球恋記 -2ページ目

開幕

ついに新人戦は開幕した。桜台の一回戦の相手は私立の古豪。明花中学。

「先発は太田で行くぞ。大瀬は二番手で行くから体暖めとけ!」


「はい!?相手は一応、古豪ですよ?俺が先発しますよ。」


「まぁお前が投げなくても勝つよ!大差でな。」

川名は微笑みながら言った。


川名が言った通りに試合は動くのだった。

試合が始まると桜台の選手はバットケースから金属バットを取り出した。

「一志、練習で木製バットで芯を捕らえる練習して試合の時だけ金属バットするとね・・。」

曽我畑は一志に話しかけると快音と共に観客のどよめきが場内に響いた。
一番の中川がライトスタンドにボールを打ち込んだ。


「木製バットで練習するとね・・。打球が各段に飛ぶんだよね。一志、君が考えてる程ウチは弱くないよ。」


(確かに中学生軟式で92メーター飛ばすなんて)
一志は驚きを隠せなかった。


試合は桜台の強力打線とコントーロール主体の太田の投球で五回をしっかり抑えて17対0の大差でコールド勝ちを決めた。

「ホホホ・・。桜台は勝ちましたか・・。統英も成難、興勢も勝ちましたか・・。我々も行きますか・・。帝海初戦勝利に向けて。」


つづく

包囲

いよいよ新人戦前日となった。


「我々、統英は大瀬一志を決して許さん!!一軍レギュラー陣も軟式チームに加わる!!いいな!?」


「はいっ!!」


「速水!国松!片平!我孫子!嘉瀬!能登!清家!具志堅!お前等一軍は今日をもって統英軟式チームに配属する!!だが学長の権限でお前等には統英学園高校スポーツ特待生クラスに進学を認める!!
学問など気にせず大瀬を潰す!!いいな!?」


「はい!」

統英学園は一軍は硬式野球部。二軍は軟式野球部になっている。一軍は試合は無く高校野球で活躍するためただひたすら練習という中学野球離れしていた。




「いいかね・・。今年も桜区は私たちが代表を取るのだよ・・。いいかな?
帝海大学付属中学校野球部諸君・・。」


「おっす!!」


「春の様な試合をしていたら大瀬君が加わった桜台に負けてしまいますよ・・ホッホッ・・。
まぁ、あなた達では心もとないので新しい仲間を紹介しましょう。」

帝海大学付属中学野球部監督の根岸が三人の生徒を手招いた。

「ホッホッホッ・・。桜台も統英も彼等が居れば恐くないでしょう・・。」




「よし!お前等、良く聞け。明日はいよいよ新人戦だ!!お前等なら優勝も夢じゃないよ・・。なぁ・・お・ま・え・ら・・。」


「・・・・そうだ・・。俺たちは強いんだぁ・・。」

「これでいいのか・・?谷川?みんな夢遊病みたいだぞ・・。」


「はい♪催眠術はオリンピック選手やメジャーリーガーも利用してますから・・。だから・・。せ・ん・せ・い・も」      

「・・・・谷川・・。お前の好きな様にしなさい・・試合もお前が指揮を取れ・・。」


「はーい☆喜んで♪♪」
(洗脳完了(^.^)b)




「よし!お前等!いよいよ明日は鬼退治だ!!立ち向かうヤツ皆、蹴散らすぞ!!じゃあ、背番号を配るぞ。背番号1!大瀬一志!!」


「はい!!」


つづく


この物語はフィクションであり、人物・団体・出来事とは一切関係ありません。

失望

「ただいまより第〇〇回桜台中学生徒総会を行います。では各クラスに配布された資料を御覧ください。」

今日は桜台中学の生徒総会である。生徒総会とは会社の決算報告みたいなものである。


「ふぁーわ・・。短縮授業かと思ったらこれのための短縮授業かぁ・・。」
一志はあくびをした。
そして資料をめくると各クラブの活動費が表記されていた。

「何ぃっ!野球部は年間活動費が8万円!?」

普通、中学野球部は年間20万程。8万円は少し少ない。


「えー。軟式野球部年間活動費8万円。使用状況、携帯ゲーム機3台。ゲームソフト3本。大会参加費。以上です。」

司会は戸惑いながら読み上げた。


放課後、一志は川名の元へ向かった。


「先生!!全然部費を有効に使ってないじゃないですか!?」


「たわけ!何をぬかす。今日その新しく購入した器具で特訓だ!!」


そして練習が始まった。部員は会議室に集まり川名を待った。
すると間もなくして川名が現われた。


「よし、お前等これで仲良く練習しろ~。じゃあ、後よろ~」

そういうと川名は携帯ゲームとソフトを机にポンと置いた。


一志は川名を追った。


「ゲームして統英と勝てんのかよ!?」

一志は川名の肩を掴んだ。

「うるさい・・。黙ってやっとけ。これから練習の次の日はゲームをする。これを交互にやってくから。」

「俺は投げ込みやるから。あんたにゃ失望したよ!」
一志はその場を去った。


「ばーか・・。最近の名門はビジョン、メンタルトレーニングをしないのかね・・。まぁ、あのバカには必要ねーかもな・・。」

川名はクスリと笑った。


つづく


この物語はフィクションであり、人物・団体・出来事とは一切関係ありません。