元から一線を画した漫画でしたが、ここに来て更に一線を超えた感があります。
漫画がコマの芸術だと言うならば絵とテンポだけで 読み手の頭の中から真実の音を導き出せるはずだ。
これが成功すれば漫画は世界言語になるのではないかと僕は信じている。
という作者の前書きが表す通り、「孤高の人」は卓抜した画力・表現力で漫画表現としての極点に達しようとしています。
最終ページであるこの見開きページ以外では文字情報が排除され、実に7つ・14Pの見開きを含んだ圧倒的なパワーで迫ってくるサイレント漫画。
深く濃密な葛藤の描かれ方も、類を見ない表現に支えられて見応えがあり、息を飲みます。
シューベルト魔王に準え、そこに新しい解釈を加えた描写も秀逸。
男には自分の世界がある
たとえるなら空をかけるひとすじの流れ星
孤独な笑みを夕陽にさらして背中でないてる男の美学
そんなルパン三世の歌詞を思い出すような、愛と哀しみ、生と死の最果てにある孤高の美学を感じる傑作です。
85点。
仲間の死の辛さは軍師も兵士も変わんねェ
そのつらさを乗り越える一番いい方法を俺達は知ってる
みんなで共有して薄めてバカ騒ぎして吹っ飛ばすのさ
秦の始皇帝測位前の時代を描いた、今一番面白い中国歴史漫画。
この漫画が素敵2011上半期 で2位に推している、画力・ストーリー・演出、全てに於いてハイクオリティの作品です。
そして、三国志もそうですが、やはり何と言っても一人一人のキャラが濃くて魅力的。
特に羌瘣は個人的にも大好きなキャラですが、今回の中表紙の羌瘣は良いですね~。
敵の武将もオーラがあって、格好良いオヤジや老人満載で最高です。
既に伝説となった秦六将や趙三大天を超えるのは無理であるとする敵将・廉頗。
しかし、唯一それを成し遂げる方法があるという。
そこに向かって、邁進する決意を新たにする信と政の二人。
一つの区切りがついた感じですね。
そして表紙になっている時点でもうお察しですが、メインキャラとして河了貂が再登場!
これは嬉しかったです。
この辺の喜びは長期連載ならでは。
局地的な迫力溢れる戦闘も良いですが、やはり戦記ものの醍醐味は優秀な軍師同士の軍略の競い合いにあるので、その辺の楽しさが増しそうで期待。
ますます世相は乱れる予感を見せており、今後の展開と飛信隊からまだまだ目が離せません。
80点。
余談ですが、バジオウとタンワ様も大好きなんですが、向こう数年は出て来なさそうで。
せめてPSPのゲーム版で使えれば良かったのですが、タンワ様は使えないらしく残念。
生きている痛みなら悪くない
「死者を解剖し生者を救う新感覚・法医学ミステリー!!」という帯に惹かれて購入。
死体からビジョンが見える法医学者ユキ。
「屍は活ける師なり――」を合言葉に、常人では見つけ出せないような綻びから様々な事件の真相を暴き出して行きます。
手法としてはオリジナリティを感じますが、事件自体が割とオーソードックスなのが残念。
もっと本格的でカチカチのミステリを想像していましたが、割と人情モノとしての側面が強く感じます。
意外性のある、二転三転するような難事件も見てみたいです。
4つ目の事件も、踏み込んだテーマは難しい物で興味深かったのですが、より胸に突き刺さる主張をして欲しかったと思いました。
キャラ付けや絵は卒がなく、普通に実写化も視野に入るレベルなので興味があったら手に取ってみて下さい。
65点。
しかし、はちみつレバー味やあずき味のポテチは実在するんでしょうかw