はじめての方、ようこそ。再来、応援してくださっている方にありがとうございます。ハクジュと申します。集団ストーカー被害記録と、趣味のファンタジーといろんなジャンル書いてます。ご興味のある方はこちら。

ファンタジー過去作品はこちら。お時間のない方は作詞シリーズが短くてお手頃かと思います。



 【作者近況】

アクセスなくてサビシイと書いたら一生懸命応援くださる読者様がいらしてうれしいです。ありがとうございます。今回でラスト。ご期待に添えるよう、ベストをつくします!


前回までのあらすじ。
 舞は若い人気キャスター。番組内でDV記事を扱うが、男性が加害者でも女性が加害者でも、出演者、視聴者に叩かれるのは必ず女性だった。男性はおろか、女性自身が女性加害者、被害者を否定する。
 舞は天使ラディと人間の中に巣くう魔物と戦い、キャスターとして女性を守ることを誓った。

舞台・・・視聴者参加型番組、情報クローズアップ撮影現場。

登場人物
※舞・・・人気キャスター。
※ラディ・・・天使。
※春菜・・・番組参加中の視聴者。男性加害者のDVについて、女性被害者が逃げればいいと発言。


【報道とエンジェル2ー5】

 「被害者のみなみ」
 ラディが言うと、舞がいつかインタビューした彼女が揺れる幽体になって目の前に現れた。
 「加害者の静」
 また一人現れる。警察に捕まったはずの彼女も実体を結んでいなかった。二人とも情報クローズアップに出演していないため、本体から抜け出して来たのかもしれない。
 「傍観者の春菜」
 視聴者の席にいた彼女が舞の前に立った。
 「そして、キャスターの舞」
 ラディはそう言い、四人の女性の手を近付け、重ね合わせた。
 「あなた方、男性社会でバラバラにされて憎み合ってきた。結束しなきゃ一人も助からない。力を合わせて」
 春菜は心残りらしく、彼に訊ねた。
 「ラディ教えて。どうして被害者は逃げなかったの」
 「逃げられたら犯罪って言わないよ。あなたはどうして犯罪を犯罪でなかった事にしたいの?」
 「それは」
 春菜は動揺して口ごもった。ラディは言った。
 「人間は犯罪を被害者の自己責任にしたがる。自分が被害に遭った時、初めてみんなの問題だって訴える。そして必ず以前の自分に裁かれる」
 春菜は反省した顔でみなみを見た。
 「ごめんなさい」
 舞と静も。
 「ごめんなさい」
 みなみはやつれていたが、瞳はくじけていなかった。
 ラディは四人の背中に腕を回してぎゅっと抱いた。そして微笑する。
 「僕、もう帰るね」
 舞は言った。「ありがとうラディ」
 女性全員がありがとうと言ってラディの首に腕を回した。彼は背中から翼を広げ、金色に輝いたかと思うと、もうそこにはいなかった。

 舞は辺りを見回した。そばにいるのは春菜だけ。情報クローズアップに関わった人間は舞たち以外、全員脱け殻のようになってしまい、多分カメラも回ってないか、あさっての方で回りっぱなし。みなみと静は消えてしまい、やっぱり天使の用意したゲストだった事がわかった。舞は春菜と手をとり合って幸福な笑顔を交わした。

【エピローグ】

 「舞、それでね」
 舞は春菜とプライベートで仲良くなった。休憩時間に控え室でメールや電話をするのが楽しい。春菜は一般人だがブロガーで、女性向けおしゃれファッション記事を書くことで発言力を持っていた。春菜の麦わら帽子やタンクトップ、サンダルの斬新なコーディネートには目を見張るものがある。今日は電話。春菜は舞に言った。
 「どうして女性の分担を考えるの? って、いつもと違う記事を書いたらウケてしまって」
 「すごいね! じゃあ私、どうして被害者の分担を考えるの? って発言する!」
 舞が楽しく会話してる時だった。付き人の立川がやって来たのでとりあえず電話を切る。
 「どうしたんですか」
 年上の立川はぶきっちょだが誠実な男性だった。彼が言葉に詰まっている。
 「なんか英語圏の人が舞さんの取材に来て・・・何言ってんだか全然わかんない・・・」
 言葉遣いまで子供っぽくなって、相当困っているようだが?
 「立川さん、英語できるでしょう?」
 「本人が日本語、話したがって」
 「なお聞きやすいのでは?」
 そのとき、二人の間にカメラをしょった黒人女性が割って入って来た。舞より少しお姉さんのようだ。豊満な容姿をしており、エネルギッシュで破天荒な笑顔が魅力的。
 「立川サン! もうプッツンでーす!」
 「ローズさん、まだ入ってきたら駄目って」
 立川と黒人女性がもみ合う。
 「もうプッツンでーす!」
 来訪者は舞を見た。
 「ハイ、舞さんはじめまして。私はローズ、一円ポッキリでシャチホコバッテ来ました! あと肉、肉ですね! つまり日本風に言うとトレビアーン!」
 彼女の明るく体当たりの日本語が珍妙でおかしい。助詞、助動詞がしっかりしてる事から、何の勉強をしてきたのか謎が深まるばかりである。舞はその後、ローズを通じて映画監督とご縁ができた。
 
(終わり。読んでくださってありがとうございます! 次回は後書きです)



【アメクリップ】