N-055 プサメティク2世全身像
N-055 プサメティク2世全身像 H.85×W.22×D.38.5cm (パリ・ルーブル美術館収蔵 紀元前590年頃制作)
このブログで、古代エジプト関連のものを取り上げるのはしばらくぶりですね
今ちょっと調べたら、2010年の前半に集中的に書いた時期があるみたいです (←3年も経ってしまえば、もはや他人事のよう・・・(笑))
きょうのこの石膏像は、古代エジプト第26王朝(サイス朝)の3代目の王となるプサメティク2世の肖像彫刻です
収蔵されているのがパリのルーブル美術館であることは確実なのですが、Wikiではどうにもオリジナル作品の映像が手に入りません・・・
ということで、恐縮ながら、
この映像、フランス北部ダンケルクの高校(?)様のHPより拝借しました m(__)m
古代エジプトの彫像といいながら、顔立ちの写実性や、身体のポーズ全体がなんだかギリシャ彫刻のような風情です
紀元前595年頃の制作ということで、古代エジプト文明としてはかなり新しい時代(末期)に属するもので、同時代の地中海世界からの影響を受けていると指摘する説もあります
例としては、古代ギリシャ・アルカイック期のものですが
ギリシャ・デルフィ考古博物館収蔵のクーロス像 紀元前580年頃
左足を前に出し両腕を下げたポーズは、確かに共通する部分が多いですね。お互いに影響し合っていたのかもしれません
古代ギリシャとの比較でいえば、ギリシャはパルテノン神殿よりも150年も前の時代ということになりますので、古代エジプトの彫像はすでにかなりソフィスティケートされているように見えます
ルーブルのオリジナル彫刻は、19世紀初頭にLaboureur Francesco Maximilienという古典主義的な彫刻家が修復作業を行ったという記録が残っています。全体的にツルっとした印象ですので、補修・補足された部分があるようです
さて、プサメティク2世(紀元前595~589年在位)という王について少し
プサメティクが属する第26王朝(紀元前664~525年)がどんな時代だったかというと・・・
ピラミッドで有名なクフ王 → 第4王朝 紀元前2500年くらい
ツタンカーメンとかラムセス2世 → 第18王朝 紀元前1300年くらい
古代エジプト末期のクレオパトラ → プトレマイオス朝 紀元前300~30くらい
ということで、栄光の古代エジプト全盛期の時代からはだいぶ時間が経ってしまい、”落ちぶれ”色が濃厚となった時代ということになります
プセメティク2世のスフィンクス ヘリオポリスからの出土
紀元前700年頃のエジプトは、それまでたびたび侵略・略奪をおこなっていたヌビア人(エジプトよりも少し南東側の地域の人々)に逆に支配されるような事態に陥り、次第にそのオリジナリティーが失われるようになります
そして紀元前600年代になると、アッシリアからの攻勢が激しくなり、放逐されたヌビア人に代わって紀元前664年にアッシリアの息のかかった第26王朝(サイス朝)が設立され、プサメティク1世が即位します
アッシリアが新バビロニアによって圧迫され弱体化した結果、プサメティク1世はエジプトに自治権を取り戻すまでになります
次世代のネコ2世もまずまずの活躍をして、エジプトの国力を回復させました
そんな時代背景で登場してくるのが、きょう取り上げている石膏像のプサメティク2世です
彼の功績というのが・・・あんまり華々しいものはないみたいなんです
以前支配された憾みを晴らすために、ヌビア王朝に攻め入って建造物などをメタメタに破壊した・・・なんていうことが伝わっています
この攻撃で、ヌビア人が再度エジプトに侵攻する可能性を摘み取ることが出来たのは確かなようです
Kalabshaというところにある、プサメティク2世の戦勝記念碑
ヌビア人のクシュ王国との戦いに勝利したことが刻まれています
そんな地味地味なファラオのプサメティク2世の名をもっとも印象深く伝えているのはこちらではないでしょうか・・・
ローマ・モンテチトリア広場 皇帝アウグストゥスのオベリスク
(台座を含めると約34メートルの高さ、重量は230トンだそうです)
そう、このオベリスクを建造した人物はプサメティク2世なのです!
エジプトから勝手に略奪してきたにも関わらず、名前が「アウグストゥスの~」というのは実にヒドい話ですね
紀元前10年頃にアウグストゥスが、エジプトのヘリオポリス(カイロ近郊の街)からローマに持ち帰ったものです
16世紀に発掘されて、1792年にピウス6世が現在の場所に再建させました
世界に現存する30本のオベリスクのうち、じつに13本がローマにあるんだそうです。その他はフィレンツェ、ロンドン、パリ、アルル、ニューヨーク・・・って感じで、世界中に。。。やっぱり為政者たちって、こういうものがどうしても欲しくなるんですね、不思議なものです。。。
プサメティク2世が建造したHibisの神殿
古代エジプト史の建造物の中では、最も保存状態の良いものの一つだということです
プサメティク2世の死後は、アプリエス、アマシス、プサメティク3世とエジプト人の治世が続いたものの、そこで新しくアジアの大勢力となったペルシア帝国に敗北し、再びエジプトは外国勢力の手に落ちるということになりました・・・
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