とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。

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👇一押し記事👇
【2010年代ベスト】
2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位
2010年代ベストアルバム(邦楽)20位→11位
2010年代ベストアルバム(邦楽)10位→1位

それでは、一緒に音楽の旅へ!

Creepy Nuts「合法的トビ方ノススメ」('18)

「Bling-Bang-Bang-Born」が大ヒット中の彼ら。本曲の吹奏楽器のアシッドな音色やエフェクトをかけた女声のSE的箇所は、まさに大麻使用の快感の情景そのもの!(法に触れるため、経験がないので想像ですが。)

村上春樹『1Q84』でも薬物(ハシッシ)を摂取する描写があるけれども、なぜあそこまでディテール豊かでリアルな描写ができるのか不思議だ。そして、どんな行為でも実際にやらないのであれば想像も創造も自由ということに思いを致す。自由だからこそ、小説も音楽も可能性が広がっていくし、文化は育つ。


富岡拓弥さん(tomioka_takuya)という方の2012年3月2日のツイートが興味深かったので、
長文だが以下に引用させていただく。
富岡さんは“東のエデン”というバンドでギターボーカルをされている方です。

゚・*:.。..。.:*・゚゚引用始め☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

「世の中の薬物の使用効果を人に説明する際、その薬物の使用効果をエフェクターに例えれば実際に使用経験が無い人にでも説明しやすいな。と思ったので以下説明開始。投薬してない素の状態をギターで言うならクリーントーンでEQはフラットの状態と仮定する。まずはアルコールから。続く。。。

【アルコール】ちょっと陽気になったり興奮状態になるあたりはオーバードライブ。酒乱で凶暴化する人にとってはディストーション。で、酩酊状態になって完全に意識がヤバくなるまでいくと、元の音の輪郭が見えなくなるファズ。ってところだろうか。だからアル中の人はロックギター音の中毒って事。

【精神安定剤及び向精神薬】これが一番一般の人がその効能を誤解してる薬。この類いの心療内科や精神科で処方される薬は様々な系統と効能で一つ一つを説明すると長くなるんだが、まず一般の人の多くが誤解しているのは、鬱状態の人を元気にしちゃうアッパー系の効果をもたらす薬では無いと言う事。続く

アッパー系だとしたら先に説明した、アルコールや後で説明する覚せい剤の方が言いあてはまる。この手の精神科系統で処方される薬はむしろ音を元気にする。と言うよりも、乱れた音の波形を均一に整えるリミッター/コンプレッサー系。この薬を飲んで元気なるというなら、それは元の音圧を底上げした感じ

【覚せい剤】これはアッパー系だけどアルコールと違って、波形そのものは乱れない。音を元気にさせる、輪郭をはっきりさせる点においては、先に説明したコンプレッサー・ダイナミクス系に近いけど、それよりもブースターもしくはエンハンサーに近い。だから波形は乱れないけど、かけすぎるとやっぱり音が歪んじゃってちょっとヤバい。ギターソロ弾くのにブースターを踏んで音圧を上げて「おっしゃ!ギターソロ行くぜ!」ってあたりは、まさに普通の精神状態を底上げして自信満々勇気リンリンにしちゃうあの感じに似てる。

【LSD・キノコ・エクスタシー等アシッド系】これが一番よくわからん。まぁコーラスとかフランジャーとかモジュレーション系をかけて音(意識)をウニョウニョさせて、幻覚幻聴をみちゃうあたりはさらにディレイをかけちゃいました。って感じかな?意外と一番ヤバかったのはサルビア。

サルビアは完全に元音がわけわかんなくなる。例えるならリングモジュレーター。あと余談だけどパーティーグッズコーナーに売ってる、吸うと声がかわるガス。あれはワウペダルw で。お腹痛いのを止めてくれる正露丸なんかは耳栓かなw

【ヘロイン】こればっかりは経験が無いので、代わりにその効果が似てると言われる【ジヒドロコデイン】あたりで説明するとリバーブ。意識がボワーンってなって気持ち良い感じ。原音に対して音の余韻を広げてくれる、自然に響かすあたりは似てる。でも意識はハッキリしてるけど、使いすぎるといわゆる、お風呂の中状態になっちゃって元の音がわかんなくなるから危険。多分モルヒネとか笑気ガス(ガス系統)なんてもこんな感じに意識がボワーンって広がって、最終的には元音の輪郭を完全に損ねる(=意識不明、麻酔をかけた状態)になるのではないかな?

【睡眠薬】これも誤解してる人が多いです。確実に言える事はこれを服用しても眠気なんてまったく来ません。眠気が来て眠くなって寝ちゃう。じゃなくて完全に脳を強制終了させられる。その結果意識ゼロ=睡眠状態(まさにスリープ状態)にさせる強者。これ服用して結果的に睡眠状態に陥ればそれで結果オーライなんだけどその分、起きるのメチャクチャしんどい。PC強制終了させて再起動に時間がかかる。そんな感じ。強制終了させてもう電源つかなくなっちゃいました。ってのが睡眠薬自殺。ちょっと話の論点がズレたけど、これをエフェクターに例えると、もうエフェクターじゃなくて完全にギターシンセ。シンセサイザーの如く、元の音ぶっ壊して別の楽器にしちゃう感じ。睡眠薬を飲んで失敗すると完全に自我を失って錯乱状態になります。そして自我を失ってる時の記憶が一切残らない。覚えてない。そのあたりが原音を完全にブチ壊すと言う意味でギターシンセに似てると言えると思う。

【大麻】これ説明し忘れてたけど、これもモジュレーション系だと思う。アシッド系統な感じ。ここから先は個人的な意見になるけど「大麻合法化運動」とか絶対ワタシは反対。理由はタバコより安全とか言うけど、それは肉体的にであって、精神を軽く(気持ち良い程度に)トリップさせるあたり、多量接種は危険。大麻の多量吸引で酩酊状態になって自動車事故起こした人間とか周りで実際いるし。アルコールは匂いでわかるし検査も1秒でわかるから使用中かどうか判別しやすいけど、大麻は匂いも(煙なんである事はあるが)無いし、尿検査しないとその場では解らないあたりが厄介。少なくともアルコールと同じく、加減をしらない子供には吸わせるのは危険だし、機械作業をやる人なんかはもっての他。オランダの場合は国民性レベルでモラルがあるからOKなんであって、いい歳した大人が飲酒運転も守れないようなモラルの低い我が国の大人にOKサインを出させるのは危険すぎる。

長くなりましたが、ホント皆さん薬物や大麻はダメです。肉体的にも精神的にも最終的には絶対ツケがきます。個人的経験で言えばワタシは一度、お金も信用も、友達も、お店では売ってない大切な物を全部失いました。法律はクソ!なんてセリフは一部のアナーキスト気取りのバカに言わせておけば良いのです。案外法律って言うのはちゃんと考えて作られてるもんなんですよ。たとえば道路交通法を皆が皆守って制限速度で走ってれば、交通事故なんて減る事ぐらい容易に想像できるでしょ?大人の言う事って案外確かな事言ってるんですよ。マジで法律はおかしい部分もあると思うけど基本的には厳守で。

何をもって正義か?なんてのは10人いたら10通りの正義があると思うけど、それでも原発爆発させて、その責任もとらず、原発の恩恵を一番受けて来た自分達の立場は守りながら、そのツケを若者に「特攻隊に行って来い!」とのごとく押し付ける様な、アホな大人に我々の世代は絶対になっちゃアカンのです。子供の世代、孫の世代を考えたら、ここらで若い我々が狂った大人を修正するのではなく、狂った大人にならないような道を辿れば良いのです。そんだけの事。なんか長々と長文で申し訳ない。あと1つ最後に。あの皆さん、病院で投薬された薬はちゃんと用法容量を守ってね。俺なんかほんと、「リタリン」がないとまともに生活するのツラいのに、どっかのバカが過剰摂取したおかげで「リタリン」に対する投薬規制が厳しくなって、必要とする人間に届かなくなり、本当に必要としてる人に行き渡らず、ツラい思いをしてる人が大勢いるのでお願いします。「リタリン」って何?ググれ、カス!もしくはwikiれ。以上。朝から長文スマソ。おしまい。」

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*゚引用終わり・*:.。..。.:*・゚゚・*

薬物の効果をギターのエフェクターの効果に例えることができるのは、
両者ともに感覚的なものだからだろう。

薬物の使用効果に着想を得て作られたロックミュージックも多い。

LSDやメスカリンといったサイケデリック・ドラッグは、
60年代後半のロックミュージックに大きく影響を及ぼした。

この時代は、ドラッグによる幻覚症状をモチーフにしたサイケデリックロックが流行し、
特にビートルズのアルバム
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の発表によって
サイケデリックロックは世界に広まることになる。
(ジョンは否定しているが、
「サージェント・ペパーズ」に収録されている楽曲「Lucy in the Sky with Diamonds」は、
タイトルの名詞の頭文字を取るとLSDとなり、LSDの使用効果から着想を得たとする説もある。)

他にも例を挙げればきりがない。
The Velvet Undergroundはドラッグの快楽と中毒の恐怖を歌ったヘロインという曲を作っているし、
90年代のカリスマ的バンドNirvanaはコカインのようなガールが欲しいと歌うコカイン・ガールという曲を作っている。

それぞれの薬物の使用効果によって作られる音楽も変わってくる。
アッパー系の薬物はアッパーな音楽になるし、ダウナー系の薬物はダウナーな音楽になる。
ライブ中にアルコールを飲んでオーバードライブな状態で演奏するアーティストも多い。

薬物で身を滅ぼしたミュージシャンも数知れず。
シドバレットは薬物中毒でバンドを脱退し、ジミヘンは中毒で死んでしまった。
薬物があったからこそ、ああいった偉大な音楽が作れたのか、
薬物を使わなかった方が、健康に長生きして更に偉大な音楽を作れたのか。
答えは神のみぞ知る。


●逆襲のリバティーンズ

4人組UKロックバンド"ザ・リバティーンズ "(The Libertines)の4枚目のアルバム『All Quiet On The Eastern Esplanade』をレビューします。

【収録曲】
1 Run Run Run
2 Mustang
3 I Have a Friend
4 Merry Old England
5 Man with the Melody
6 Oh SHT
7 Night of the Hunter
8 Baron's Claw
9 Shiver
10 Be Young
11 Songs They Never Play on the Radio

アルバムタイトルは、ベストセラーを映画化し、1930年に公開された(最近もリメイクされた)『西部戦線異状なし(ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT)』をもじったと思われる。「Esplanade」は遊歩道という意味であり、オフィシャルな邦題は『東部遊歩道異常なし』だ。参照元の『西部戦線異状なし』とあわせて考えると、人をくったようなタイトルにすでに彼らの個性がある。

まずは、リバティーンズの総論を。リバティーンズで僕が最推しするのが、彼らのデビューアルバム『リバティーンズ宣言 (Up The Bracket)』だ。


「Death on the Stairs」

とにもかくにも、この 『Up The Bracket』の「Death on the Stairs」を聴いてほしい。二人のギターボーカル、ピート・ドハーティとカール・バラーの親密と反発が一体となったような関係性と、競い合うような場の掌握力が本当にスリリング! ロシアの女性二人組のユニット「タトゥー」の二人のような親密ぶりがリバティーンズの音の魅力に表れていて、自分はゲイではないけどすごく萌える(燃える)。

疾走感に風を感じられる。4人のメンバーの中で一番テクニシャンだと思われるゲイリー・パウエルの鉄壁のドラムの上に乗る、酩酊者のような下手ウマヘロヘロギター。悪ぶった脈打つグルーヴに良いことも悪いことも忘れられる。この音楽は衝動をとらえている。

2000年代初頭に起こった「ガレージロック・リバイバル」の現象。この現象でリバティーンズと並び立って紹介されるストロークスやアークティックモンキーズ、フランツ・フェルディナンド。これら3バンドの音には精妙な洗練ぶりを感じるし、ストロークスのモダンな音はガレージロックという言葉の印象とは離れた上質さがあるように感じる。

だが、リバティーンズの音はエレガンスよりもバンド演奏をそのまま真空パックしたような空気感を重視したように聴こえる。だから、彼らの音源は一枚目のアルバムの『リバティーンズ宣言 (Up The Bracket)』が一番良い。無軌道な青春と乱暴な初期衝動が余すところなく真空パックされているのだ。二枚目と三枚目も悪くはないのだが、一枚目の衝撃からはほど遠い。

さて、本作をみていこう。

本作は収録曲#7「Night Of The Hunter」に顕著なようにイマドキのバンド(The 1975)のようなエレガンスも感じる。クラシック(たとえばラヴェル「ボレロ」やドヴォルザーク「新世界より」)のようなフレーバーさえ感じる。アルバム全体がパブロックからAORになったような感触なのだ。まあ、AORと呼ぶには少し荒っぽいサウンドだけど。

複数の曲にストリングス、ホーンセクション、コーラスが取り入れられ、直線的な熱よりも、多様性の豊かさが音に表れている。パンクバンドがポストパンクやニューウェーブに音楽性を変えていったように、これがリバティーンズの彼らの成熟なのだろう。ギターボーカルの二人の密室的な親密さがもっと音楽的に開かれて(拓かれて)いったのだと思う。

#6「Oh Shit」が本作において、一番間口が広いだろうか。ポピュラリティーと作家性が同居する必殺ロックンロールだ。そんな曲にこのタイトルをつけるひねくれ方がいいね。



#9「Shiver」はジョン・ハッサールによるベース演奏が魅力的な一曲だ。リバティーンズでベース演奏を意識することは少なかったのだけど、この曲のベースは温かなアタック音かつメロディアスで素晴らしい。そして、僕が本作で最も好きでオススメするのもこの曲である。



本アルバム全曲をとおして、ソングライティングや楽器フレーズの傾向が、ベタだけど安手にならない才覚の鋭さが素晴らしい。変化球の曲で予定調和を崩したり、オーセンティックなロックンロールを演奏したり。どちらにおいても、彼らの筆致が強く刻まれている。

今のところ、僕が一番に好きなのは前述した一枚目のアルバム(『リバティーンズ宣言 (Up The Bracket)』)なのだが、その一枚目をゆうに超える本作の完成度は今までの彼らのキャリアの中で随一だと思う。好感の具合と完成度の高さは違うものさしなんだよね。とにもかくにも、本作は佳作でした。

Score 8.8/10.0

🐼オマケ🐼
和製リバティーンズといったら、以下の2組❣️
リアルなリリカル🌸×衝動のロックンロール⚡️


andymori「everything is my guiter」


ダニーバグ「退屈ハイウェイ」


👆andymoriは解散しましたが、こちらはバリバリ現役若手です!



●俗っぽく不潔で、だけど高貴で優しい

元うみのて(とかげ日記読者にはおなじみ)、現在はゲスバンドとSuiseiNoboAzのギタリスト高野京介の6曲入りデビューアルバムのレビュー。

このアルバムは、音源が配信されておらず、CDの形態のみの発売だが、そのCDもSold Outとなっている。(なぜか岡山市の「ながいひる」という古書店で店舗販売用在庫が2枚だけあるようだが)。タイトル曲の「ロックマン」は配信とYouTubeで聴けるので、聴いてみて気になった方はCDの在庫復活かサブスク配信を待っていてほしい。


👆アルバム『ロックマン』試聴トレーラー

小沢健二の歌に以下の歌詞のポエトリーリーディングがあるが、高野さんもまさに詩人!(シェルターとはライブハウス「下北沢シェルター」のことだろう。ミュージシャンも詩人なのだ。)

下北沢珉亭 ご飯が炊かれ 麺が茹でられる永遠
シェルター 出番を待つ若い詩人たちが
リハーサル終えて出てくる

小沢健二「アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)」


うみのて笹口騒音さんの天衣無縫で、かつ洗練された手つきの歌詞ではなく、高野さんの書く歌詞はもっと凸凹した歌詞だ。だが、逆にそれが生々しいリアリティを帯びている。編集はしているだろうがフラット気味に聴こえる歌唱とあわせ、ごろっとした生野菜を食べている気分だ。生々しいからこそ高野さんのフィーリングが痛いほどに伝わってくる。

では、一曲ずつ見ていこう。

一曲目「motion」でフェイドインしてくる始めからX JAPAN並みに壮麗なサウンド。後半は女性のポエトリーリーディングがそこに乗るが、リリカルな聴き心地に安堵する。これから何が始まるのだろうと期待させる理想的な導入部の一曲目だ。(音源の一曲目で女声のポエトリーリーディングが披露されるのは、夜に駆ける【バンド名】の「白昼夢」を個人的に思い起こさせた。)

#2「バンドをやめる日」。このギターの気だるい響きと感傷は、きのこ帝国のアルバム『渦になる』を僕に想起させた。一曲目がおそらく高野さんと関わり深いライブハウス「新宿motion」がタイトルの由来であり、最後の曲「朝が嫌」も多くのバンドマンの生息地「阿佐ヶ谷」が元ネタだと思われるので、この曲「バンドをやめる日」も(というかこのアルバムのどの曲も)、高野さんの私小説的な要素がある。「いつまで無職でいるの」「どうして東京来たの」という歌詞がリアル。そして、歌詞がない箇所でギターに熱く語らせるのも私小説的だ。

#3「1997」。イントロから艶やかで凛とした鍵盤の音に耳を奪われる。ピアノが演出するこのロマンティシズムはゲーム音楽由来か。筆者の僕もそうだが、1997年は高野さんの青春時代(厨二病時代)だろう。「X GLAY LUNA SEA 黒夢 ラルク」という、バンド名の固有名詞が羅列される歌詞が高野さんの青春時代、またの名のヴィジュアル系全盛時代へリスナーを連れ込んでいく。

#4「I Love You」。かつて、この曲名で「僕は君を振る」という歌詞の曲が存在しただろうか? この屈託こそ、高野さんの神髄。

LUNKHEADの名曲「月と手のひら」の歌詞で「いつか君のその手は/違う誰かを幸せにする」というラインがあるが、相手の幸せを願って別れるという行為の尊さに泣けてくる。

リード曲の#5「ロックマン」。歌詞に登場する「ときメモ」、「ドラクエ」、「ファイナルファンタジー」、そして曲名の「ロックマン」。ゲーム好きの自己ゆえのロックソング(存在証明)を鳴らす。痛切なシャウトに胸を焦がす名曲。

音楽リスナー歴も浅くない身(耳)として、心に伝えようとする音楽はすぐに分かる。この音楽は心に伝えようとしている。たとえ、このコード進行がくるりのパクリでも。自分の伝えたいフィーリングは、自作他作問わず自分がお気に入りのコード進行の時に乗りやすい。



ラストの曲#6「朝が嫌」 。歌謡曲的な臭みがあるが、ノスタルジックな歌メロや間奏の女声コーラスはジブリの往年の名曲のような求心力があって心地よい。歌詞カードから飛び越えてくるような絶唱は僕の心の壁を何層も突き破ってきた。ギター演奏についても悪目立ちに技巧を見せつけようとせず、ストレートに気持ちを伝えようとする演奏がかっこいい。

本作でギタリストとしてサポートしている「壊れかけのテープレコーダーズ」の小森清貴さんにはMCや演奏のたたずまいからまっすぐな誠実さを感じる。高野京介さんも誠実だと思うが、小森さんとは違う誠実さだ。もっと俗っぽく不潔で、だけど高貴で優しい、そんなカオスな誠実さの魅力が高野さんの音楽と姿勢にはある。

うみのての「SAYONARA BABY BLUE」のMVにおいて、主人公の女性が入水自殺を遂げる描写(多分そう)があるが、それとは対照的に、フライヤーで同じく海辺に立つ高野さんはこれからも「生きる」ことを辞めないだろう。不潔な魂だって生きていてよいのだ。その生き方は最高にロックであり、その生き方を貫く高野さんは最高の「ロックマン」なのだ。

いつか出るだろう二作目が楽しみだ。



Score 9.4/10.0
↑現時点において2024年最高スコア。

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