夏目友人帳 陸 第11話 (最終回) 「大切なモノ」



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☆前のお話は → 6期 1~10話あらすじまとめ

★5期はこちら →「夏目友人帳 伍

友人帳のことを聞かれてしまった夏目は、妖怪が多いここではまだ話せないが、このことが終わったら俺の話を聞いてもらえますかと名取に言った。名取は、もちろんと笑顔で答えた。

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敷地内は祓い屋と式妖怪で騒然としていた。

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この屋敷の主、箱崎さんは、ひとり書斎にこもって妖怪の研究をしていたらしいが、

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家族からも敬遠され亡くなった後はその書斎の場所もわからなくなっていた。

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夏目:「的場一門が来てるんですか」
名取:「しかも七瀬さんがね。ややこしくなる前に我々で書斎を見つけないとな」
夏目:「そうですね」

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先生:「しかし、お前ら甘く考えるなよ。相手は変人の呪術研究家。妖者どもを捕まえて、マッドでサイエンティストな実験が繰り広げられていた系の部屋だったらどうする。そこは魑魅魍魎蠢く呪われた...」
夏目:「やめろ」

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名取:「まあ五分五分かな」
夏目:「ええっ、資料が詰まった部屋なんですよね」
名取:「いや、でもほら、誰も詳しくは知らないわけだし...」

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名取の知り合いの祓い屋が来て夏目のことを新しい式かと聞く。

名取:「そうなんです。今、使えるかお試し中の夏...ナツメグです」

祓い屋は、手がかりになるような品も探してみたが、屋敷は広く物にあふれてはいるが、生活や思い入れの感じられるものがほとんどない。孤独な人であったようだと言うと断念すると帰って行った。

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先生:「ん? どうした、ナツメグ」
名取:「どうかしたかい、ナツメグ」
 柊:「何か気になることが? ナツメグ」

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夏目:「適当すぎやしませんかね。その名前」
名取:「ごめん、ごめん。で?」
夏目:「俺、日記や写真があればと思って、そういうのがある普段使いの部屋を探そうとしたんですが多すぎて見当つかなかったんです。でも、さっきの人の、思い入れの感じられるものがないってのを聞いて思い出して」

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夏目:「紅子さんが言ってたんです。自分のために祖父が楓の木を植えてくれたって」

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夏目:「なんとなく、なんですが、俺だったらその楓が見える部屋にいたいなあ、と思ったんです」

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こうしてダメ元で楓の木が見える部屋に手がかりを探してみることになった。

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窓から楓の木が見える荒らされた部屋で、夏目が楓柄の小箱を見つけた。

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夏目:「すみません、開けますね」

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夏目:「名取さん、この写真に知ってる人とか写っていますか」
名取:「残念ながら。でも、このぎこちない笑い方をしている人が、この屋敷の主かもしれないね」
夏目:「そんな感じですね」

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夏目:「あ、壁紙の柄かと思ったけど、龍が二匹いますね」
名取:「え? すごいな、私にはモヤのように見えるが」
夏目:「たぶん、これが式なのかもしれませんね」

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夏目:「この男の人を守るように写っているんです。薄い水色と、金色ぽいのの二匹です」
名取:「龍か。それがわかっただけでも探しようがある。絵や置物に姿を隠す妖怪もいるからね。龍の形をしたものを探してみよう。そいつが式かもしれない」

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名取:「夏目。さっきは五分五分って言ったけど、箱崎さんは駆け込み寺のような面も持った人物だったらしいから、たぶん優しい人だったと思うよ」

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夏目:『そうだったらいいなという気持ちと、もしそんな人物がこの広い屋敷にひとり、楓の木をながめて暮らしていたのだろうかと思うと...』

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名取:「柊。夏目はこれが終わったら話してくれると言ったけど、私が聞いてしまっていいのかな」
 柊:「コソコソ調べまわるよりはずっといいと」
名取:「ハハ、まあそうだろうな」

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名取:「私がもっと強かったらよかったのに」

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夏目:「こら、先生。ちゃんと探してるのか」
先生:「うっさい。お前がナツメグナツメグ言うからハンバーグが食べたくなったぞ。早く済ませろ」
夏目:「俺は言ってないぞ」

北側の棟に七瀬がいるらしい。何か見つけたのかもしれんと話す払い屋たち。俺たちも行ってみるべきかと考えながら歩いていると何かの気配が変わったような気がした。

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扉? 龍のレリーフ。と、目が光り驚く夏目。

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龍:「見つかってしまったか。卑怯者め。貴様、主様の匂いのするものを持っているな。うっかりひかれてしまった」

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夏目:「ああ、この写真のことかな。勝手に持ち出してすまない。せっかく見つけたから、お孫さんに渡そうと思って」
 龍:「ああ、主様...」
夏目:「あなたは、箱崎さんの式ですか?」
 龍:「いかにも」
夏目:「箱崎さんが研究資料を保管しているという書斎を探しています。どこにあるか教えてもらえませんか」
 龍:「さんざん放っておいて、いまさらあの方の功績を求めるのか。渡しはせんぞ」

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名取:「悪いようにはしない。場所を教えてくれ」
 龍:「誰が教えてやるものか」
夏目:「さんざん放っておいてってことは、箱崎さんはこの屋敷で寂しい思いを?」


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 龍:「バカを言え。あの方は昼も夜もなく妖者を集めては我らと共にどんちゃん騒ぎ。大物妖を呼び出してはイカサマ勝負を仕掛け大量の酒をせしめたり」

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 龍:「新しき術で面白おかしな妖を呼び出し一緒に踊り騒ぐ」

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 龍:「時には屋敷内を桜で満開にし我々式に花びらの掃除をさせて高笑いをするなど、それはそれは楽しかったのだ」

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 龍:「楽しかったのだ。我々は...しかし、どんなに騒いでも、こんなに楽しいことはないと我らが思っても、主様は玄関側の戸口で物音がすると飛んでいった。身を低くし窓から門の方を覗いては、誰もおらずにため息をついて立ち上がる」

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 龍:「色づいた木の葉を眺めては『今年も来ないか』と笑って目を閉じる」

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 龍:「いまさら...通しはせん」
夏目:「書斎へは、この扉から? 近いうちにこの家は人手に渡ってしまいます。箱崎さんが大切にしていたものを大事にしてくれる人に預けたいんです。書斎へ、通してもらえませんか」
 龍:「すまぬ。今のは八つ当たりだ。久しぶりに人と話したのでな」

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 龍:「だが、ここには良いものもあれば悪いものもある。このまま閉じておきたいというのが主のお心だ」
夏目:「そうですか」

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名取:「的場や他の祓い屋はきっと諦めない。悪用を恐れるなら私たちに任せてほしい」
夏目:「名取さん...」
 龍:「この屋敷にこうして主の思い出と眠っていたいだけなのだ。それを何者かが奪って行こうとするなら、未練はない。すべて我らが持って行く」

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 龍:「しかし、一番に表入口のこの私を見つけた褒美に、もしもの時、何かが残ったら好きにするがいい」
夏目:「だそうですよ。帰りましょう」
名取:「しかし...」
夏目:「少なくとも故人の遺志を一番知っているのは彼なんだと思います。任せましょう」

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 龍:「懐かしく感じたのは気のせいではなかったか。小僧、その顔、昔見たことがある」

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夏目:「それはおそらく祖母です。レイコさんをご存じなんですか?」
 龍:「いいや、男だ。昔お前によく似た面差しの男に会ったことがある気がする」
夏目:「えっ、男の人? 昔...」

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大きな音がした。北側で何かやっていると柊。

夏目:「北側には確か七瀬さんが...」

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 龍:「我は表口。裏入口を守る金雲も見つかってしまったようだ。力まかせに開けられようとしている。取られるくらいなら持って行く」

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 龍:「さらば」

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名取:「夏目、北棟が燃えている」

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 七瀬:「しくじったね」
祓い人:「火事か。早く消さないと」
 七瀬:「いや、直に消える。炎の色が違うだろう。これは妖の火だ。建物は燃えていないのさ。燃えているのは...忌々しい妖怪どもめ。全部持って行きやがった」

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夏目:『さよなら。箱崎さんの龍たち』

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(夏目の顔に何か当たった)

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会宮:「お開きだな」
名取:「会宮さん。お疲れ様です。あ、七瀬さんを見ました?」
会宮:「ああ。ものすごい不機嫌顔で帰って行ったぜ」
名取:「そりゃ気の毒に」
会宮:「俺も帰るとするよ。どうする?」
名取:「せっかくだから最後まで見物して帰りますよ」

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夏目:「拾ってみたんですけど、けっこう使えるのありません?」

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「ん?」

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夏目:「いいんですよね。俺たちがもらって」
名取:「はっ、柊、瓜姫、笹後、拾え~」(小声)

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夏目:「けっこう溜まりましたね」

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名取:「ああ、いくつか使えそうだ」

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名取:「夏目のおかげだね」

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夏目:「一緒にやれたからですよ」

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夏目:「俺の祖母は夏目レイコといって妖力が強かったそうです。人付き合いが下手で妖に絡んでばかり。そのうち、勝負をして負かした妖の名前を紙に書かせ集めたそうです」

『俺はなんとか心を落ち着かせながら名取さんに話してみた。祖母のこと、友人帳のこと。それが故意か偶然か禁術にあたること。唯一名を返せるのが自分しかいないこと』

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名取:「そうか...友人帳。面白い名前だね」
名取:「大変なものを、ひとりで抱え込んでしまっていたんだね」
夏目:「いえ、そうでもないですよ」

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名取:「そんな危ない物...燃やしてしまえばいいのに」
夏目:「えっ、今なにか言いました?」
名取:「いや」
夏目:「ああ、こら先生。紙にじゃれるな」

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こうして箱崎邸探索は終了した。

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屋敷を包んだ不思議な炎は、建物に傷ひとつ付けず。

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おそらく誰も見ることのかなわなかった幻の書斎だけを燃やし尽くして。

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夏目:「よかった」
先生:「何がだ」
夏目:「友人帳のことで、もっと口論になるかと思った」
先生:「フン、どうだかな。やつの胡散臭い笑顔には騙されんことだ」
夏目:「どういう意味だよ」
先生:「フン」

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『しかし、気になることがまたひとつ増えた。俺に似た人物はすべてレイコさんだと思い込んでいたけど、父? いやたぶん祖父だろうか。祓い人の式である龍がなぜ祖父を知ってる?』

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先生:「夏目~腹がへった。ダッシュで帰れ~」
夏目:「なんだよ、自分で走れよ先生」
先生:「おまえのせいで、クタクタなのだ」
夏目:「なにもしてないじゃないか、先生は」
先生:「もういい。行くぞ夏目。エビフライまでまっしぐらだ~」
夏目:「そんなのわからないだろ。おい待てよ先生...」

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夏目:「ただいま~」

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『気がつけば、笑顔を交わす日々』

塔子:「お帰りなさい。名取さん、ジャム喜んでくれたかしら」
夏目:「はい。先生、足拭いて上がらないとダメじゃないか」

『レイコさん。友人帳の記憶の中では、いつもひとり。凛と立っているあなたも』

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 滋:「おや、にゃんごろう、腹ぺこだな」
夏目:「こら、先生」

『屈託のない笑顔を交わしたでしょうか』

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『大切なモノたちと』

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【感想】
いい最終回だった。箱崎さんの式の龍はいいやつだったね。名取さんは夏目には優しいけど、やっぱり祓い屋って感じ。友人帳を宝物のように思ったりするのは無理だな。妖を大切な仲間と思えたり理解したりするようにはならない気が。そのうちニャンコ先生と揉めそうなw
今期、夏目は結局一度も名を返さずにw でもきれいにまとまったけど、最後に出てきたね。夏目に顔が似ている男の人の謎。おじいさんなのかな。ニャンコ先生は知っているようだが。まあ謎が解明されるのはずっと先のことになりそうだね。

最終回、遅くなりましたが、のんびり拡大版にしました。懐かしい映像もよかったね。私は原作はコミックが出ていたら遅れて借りて読むくらいの感じなんだけど、21巻まで読んでいて22巻の発売は9月らしい。「陸」のエピソードは、「つきひぐい」と「ながれゆくは」は20巻に入っていたから、原作のストックは少ない感じ。7期は数年後になるかもだね。ので、夏目友人帳の記事はもしかしたらこれが最後かも。おつき合いいただき、ありがとうございました(=^・^=)

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