「クリストとジャンヌ=クロード展」を観た! | とんとん・にっき

「クリストとジャンヌ=クロード展」を観た!

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六本木の東京ミッドタウン・ガーデンにある「21_21 DESIGN SIGHT」で開催されている「クリストとジャンヌ=クロード展」を観てきました。安藤忠雄の設計した「21_21 DESIGN SIGHT」は僕は毛嫌いしていて、今まで一度も行ったことがなく、今回始めて行ったというわけです。展示室を地下に押し込んだ、コンクリート打ち放しのANDOスタイル、けっこうよくできているので驚きました。大阪花博の時のオーミ陶板で展示したもの、名前は忘れましたが、それに続いて京都のオーミ陶板の展示場、これも名前は忘れましたが、何度か観に行きました。展示物を見せるための動線がうまくできていて感心しました。それらの印象が「21_21 DESIGN SIGHT」にはあるように思いました。

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それはそれとして、今回「21_21 DESIGN SIGHT」で開催されていたのは「クリストとジャンヌ=クロード展」です。クリストのプロジェクトにつては美術出版社の「現代美術の巨匠 クリスト」(1991年11月20日第1刷発行)を手にした頃から、ずっと追いかけています。特に「アンブレラ」については、プロジェクトの日本側の拠点、茨城県里美村や常陸太田市には3度足を運びました。その時にいただいた7.5cm角の黄色と青色の布が出てきました。それ以来、「ライヒスターク」や「ゲート」が実現されました。今度のプロジェクトは「アブダビのマスタバ」と「オーバー・ザ・リバー」です。これについては2007年12月に、このブログに以下のように書いています。


さて、クリスト夫妻の新しいプロジェクトふたつ。ひとつは「オーバー・ザ・リバー」。米コロラド州のアーカンソー川の、60キロのうちの10キロの川面に布を張る、という計画です。布は水面の幅で、両岸の土手から渡されたケーブルで張られます。州や軍など多方面の許可が09年に下りれば、12年にも夏の2週間、実現させるという。予算総額は55億円前後と見積もっています。


もうひとつは、アラブ首長国連邦の砂漠での実現をねらっている「マスタバ」。頂が平らなピラミッドのような構造物をドラム缶を重ねてつくります。高さ150メートルで底面は300メートル×225メートルになります。ピラミッドをしのぐほどの大きさで、構造体の周りにドラム缶約39万本を積み重ねていくという。それにしても驚きました。この「アブダビのマスタバ」プロジェクトは、1979年頃にはそのドローイングがあります。美術出版社板の「現代美術の巨匠・クリスト」(1991年11月20日第1刷)に載っています。


それにしても、ジャンヌ=クロードの急逝には驚きました。今までほとんどのプロジェクトはクリストとジャンヌ=クロードの二人三脚でやってきました。その二人の風貌には何度か接することがありました。たしかクリストがパリで下宿したときの、下宿屋の娘さんだったと聞いたことがあります。ご冥福をお祈りします。









クリストとジャンヌ=クロード展(チラシより)

パリ最古の橋ポン・ヌフを輝くベージュの布で包み、カリフォルニアの丘陵地帯と日本の田園風景に黄色と青の傘の花を咲かせ、ベルリンのライヒスターク(旧帝国議会議事堂)を銀色の布で包んでしまった現代作家のクリストとジャンヌ=クロード。ニューヨークのセントラル・パークでは、7503本ものゲートからサフラン色の薫風を吹かせました。彼らのプロジェクトは恒にゆるぎないコンセプトのもと、長い年月を費やしながら人々を説得し、実現へと進められていきます。本展では、こうした活動の奇跡を著すドローイング作品や完成したプロジェクトの写真、ドキュメンタリー映像などによって、壮大なプロジェクトを現実のものとしていくプロセス、さらにはその根底に宿る情熱、希望へと目を向けます。本展を通して、驚きと感動に満ちた二人の「LIFE=WORKS=PROJECTS」に触れられる機会をつくります。


クリストとジャンヌ=クロード(チラシより)

クリストは1935年6月13日ブルガリアのガバロフに生まれる。ジャンヌ=クロードは、同年同月同日に、フランス人両親のもとモロッコのカサブランカで生まれる。ソフィアの美術アカデミーで学んだ後、1958年にパリへ亡命したクリストは、その年の秋にジャンヌ=クロードと出会う。二人は共同で独自の創作を開始した。1961年、ドイツ・ケルン港での「埠頭のパッケージ」を皮切りに、さまざまなプロジェクト“野外空間での一時的な芸術作品”に取り組むようになる。1964年ニューヨークへ移り住む。以降、主として布を使い景観を変貌させる仕事を実現してきた。2009年11月18日のジャンヌ=クロードの急逝後も、クリストは現在進行中のふたつのプロジェクトの実現を目指し精力的に準備活動を続けている。


「21_21 DESIGN SIGHT」ホームページ


とんとん・にっき-chr4 クリストとジャンヌ=クロード
梱包されたライヒスタークと進行中のプロジェクト
展覧会

会期:1995年10月25日~11月12日

会場:アサクラギャラリー&ヒルサイドフォーラム

図録

発行:アート・フロント・ギャラリー



とんとん・にっき-chr3 クリスト展

会期:1993年4月24日~5月25日

会場:アート・フロント・ギャラリー

    ヒルサイドテラス

図録

発行:アート・フロント・ギャラリー


とんとん・にっき-chr2 クリスト展

ヴァレーカーテンの全貌と

アンブレラ・プロジェクトのためのドローイング

会期:1991年9月14日~11月24日

会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー

図録
発行:水戸芸術館現代美術ギャラリー







とんとん・にっき-chr1現代美術の巨匠

クリスト
発行日:1991年11月20日

著者:マリーナ・ヴェゼイ

発行:美術出版社










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ゲート、ニューヨーク、セントラル・パークのためのプロジェクト

「クリスト&ジャンヌ=クロード講演会」