ギャラリー間で「ディヴィッド・アジャイ展」を観た! | とんとん・にっき

ギャラリー間で「ディヴィッド・アジャイ展」を観た!



ギャラリー間で開催されている「ディヴィッド・アジャイ展OUTPUT」を観てきました。僕は初めて知った建築家です。略歴は、以下の通りです。


デイヴィッド・アジャイは、1966年、タンザニアのダルエスサラーム生まれ、1979年、イギリス、ロンドンに渡り、サウスバンク大学と英国王立芸術大学(RCA)で建築学を学びます。RCA在学中、交換留学生として日本に8カ月滞在し、京都市立芸術大学で日本美術と建築を学びます。1993年RCA修士課程修了、同年RIBAブロンズ・メダルを受賞。2000年アジャイ・アソシエイツを設立。2007年大英帝国勲章(OBE)を授与されます。現在、ロンドン、ベルリン、ニューヨークにオフィスを持ち、RCA、AAスクール、ハーヴァード大学、ペンシルヴェニア大学などで教鞭を執るほか、アフリカ大陸の首都をつぶさに記録してゆく個人的なプロジェクトも続けています。


アフリカ出身の建築家、13歳でロンドンに移住し、現在弱冠44歳、ロンドン、ベルリン、ニューヨークと、世界をまたにかけて活動をしている、驚くべき建築家です。大英帝国勲章まで授与されたという。ギャラリー間の展覧会は、アジャイ初の日本展だそうです。初期から近年までの代表作9作品を模型、写真、図面で紹介されています。まだ日本からの仕事の受注はないようですが、それにしても世界の主要都市から仕事の受注があるのは、驚かされます。さ


出されていた建築作品は、(順不同)以下の通りです。
シルヴァーライト(ロンドン)
スクリラ[鞏膜](ロンドン)
デンバー現代美術館(デンバー)
LNハウス(デンバー)

アイディア・ストア・ホワイトチャペル(ロンドン)
アイディア・ストア・クリスプ通り(ロンドン)
シャダ・パヴィリオン(ロンドン)
ダーティ・ハウス(ロンドン)
モスクワ経営管理大学院SKOLKOVO(モスクワ)


僕が気に入った作品は、「スクリラ」、「デンバー現代美術館」と「オーナーの住宅」、そして「モスクワ経営管理大学」の3つです。ロンドンの街の広場に設置された「スリクラ(鞏膜)」、辞書で調べると「強膜、鞏膜(きようまく)」とは、「角膜を除いた部分の眼球の最外層を包む強靱な膜。主に弾力性の繊維をふくむ結合組織から成る。白膜。」とあります。会場には木製の模型が出されていましたが、素材の質感と光の差しこむ感じが素晴らしい「フォーリー」です。


「デンバー美術館」は芸術作品を自分では持たない、つまり企画によってスペースを貸し出す、私立の美術館です。細い道路を挟んでオーナーの住宅があります。まさに「都市住宅」です。日本でいえば、「朝倉家」と「代官山の集合住宅」群のような感じでしょうか。「モスクワ経営管理大学」、低層部は教室などがありますが、金沢21世紀美術館のようで、その上に研究室など小部屋が並んでいます。円形の形態の上に、四角い箱がアト・ランダムに載っています。この対比が面白い。そしてその特徴は四角い箱を覆う皮膜、カーテンウォールです。昔、長谷川逸子の富ヶ谷のオフィスビルのカーテンウォールを思い出します。


他の5作品は、特に見るべきところがないように思いました。「アイデイア・ストア」とは、日本の「100円均一」の店のようなものでしょうか?妹島和代が昔、日立でパチンコ屋を設計していたのを思い出します。外装でいろいろと実験していたようですが。展示の方法は建築の展覧会では旧来からあるオーソドックスな展示方法です。3階から一旦外部へ出て、4階へと至る「中庭」には何も展示がなされていません。この「中庭」をどう使って4階へ繋げるかが、見せ場というか、考えどころなのですが、ギャラリー間としてはなにも使わないのは近年ほとんど例がありません。なぜいま、デイヴィッド・アジャイなのか?その辺がうまく伝わってこない展覧会でした。






デイヴィッド・アジャイ氏は、今世界でもっとも注目を集める若手建築家のひとりです。タンザニア生まれのアジャイ氏の作品には、祖国アフリカの多様な文化風土や美術をはじめ、現代アートや音楽、留学先の日本で学んだ茶室建築にいたるまで、実に多方面からの影響が反映されています。アジャイ氏の建築の特徴は、素材と色彩の大胆な組み合わせと光の操作によって、シークエンスごとに移り変わる多様な空間体験を生み出している点にあります。それは、日々変化する生きた都市の状況を建築体験として表現することであり、氏がこれまで経験してきたきたさまざまな光――アフリカ大陸の強烈な直射光、イギリスの淡い日射し、日本建築から学んだ陰影の美など――から導かれた、彼自身の体験にも基づくものと言えるでしょう。本展覧会「OUTPUT」では、「光と都市」をテーマに、アジャイ氏の建築活動を紹介します。アジャイ・アソシエイツ開設10年目に開かれる本展は、日本でアジャイ氏を紹介する初の展覧会となります。初期の代表作から最新プロジェクトまで氏の主要な作品を網羅し、建築模型、図面、実作の写真が一堂に集められます。デイヴィッド・アジャイ氏の現在の到達点を紹介(OUTPUT)するとともに、今後の方向性も示唆してくれるものとなるでしょう。


「ギャラリー間」ホームページ


「デイヴィッド・アジャイ展」Photo Gallery


「Adjaye Associates」ホームページ


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