キングダム 27巻
原 泰久


境があるから内と外ができ敵ができる

国境があるから国々ができ戦い続ける

だからあいつは国を一つにまとめるんだ

そして俺はその金剛の剣だ


既巻紹介 1-9巻80点 10-20巻85点 21巻80点 22巻80点 23巻80点 24巻80点 25巻85点 26巻80点

アニメ版も大好評放映中で、その人気も面白さも更に白熱中。


今回はキングダム公式ガイドブック と同時発売。

原先生のインタビューやキャラ達の戦力パラメータなどが載っており、ファン必携です。


秦の始皇帝即位前の中国の戦乱を描くこの「キングダム」。


その歴史の中でも中華を分かつ一大決戦と言える「函谷関の戦い」が今巻も引き続き描かれます。



主人公・信が挑むのは、楚軍の将軍・万極。


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投降した楚軍兵40万人を集め、秦六将の白起が尽く生き埋めにした長平での大虐殺。

それに対して名状し難い怨念を抱く、長平の遺族・遺児のみで構成される万極軍。


「出口なき闇で永劫に殺し合うことが世界の真理」と嘯き万象を呪う万極。

しかし、それに対し信は一定の理解を示しつつも、そんな世界を変えるのが政であり、自分はその為の金剛の剣だと断ずる。


解のない信念のぶつかり合いに主人公らしさで以って正面からぶつかって行ったこのシーン・上述のセリフは、「キングダム」史上でも名シーンに数え上げられると思います。



また、ここに来て新キャラも登場。

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楚軍第二軍将軍を務める女傑・媧燐。

彼女もまた一筋縄ではいかない人物。

汗明と並ぶ程の身長の大女で、身長に言及したものは即斬首という仗助を思わせる性格。


しかし、その横暴さとは裏腹に李牧すらも一目置かせる戦の才覚。


なかなか女武将は出て来ないので、その珍しさも相俟って良いキャラですね。



様々な人物の思惑・策謀を全て呑み込み、函谷関攻防戦もクライマックスを迎える!


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いや~、熱すぎて昂らざるを得ませんね。

純粋に、純然と、ただただ面白い。


成恢が元々は男も色を覚える美男子だったという衝撃的事実もありつつ。



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幕間でのヒョウ公の酒の、目を白黒させた王騎の描写に笑いました。


面白過ぎて、続きが読みた過ぎて、どうしようもないキングダム。

早く次話を、次巻を!



85点。






兎 野性の闘牌 14
伊藤 誠


絶望的な状況に足が震え

心は脅え

そして覚悟し

身を任せた


兎に――


既巻紹介 13巻80点


高校生代打ち集団ZOOを描いたスタイリッシュな絵柄の麻雀漫画。


半年に1冊ペースの「咲-Saki-」ですらハイペースに思える、1年2ヶ月ぶりの新刊。

でもですね、もし好きな麻雀漫画5つを挙げろと言われればまず間違いなくこの「兎」は入ります。

その位大好きな作品。

故に素直に嬉しい、楽しみにしていた14巻。



ZOO対DD軍の裏社会血闘編もいよいよ佳境に。


信じろ 俺の マゾヒズムを!

今の俺の嗅覚は

獣(けだもの)!!


という流れからの


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絶頂に達するシャモアの流れは神。

最近はシャモアに笑わせられる事が多いですね。



そして、遂に訪れたラストバトル。


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DDとヴィヴィアンという個々でも凶悪に過ぎる二人のタッグ。


ヴィヴィの用いる余りにも強力な「カウントダウン」と呼ばれる能力によって、圧倒的な劣勢を強いられる俊達。


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そのショックにより壊れてしまったのか意味不明な鳴きを繰り返す俊の命運は――


明かされるDD様の秘密と併せて、相変わらず面白くて見応えのある漫画です。


巻末のオマケ漫画では、某漫画家さんのサインを貰って喜んだというエピソードが紹介されていましたが、一体どなたのサインだったんでしょう。

私、気になります(笑)

面白い所で終わっており続きが楽しみですが、15巻はまた1年後でしょうか?

しかし、鷲巣麻雀も兎も終わってしまいそうな勢いでちょっと寂寥感もある今日この頃。



75点。



ユキヒョウ 白銀の闘牌
伊藤 誠 あしか望



上記の「兎」の、「シャモア」(1巻60点 )に続く二作目のスピンオフ作品。

13巻の表紙にもなっている、ユキヒョウこと山口愛が主人公。


物語は、山口愛が小学校六年生の時、初めて風間巌に接触する所から始まります。

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自身と弟妹達の為にお金を稼ぎたい愛は、麻雀が強くて強面ながら根は優しそうなにーちゃん=風間に話を持ち掛ける。


初めは一蹴されるが、ひょんな事から麻雀を打つとその類稀なる才気に風間も驚かされる。



というか、6時間麻雀を観戦してルールを覚えた、というエピソードは最早アカギ。

よくそれだけの情報量で、役はもとより「初牌」「純カラ」「バラ切り」なんて用語まで覚えたなぁ、と。


しかし、愛のプレイスタイルを考えると、基本的な役による早和了りが多い事のルーツのようにも思えて納得です。



そんなある日、山城組の代打ちでも三本指に入る男・九條が刺客として使わされる。


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一局ごとに、役が一つずつ使用禁止になっていく「堰堤」は、麻雀漫画としての面白味に溢れた興味深いルール。

ツモ和了りができない園長は確かに辛そう。


しかし、3本指に入るような代打ちであっても収入は微々たるものなんですね……。


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スイーツと若い美男子をこよなく愛する山城雷蔵は、この「ユキヒョウ」でも変態ぶり全開。



本編と絵柄が違い過ぎるので違和感もありますが、小6のユキヒョウ可愛い!という方や兎ファンの人は抑えておいても良いのではないかと思います。



65点。