スキー場のバイトは楽しいことがたくさんありました。
お昼はリフト小屋でお弁当のランチジャーで
ごはんを食べるのですが
社員の人が毎回差し入れで
ストーブの上でジンギスカンの焼肉を焼いてくれました。
その人は趣味で?猟師もやっていて
ときどき鉄砲でウサギを撃ってきたりもしていました。
ウサギは見ましたが、その肉を食べたかどうかは不明です。
ときどき出張?でリフトをのぼりつめた山のてっぺんにある
山荘に泊まりに行ったりするのですが、
そこは人里から隔絶された世界。
昼間はスキーヤーで賑わうのですが、
夜はスタッフ数人だけの小屋となります。
満月の夜に散歩したら、
針葉樹の森や雪山が蒼白く輝きます。
まるで絵本の世界にはいったように美しい光景でした。
バイトにやってきたときに
着替えの他、本を一冊も持たずにやってきました。
ところが宿舎には本が一冊もなかったのです。
当時、ほぼ活字中毒のような状態だったので、
文字を読めないのはかなりの苦痛でした。
ところが休みは1週間先。
スキー場の周りにはホテルや民宿や酒屋はありましたが、
本屋なんてものはなかったのです。
ましてや1980年のことでしたから、コンビニなんてありません。
何か読みたい、何か読みたい。と。
毎晩、毎夜、本屋に行く夢ばかり見ていました。
いつもどこかの街をさまよって本屋を見つけて
「やっと本が買えた!」と喜んだところで
目が覚めるのです。
やっと、休みがきて近くの町に行くことが出来ました。
ゲレンデを歩いて下って
バスにのり、山を下り、JRの駅まで行って
そこから汽車に乗って町へ。
小さな町でしたが、1週間も山の中にいると
大都会に思えました。
小さな本屋を見つけるともうそこはパラダイスのように思えました。
どんな本を買ったかよく覚えていませんが
ほくほくしながら本を抱えて山に戻った思い出があります。
バイトに来ている人は全国からいろいろな人が集まってきていました。
だいたいがスキー好きの人が多かったのですが。
夏は山小屋、冬はスキー場で過ごす人もいました。
ぼくはスキーは嫌いではなかったですが
スキー馬鹿の人は
夜になっても延々とスキーの話をしています。
フォームがどうのこうの。と。
そんなのを横目でみながら延々と酒を飲んでいました。
とにかく夜は酒ばかり飲んでいました。
今思うとあまりきれいではありませんでしたが、
窓にぶら下がるツララをポキっと折って
ロックにして飲んでいました。
3ヶ月もいるとそこそこ上手くなってくるもので
あまり転ばなくなってきました。
3月になって暖かくなると
雨合羽のような会社のスキーウエアを脱いで
ジーパンとTシャツで滑ったりしていました。
朝、誰も滑っていない新雪のゲレンデに
自分のシュプールを描くのもバイトの特権でした。
まだスノーボードなんてなくて
やっとフリースタイルスキーが
アメリカからやってきたところで
短めのスキーが流行りだしました。
それをまねてくるくると回転したり
小さいジャンプ台でジャンプして遊んだりしていました。
しかし、雪山の中に3ヶ月もいると
なんだか閉じ込められている気分になって
すっかりイヤになってきました。
はやくここから出たくなってきて
山を降りました。
その後、もうスキーをすることは1-2度だけありましたが
遠ざかって早30年たちました。
もう復活することはないでしょうが、
スキー場のことを書いていたら
次から次へといろんな事を思い出しました。
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