いつまで続く強姦、略奪、殺戮の悪夢 (コンゴ民主共和国) |         きんぱこ(^^)v  

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      砂坂を這う蟻  たそがれきんのすけ

$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 2010/09/10 $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$



【この国は今でも悪魔の国】



 久しぶりにコンゴ民主共和国の事を調べました。



 この国の東部にあるゴマ地区では、今でも虐殺・レイプが繰り返されているようです。

 2か月前には、50人~70人の人々が(難民が)軍の将校によって虐殺・レイプされたというニュースを読みました。

 難民は街を捨て、親戚縁者を頼って移動し、少しでも安全になると街に戻る。それの繰り返しだそうです。



 皆さんは、砲弾などが飛び交う中を難民が逃げ惑う姿を想像されていると思います。私も最初はそうでした。

 しかし、ここは違うのです。

 ある街を政府軍と解放戦線が奪い合ったとします。そして政府軍が勝ったとします。これでこの街は恐怖が治まるかと言うと、そうではなくここからが恐怖のはじまりなのです。

 占拠した軍が解放戦線や民兵であろうが政府軍であろうが、勝った褒美にその町を略奪、レイプし放題になるのだそうです。そして子供は連れ去られます。もちろん教育して軍隊にするためです。

 だから紛争が始まると、終わるまでにその町を捨てて逃げなきゃならない。

 ちなみに、解放軍の武器は以前はロシアでしたが今は中国製が多いのだそうです。


 進めJPO! ユニセフコンゴ民主共和国・ゴマ事務所 青木佐代子さん


 UNHCRゴマ事務所長 米川正子さん


 報道写真家から我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか


 皆さんの体を張った記事を読みました。本当にご苦労様です。



 しかしこんな国の状況を、許せますか?



【何でもある国】



 アフリカのド真ん中にあるこの国は、このように紛争が絶えない国なのですが、平和にさえなればこの国ほど何でもある国は無いのです。

 自国で石油・天然ガス・鉱物が採れて、大自然がありマウンテンゴリラが生息し、国の中央にはコンゴ河という大河が流れる。国民はのんびりしているが人懐こいそうで、利権が絡まなければ桃源郷のような国になれるのに・・・。

 しかし実際はこの様な国ほど、利権争いなどが起こって不幸な国となり、何の資源もない日本のほうが桃源郷といっても過言ではないような国になるのですね。



 



&&&&&&&&&&&&&&&&&& 2009/09/30 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&



 2006年、コンゴ民主共和国では初めて国民の投票による選挙で(2009年現在)若干38歳のジョゼフ・カビラが大統領となりました。
 コンゴ民主共和国と言えば以前はザイールと呼ばれ首都
キンシャサモハメド・アリとジョージ・フォアマンの歴史的試合(「キンシャサの奇跡」)があった所です。この国は内紛が続き過去10数年で500万人の人々が死にましたこれは第二次世界大戦に次ぐ人類史上2番目の不名誉な記録でもあります。
 ガビラ大統領の就任でようやく平和が訪れるだろうと期待されました。

 ところが2008年一月にコンゴ東部と北部に展開していた反政府勢力と結んだ和平協定は数ヶ月後に破られて
放火・殺戮・暴力・強姦・虐待が始まりました。

 強姦の事件一つを見ても、その数が半端ではないのです
 2009年までの過去10年で起きた強姦事件は約20万件これは性的暴力対策を担当する国連人口基金(UNFPA)が計算した数値なので実際はもっと沢山あると思います。
 まるで刑務所の中に民間人の女性を入れて囚人に銃を持たせているような感じなのでしょうか。

 コンゴには大きく
三つの反政府勢力があります。


・人民防衛国民会議(the National Congress for the Defense of the People 、CNDP)ツチ系
 昨年までは隣国ルワンダの支持を受けて活動。ンクンダ将軍主導で、その支配下地域には有名な
マウンテンゴリラ の生息地ヴィルンガ国立公園もあり、今までに10頭を越えるゴリラが磔にされて殺されたがCNDPの仕業かどうかは解らない。(もっぱら木炭業者の仕業とか)
 しかし、今年の一月、将軍は突如ンクンダ将軍派支持を続けていたはずのルワンダ政府に捕えられた。参謀総長
ンタガンダの裏切りによるものらしい。
 ンタガンダ率いるCNDPは、なんとかつて争って来たコンゴ軍に吸収されてコンゴのンタガンダ軍大将となってFDLRと戦っている。
 これによってCNDPは崩壊したかに見えたが和平協定を破って再び独自の活動を始めていると聞く。


・ルワンダのフツ系武装勢力、ルワンダ解放民主軍(FDLR)
 FLDRの中にはかつてルワンダでの80万人の大惨殺の首謀者が紛れ込んでいる。

 大惨殺とは1994年の千の丘ラジオを使ったクーデターの事です。主に少数派ツチ系の人々が斧で木を切るように次々と殺されていった大惨殺。マスコミと群集心理の恐ろしさを知った事件でした。
 FLDRは以前にはコンゴの支持を受けてCNDPやルワンダと戦っていた訳ですが現在はルワンダと手を組んだコンゴ政府が敵対していたCNDPを仲間割れさせてコンゴ軍に吸収させ、逆にFDLRと戦っている。


・神の抵抗軍(Lord's Resistance Army、LRA)
 北部スーダン国境付近で展開している600程の小集団ゲリラではあるが、民間人の子供をどんどん拉致しているらしい。子供を捉えて軍事教育を行い自軍の兵士に育て上げようとしている。

 現在のコンゴ東部は不思議な紛争構図になっています。
 ツチ系のCNDPがツチ系のルワンダ政府に裏切られ、フツ系のFDLRがフツ系のコンゴ政府と戦っています。数年前とは逆の構造です。
 これは私の想像ですが、クリントン国務長官のコンゴ訪問に合わせてCIA等が得意なカウンターインテリジェンスを使って国家間の協調とゲリラを仲間割れさせたによる成果なのではないかと思っています。
 
 コンゴ軍は圧倒的兵力を持ちますが、彼らは統率されていません。通常の兵士で月に5千円、将校でも1万円という安月給では生活すら儘なりません。これでは組織も不安定で統率しきれないでしょう。
 現在でもコンゴ東部では年間2万人程の女性が強姦され、村は焼かれ、略奪に遭っているそうですが、驚くことにその犯人はゲリラではなくコンゴ軍だということです。
 現地の人々は信じるものが何も無く、恐ろしく不安な日々を過ごしていることでしょう。
 私など想像するだけでも恐ろしくて足が竦みます。
 
 一方ゲリラ側には
スズやタンタル(携帯電話のコンデンサーの基)の採掘を行い潤沢な資金があると言われています。これで兵士を雇い武器商人から武器を買っているので少数ながら武力もあり、ある程度統率も取れていると言われています。
 デカプリオ主演の「
ブラッドダイアモンド」という映画がありました。アフリカのシエラレオネという国の紛争の根源がダイアモンドだったわけですが、このコンゴの紛争の場合は資金源となる鉱石が携帯電話やパソコンになっているわけで、さしずめ

ブラッドフォン」(血の電話)

ブラッドサーキット」(血の回路)

などと呼ばれてもおかしくは無いと思います。
 ちなみに炭鉱労働者は日当50円から100円という安さで働かされていると聞きます。それに対して密輸による収入は年間数十億円とも数百億円とも言われています。

 ヒューマンライツの調べでは
強姦犯の65%がコンゴ軍だと言われています。
 今年の7月、初めてコンゴ軍の大将キパンガ大佐が強姦事件で有罪になりました。(しかし彼は逃走中)
 
そしてこれだけの事件にも関わらず、部隊の監督責任として軍事法廷で有罪になった将軍は何故か居ない。

 今年8月にコンゴを訪問したヒラリークリントン国務長官

 首都キンシャサでの質問会見で一人の学生が質問をしたが最後に「どう思われますかミスタークリントンさん」と言ったものだからヒラリーさん怒った怒った。(あとで同時通訳の誤訳と判明)
 ヒラリーさんのアフリカ歴訪の課題は「
女性の権利」。

 現地ゴマ市を訪れたクリントンさんは、その惨状を目のあたりにして「
この現状を打破するための「魔法のつえ」はない」と語りました。
 クリントンさんに会った被害女性の中には、妊娠8ヶ月で強姦され、その後に腹を割かれて胎児を引っ張りだされた人もいる。
 魔法の杖はないと言ったクリントンさんは、さらに感想を述べている。
「この目で見たことにただただ圧倒されている。苦痛と絶望はいかばかりか、それをここで表現するのは難しい」
 この一言でどれほどのものかが伝わってきた気がしました。


 オバマ大統領は言う。
「自分たちの運命を司っているのは結局自分たちである」
 コンゴの事だけにかかわらず私たちもこの言葉は大切な言葉のように思えます。

 しかし、コンゴについてはクリントンさんの言葉を聞くととてもではないけれど外部からの助けが必要でしょうね。


 クリントンさんはよくも現地のゴマにまで足を運んだものだ。日本の女性政治家にそんな勇気があるだろうか。私など、こうやって記事を漁って感想を述べているだけでも足が竦み背筋が寒くなります。


 その後の情報はわかりませんが、今回のアフリカ訪問でクリントンさんが何を感じ、何を思ったか。どうしていくのかが気になります。


そして、こんな惨状が一日でも早く収まって平和がやってくることを祈ります。