スタッフ・ベンダ・ビリリ 日本で見れたアフリカ コンゴの心 |         きんぱこ(^^)v  

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  きんぱこ教室、事件簿、小説、評論そして備忘録
      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ


 私がしばしば書いているアフリカのコンゴ民主共和国

 アフリカ大陸の丁度ド真ん中に位置するこの国の東部地域は、今紛争の真っただ中。

 いくつもの反政府組織が乱立し、政府軍と争っている。
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 ・いつまで続く強姦、略奪、殺戮の悪夢 (コンゴ民主共和国) クラッカー

 ・「イノキ・ボンバイエ」とコンゴ「キンシャサの奇跡」

 ・大惨殺 千の丘ラジオのことは覚えていますか?

 ・ルワンダ惨殺とホテル・ルワンダ

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 今年の7月ですら、コンゴ東部で略奪・強姦事件が起こっている。


 そんな中、コンゴの首都キンシャサから力一杯生きているバンドが日本にやって来た。

(というか、10月1日現在も日本に滞在)


 スタッフ・ベンダ・ビリリ(STAFF BENDA BILILI)


 メンバーの内4人は小児麻痺(ポリオ)で下半身不随。そして3人は幼少の頃に紛争などで両親が亡くなった孤児だと言う。

 小児麻痺は一度かかると現代の医学では治らないらしい。それで幼少の頃に予防接種を受ける。もちろん日本でもそうだ。

 しかしコンゴでは、たった10円の接種料が払えずにポリオになる人が沢山いると聞く。

 そして、メンバーの多くは小さい時に両親を亡くした。

 または両親が居ても、事情で離婚したり・・・。


 そんなメンバーたちは、首都キンシャサにある動物園に住み込んでいる。そして園内で集まって演奏。もう擦り切れてぶッ潰れそうなベースやギター。机を中心に作った自家製のドラム、空き缶と木の枝とワイヤー一本で造った自家製の一弦ギター。


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(あり合せの廃品を集めて車いすを改良した自転車に乗る)


 そんなバンドが日本に来たというので、私はコンサートに行ってみた。

 私自身、コンゴの記事も書いているし、コンゴの事が少しでも解ればと思って足を運んだ


 大阪の堂島、朝日放送の裏にある堂島リバーフォーラムに着くまでは、こう思っていた。

 アフリカ民族調の曲で、コンゴの惨状などを歌っているのかな・・・

 イメージとしては暗い感覚を抱いていた。

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 そんな印象は、コンサートが始まって直ぐに吹き飛んだ。

 メンバーが小児麻痺や孤児だなんてことも、直ぐに忘れてしまった。


 それくらい力強く、明るく、リズミックな曲が演奏され、皆車いすごと体を一杯に動かして踊りながら歌い始めた。

 ものすごくうまい!

 レゲエのような・・・ルンバのような・・・それに加えてアフリカ独特のリズムも加わって、私は直ぐに好きになり、曲の中に吸い込まれて行った。


 舞台の後ろに、何を歌っているのかが日本語で映し出される。

 時々、キンシャサに居る時のビリリのメンバー達の姿も映し出される。

 けど、曲の中に溶け込んだ私は、それを視界に捕えるだけで、曲に酔い、リズムに酔った。


 ベンダビリリ(BENDA BILILI)とは、内面を見よ! という意味らしい。

 その言葉は、車椅子の姿、服や楽器さえまともに買えない姿、ダイヤモンドやレアメタルに群がる亡者、紛争で疲弊して切望的な街・・・・。住む家も無く街に溢れるストリートチルドレン。絶望的な街、絶望的な未来。しかしみんな、表っ面を見ないで心を見て生きろ!

 と言っているように感じる。


 そして、

♪人生に遅すぎる事はない 幸せは突然やって来る・・・♪

 と歌い出す。



 彼らの歌はコンゴの事を歌うものが多いし、決して文学的な詩ではない。

 しかし、彼らが歌う歌の心はどの国の誰にでも通ずるものがある。

 彼らの心は伝わって来た気がした。

 行ってよかった。


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 リッキー


 メインヴォーカルでこのバンドの「おとうさん」
 今回、初めてレコーディングにも成功して彼の夢は叶った。

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 ロジェ


 メンバーで最年少。ビリリに入るまでは、シェゲと呼ばれるストリートチルドレンだった。

 7歳でサントゲという楽器を作って、見事な演奏をする。


きんぱこ(^^)v  -1 (ビリリHPへリンク)

 サントゲという楽器。

 空き缶に木の枝を取り付けて枝の先から缶まで金属ワイヤーを一本張る。

 そして、枝の先を握り枝のしなりを変えながらピックで弦を叩く。


 チョーキングを多用した高音のリードギターのような感じの音が出る。

 誰でも作れるが演奏は非常に難しそうだ。


きんぱこ(^^)v  -montana (ビリリリンク)

 モンタナのドラムも手作りだ。

 タムだけはちゃんとしているが、他の部品は机のまわりに工夫されて取りつけられている。

 私が聞きに行った時はタムが三つだった。

 恐怖の三点セットと言われたスティーブ・ガッド顔負けの演奏だ。

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 ジュナナは強度の小児麻痺を患っているのに、舞台では一番激しく歌い、そして踊る。

 いつ息継ぎをするのだろうと思うくらいの歌い方だ。


 見事に調和のとれた声、マイケルジャクソン顔負けの歌唱力。

 ギターも弾くが、この人は口だけあれば何でも表現出来る。凄い!



きんぱこ(^^)v  -coco (ビリリリンク)

 テオはギタリスト。それにしても使い古したギター。

 私が見に行った時はこれとは違うギターだったので、何台かは持っているみたいだ。

 この人のギターがバンドの流れを左右させる。

 日本では寒かったのか、かわいいカラフルな毛糸の帽子をかぶってた。



きんぱこ(^^)v  -tero (ビリリリンク)

 ココは控えめな感じがした、彼も車椅子で舞台に向かって右端で歌う。

 しかし彼はバンドの№2で、作曲家でもある。


 彼が車椅子から離れた時、椅子の背もたれのデザインが日の丸だったのが面白かった。


きんぱこ(^^)v  -cavarie (ビリリリンク)

 カバリエのベースも、見事に使いこんでいる。

 これで、私見だけどマーカスミラー顔負けの演奏をする。

 

 優しそうな顔をして、きっとメンバーの皆から慕われているだろう。


きんぱこ(^^)v  -kabose

 カボセは比較的軽いポリオだ。舞台では楽しそうに踊る。

 歌声もソフトで優しそうな歌い方をする。

 リズミックな曲が多い中、彼のソフトな歌声は心が休む。


 10/1ツアーは始まったばかり。

 詳しい事は、リンクを貼っておきます。オススメ。

 公式HP