明日より、第70期名人戦7番勝負/第2局開幕。。
森内俊之名人に
羽生善治二冠(棋聖、王位)が挑戦する第70期名人戦7番勝負。
4月10日(水)-11日(木)に行わました
開幕戦第1局は139手までで先手・森内名人が勝利。
開幕戦の戦型は「相矢倉」。
同じ顔合わせで
立場と手番を変えておこなわれた前期の第69期名人戦/第4局 を
初手から駒組み、駒がぶつかりあう中盤戦まで踏襲する進行となりました。
先に手を替え、仕掛けた後手・羽生二冠でしたが
森内名人は受けにまわり、最後まで付入る隙を与えず、完封。
見応え充分の大熱戦を制し
名人防衛にむけ幸先の良いスタートを切りました。
【 第1局終局後のインタビューより 】
131手目▲7九香。
上図での持ち駒
▲森内名人: 角、金、銀、桂、歩7
△羽生二冠: 金、歩
-去年の将棋について研究されていたのでしょうか。
森内名人
「途中でまずい指し方をしたので、正しく指せばどうなるかは考えていた。
攻めが細いが続くかどうか。」
「▲7九香のあたりで寄せに行って勝てればいいなと思ったが分からなかった。」
137手目▲7一龍。
上図での持ち駒
▲森内名人: 角、金、銀、桂、歩9
森内名人
「▲7一竜と入って勝ちとなったかと思った。形勢判断の難しい将棋でした。」
82手目△4六銀。
上図での持ち駒
▲森内名人: 銀、歩
△羽生二冠: 歩3
羽生二冠が昨年の名人戦/第4局から手を替え
前例を離れた局面。
-去年の第4局と同じ展開になりました。
羽生二冠
「変化する手はあったかもしれない。
馬が手厚いと思ってやってみたが、まとめ切るのは大変。
攻めが切れそうで切れないと思っていた。」
-前例から変化したあたりはどうでしょうか。
「こう指せばよくなるという変化はなかった。難しいと思ったが…。」
羽生二冠とすれば名人位奪還にむけ大事な開幕戦で
「先手必勝」と言われる矢倉をあえて後手番で、しかも前回敗れている模様へと
自ら導いた上での敗戦。。
これで一昨年の第23期竜王戦 から数えて
出場した5タイトル戦の開幕戦の成績は1勝4敗となった羽生二冠。
そのうち3つは
タイトル奪取(同竜王戦)、あるいは防衛(名人戦、王座戦)に失敗。
残る1つ王位戦はタイトル奪取に成功 したものの
先にカド番に立たされる苦しい展開からフルセットの末で。。
番勝負が深まり、勝負どころで投入するより
挽回の余地が大きく残る開幕戦で温めていた構想を試してみた、としても
それが手痛い代償とならなければ。。。今はそう願わずにはいられません。
いずれにしろ、戦前の予想では羽生二冠有利の声が圧倒的だった中で
森内名人には失礼ながら、やや意外なスタートとなった今年の名人戦。
明日より注目の第2局の幕が
新潟県は長岡市「長岡グランドホテル」にて開かれます。
森内名人の前年度の成績は29戦10勝19敗(.345)
泥沼の公式戦11連敗フィニッシュと散々たる成績に終わりましたが
新年度を迎えると、名人戦開幕にあわせたかのように調子は急上昇中
今期ここまでの成績は2戦2勝。
羽生二冠の前年度の成績は63戦44勝19敗(.698)。
A級順位戦は全勝優勝。2タイトルの他、NHK杯など3つの棋戦で優勝。
森内名人とは対照的に
昨年の11月後半から公式戦14連勝を記録するなど絶好調で
名人戦をむかえたかに見えましたが、よもやの開幕戦黒星スタートに。
今期ここまでの成績は2戦して1勝1敗。
21日の土曜日には趣味であるチェスのイベントで
世界トップクラスの実力を誇るナイジェル・ショート氏と対戦した羽生二冠 。
結果は引き分け。
多忙極まる中でも
旺盛な好奇心、探究心は健在のご様子。
明日の第2局は羽生二冠の先手。
先手の利をいかし、まずはタイスコアに戻したいところ。
戦型予想というか、希望としては
手番をかえての「相矢倉」をみたい気がしますが
第1局の結果を踏まえてみると、噂される森内名人の振り飛車が
ここで炸裂するかもしれません。振るなら「四間飛車」となりますが。。
「横歩取り」「角換わり」も有力は有力。
先手勝利率の高い羽生二冠にあえて注文をつけるとは考えにくいですが
第22期竜王戦であの渡辺明竜王に、これでもかと「角換わり 」をぶつけた
森内名人だけに、何か「秘策」や「構想」が用意されているなら
投入があるかも。。
両者の対戦成績は
ここまで111戦して羽生二冠の62勝49敗(.559)。
シリーズの流れを決めかねない大事な第2局。
どうなりますでしょうか?!