女ソウルサーファー/オアハカ(メキシコ)/サーフトリップ8 | ソウル・サーフィン

ソウル・サーフィン

小説「ソウル・サーフィン」の姉妹サイトです。

いい波を求めて,ただひたすら旅をする。

なんて、女の子には無理だろうと思われますか?

そうでもないんですよね。メキシコの、とある海岸で、そんな女性サーファー二人に出くわしたことがあります。

その海岸は、まあ、いわゆる、シークレット・スポットで、地元のサーファー以外は、ほとんど見かけない場所でした。

とにかくアクセスが悪く、なんとか最寄りの村までは車で行けるのですが、そこには泊まる宿などなく、旅するサーファーがその波の噂を聞いても、なかなか、そこに行こうと決断できないブレイクなんです。

とにかく、村はずれの家の軒先まで車で行って、そこからは歩きます。

丘を越え、川を横切り、肝心のスポットまで、三十分は軽くかかってしまいます。

その海岸に、あり日のこと、テントが張られているのを見かけました。

「すごいなあ、ここで寝泊まりしているのか」

と驚いたのですが、

そのテントから出てきたのが女性二人組だったので、また驚き。

話を聞くと、彼女たちは、カナダのブリティッシュ・コロンビアから来たサーファーで、バハ・カリフォルニアから、メキシコの有名ブレイクをライドしながら、南下してきて、プエルトエスコンディードでこのブレイクの噂を聞いたので、来てみたのだそうです。

「テントを張って、何日になるんですか?」

「まだ、三日目。ここの波は、楽しいでしょ。だから、もうちょっといようと思うの」

「でも、浜じゃ、水がないじゃないですか? 食べ物とかどうなさってるんですか?」

「ときどき、ここに、子供たちが遊びにくるでしょ。あの子たちに頼んで、村の店から買ってきてもらうの。食べ物もいっしょにね。子供たちには、いいお小遣い稼ぎになるし、私たちは、とっても助かってるわ」

そう言って、彼女たちは、大きな10リットル容器を見せて微笑みました。

「こんな所でキャンプして、怖くないですか?」

「ううん。怖いって言ったら、街のほうが怖いもの」

海岸に一番近い家の女の子たちが遊びにきたので、彼女たちは立ち上がり、近くの川で水を浴びると、シャンプーで髪を洗いはじめました。

こういうのを、「どうにもおさえられない冒険の気持ち」とでも呼べばいいのでしょうか?

二十一世紀の魂のサーファーたちは、女性なのかもしれません。

男には、家族とか、会社とか引きずっちゃって、「ポンと、ひとつ、飛び越える」がなかなかできにくい時代になってしまったようです。



サーフサイズドットコム・ブログランキング参加中

もしよろしければ、クリックのご協力をお願いします。



«関連記事»
夕日の宿/プエルト・エスコンディード(メキシコ)
文中でも紹介させていただきました。

パコロロ/プエルト・エスコンディード
パコは、「メキシカン・パイプライン」の名付け親です。

恋の宿ホテル・サヤーン/バリ
ヨーロッパの女の子に人気の宿です。アメリカンのコは、でも、あんまり見かけません。

世界の紛争とグッド・ウェイブ
女ソウルサーファーは、こんな地帯にも行くのでしょうか? たぶん、行くでしょうね。

ダーバン/南アフリカ
ジェフリーズよりも、由緒はありますが、波はビーチブレイクなので、比較になりません。

阿武隈川河口/日本・宮城県
この河口あたりでキャンプしてしまう女ソウルサーファーも、いずれ出てくると思います。

ラ・プンタ/プエルトエスコンディード/メキシコ
ここを「シークレット」として紹介している古いビデオを見ると、なんか微笑ましい気持ちになってしまいます。サーファーたちが旅をして、波を見つけて、そこがリゾートになってしまう。サーフィンの魂は、それとは、逆だったはずなのに。