Thursday then Friday(後編) | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

本題に入るが、2013年秋以降の私的なオススメ作品は、以下の5本だ。

 
トランス 10月11日(金)公開

期待度★★★★☆

ロンドン五輪の開会式の演出も務めたダニー・ボイル監督が、1996年に一世を風靡した映画『トレインスポッティング』の、脚本家ジョン・ホッジと再びタッグを組み、製作したサイコスリラー作品だ。キャストは、ジェームズ・マカヴォイ、ロザリオ・ドーソン、ヴァンサン・カッセル。音楽は、リック・スミス(アンダーワールド)が担当。クール・ブリタニア、再びか。

 

トレインスポッティング』の原作は、他でもないアーヴィン・ウェルシュだ。アシッドな世界を描く作家ウェルシュについては、過去のブログでも、何度か取り上げたように、特別なお気に入りではないにしろ、彼の書籍はすべて購入するなど、私的に気になる作家のひとりなのだ。ご存じでない方は、以下のブログをどうぞ。

 

2012年5月26日付ブログ“Three Tales of Chemical Romance”(テーマは「本・雑誌」)

2012年10月17日付ブログ“Life's a beach”(テーマは「本・雑誌」)

 

トランス』以外では、このタッグで再び、アーヴィン・ウェルシュの原作を基に、『トレインスポッティング続編の映画化(2016年予定)が決定しているため、そちらのほうも気になるのは俺だけではないはずだ。

 
ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート 10月26日(土)公開

期待度★★★★☆

私的なニューヨークのお気に入り超高級デパート<バーグドルフ・グッドマン>の魅力に迫るドキュメンタリー作品だ。この1901年創業の老舗デパートには、1990年以降、ジョルジオ・アルマーニのブティック目当てに、毎年足を運んでいるが、洗練されたセレクションが俺好みなのだ。

 

同ブティックで記憶に残っている買物は、3800ドルで購入した1枚仕立てのグレイのジャケットと、色違いで5本まとめて衝動買いしたネクタイ、そして5枚まとめ買いした1枚550ドルの上質素材の白のダブルカフスシャツだろうか。歩いて数分の、当時の宿泊先であるフォーシーズンズ・ホテルに商品を届けてもらい、俺は手ぶらで次の買物へ。付け加えると、同ブティックから徒歩数分のバーニーズ・ニューヨーク内のジョルジオ・アルマーニにおいて、スーツを購入した際は連日、そこの女性スタッフ(スージーだったかな?)が、メッセージ付きで、同ホテルまで商品を届けてくれた。

 

この作品が、どういう風に仕上がっているのか、私的に馴染み深いデパートゆえ、とても楽しみだ。

 
悪の法則 11月15日(金)公開

期待度★★★★★

リドリー・スコット監督のスリラー作品で、キャスティングがとても豪華なのだが、マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピット、ハビエル・バルデム、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルスなどなど。原題は<THE COUNSELOR(ザ・カウンセラー)>で、邦題は「悪の法則」なのだが、弁護士役のマイケル・ファスベンダーの通称が「カウンセラー」だ。

 

先日、ツイッター上では、同映画に衣装提供したジョルジオ・アルマーニのツイートをRTしたが、同作品では、マイケル・ファスベンダーとペネロペ・クルスが<エンポリオ・アルマーニ>の衣裳を身に纏っている。

 

マイケル・ファスベンダーに関しては、キャリー・マリガンと共演した映画『SHAME -シェイム-』について、昨年ブログで感想を綴ったが、最新作『悪の法則』も不思議と、俺好みの危ない香りが漂っていそうで、とても楽しみなのだ。

 
ゼロ・グラビティ  12月13日(金)公開

期待度★★★☆☆

8月末のツイッターやブログでは、ジョルジオ・アルマーニのタキシードを身に纏い、第70回ヴェネチア国際映画祭のレッドカーペット上に現れたジョージ・クルーニーにフォーカスしたが、同作品が同映画祭のオープニング作品に選ばれ、いよいよ日本でも劇場公開される。

 

キャストは、ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックの2人のみで、宇宙で作業中の彼らが、船体から『ゼロ・グラビティ(無重力)』の空間に放り出され、生還を試みる物語だ。デヴィッド・ボウイの息子<ダンカン・ジョーンズ>監督作『月に囚われた男』(2009年)や、スタンリー・キューブリック監督作『2001年宇宙の旅』(1968年)は傑作だったが、本作は『トゥモロー・ワールド』(2006年)のアルフォンソ・キュアロン監督ゆえ、過度の期待はしないが、不思議と気になるSF作品でもある。

 
ウルフ・オブ・ウォールストリート 12月20日(金)公開→延期:2014年1月31日(金)へ

期待度★★★★★

私的な2013年上半期一番の期待の作品が『華麗なるギャツビー』であったように、下半期一番の期待の作品が、マーティン・スコセッシ監督最新作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』だ。両作品ともに、主役を務めるのが他でもないレオナルド・ディカプリオその人だ。

 

同作品に関しては、ここ数年ブログで何度も取り上げているため、ようやく映画公開に至り、とても感慨深い。原作は、ジョーダン・ベルフォート著『ウォール街狂乱日記 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』だ。ご存じでない方は、以下のブログをどうぞ。

 

2012年11月4日付ブログ“Long Time Gone (テーマは「本・雑誌」)

2012年11月21日付ブログ“For love or money...Desire”(テーマは「映画」)

 

マンハッタンの五番街にそそり立つ、近代的な41階建のビルの23階。黒光りするマホガニーのデスクが並び、黒い電話線が迷路のように錯綜している。15メートル×20メートル以上もある広いフロアも、立ち並ぶデスク、電話、コンピュータのモニタ、それに70人もひしめく嫌らしいヤッピーどもで、息が詰まるようだった。午前9時20分。彼らはスーツの上着を脱ぎ、とりどりに『ウォール・ストリート・ジャーナル』に顔を埋めて、世界の帝王の身分を満喫していた。

 

世界の帝王。目指す甲斐があった。そんな男たちの脇を通り過ぎながら、安物の紺色のスーツにどた靴の自分も、できるものならあやかりたかった。だが、新たな上司は、それが身の程知らずな願いであることを、すぐさま思い知らせてくれた。「お前の仕事は……」安物のスーツの襟につけたプラスチックの名札に視線を走らせながら彼は言った。「……つなぎ屋だ。わかるか、ジョーダン・ベルフォート? 

 

私は私で、灰色のコンピュータのスクリーンを点滅しながら横切るオレンジ色の市況データに目を回していた。一枚ガラスの壁の外には、ミッド・マンハッタンの光景が広がっていた。遠くにエンパイア・ステートビルも見える。天国まで伸びる孤高のビルの頂は、大空を突き上げていた。若き世界の帝王にふさわしい眺めだった。そしてそんな座は、ますます遠のいていくようでもあった。

 

昼食は意外な成り行きになった。行く先は41階の五つ星レストラン、「トップ・オブ・シックシーズ」だった。エリートが会食し、世界の帝王たちがマティー二で神経をほぐしながら武勇伝を交換する場所だ。

 

いま私が綴ろうとしているのは、その狂気―ウォール街開闢以来、最も強気の博打打ちだった者たちの狂気―の物語だ。その過程で、私の頭の中にこだましていた声をそっくり再現したい。それは皮肉で、軽薄で、利己主義的で、たいてい卑しい声だった。その声が、私のたがのはずれた快楽主義を正当化した。その声が、周囲の人々を堕落させ、操り、アメリカの若者世代全体に混乱と狂気をもたらした。

 

・・・到着してみると、スイスの「エレガントで洗練」とは「陰鬱でむっつり」の別称であることがわかった。スイスの銀行家たちに借りを作ってしまった以上、彼らが選んでくれた宿が気に入ったふりぐらいはしなければならない。それに1泊4000ドルというのだから、そう悪い宿でもないのだろう。柳のように細いホテルの支配人は、有名人の宿泊客リストを見せてくれた。マイケル・ジャクソン? やはり、好きになれそうもない宿だ。

ジョーダン・ベルフォート著『ウォール街狂乱日記 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』より

 

今、時計の針は、10月3日(木)の24時を回り、木曜日から金曜日へ。

 

Have a nice weekend!

【追記】ウルフ・オブ・ウォールストリートの日本公開日が来年1月31日(金)に延期。