ギャラリー間で「竹原義二展―素の建築」を観た! | とんとん・にっき

ギャラリー間で「竹原義二展―素の建築」を観た!

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ギャラリー間で「竹原義二展―素の建築」を観てきました。竹原義二は1948(昭和23)年徳島県生まれ、大阪工業大学短期大学建築学科を卒業後、大阪市立大学富樫研究室を経て、美建設計事務所勤務。1978年無有建築工房設立、以後関西方面で日本の建築に伝統的に受け継がれてきた空間を再解釈して現代の建築空間に展開している建築家です。正直言って東京の人間には馴染みの少ない建築家です。1996年には「鴻ノ巣の家」で第9回村野藤吾賞を受賞しています。30年にわたる設計活動のなかで手がけた住宅作品を中心に150を超えているそうです。


竹原は自身の設計思想を「無有(むう)」という言葉で表現し、「何も無いところから場の脈絡を紡ぎ出し、たくさんの人の手の痕跡によってカタチを有し、生き続ける」と説明しています。それにしても展示されていたセイムスケールの模型には圧倒されます。しかし、設計手法は昔からの一般的な木造の手法であり、芸大系の建築家と似ていなくもない。まったく異なるということでは対極にあるのは難波和彦の「箱の家」であろう。もう130を超えていることもあり、竹原義二の住宅と対比してみるのも面白いかと思います。





すべては無に始まり有に還る。
建築は何も無い場所から立ち上がる。場の脈略を読み解き、場の力として再現する。時代と共に希薄になる場の力・平面・空間・寸法・素材・構造・技術・家族・都市・そして人、これらを再考し、練り上げ、構築する。
思いを一本の線に託し、図面に刻み込み、職人たちの手元へと届ける。幾度も描き直され、いい塩梅に黒ずみ、消し跡までが彷彿とする図面には、私たちの迷いが正直に記される。職人たちは敏感にそれを感じ取り、そして手の込んだところから対話が始まる。逆に図面に描かれないところには、逃げが仕掛けられている。そこにはひとりひとりの職人の技が引き出され、そして無言のうちに手の痕跡だけを残し、空間の中へ潜んでいく。描かれるものと描かれないもの。両者の狭間に未知の領域があり、大きな手、小さな手、力強い手、優しい手、細やかな手、ごつごつとした手、たくさんの手がせめぎ合い、自然、空間、骨格、素材が渾然一体となって、無限の多様性が拡がる。その時代、そこにある素材、そこにある技術を継ぎ接ぎながら肉薄してつくられてきた古建築は、不揃いであることや粗さを許容し、剥き出しの姿の中に建築の生き様を今に見せる。均質にする技術、綺麗に磨く技術を追い求めるあまり見失われていく構造美や素材美を、現代の手仕事によって見出し、素の生き様を見せるとき、二次元の紙の上には完結することのない、場の力が再現される。竹原 義二


竹原義二氏は、日本の建築に伝統的に受け継がれてきた空間の成り立ちや作法を再解釈し、現代の建築空間に展開している数少ない建築家の一人です。木、石、土、コンクリート、スチールといったあらゆる素材を知悉し、それらを大胆な架構や緻密なディテールに活かしながら、内と外、室と室とが融合された巧みな空間を実現しています。30余年にわたる設計活動の中で手掛けた作品は、住宅を中心に150作に及びます。竹原氏は、自身の設計思想を「無有(むう)」という言葉に収斂させ、「何も無いところから場の脈絡を紡ぎ出し、たくさんの人の手の痕跡によってカタチを有し、生き続ける」という、建築のあり様を追求しています。そのために、今でも図面を手で描くことで思考を深化させ、素材を吟味し、職人たちと新しい構法に挑み、彼らの最高の技術を引き出しています。自身の建築の原点に還る作品として臨んだ自邸「101番目の家」では、コンクリートと木が絡み合う剥き出しの構造表現を実現し、最近作の「大川の家」では、80種類の不揃いの材木を巧みに使い分けることよって、木の持てる魅力を最大限に引き出しました。日本建築の中にある「素」のままの構造美、素材美を、現代の職人の手仕事で実現すること――展覧会では、このような竹原氏の建築に対する姿勢を「素(そ)の建築」と題して紹介します。会場には400本の無垢の柱梁による架構空間が出現し、竹原氏の建築を体感できます。手描きの原図を多数展示するほか、氏の建築を全て撮り続けている絹巻 豊氏の写真、これまでの作品を総覧する100分の1スケールの模型を展示する予定です。



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