第70期名人戦7番勝負/第1局・二日目「手厚く、熱く。。」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第70期名人戦7番勝負/第1局・二日目「手厚く、熱く。。」

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森内俊之名人に

羽生善治二冠(棋聖、王位)が挑戦する第70期名人戦7番勝負。

昨日より東京都文京区「椿山荘」にて開幕の時をむかえました。


第70期名人戦/第1局・柔らかいプレビュー



注目の第1局は振り駒の結果、森内名人が先手となり

初手▲7六歩~△8四歩~▲6八銀の出だしから一路「相矢倉」へ。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-51


51手目▲2五桂。


上図での持ち駒


▲森内名人: なし

△羽生二冠: なし



双方、定跡手順からガッチリと入城を果たしてから

森内名人は「4七銀3六桂」型から玉を「穴熊」におさめる

現代矢倉の最先端にシフトします。



【 第70期名人戦/第1局・一日目終了図 】




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75手目▲7六飛。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、桂

△羽生二冠: 歩4



昨年の第69期名人戦/第4局

全く同じ模様から先手を持って勝利した羽生二冠が

今回は後手を持って一年後の見解、そして結論を問いかけるかのように

その第4局を踏襲したまま、一日目は終了。


上図75手目の局面で

羽生二冠が「封じ手」の意思を示し指しかけに。



第70期名人戦/第1局・一日目の流れ




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76手目△4八角成。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、桂

△羽生二冠: 歩4



一夜が明け

本日二日目は羽生二冠の「封じ手」△4八角成からスタート。



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81手目▲2七桂。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、歩

△羽生二冠: 歩3



羽生二冠の「封じ手」も本命中の本命であり

二日目も開始からしばし前期の第4局を踏襲したまま進行。

しかし、上図81手目の局面で羽生二冠の手が止まりました。




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82手目△4六銀。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、歩2

△羽生二冠: 歩3


そして放たれた決断の一着は

前例と別れを告げる△4六銀(前期第4局の82手目は△2六銀)。


この手をみて

今度は森内名人が長考に耽ります。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-85


85手目▲4四歩。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、歩

△羽生二冠: 歩3




1時間と2分熟考し

森内名人が放った86手目は1筋の後手の歩を払う▲1五桂。


羽生二冠の82手目△4六銀は

前期第4局終了後の感想戦でも検討された手ということで

両者にとっては研究課題であり想定の範囲内であると思われ

両者の見解、構想が試される厳しくも面白い展開となりました。


834手目▲1五桂から

△4五歩~上図85手目▲4四歩と進んだところで

お昼休憩に。



【 二日目お昼のメニュー 】


森内名人: 松花堂弁当

羽生二冠: うな丼



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90手目▲1五歩。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、歩2

△羽生二冠: 桂、歩5



羽生二冠の86手目△同4四銀から

午後の対局がスタートし、▲1六歩~△1四香~▲6三歩成~△1五香

と両者とも一歩も引ずに主張を通し、盤上は激しさを増します。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-94


94手目△4二飛。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、歩2

△羽生二冠: 桂、歩5


「相矢倉」戦らしく

全ての駒が機能し、総力戦の様相を呈してきました。


上図の局面では

「後手入玉模様」との声も控え室検討陣から囁かれましたが。。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-96


96手目△5六歩。


上図での持ち駒


▲森内名人: 銀、歩

△羽生二冠: 桂、歩5


森内名人の95手目▲1六歩をみて

羽生二冠はグッと5筋の歩を突き出し、▲同飛車と取らせてから

攻勢に転じます。。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-101


101手目▲同7九金。


上図での持ち駒


▲森内名人: 角、銀、歩2

△羽生二冠: 角、桂、歩5


まずは角交換から

馬を金で捕獲した森内名人。


先手必勝と言われる「矢倉」ですが

本局はまず後手の攻めを先手が切らせる攻防戦に。。。




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108手目△5四角。


上図での持ち駒


▲森内名人: 角、銀、歩3

△羽生二冠: 桂、歩4


1筋が非常に危険な火種となりそうな中

羽生二冠が手をつなぎ、森内名人が受けにまわる展開が続きます。


その最中、羽生二冠が絶妙な角の投入。


8一の桂馬を守りながら、先手陣の急所・8三の地点を射抜く

5四の地点に角を打ち込み攻防に利かせます。。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-110


110手目△7三桂。


上図での持ち駒


▲森内名人: 角、銀、歩4

△羽生二冠: 桂、歩5


森内名人が8筋の歩を払う(109手目▲8六飛)のをみてから

羽生二冠は取り残されていた右の桂馬を跳躍させました。




柔らかい手~個人的将棋ブログ-111


111手目▲8三飛成。


上図での持ち駒


▲森内名人: 角、銀、歩4

△羽生二冠: 桂、歩5


しかし次の瞬間、森内飛車は8三に地点まで一気に走り龍となり

その桂馬の自由を再び奪います。


一進一退、均衡のとれた白熱の一戦は

上図111手目の局面で夕食休憩に突入。。。


残り時間も少なくなる中、いよいよ

難解な終盤戦は決着へと向かいます。



「毎日の将棋学」