もも「その時だけ人間って。」

わらし「私たちわらしも邪鬼も昔人間だったの。」

わらしは話し始めました。

 

=わらしの話し=

「座敷童も邪鬼も昔人間だったの。早く亡くなったのよ。座敷童は親に愛され丁寧に埋葬された子ね。わたしは優しいお父さんお母さんに育てられ、見守られて亡くなったの。お母さんは毎日お墓に来てまたいい子で生まれてお出でねって祈ってたわ。

 それでお祈りが通じてある日座敷童になったのね。

 邪鬼は不幸な亡くなり方をしたの、親にも会えず、戦とかでね。邪鬼は私より50年ほど早く亡くなったから少しお兄さんだわ。お父さんお母さんに会いたい気持ちが強くてそれで霊になったのだけど、この世に未練やら恨みつらみがあるので邪気の方が強くなったのよ。

 共通しているのは甘えたいって気持ちかな。邪鬼は地方じゃ天野邪鬼って言われるよ。素直になれないのね。でも時々良いこともするのよ。沼にはまった牛を引き出してあげたりとかお姫様を助けたりとかね。

 私も家族といたいのね、だから私を受け入れた家族を幸せにしてあげようとするの。」

 

もも「それでお爺ちゃんと、わらしも邪鬼もなにがあったの?」

 

「健一おじいちゃんは優しい男の子だったよ。虫とりも魚採りもしたけど不必要に捕まえないし殺さない。トンボも蝉も遊んだら逃がしてあげる。お魚も食べるものだけ採っては逃がしてたわ。お花も摘まずに咲かせておくの。

 わたしも健一さんと仲良くなりたくて、声をかけ続けたの。そしてやっと声が聞こえたのね。それから姿も見えるようになったの。

 おりこうさんだったし、自分にしか見えないってことも理解したわ。よく一緒に遊んでくれたの。私といるからだんだん色々な”もの”、そうね精霊と呼ばれてたり妖怪って呼ばれている。”もの”ね。

 

もも「妖怪!?」

 

「人間は自分たちに都合の悪いものは妖怪って呼んじゃうのよ。”もののけ”って悪い意味じゃないわ。邪鬼はある日罠に捕まったイノシシを逃がそうとして実体になった時逆に罠に捕まったのね。それを健一さんが助けたの。それから私たち3人は仲良くなり一緒に遊ぶようになったわ。」

 

もも「それであの写真は?」

 

「健一さん、中学は寄宿舎に入ることになったの。それでしばらく会えなくなるからみんなで写真撮りたいって言って、一日だけ人間の実体になったの。長くは持たないもの。健一さんの知りあいの写真館に行って、友達と友達の妹だっていうことにしてね。

 あの日人間から”もの”に戻る時泣いたわ、、、。本当の家族になりたかったし。」

邪鬼「お前健一のことが好きだったからな。」

もも「邪鬼いつの間に!}

わらし「邪鬼と私は祖先が同じらしいの。それで私たちが経験していることはすぐに通じるの。厄介な奴よ。いいこともあるけど。邪鬼も健一さんには悪さしなかったよね。健一さんの子どもになりたいとか言ってたし。」

邪鬼「うるせえ、余計なこと言うな。」

もも「子供に?」

わらし「お産の時座敷童が床下にいると、生まれてくる赤ちゃんとして再生することがあるの。」

もも「それで私のお母さんを家で出産させたのね。」

邪鬼「そう、でも間に合わなくてね。私が再生するとき邪鬼を呼び寄せることができたんだけど、もしできてたら二人ともももの家族になれたかもしないわ。でもももは健一さんと同じように私たちが見えるようになったのね。」

 

ももはその夜、三人の写真をずっと眺めていました。

『みんな家族になれたらいいなあ。』

 

座敷童の寝床① 座敷童の寝床② 座敷童の寝床③ 座敷童の寝床④ 座敷童の寝床⑤

座敷童の寝床⑥ 座敷童の寝床⑦ 座敷童の寝床⑧ 座敷童の寝床⑨ 座敷童の寝床⑩

座敷童の寝床⑪ 座敷童の寝床⑫ 座敷童の寝床⑬ 座敷童の寝床⑭ 座敷童の寝床⑮

座敷童の寝床⑯

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