向上のためのPR」などと安易な考え方をしていると、企業存続の危機にも陥る可能性があると言う良い例であろう。硬い表現ではあるが、広報はあくまでも信用信頼を得るための活動と再認識する必要があるのだと思う。
有事は必ずしも会社の危機に直結するものではない。
有事の際、消費者や一般の人は何を見ているのか。当該事象の影響がどうなのかということは勿論であるが、”その企業の姿勢”を一番見ていると考えるべきであろう。有事は大小合わせ日々起こっている。開発クレームは少ないだろうが、営業やサービスクレームは日常のことではないだろうか。その際、顧客はどう対処してくれるのかを見ており、迅速適切な対処をしてくれれば、この人なら、この様な対応をする会社なら信頼が出来ると思うのだろう。
また有事の際に適切な対応をすれば、顧客の信頼を得られるだけではなく、他社の不祥事があった際に成功例として繰り返し報じられることがある。その良い例が、ジョンソン&ジョンソン(以下J&J)であろう。
これは未だ危機管理広報などが話題になる前だと思うが、1982年にJ&Jの子会社が製造する鎮痛剤「タイレノール」に何者かが毒物を混入し、購入した消費者7名が死亡したと言う事件である。
詳細は把握していないが、事件が発覚してすぐさま製品を回収。また製造工程での毒物混入の可能性や、最高経営責任者がメディアに登場して早期解決に向けて市民に協力を求めるなどの情報開示を積極的に行った。
そして製品の包装改良により市場に新商品を素早く投入することも行い、死者を出すほどの大事件ではあったが、企業危機を救っただけではなく、逆に信頼感を強めたと言う。
恐らく今流行りの”良く見せるための広報”と言う考えであれば、間違いなく事件が発生した際に、自社のせいではなく、あくまでも混入した第三者に責任を押し付け被害者と言う立場をとり、製品回収のタイミングを逸し被害者が増大しているのではないだろうか。そしてその体質が日に日に非難され、”信用できない””もう買わない”などと1商品のだけの問題ではなくなってしまう。
有事の際こそ広報の腕の見せどころであり、J&Jの様な対応が出来る自信がなければ、今からその阻害要因やリスク要因を明確にし、対応をとることが必要ではないでしょうか?
効果のないメルマガとは
現在複数のメルマガを読んでいるが、なかなか良いメルマガに出会えないでいる。本来メルマガは読者にとって有益な情報を発信しなければ読まれないもの。つまり読者視点が欠けているモノが多い。発信者本意だと読もうとも思わないばかりか、逆にマイナスの印象を持たざるを得ない。
では効果を下げてしまう点とはどういうことか。
○自社商品やサービスの説明が多い
広告的要素の強いメルマガには誰も期待していない
自社商品サービスの直接的な説明をせずに価値をアピールする表現が重要
○宣伝告知が多過ぎる
売れているモノ、受け入れられているモノに過大な宣伝は不要
つまり売れていない事をアピールしてしまっている
○セミナー告知が多過ぎる
たび重なる告知は、人が集まっていないとしか思えない
セミナー告知は2回までと考え、どのタイミングが効果的かを考えた方が良い
○登録解除が解り難い
一旦読者になったら逃がすものかという感覚はご法度
メルマガは登録してしまえば自動的に届いてしまうモノ。もっというと強制的に送られてくる。そこにクドクド自己主張をされると胡散臭いとしか思えない。特に自社の宣伝などをせずに読者視点で有益な情報提供を行うことで、発信者の存在を定期的に認識してもらえれば良いという程度の表現にした方が良いのではないでしょうか?
ネタ切れのため致し方なく、と言うこともあるでしょうが、一度読者視点で自身のメルマガをチェックしてみては如何でしょうか?時々アンケートや要望を聞くなど、本当に読まれているのか、読者視点になっているのかなどのチェックを掛けることも必要かと思います。
”誰が”や”いつ”もニュース性
有事の際の会見は、どのタイミングで誰が対応するのか、また社長はいつ出すべきかなどは非常に難しい問題です。発信する情報とは別に、これらの”いつ””誰が”と言うこと自体に意味を持ってしまい、それが姿勢や取り組み、企業体質などという情報となって同時に発信されてしまうのです。
会見や説明会を行う場合、広報部としては社長に出てもらいたいがなかなかGOサインが出ないなどと言う話はよく聞きます。その様な場合は、我々の様な第三者であるPR会社の立場で説得した方が効果的な場合があります。これまでにも何度かその様な立場に直面し、説得したことがあります。
さてこれらの”いつ”や”誰が”も重要な意味をもつのは、なにも有事の際に限ったことがありません。前向きな会見であったり、説明会であっても同様です。
例えば毎期行う決算発表を経理担当役員が担当していたとします。しかし今期は社長が会見を行うとすると、何か決算や業績に関わる重要な案件があるのではないかと取られ、急にメディアの出席率が上がります。逆に社長が行っていた会見を代理が行った場合、出席率が下がったり、また何か隠しているのではないか、社長が出てこれない理由があるのではないかと、決算内容以外での質問で盛り上がってしまい、話の本質がズレてしまうこともしばしばです。
出来る限りニュース性を上げて多く報道してもらいたいというのは誰しも思うことですが、それには説明者に対しても”あなた自身もニュース性である”ことを日頃から十分に説明する必要があるのではないでしょうか。有事の際、緊張の中で説明をしても当然受け入れられませんので、通常時に行うのが良いでしょう!またマスコミ対応者ガイドラインを作成し、事前に周知することも効果的と言えます。
ご参考:報道の確度を上げる2つの契機