カガリ「あ、当たり前だ!でなきゃ誰が結婚何かするか!」


カガリの好きなセリフベスト5には残念ながら入らないのですが、それでも好きなセリフの一つです。



何が好きって、この一言にカガリの感情の全てが込められているからです。本日は、このシーンやセリフに触れていきます。好きなのですよね、ここ。





ー結婚の意味ー


キラにカガリの決定は「バカなこと」と言われ、カガリは怒ります。


カガリ「何が…何がバカなことだというんだ!?私はオーブの代表だぞ!私だって色々悩んで、考えて…それでっ…」


カガリは悩んで考えて決めた。キラならばわかってくれると思っていたのに、わかってくれるどころか、悩んで考えて決めたことをあっさり「バカなこと」と言われてしまい、カガリは腹を立てます。


カガリの怒りに怯むことなく、キラは更に追及します。ユウナとの結婚や大西洋連邦との同盟締結が、本当にオーブのためになると本気で思っているのか?と。

カガリ=オーブ。ユウナ=大西洋連邦。


ユウナはカガリを隷属化しようとしていました。自分に都合よく動く言いなり人形に。それは、そのまま国の立場に当てはまる。


つまり、ユウナとの結婚はオーブが大西洋連邦の属国となることを意味する。


カガリ「あ、当たり前だ!でなきゃ誰が結婚何かするか!」


さぁ出ました、このセリフ。吐き捨てるように言っているのが良いですね。


このあとに続くセリフがあるとするならば、「あんな男と!」でしょう。それ以外に考えられません。


冗談じゃねぇよ!国のためでなければ、あんな男と結婚何かしねぇよ。


ユウナへの好意は微塵もない。それどころか嫌悪している。あのカガリに嫌われる、嫌悪されるとは相当です。気持ちが向くことは絶対にないのは明らかです。カガリの人間性を見れば、よくわかることです。正直、連れてこられたことでやっとユウナから離れることができたので、そういう意味では解放感は少なからずあっただろうなと個人的には思っています。


カガリ「もうしょうがないんだ!ユウナやウナト、首長たちの言う通り、オーブは国を再び焼くわけに何かいかない!そのためには、今はこれしか道はないじゃないか!」

~しかないじゃないか!


それはアスランの十八番。


アスランの十八番をカガリが言うとは思いもよらなんだ(笑)



それを聞いたキラは、(要約すると)オーブさえよければいいの?オーブが戦争する国となって他国を攻めて焼くのはいいの?と追及の手を緩めません。同盟締結がとユウナ(たち)によるすり替え、刷り込み、誘導、そしてカガリがもうしょうがないと諦めてしまったことがどういうことなのか、キラは事実を突きつけます。

カガリ「いや、それは…。でも…」

キラ「ウズミ様の言ったことは?」


ウズミ様「どうあっても世界を二分したいか!大西洋連邦は!敵か、味方かと!そしてオーブは、その理念と法を捨て、命じられるままに与えられた敵と戦う国となるのか!?連合と組めばプラントは敵。プラントと組めば連合は敵。例え連合に降り、今日の争いを避けられたとしても、明日はパナマの二の舞ぞ!陣営を定めれば、どのみち戦火は免れぬ!」、「このまま進めば、世界はやがて認めぬ者同士が際限なく争うばかりのものとなろう」



カガリの決定(結婚と同盟)はウズミ様が言った通りの道です。ナチュラルとコーディネイターの共存の道は絶たれ、世界を二分し、際限なく争うばかりのものとなる。争いを避け、憎しみの連鎖を断ち切るどころか大西洋連邦の属国となり、命じられるままに戦い、生み出す道です。戦争を放棄している国が戦争をする国となる。同盟締結やユウナとの結婚は、それだけ重大事だったのです。



なぜキラたちが誘拐犯となってでもカガリを拐ったのか…それはカガリが結婚してしまったら全てがおしまいになってしまうからです。それだけは阻止しなければならないから、踏み切ったのです。



この決定がどういうことか、カガリが身をもって思い知るのは23話です。





ー何も考えてないー



キラ「オーブさえよければ、それでいいの?」(要約)



キラの痛い指摘。



国を焼きたくない、シンのような子を出したくない、戦いは嫌だ、どんな理由があっても戦いはダメ、戦ってはいけない。



ウズミ様の決定は国を焼いた。だから、同盟を結ぶしかない。誰もカガリの味方、賛同者はいなかった。自分(たち)が間違っていたとあまりに言われ、責められ、否定され、もう自らの主張を貫くだけの自信や力はなかった。心が折れてしまった。諦めてしまった。その結果は…やっぱり23話。



カガリはDestinyの主人公ポジションと言っても過言ではありません。それは、テーマを背負っているからです。「戦ってはいけない」というのは、前作SEEDでやっていたこと。しかし、Destinyではそこを問うてくる。



戦ってはいけない。戦うな!何で戦うんだよ!それは結構。じゃああなたは、侵略や攻撃に対して何もしないのですか?言いなりになるのですか?一方的にやられるのですか?と。攻撃されても何もするなと言うのですか?と。意地悪ですよねぇ。(褒めてます)



カガリの場合、その考えが「いき過ぎている」のです。だから、抵抗も何もできないのですよ。



「優しさ」(気持ち)だけでは守れないのです。




カガリ「でもっ…」


第5話と同じで、ここでもカガリはその正当性を主張できません。本当に考えて決めたのならば、反論できるのです。自らの考えや、その正当性を述べればいいだけなのですから。なのに、キラの追及に何も言えない。「でも」、「だけど」、言い訳さえ浮かびません。嘘や言い訳さえ言えないのはカガリらしいですが、これは何も考えていないかった、何もわかっていなかった以外の何ものでもありません。



この程度の追及に何も言えないのかよって思いませんでした?何をどう考えて決めたの?と言いたくて仕方ないセリフナンバーワンです。(ツッコミたいセリフとも言う)



そして、それは同時に「努力放棄」であり、楽な道に行ってしまったということです。だって、「もうしょうがない」と言って諦めてしまったのですから。それも23話でしっかりと描かれています。(詳しくは以前書いているので、ここでは書きません)



間違っていることに対して「それは違うよ」、「間違っているよ」と言ってくれる人がいることの有り難さ。逆に言ってくれる人がいない、いなくなることの恐ろしさ。カガリやシンとアスランらを見ていると、それがよくわかるのではないでしょうか?


どうしたらいいかわからない時、どちらを選択すればいいのかわからない時、人は熟考することなく自分の楽な方を選んでしまう。それを選択した人物は、痛い目に遭っています。カガリ、シン、アスラン、グラディス艦長…などなど。それがまた容赦ないからすごいですね。





ー好きなセリフではあるけれどー


キラの「本気で思っているの?」に対し、「当たり前だ!」と返すカガリ。この一連のセリフは好きなセリフではあるのですが、ヤバさを表してもいるセリフでもあるので、そこを無視できません。そのため、複雑な気持ちになってしまいます。だから、ベスト5にランクインすることはないのです。


オーブのためになると本気で思っていた。


それはユウナたちを少しも疑っていないということであり、全て真に受けていたということです。


どういうことか?


「裏がある」と微塵も思っていない、気付けなかったということです。だって、本気で思っていたわけですから。これがカガリの最大の失態です。人の顔、言葉、行動、そして物事。これらには「裏がある」場合があるのです。カガリの未熟さ、経験が足りないことも含めて、まだまだ成長課程であるということですね。全ての結果は23話。キラの冷ややかな態度と指摘は呆れでもあったでしょう。キラがいなかったら…それを考えると、僕はゾッとしてしまうのです。


「目を覚ませ」


僕がもしこの場にいたら、そう言っていたでしょうね。っていうか、このシーンはこれに尽きます。実際、キラが解いてくれたので、キラには感謝しかないですね。