健一「ももみんな一緒なんだよ。一緒でいいんだよ。」
もも「おじいちゃん、みんな一緒って?」
健一「みな同じ時間の中の”もの”なのだから。」
わらし「同じ時は二度とない、だけどみな時の流れに生きている。」
邪鬼「人間として存在していた時間は異なるけど、確かにここにいた仲間。」
健一「人も動物も妖怪、妖精も”もの”、長い目で見れば同じ時間軸にいるのだよ。」
もも「何だか分かんない、でもずっと一緒だってことは分かったわ。」
いつのまにかあたりには”もの”たちが集まってきました。木の精、猫娘、白蛇、ろくろ首、でえだらぼっち、狐、狸、提灯おばけ、唐傘、鼠、外国から吸血鬼まで。
わらし「みな生きとし生けるもの、悪さなど本当はしないわ。心の隙間ができた時人は”もの”を妖怪とか化け物というのよ。」
邪鬼「提灯お化けも、唐傘も、人の愛したもの。でも人間様の都合で捨てられて拾ってくれる人を待っている。」
それからどれだけ時がたったのでしょうか、秋の収穫を祝うお祭りの日です。
町には沢山の収穫物であふれています。農作物が豊かでおいしいのです。それを売っているので都会に出稼ぎに行く必要もありません。都会に行っていた人も戻ってきて町で働けるようになりました。
「おかあさん今日はお祭りだね」
子どもたちが楽しそうに話しています。
「もも久しぶり!」
ももの高校時代の友人さっちゃんです、高校を卒業すると町から一時間ほどの短大に通い、地元で就職したのです。今は隣町の人と結婚して今日は里帰りです。
もも「子供大きくなったわね。」
さっちゃん「やんちゃざかりなのよ。私もももちゃんもこの町に残って良かったわね。」
そうあの日、部活の顧問の先生に推薦の話を断り地元の農業専門学校に通うことにしたのです。柔道はここでもできますから、それにここでしかできないこともあるので、ももはそう話しました。
さっちゃん「後で盆踊り会場で会いましょうね。」
さっちゃんはそういうと子供たちの手を引いていきました。
「おかあさん、私は早く踊りたい。」
「僕も。」
二人の子どもはももの着物の袖を引きました。
もも「はいはいみんなで踊りましょうね。」
本当はその後が楽しいのだけど。
盆踊りが終わるとももたちは裏山に行きました。
そこには沢山の”もの”たち、そして子ども姿の健一おじいちゃん、ももと二人の子ども。
健一「みんな一緒だね。」
もも「あの日私が出産する日、わらしと邪鬼が床下に入れたのよね。」
踊っているももの子ども、それは邪鬼とわらしの子どもの姿でした。二人はももの子どもとして生まれることができたのです。
座敷童の寝床① 座敷童の寝床② 座敷童の寝床③ 座敷童の寝床④ 座敷童の寝床⑤
座敷童の寝床⑥ 座敷童の寝床⑦ 座敷童の寝床⑧ 座敷童の寝床⑨ 座敷童の寝床⑩
座敷童の寝床⑪ 座敷童の寝床⑫ 座敷童の寝床⑬ 座敷童の寝床⑭ 座敷童の寝床⑮
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