阿武隈川河口/日本・宮城県/サーフトリップ6 | ソウル・サーフィン

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何年か前に、仙台新港の自然保護区域わきでキャンプしたときのことです。

いい波が数日続いたあと、どうしようもなくやってくるフラットの日に、暇をもてあましていたので、自転車で走れる所まで行ってみることにしました。

はじめは有名な松島方面へ。ただ、こちらには、自転車で行けるような場所に、いい波は見つけられませんでした。

丘に登ると、離れ小島にいい波が割れているのが見えるのですが、なにぶん舟がないとアクセスは無理。

(これは、千葉の大原ー御宿間の岩場にも言えることで、絶対、いいリーフがあるはずなのに行けないというのは、くやしいです。きっと、そこで生まれたサーファーは、アクセスの仕方を知っているんだろうなあ。岩船だけじゃないはずです)

そして、あきらめて、新港のテントに戻ってきて、就寝。目が覚めたら、ビッグウェイブが割れていることを夢見たのですが、またフラット。

仕方がないので、その日は逆方面、すなわち、南のほうへ相馬まで自転車で行ってみることにしました。

海岸沿いの平坦な道は、自転車でもつらいことはなく、すいすいと走っていくうちに、阿武隈川に。

その端の途中で一休みしたとき、やはり、リオ・ネクスパ夷隅川の河口が好きな僕としては、持参したミニ双眼鏡で波をチェックしないわけにはいきません。

のぞいてみると、これがいいAシェイプの波が割れてるんですよね。

「こりゃ、ほっておくてはないぞ」

と、河口の一番先まで行ってみると、ボードを脇に歩いている人がいる。

自分のボードを持ってこなかったことを後悔しました。

その日は、いちおう予定通り相馬まで波を見に行って、新港に戻りましたが、後日、友人の助けを得て、本格的にテントを移動しました。

そして、河口の林の中で、一週間ほどキャンプしましたが、結論。

「阿武隈川は、インターナショナル・クラスの波だ」

ということ。

もちろん大きなスウェルが必要なのは当然ですが、台風さえ北上すれば、河口のサンドバーに魔法のような巨大で美しい形の波が現れます。

ここに移り住むサーファーがいるというのも、当然な話。こんな場所に住んでいたら、海外のサーフトリップなんていらないって気持ちになるのもうなづけます。

後日、仙台の友人に聞いたのですが、あるビッグ・デイにケリー・スレーター、ロブ・マチャド、カイラニ・ロブといったそうそうたる面々が、漁船をやとって河口のピークに来たんだそうです。

「ああ、年がら年中、台風の季節だったらいいのに!」

ごめんなさい、漁師さん。


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