非常に狭い世界でのベスト5になりますが、本日も書いて参ります。



人からよく言われるベスト5、SEED編。



第1位「キラがとにかく嫌い」


友達の女を奪う最低なクズ、人の婚約者も奪う最低最悪のクズ、謝るどころか見下して暴行するクソヤロー、主人公というだけで許されてるが、視聴者は許さない、友達を平気で裏切るキラがとにかく嫌い、最低最悪なキラがとにかく嫌いすぎる…など、ダントツの1位です(苦笑)


まぁー罵詈雑言の嵐だこと。すごいですよ、本当に。


特に怒りや嫌悪の意見や感想が多かったのは、第17話のサイとのシーンです。アレに相当ムカついてしまい、嫌いになったのでしょう。気持ちはわからないでもありません。ですが、アレを見てキラに怒りを抱き、嫌悪感や憎悪のような感情が湧いてくるということは、サイに対して言ったキラの言葉が胸に突き刺さらなかったということになりますね。僕はそう受け取りました。


では、そのシーンについて書いていきます。




ー一時的に嫌な奴になるキラー


第17話。一方的に関係を終わりされたサイは納得できず、フレイにちゃんと理由を聞こうとします。フレイはサイから逃げるうちに、アークエンジェルから外に出てきたキラに助けを求めます。

サイの険しい表情、逃げるフレイ。キラはサイの表情を見て、「なに?」とどこか冷たくサイに尋ねます。するとサイは、フレイに話しがあるからキラには関係ないと返します。それを聞いたフレイは、サイにハッキリと言います。


フレイ「関係なくないわよ!私、夕べはキラの部屋にいたんだから!」


サイ「!!」

この前の晩、サイはフレイの部屋に話しかけていました。フレイが寝ていると思い込んで。しかし、返事はありませんでした。それもそのはず。フレイはキラの部屋にいたのですから。もぬけの殻の部屋に話しかけていたサイに、時を同じくしてフレイはキラを洗脳するために甘い果実を与えていました。そういう詳しいことはサイにはまだわかりませんが、フレイがキラと関係を持ったという事実はサイにショックを与えます。


サイは悲しげな顔になります。

フレイは気付きませんが、キラは気付きます。それは、サイを傷つけたという事実。

サイ「…キラ?どういうことだよ、フレイ?君…」


フレイ「どうだっていいでしょ!サイには関係ないわ!」


回された腕。その腕にギュッと力がこもります。その感触が、フレイが自分を選んだ、好きになってくれたという事実が、キラの罪悪感を押し潰します。それらは全てフレイの思惑であることに全く気付かないキラは有頂天になり、再び気が大きくなってサイに言い放ちます。


キラ「もうよせよ、サイ。どう見ても、君が嫌がるフレイを追っかけてるようにしか見えないよ」

傲慢なセリフです。確かにこれはキラの目に映っている状況なので、間違ってはいません。


サイ「なんだと!?」


キラ「夕べも戦闘で、疲れてるんだ。もうやめてくんない?」


口ではフレイを守るナイトのようですが、この場から一刻も早く立ち去りたい、耐えられないというのがキラの心情でしょう。さっさと立ち去ろうとしたところから、それが読み取れるなと。


サイ「くっ…!キラ!(怒)」

サイはキラを追いかけ、肩を掴もうとします。が、掴む前にキラに腕を掴まれ、一瞬にして捻り上げられてしまいます。

キラ「やめてよね。本気でケンカしたら、サイが僕に敵うはずないだろ?」

一時的に嫌な奴になりますが、このセリフからわかることを書いていきます。



ー二人のケンカー


サイがキラに向かっていったのは、振られたことによってプライドが傷つけられたから。それと、いつも自分のそばにいた人がキラへ行ってしまったことへの悔しさ。そう。サイは、悔しかったのです。


なのに、一瞬にして返り討ちにされます。女の前で一瞬にして返り討ちにされ、僕に敵うはずないだろ?と言われる。男にとって、こんなに屈辱的なことはありません。


見下ろすキラに、地べたに座り込むサイ。

二人の力関係、位置関係がハッキリと表れています。立場逆転です。


この二人のシーンはナチュラルとコーディネイターの縮図です。見下すコーディネイターに、劣等感を抱いて妬むナチュラル、と。



サイが向かってきたことで、キラは怒りました。このケンカはサイや、他のヘリオポリス組やクルーたちに対する怒りでもありました。


本気でケンカしたらサイが僕に敵うはずないだろ?……「キラはコーディネイターだから」と、一体どれだけ言われてきたでしょうか?キラとて人間です。あれだけ言われていたら、頭にくるものです。これはサイたちに対するキラの怒りです。いい加減にしろよと。そっちがそうやってくるなら俺も黙ってねぇからな、やるからなというのは、ケンカの常套句です。


よって、本気でケンカしたら…というのは、「キラはコーディネイターだから」とずっと言ってきたサイたちに対する怒りであり、返答です。「そう。だから、僕が本気になったら誰も勝てないんだからね」という。散々キラのことを軽んじてきましたからね。その相手に自分の方が上何だとするキラの暗部が表面化した場面とも言えます。


キラの見たこともない一面、キラと自分の違いと差を思い知り、驚愕して目を見開いて固まるサイ。


サイ「キラ…」

サイはここで強くキラとの違いと差を思い知らされてしまったので、これも悔しかったはずです。ケンカも勝てない、モビルスーツだって満足に操縦どころか歩かせることさえ出来ない。女もキラへ行ってしまう。自分はキラに何も、足下にも及ばない。その違いや差がサイに強い劣等感を抱かせ、憎むまでになってしまう。彼の中にあるコーディネイターに対する明確な差別感情の根っこには、こういう劣等感や妬みがあると言えそうです。


キラはここでコーディネイターとしての力を誇示していることから、これまで力を見せないようにしてきたことがわかります。それを見せたら自分は外されてしまう恐怖心があったからだと言えます。ヘリオポリス組の中で上手くやっていくためには、見せないようにすること。それがキラの処世術。しかし、見せたら外されてしまう恐怖心があるというのは、その時点でもう友達ではないのです。それは自分たちと同じでないと友達ではないということであり、異質は認めないということなのですから。




ーキラの本心ー


キラ「フレイは、優しかったんだ。ずっとついててくれて…抱きしめてくれて…僕を守るって。僕がどんな思いで戦ってきたか、誰も気にもしないくせに!

この言葉と涙は、サイの胸に突き刺さったでしょうか?

僕がどんな思いで戦ってきたか、誰も気にもしないくせに!


これは真実であり、キラの本心です。


キラは人間です。


体は頑丈かもしれません。が、心は頑丈ではありません。心までは作れません。何もかも万能ではないのです。ずっと一人で戦っていて、精神的にしんどくて、辛くて、そんな時にフレイはそばについててくれました。話しを聞いてくれました。精神的にキラが逃げ込める場所は、フレイだけだったのです。フレイの存在に救われていたのです。


これは誰にも責めることはできません。


本来であれば、これはマリューさんやムウさん、ナタルさんらがやらなければならなかった
ことです。そしてキラのことを「友達」だと言うのなら、ヘリオポリス組ももっと気にかけてあげなければなりませんでした。なのに誰も心配しないですし、それどころかキラが友達と敵対している苦悩などを理解しようともしません。考えてもいません。


全員がキラを戦場に出して戦わせておいて、あとは知らんぷり、何もしない、放ったらかしというのは、あまりに酷すぎます。


こう書くと、キラがサイたちに言えばよかっただろって反論が聞こえてきそうです。


キラに対して壁を作り、明確な差別感情があって無自覚な偏見を言うサイとカズイに、コーディネイターに対して畏怖の念を抱いているミリアリアに、コーディネイターのことを人と思っておらず、良からぬ感情を持っているトールに、何が言えるというのでしょうか?中でもサイは相当キラに対して言ってしまっています。


戦場という極限状態の中で戦っている中、同胞を殺し、かつての友と敵対しており、守るべき人を失う辛さを知り、そんな孤独なキラにとって唯一逃げ込める場所、癒しの場所がフレイです。フレイに縋るしかなかったのです。そんなキラの叫び。


これはキラだけが悪いのではありません。悪いのは全員です。


キラがクズ?最低最悪?確かにブラック化してますし、自分の方がみんなより上だと思っている部分が表面化して一時的に嫌な奴にはなります。しかし、僕はキラだけが責められ、全ての非や責任がキラにあるとして罵詈雑言を浴びせる人たちに疑問を抱いてしまいます。


いきなり戦場に出されて戦わされているキラのことを少しも気にかけない、戦いがイヤだと言っているのに、戦いから引き離すのではなく戦いに出してしまっている、かつての友達と敵対している状況に置かれていることを知っているのに、誰一人としてキラの苦悩している気持ちを理解しようとしないヘリオポリス組が全く責められないことが不思議で不思議で仕方ありません。


キラだけが悪者ですか?


ヘリオポリス組のこれまでのキラに対する態度や言動は、それはそれは酷いものがいっぱいありました。サイが一番酷かったですが、他の人たちも相当です。そんな人たちに対するキラの怒りは察してあまりある。彼らもケアや配慮を怠ったマリューさんたちも、全員に非があります。本来ならば、防げたことなのですから。


みんな、思慮が欠けすぎです。そしてそれに気付くのがヘリオポリス組ではなく、マリューさんというのも悲しいですね。


キラは友達だよと口では言いながら、心の中はコーディネイターに対する差別感情がある。そこに自覚がないからタチが悪い。そんな欺瞞に
満ちた偽りの平和は、これで崩れていきます。キラとサイに亀裂が入った以上、他のヘリオポリス組との崩壊も目前です。かりそめの友情は失われる。SEEDは容赦ないですね。(このあと再構築していきます)


それとも、カズイくん同様、そんなに戦いがイヤならあの時降りればよかっただろと言いますか?


そう言う人はヘリオポリス組と同じです。キラの気持ちやこれまで何のために戦っていたか何も考えていない酷い奴。


あの戦争の中に守る対象が残って、自分一人が降りられるわけがないでしょう。


キラもキラで居場所が欲しいとか、甘い決意で戻ってしまうから苦しい思いをしちゃうわけです。だから、キラもキラなのですよ。


あと、人の婚約者に手を出して奪ったとかさぁ、本当にウンザリです。キラがいつラクスにアプローチしたんだよ。そういう次元の話しではないのですよ、キラとラクスは。

わからないなら黙っていてください。今度言ってきたら、ナタルさん風に言って黙らせてやろうと決めています。



以上、人からよく言われるベスト5でした。



次回は、僕の思う「優秀なエースパイロット」について書いていきます。人からよく言われるベスト5の5位と似た内容になってしまうかもですが、違いを語ろうかなって。