損保ジャパン東郷青児美術館で「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」展を観た! | とんとん・にっき

損保ジャパン東郷青児美術館で「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」展を観た!



損保ジャパン東郷青児美術館で「〈遊ぶ〉シュルレアリスム―不思議な出会いが人生を変える―」展を観てきました。展覧会のタイトルにも〈遊ぶ〉が入っており、夏休み中なので子どもに向けて優しく、楽しい展覧会にしてありました。「シュルレアリスム」というと、作品そのものはあまりにも百鬼夜行のところがあり、しかしウィットやユーモアに富んだものも数多いのですが、その内容は意外にも難解であり、敬遠されがちなところがあります。


実は、酒井健の「シュルレアリスム 終わりなき革命」(中公新書:2011年1月25日発行)を発売と同時に購入し、読み始めたのですが、Ⅰ章Ⅱ章まで読み終わったところで挫折し、Ⅲ章Ⅳ章は未読のままでした。それではならじと、現在少しずつ読み進めていますが・・・。酒井健はバタイユの専門家らしく、シュルレアリスムとバタイユを絡められるとわけが分からなくなり、挫折したわけです。日付からいうと、国立新美術館で開催された「シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―」の副読本のようなものだったようです。酒井健の「シュルレアリスム 終わりなき革命」から、以下に引用しておきます。


シュルレアリスム(超現実主義)は、第1時世界大戦後のパリで生まれ、世界に広まった文化運動である。若い詩人、文筆家、画家が導いた。戦争、共産主義、ファシズム、無意識、エロス、死、狂気などアクチャルなテーマに取り組んで、近代文明の刷新をもくろむ。個人の壁、国境の壁を越えて多様な生の共存を目指したその革命精神は、情報と物に充足する利己的な現代人に、いまだ厳しい批判を突きつけて、生き続けている。


今回の「〈遊ぶ〉シュルレアリスム―不思議な出会いが人生を変える―」展、展示されている作品のほとんどが、日本各地の美術館の所蔵作品でした。以前からうすうすは気付いてはいたのですが、各地の美術館の所蔵作品展をみると、そこには必ず何点かはシュルレアリスムに分類される作品が所蔵されていたりします。例えば姫路市立美術館には、デルヴォーやマグリットなどベルギーを中心とするコレクションが充実しています。徳島県立近代美術館からは、今回、ブルトンの」雑誌類をはじめ、デュシャンやダリの作品が出されていました。マン・レイの写真は、福岡市美術館の所蔵作品が目に付きました。


今回、シュルレアリスム理解のために「ジュニア版ブックレット」を購入しました。これがなかなかの優れもので、もちろん子ども向けなので、シュルレアリスムについてたいへん分かり易く解説しています。その中から一部を下に載せておきます。


シュルレアリスムって何?

シュルレアリスムとは、第一次世界大戦後にフランスのパリで始まり、やがて世界中に広まった20世紀最大の芸術運動のことです。この運動に参加した詩人や画家などの芸術家のことをシュルレアリストといいます。


合理主義に反対したシュルレアリスム

理屈を重んじ、物事の道理に従って考え行動することを合理主義といいます。20世紀の初めに科学や技術が発達し、機械による生産で生活が豊かになった背景には、合理主義があります。しかし、この機械文明が生んだ新しい平気によって多くの人が亡くなった第一次世界大戦をきっかけに、行き過ぎた合理主義に疑問をいだく運動が起こりました。その運動の一つがシュルレアリスムです。


生き方の革命

シュルレアリストたちは理屈では割り切れない物、普段は意識していなくても心の奥深くにある物など、これまであまり重んじられなかった物に目を向け、新しい生き方を探りました。シュルレアリスムの運動は新しい芸術運動である前に、生き方の革命でした。


シュルレアリスムの〈遊び〉の世界

・シュルレアリストたちは、〈遊び〉という活動を通じて、自由な人生を送ろうとしたこと。
・トランプやビリヤード、チェスなどのゲームを楽しみ、ゲームをテーマにした作品を制作した。

・数人で出し合ったバラバラの言葉や図を集め、自然にできあがる一つの詩や恵の面白さを引き出した。


不思議は美しい!

「不思議は美しい、どのような不思議も美しい・・・」(ブルトン著「シュルレアリスム宣言・溶ける魚」より)

意識しないで描く!~オートマティスム~

・自動デッサン

・フロッタージュ(こすり絵)

・デカルコマニー(うつし絵)

不思議な出会い!~デペイズマン~

・コラージュ(はり絵)

・オブジェ(物)

不思議な人体を風景


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展覧会の構成は、以下の通りです。


第1室 友人たちとの集い

第2室 オブジェと言葉の遊び

第3室 コラージュと偶然の出会い

第4室 写真の超現実

第5室 人体とメタモルフォーズ

第6室 不思議な風景

第7質 驚異と自然のコレクション



第1室 友人たちとの集い



第2室 オブジェと言葉の遊び



第3室 コラージュと偶然の出会い


第4室 写真の超現実


第5室 人体とメタモルフォーズ



第6室 不思議な風景



第7質 驚異と自然のコレクション




〈遊ぶ〉シュルレアリスム―不思議な出会いが人生を変える―

シュルレアリスムとは、第一次世界大戦後のフランスに始まり、やがて国際的に広まっていった20世紀最大の芸術運動です。夢や無意識、非合理の世界に目を向けることで、現実の新しい見方や生き方を探り、伝統の枠から自由な芸術表現をめざしました。そのためにシュルレアリストたちは、偶然のもたらす驚異や、たがいに無関係なイメージの結びつきによる意外性などに「不思議の美」を見いだし、「遊び」にも似た手作業を通じて、斬新な作品をつくりつづけました。またオブジェ、コラージュ、フロッタージュなどの新しい身近な方法によっても、伝統や慣習にしばられない「遊び」の精神と、人生のあるべき姿を具体化しました。本展覧会では、そうしたシュルレアリスムの軽やかでユニークな「遊び」の諸相に焦点をあてます。国内外のコレクションから、多彩な作家の絵画、写真、彫刻、オブジェのほか、雑誌・書籍などの資料をふくむ約200点を一堂に展示し、不思議な出会いにみちたシュルレアリスムの魅力に迫ります。


「損保ジャパン東郷青児美術館」ホームページ

とんとん・にっき-syu2〈遊ぶ〉シュルレアリスム
―不思議な出会いが人生を変える―
ジュニア版ブックレット
執筆:江川均(損保ジャパン東郷青児美術館)

編集:小林昌子(損保ジャパン東郷青児美術館)

イラスト:中島啓子(損保ジャパン東郷青児美術館)
発行:損保ジャパン東郷青児美術館
制作:求龍堂
発行日:2013年7月9日



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