ノーザンパールデースを釣ったクリークの下流で 2005 年の6月中旬に、引き続き探り釣りをしていた。そのポイントは沖の方が浅くて藻が密集しており、ちょっと釣りづらかった。そこで岸寄りに目を移すと、岸のごく近くに、一定の範囲を行ったり来たりしている小さな魚を見つけた。腰を屈めてさらによーく観察したところ、それはトゲウオだった。水族館のものを除き、日本でも見たことがなかったので感動した。

なんとか釣ってみたいと思ったが、持っていたハリは秋田キツネバリだった。号数は忘れたが、そのままではとても釣ることは無理なことは明白だった。そこで、ハリ先の角度を小さくし、そのハリ先にできるだけ小さく切ったガーデンワームの肉片をつけて釣ってみることにした。最初はホリデー白糸の全長のままやってみたが、すぐ近くを釣るには不便なので、穂先の数本だけにして仕掛けも短くした。コマウキはそのまま使った。

どれだけ時間が経っただろうか、そのトゲウオはエサに興味を示すものの、なかなか食い込まなかった。だがついに根気の勝負に相手は負けた。ハリ先がその小さな小さな口に吸い込まれた瞬間、アワセた。次の瞬間にはその魚は宙に舞っていた。思わずやったーと叫んでしまった。

うまっこのブログ
初めて釣ったブルックスティックルバック


帰ってから図鑑で確認したところ、これはブルックスティックルバックだった。トゲウオ目トゲウオ科 Culaea 属。ちなみに日本にいるイトヨとハリヨはイトヨ属でトミヨ類はトミヨ属なので、ブルックスティックルバックはこれらとは別の属である。スティックルバックとは棘のある背中という意味だ。ストリームの小さな湿地状の源流、湖の浅い遊水池、池およびクリークや小さな川の水の澄んだプールやバックウォーターに棲む。生息地には通常水生植物が生えている。時には汽水域でも見つかる。カナダではニューブランズウィック州からアルバータ州にかけてとノースウエスタン準州に分布している。最大全長 8.9 センチだが、そんな大きなものは見たことがない。

その後、日本からタナゴバリの極小を取り寄せられるようになったので、釣ることは難しくなくなった。たいてい岸寄りにいるので短い竿で狙え、たなご釣りをしているような気分になる。カナダで釣りを始めたきっかけがたなご釣りの代用を探すことだったが、本種とノーザンレッドベリーデースファインスケールデースあたりがたなご釣りの趣を味わえる魚だろう。

うまっこのブログ
タナゴバリ極小で釣ったブルックスティックルバック。2005 年8月、オンタリオ州ワイアトンのヒューロン湖畔にて。



2012年5月にサスカチェワン州のフレンチマンリバーで釣れたブルックスティックルバック


うまっこのブログ
2012 年7月にオンタリオ州サンダーベイのミッションアイランドマーシュで釣った婚姻色をまとったオスのブルックスティックルバック。真っ黒だ。



ブルックスティックルバックのハビタット。オンタリオ州南部。