セルバランス
リチウムイオンバッテリーをDIYするに当たって、
”セルバランス”という概念が重要になってきます。
Lifepo4に限らず、セルを何個か組み合わせて
バッテリーを制作する場合、当然、セル毎の電圧差もあり、
容量差(個体差)も出てきます。
それぞれバラバラの状態で使うとどうか?
と言われるとあまり良くない感じがしますよね?
今回は、セルのバランスについて取り上げます。
今回もyoutubeにもアップしています。
こちらもよろしければご覧ください。
セルバランスとBMS
セルを組み合わせて使用する場合、BMSを取り付けると、
セルの過電圧保護や、過放電保護を行ってくれるので、
セルを過充電・過放電してダメにしてしまうことを防ぐことができます。
もちろん、BMSがなくても使えるのですが、その場合は
使う人がしっかりと電圧を監視して、過充電・過放電しないように
してやらないといけません。
BMSは具体的には、
①全体の電圧監視 セルの合計電圧が一定になったら受電・放電をやめる
②セルの個別電圧監視 セルそれぞれの電圧を監視
を行っています。
セルのバランスにおいてネックとなるのが②の働きです。
どれか一つのセルが3.65Vに達したら充電をやめてしまいます。
もちろんそれがBMSの役目なのですが、セルのバランスが
取れていないと、他のセルはまだまだ充電できるのに、
一つのセルが満タンになった時点で充電を止めてしまいます。
放電の場合も同様です。
セルアンバランスのデメリット1
セルのバランスが取れていないと、一番アンバランスなセルに
合わせて、他のセルも受電・放電を止めてしまうため、
本来の容量を使い切る前に充電・放電をやめるということが
起こってしまいます。
つまり、全体として、使用できる電力量が目減りしてしまいます。
これがセルアンバランスのデメリットの1つ目です。
↓は14.2Vで充電がストップしてしまった状態です。
(走行充電器に繋いでいるのに、0Aになっている=充電していない)
本来、14.6VがMAXのはずですが14.2Vで止まっているということは
あと0.4V分使えないということになります。
セルアンバランスのデメリット2
2つ目は、特定のセルの寿命が短くなることです。
バランスが取れていないと、いつも同じセルが満充電になり
充電を止めたり、空になって放電を止めたりします。
リチウムがいくら深放電に強いといっても、セルを痛めることに
変わりはありません。
そのため、いつも同じセルだけ過充電・過放電になるということは
そのセルだけ、劣化が早いということになってしまいます。
セルバランスの取り方
では、バランスが取れていないセルの(トップ)バランスを取るには
どうすればよいかですが、
①セル同士を並列に繋ぐ
②バランスを取りたい電圧を掛ける
という手順で取ることができます。
①だけでもいつかはバランスはとれるのですが、
流れる電流が少ないため、かなりの時間を要します。
もう少し詳細に書くと、
(前準備)各セル3.4V付近まで通常通り充電する
①セル同士を並列に繋ぎなおす
②.1 3.4Vで電圧をかける(0Aになるまで)
②.2 3.5Vで電圧をかける(0Aになるまで)
②.3 3.6Vで電圧をかける(0Aになるまで)
という手順です。
0Aになるまで待つと、それぞれ2時間程度かかるのでじっくりと待ちましょう・・
↓は3.5Vで電圧をほぼかけ終わったところです。
(バスバーがあちこち向いていますが、はネジ山調整のためつけています。
要はワッシャーの代わりですのであまり気にしないでくださいw)
↓セルバランスを取った後、再度充電したときの状態です。
今度は、14.4Vでも充電が止まることなく続いています。
ただ、普段はここまで充電して使うつもりはありません。
あまり電圧の高い所まで使うとセルにもよくないため・・・
セルバランスは必要なの?
と、ここまで書いておいてなんですが、
極端に電圧差がある場合を除いて、電圧の上限、下限で
使わないのであれば、そこまで気にする必要はないと思います。
セルからDIYする場合は、一応やっておいた方が良いと思います。
ただ、なかなか人の目で管理するのも難しいところがあるので、
うっかり充電しすぎたときや、放電しすぎたときのためにやっておくに
越したことはないと思います。
もしくは、細かい設定ができるスマートBMSの使用をお勧めします。