さて、今回ご紹介するのは、トミー・フラナガン・トリオ(Tommy Flanagan Trio)の「OVERSEAS」です。超定番ですね。

しかし、ジャケットは、二つ載せたいと思います。何故なら、通常版の「OVERSEAS」と、「THE COMPLETE OVERSEAS+3」という、未発表音源も追加され、音質も向上したバージョン(私はこちらを持っています)があるからです。

まずは、通常版の「OVERSEAS」のジャケットを
Overseas/Tommy Flanagan Trio
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続いて、「THE COMPLETE OVERSEAS+3」のジャケットを

ザ・コンプリート・オーヴァーシーズ+3 ‾50ス・アニバーサリー・エディション‾/トミー・フラナガン
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このトリオは、トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)がピアノ、ウィルバー・リトル(Wilbur Little)がベース、エルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)がドラムスという構成です。

元々は、1957年にストックホルムで録音されたアルバムです。上のジャケットタイトルのリンクを見て頂いても分かるように、その1957年から、50年経ったことを記念して、発売されたのが、「THE COMPLETE OVERSEAS+3」です。

エヴァンスなんかと比べると、アグレッシブな演奏スタイルだと感じさせられますが、情緒や機微の点では、表現こそ異なるものの、ちゃんと、丁寧に演奏されています。

ジャケットの好みから言うと、緑一色の通常版より、トミフラの写真が見られる、完全版のほうが、好みです。(完全版の中にも、オリジナルのジャケットも入っていますが)

エヴァンスとかキースのような、繊細さを前面に出したプレイスタイルよりも、オスカーとか、モンクのような、結構、神経図太そうなタイプの方がお好きな方には、お勧めです。
それで、このアルバムは、スウィングジャーナル(日本を代表するジャズの月刊誌)の、ゴールドディスク第一回目に選ばれているんですね。(多分、オリジナルの方)

疾走感溢れるプレイは、五曲目の「VERDANDI」で、充分堪能することができます。トミフラの十八番ですね。彼の作曲した作品でもありますし。

それで、六曲目の「Willow Weep For Me」では、大人しいイントロから入ったかと思うと、彼独特のアグレッシブな解釈で、また、アルバムコンセプトに近い演奏に戻ります。

と、まあ、一曲ずつ書いていたらキリがありませんが、エヴァンスとかと、これほど、演奏スタイルが違うプレイヤーもいるのだな、と、学ばされる一枚です。

そして、このアルバムが、50周年記念バージョンが出るほど、ピアノ・トリオ作品の最高峰の一つとしての評価を受けているということは、やはり、アフリカ系アメリカ人(黒人)の、ジャズの保守本流の流れが、一番、ジャズの世界では強いということを、思い知らされます。(エヴァンスが、白人であるという理由もあって、マイルスのグループを脱退せざるを得なかったというお話は、以前しましたね)

ジャズファンの方も、ジャズ入門の方も、このアルバムは、必聴だと思います。「理念型としての、典型的な、代表的な、ジャズ作品」ですから。

今回も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

追記:黒人のジャズがいいとか、白人のはどうとか、人種だけで云々言うつもりは全くないので、ご了解下さい。