はじめての方、ようこそ。再来、応援してくださっている方にありがとうございます。ハクジュと申します。集団ストーカー被害記録と、趣味のファンタジーといろんなジャンル書いてます。ご興味のある方はこちら。

ファンタジー過去作品はこちら。お時間のない方は作詞シリーズが短くてお手頃かと思います。


【作者近況】

退院したナリよ。多分間違いなく睡眠時無呼吸症候群ナリよ。インターネットで読んだら、この病気ほっとくと10年生きられないらしいナリ。10年早く気づかせてくれて、ありがとう神様。3L❤の体型をなんとかしなければ・・・。


前回までのあらすじ。
 舞は若い人気キャスター。番組内でDV記事を扱うが、男性が加害者でも女性が加害者でも、出演者、視聴者に叩かれるのは必ず女性だった。男性はおろか、女性自身が女性加害者、被害者を否定する。
 天使のラディが舞の応援にやって来たが、出演者達の中には地底界の魔物が巣くっており、舞とラディに牙をむいた。

舞台・・・視聴者参加型番組、情報クローズアップ撮影現場。



【報道とエンジェル2ー4】

 巨大肉食獣はラディに向かって吠えた。ラディが振るった鞭をがっきと牙でとらえる。ラディと肉食獣が鞭を引き合い、力比べが始まったーーように見えた。
 肉食獣が突然鞭をくわえたまま体をねじって跳ね上がった。その勢いでラディの鞭を奪い取ってしまう。肉食獣が立位でバネのように着地したのは舞の正面。肉食獣は彼女に向かって片方の前足を振りかざした。
 彼女が声をあげようとした時、肉食獣と彼女の間に何かがすばやく割って入って、攻撃をまともに食らった。
 「ラディ!」
 彼女は倒れた天使に駆け寄り、膝まずいて彼を揺すった。彼は頭を負傷していて意識がない。
 「ラディ、起きて」
 彼女は背後に冷たい気配がせりあがるのを感じた。
 「舞、怪物の報道をしな」
 複数の音声を処理したようなエレクトリックな声。彼女は肉食獣を振り返った。
 「舞、怪物の報道をしな」
 彼女は身体がガタガタと震えて息も止まりそうになった。救世主はいない。背中を向けて逃げたらやられる。彼女は意識を奮い立たせ立ち上がり、近くにあった照明をつかんだ。
 「私はキャスター舞だ」
 彼女はそれを地面に叩きつけて破壊した。
 「怪物の報道なんかしない」
 壊れた照明はバリバリと放電した。彼女は何とか安全な方向からそれを掲げあげた。そして意を決する。
 「女性を守るんだぁぁ!」
 彼女は照明ごと肉食獣の懐に突っ込んだ。肉食獣の全身にイカヅチが走る。彼女は自分も感電する前に照明を放し、しりもちをついた。
 肉食獣は立位で身体をうねらせ、断末魔をあげた。電流は獣にまとわりついた大蛇のよう。獣は彼女の目の前で、だんだん細長く身体を削られて行き、最後に電流と一緒に消し飛んだ。
 
 誰かが彼女の肩に手をおいた。彼女が振り返ると傍らにラディが立っていた。「ごめん。がんばったね」彼は彼女に微笑した。彼女は自分が自分の冷や汗で濡れ鼠のようになっていることに気がついた。
 彼女が見回すと、肉食獣と分離した番組出演者、視聴者、裏方側がともに周辺で棒立ちになっている。立ったまま目を回しているようだ。舞はラディに助けられ、立ち上がった。
(続く)

 【予告】

 次はラストです。その次に後書き予定です。ご覧くださった方に感謝。



【アメクリップ】